2017年10月14日

【死霊館 エンフィールド事件】

死霊館 エンフィールド事件.jpg

原題: The Conjuring 2
2016年 アメリカ
監督: ジェームズ・ワン
出演: 
ヴェラ・ファーミガ:ロレイン・ウォーレン
パトリック・ウィルソン:エド・ウォーレン
フランセス・オコナー:ペギー・ホジソン
マディソン・ウルフ:ジャネット・ホジソン
フランカ・ポテンテ:アニタ・グレゴリー
ローレン・エスポジート:マーガレット・ホジソン
パトリック・マコーリー:ジョニー・ホジソン
ベンジャミン・ヘイ:ビリー・ホジソン

<映画.com>
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実在の心霊研究家ウォーレン夫妻が追った事件を描き、全米で大ヒットを記録したホラー『死霊館』のシリーズ第2作。1977年、イギリス・ロンドン近郊の街エンフィールドで実際に起こり、史上最長期間続いたポルターガイスト現象として知られる「エンフィールド事件」を題材に、英国の4人の子どもとシングルマザーが体験し、ウォーレン夫妻が目撃した怪奇現象を描く。監督は、前作のほか『インシディアス』などのホラー作品や、『ワイルド・スピード SKY MISSION』を手がけたジェームズ・ワン。ベラ・ファーミガ&パトリック・ウィルソンが、前作に続きウォーレン夫妻を演じた。********************************************************************************************************

個人的に幽霊の類は信じていないのであるが、興味がないわけでもない。映画は映画で信じる信じないとは別物であるが、「実話」となればがぜん興味をそそられる。この映画は、そんな興味対象の一作である。

この映画は、実在の心霊研究家ウォーレン夫妻の取り扱った事件を映画化したもので、前作『死霊館』に続くもの。時に1976年、ウォーレン夫妻は教会からの依頼を受け、ニューヨークのアミティービルにある一軒家で調査を行う。その家は1965年に一家の主が一家全員をショットガンで射殺するという事件の舞台となった家であった。

妻のロレインが霊視に入ると、すぐに犯人が家族を次々と射殺していく場面を目の当たりにする。同時にロレインはある少年を見つけあとを追う。そしてその家の地下室では、殺害された一家の亡霊たちがいて、さらにシスターの姿をした恐ろしい形相の悪霊が現れる。その後、ロレインはこの悪霊の悪夢に悩む悩まされるようになる。

そして時は1977年、イギリスロンドンの北部に位置するエンフィールドで、この映画の中心事件となる怪奇現象が発生する。そこは、シングルマザーのペギーが4人の子供たちと暮らす一軒家。ある日、次女のジャネットは自室で姉マーガレットと、流行っているウィジャボード(こっくりさん)で霊を呼び出すマネをして遊ぶ。この時は何も起こらず、ジャネットはベッドの下にウィジャボードをしまい寝床につくが、その夜から不可解な現象が起こり始める。

夜、ジャネットは目を覚ますと、なぜかベッドを離れリビングの1人掛けソファ下に寝転がっていた。さらに、その次の日の夜、姉が気付くとジャネットが1人で突然起きて、誰かと会話し始める。また、末っ子のビリーが夜中にキッチンへ水を飲みにいくと、おもちゃの救急車が突然かってに動き出す。翌日、体調を崩したジャネットは学校を休んでテレビを見ていると、突如チャンネルが勝手に切り替わり、リモコンが勝手に移動している。そして1人の老人が現れ、「ここはわしの家だ!」との怒鳴る・・・

怪奇現象はまだ続き、夜中に足音がベッドのわきまで近づいてくると、布団が勝手にめくられる。隣に寝ていたマーガレットがびっくりして飛び起きると、突如、2人のベッドがガタガタと激しく揺れ始める。2人の叫び声を聞いた母親ペギーが部屋にやってきて2人を宥めるが、今度はその目の前でタンスが勝手に動く。こうなると母親もろとも恐怖に駆られ、一家は家を飛び出して、向かいの隣人の家に一時的に避難する。通報を受けた警察官2人が母親とともに家の中を調べると、今度は警察官の目の前で椅子が勝手に動き出す・・・

この事件は、かなりの数に上る怪奇現象が目撃されていて、映画にある通り目撃者の中には警察官もいるという。俄かには信じがたいが、嘘でもなさそうである。一度是非目の前で見てみたいものである。そしてジャネットが発する本人のものとは思えぬ声。実話ベースとは言え、悪霊が登場してくるところはフィクションなのだろう。そのあたりはエンターテイメントとして楽しみたいところである。

映画は悪霊との対決を制したウォーレン夫妻が少女を救って終わるが、実際の事件はある日突然終わったのだと言う。この世はすべて科学的に説明できるものではないだろうが、もし我が家で起こったらどうなるだろう。解明するより一般公開でもして儲けようかなどと思ってしまう。実話とフィクションとの融合で、あれこれ考えさせられながら楽しめる映画である。


評価:★★☆☆☆





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2017年10月13日

【グローリー/明日への行進】

グローリー.jpg

原題: Selma
2014年 アメリカ
監督: エバ・デュバーネイ
出演: 
デビッド・オイェロウォ:マーティン・ルーサー・キング・Jr.
トム・ウィルキンソン:リンドン・B・ジョンソン大統領
キューバ・グッディング・Jr.:フレッド・グレイ
アレッサンドロ・ニボラ: ジョン・ドア
カルメン・イジョゴ:コレッタ・スコット・キング
ロレイン・トゥーサント:アメリア・ボイントン
ティム・ロス:ジョージ・ウォレス州知事
オプラ・ウィンフリー:アニー・リー・クーパー
テッサ・トンプソン:ダイアン・ナッシュ

<シネマトゥデイ>
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アメリカ公民権運動が盛り上がりを見せる中、アラバマ州セルマで起きた血の日曜日事件を題材に描く感動作。ノーベル平和賞を受賞したマーティン・ルーサー・キング・Jr.のリーダーシップでデモに集まった人々が警官の投入によって鎮圧されたのをきっかけに、世論が大きく動いていくさまを描く。俳優のブラッド・ピットや人気トーク番組で有名なオプラ・ウィンフリーらが製作を担当。史実を基に描かれる、激動の近代史に心動かされる。
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この映画は、マーティン・ルーサー・キングJr.牧師を描いた実話映画であるが、キング牧師その人の人生というよりも、1965年3月7日にアラバマ州セルマで起こった『血の日曜日』事件を中心に描いているところが特徴である。

物語は、キング牧師が1964年のノーベル平和賞を受賞したところから始まる。キング牧師と言えば、20世紀のアメリカ合衆国で最高の演説とも言われている「I have a dream」の演説があるが、これは1963年であり映画の時点では終わっていて描かれない。当時の南部では黒人差別が根強く残っており、有権者登録に出向いた女性(オプラ・ウィンフリー演じるアニー・リー・クーパー)が係官に誰も答えられそうもない意地悪な質問をされて登録を拒絶される様子が出てくる。こんなことは日常茶飯事だったのであろう。

そんなアラバマ州セルマにキング牧師は仲間たちと共に向かう。キング牧師の住むアトランタの自宅には毎日のように脅迫電話がかかって来ている状況で、子供にすら危害を加えかねない内容に妻コレッタは、神経を尖らせている。またキング牧師らの行動は、FBIによって盗聴などの監視を受けている。キング牧師は徹底して非暴力を唱えており、時のジョンソン大統領ともしばしば対面し、差別撤廃の法的処置を求めている。

こうした中、警官による取り締まりで黒人青年が射殺される。怒りに震える黒人たちは、州都モンゴメリーまでの行進を計画する。これに対し、ジョージ・ウォレス州知事はこのデモを阻止すると宣言。州兵や保安官を配備し、デモは催涙ガスや武器を使った容赦無い暴力によって蹴散らされる。しかし、その様子は多くの報道機関の目の前で行われ、事件は全米にテレビ報道される・・・

キング牧師のことは、「I have a dream」の演説とともに人種差別撤廃運動の担い手としてよく知っているが、この事件のことは知らなかった。有権者登録の拒絶といった嫌がらせから、警官による射殺(しかも被害者は非武装)など映画の中では様々な形の差別、暴力が描かれているが、今にして見れば酷いものである。中には、怒りのあまり「目には目を」と報復を唱える者も出てくるが、「2人殺す間に10人殺される」と説得されるところはなかなか印象深いものがあった。

主人公のキング牧師は、特に演説が本人のそれとよく雰囲気が似ていると思った。なかなかの役作りである。そして、英雄色を好むではないが、キング牧師もそれなりに浮気等の女性関係があったようで、妻コレッタとの不協和音が、やんわりと描かれていたりする。そしてキング牧師と言えば、最後には暗殺されてしまうが、映画はここまでは描かれない。モンゴメリーへの行進を終えた後の格調高い演説で映画は終わる。

既にキング牧師暗殺から50年を経ている。もはや歴史の1ページとなっているが、そういうアメリカ近代史の1ページとして興味深く観ることのできる映画である・・・


評価:★★☆☆☆






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2017年10月08日

【沈黙 -サイレンス-】

沈黙−サイレンス−.jpg

原題: Silence
2015年 アメリカ
監督: マーティン・スコセッシ
原作: 遠藤周作
出演: 
アンドリュー・ガーフィールド:セバスチャン・ロドリゴ
アダム・ドライバー:フランシス・ガルペ
浅野忠信:通辞
キアラン・ハインズ:ヴァリニャーノ
リーアム・ニーソン:クリストバン・フェレイラ
窪塚洋介:キチジロー
イッセー尾形:井上筑後守
塚本晋也:モキチ
小松菜奈:モニカ
加瀬亮:ジュアン
笈田ヨシ:イチゾウ

<シネマトゥデイ>
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遠藤周作の小説「沈黙」を、『ディパーテッド』「タクシードライバー」の巨匠マーティン・スコセッシが映画化したヒューマンドラマ。キリシタンの弾圧が行われていた江戸初期の日本に渡ってきたポルトガル人宣教師の目を通し、人間にとって大切なものか、人間の弱さとは何かを描き出した。17世紀、キリスト教が禁じられた日本で棄教したとされる師の真相を確かめるため、日本を目指す若き宣教師のロドリゴとガルペ。2人は旅の途上のマカオで出会ったキチジローという日本人を案内役に、やがて長崎へとたどり着き、厳しい弾圧を受けながら自らの信仰心と向き合っていく。スコセッシが1988年に原作を読んで以来、28年をかけて映画化にこぎつけた念願の企画で、主人公ロドリゴ役を『アメイジング・スパイダーマン』のアンドリュー・ガーフィールドが演じた。そのほか『シンドラーのリスト』のリーアム・ニーソン、『スター・ウォーズ フォースの覚醒』のアダム・ドライバーらが共演。キチジロー役の窪塚洋介をはじめ、浅野忠信、イッセー尾形、塚本晋也、小松菜奈、加瀬亮、笈田ヨシといった日本人キャストが出演する。
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原作は、かつて私も読んだことがある遠藤周作の『沈黙』。随分と重苦しい小説であったが、遠い昔のキリシタン弾圧の様子が伺えて、なかなか興味深い内容であった。そんな原作の映画化とあって、それも監督がマーティン・スコセッシとあれば、これはもう観るしかないのである。

17世紀。江戸初期の日本では、幕府によるキリシタン弾圧が行われている。日本での布教活動を行っていた宣教師フェレイラが捕らえられ棄教したとの報せが届き、俄かには信じられない弟子のロドリゴとガルペが日本への渡航を志願する。既に鎖国政策が行われており、渡航手段を求めていた2人は、マカオで日本人のキチジローを紹介され、その手引きで長崎に上陸する。

しかし藩の取り締まりは厳しく、弾圧を恐れた隠れキリシタンたちはそれを隠して暮らしている。宣教師が上陸したという知らせに驚喜した村人たちに匿われるも、身を隠すのが精一杯の日々で、フェレイラ神父の行方は要として知れない。次第に焦りが生じてくる。それでも隣村へと活動範囲を広げていくが、しかしキチジローの裏切りに遭い、とうとうロドリゴは捕らえられてしまう。

キリシタン弾圧と言えば、踏み絵であるが、それがここでも登場する。かつてキチジローは、この踏み絵を踏み自身は許されるが、拒否した家族は全員殺されるという過去を持っている。1人生き残ったキチジローは、ある種卑屈な思いを持っている。しかし、ロドリゴを捕らえた長崎奉行井上筑後守は、こうした安易な方法は取らない。目の前で村人の首を刎ね、簀巻きにして海に突き落とす。ロドリゴは神の沈黙を嘆き、自らの無力を知る。村人を救う方法は、自らの棄教しかない・・・

井上筑後守のやり方は実に賢い。過去に宣教師を直接拷問したが、棄教させるどころか宣教師たちはそれを自らに課された試練と捉え、むしろ神の御名において喜んで死んでいくのを目にしたため、やり方を変えたのであろう。ロドリゴとガルペは、神への信仰と人々とを救うこととを天秤にかけられるわけである。神の教えに従って人を救うためには、その神への信仰を捨てなければならないわけであり、まさに神父にとっては究極の選択なわけである。

そしてロドリゴは、井上筑後守の差配でとうとうフェレイラ神父と再会する。そのフェレイラ神父は、知らせにあった通り棄教しているのである。それは、首に血抜きの傷をつけられて逆さづりされるという拷問を受け、その辛さを味わわされた上で、目の前で信者たちが同じ拷問を受けて苦しむ様を見せつけられての結果である。

単なるエンターテイメントだけではなく、物語の突き付ける選択は重い。私自身、クリスチャンではないし、他人に信仰を説くようなこともないし、こういう環境では迷いなく棄教するだろうし、そもそも信者にすらならないからなかなか想像するのは難しい。しかしながら、神への絶対的な信仰を抱いていて、師の棄教など天地がひっくり返ってもあり得ないと信じるロドリゴたちの心境は良く伝わってくる。

遠藤周作の小説は内容も暗いし非常に重い。その重みがじっくりと伝わってくる160分の世界である・・・


評価:★★★☆☆




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2017年10月07日

【22年目の告白−私が殺人犯です−】

22年目の告白 私が殺人犯です.jpg

2017年 日本
監督: 入江悠
出演: 
藤原竜也:曾根崎雅人
伊藤英明:牧村航
夏帆岸:美晴
野村周平:小野寺拓巳
石橋杏奈:牧村里香
竜星涼:春日部信司
早乙女太:一戸田丈
平田満:滝幸宏
岩松了:山縣明寛
岩城滉一:橘大祐
仲村トオル:仙堂俊雄

<シネマトゥデイ>
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未解決のまま時効を迎えた連続殺人事件の犯人が殺人に関する手記を出版したことから、新たな事件が巻き起こるサスペンス。韓国映画『殺人の告白』をベースに、『SR サイタマノラッパー』シリーズなどの入江悠監督がメガホンを取り、日本ならではの時事性を加えてアレンジ。共同脚本を『ボクは坊さん。』などの平田研也が担当。日本中を震撼させる殺人手記を出版する殺人犯を藤原竜也、事件発生時から犯人を追ってきた刑事を伊藤英明が演じる。
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先日、韓国映画のリメイク『あやしい彼女』を観たが、この映画も同じく韓国映画のリメイク。感情的なものは別として、映画については韓国映画も大きな勢力であり、無視できない存在。元ネタの映画『殺人の告白』も面白かっただけに、こちらも期待して観た次第である。

阪神大震災が起こった1995年。そのニュースの陰で5人の命が奪われるという連続殺人事件が起こる。家族の目の前で考察するという残忍な手口で、新人刑事・牧村も一員として捜査に加わる。5人目の被害者が出たあと、警察の捜査で犯人を捕らえるチャンスが訪れたが、うまく犯人に逃げられてしまう。しかし、その時牧村は刃物で切られながらも犯人の肩を撃ち負傷させる。

牧村刑事に恨みを持った犯人は、牧村の部屋を爆破し牧村の上司を殉職させ、さらに妹を誘拐し姿をくらませてしまう。以来22年、犯人の手掛かりはなく、事件は公訴時効を迎える。そして突然、犯人と称する者が事件の手記を発表し、自ら名乗り出てくる。盛大に開かれた記者会見場に現れたのは、曾根崎雅人と名乗る男。それに対し、世間には賛否の嵐が巻き起こる・・・

こんな出来事が実際に起こったらどうなるのだろうと思うが、日本でも現実に神戸で小学生を殺害した「酒鬼薔薇聖斗」が手記を発表して話題になったことが記憶に新しい。個人的には絶対買わないつもりだったし、実際買わなかったが、何と25万部も売れたというから驚きである。自分が被害者ではないから興味本位なのだろうが、たとえ映画でも殺人犯がもてはやされる状況は気分がいいものではない。

今でこそ死刑に相当する重大事件は公訴時効が撤廃されたが、それはこういうことを考えると当然であろう。そういう人の感情を逆なでするようなストーリー展開は、この映画の妙である。そして中には当然不快感を持つ健全な人たちもいるわけで、当然ながら犠牲者の遺族には怒りの感情が残っている。被害者の中にはヤクザの親分もいるわけで、曽根崎はヒットマンに狙われる。そしてそれを刑事の牧村が守らねばならないという苦悩・・・

その先のストーリーは、既に『殺人の告白』で知っていたが、この展開も唸らされるものがある。わかってはいても、テレビ討論の場面はなかなかの見せ場であったと思う。事件は意外な展開を見せていくが、最後は逆なでされた神経もすっきりと元に戻させてくれる。ストーリーの日本風アレンジもほど良い程度。日本の歴史にうまくミックスさせている。『殺人の告白』では被害者が11人であったが、この映画では5人(+1人)。このあたり彼我の国民性の違いのような気がする。

日本風のリメイクもなかなかだなと思わされる。こういう感じなら、これからもどんどんやってほしいと思わずにはいられない一作である・・・


評価:★★★☆☆





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2017年10月06日

【チング 永遠の絆】

チング 永遠の絆.jpg

原題: 친구 2/Chingu 2
2013年 韓国
監督: クァク・キョンテク
出演: 
ユ・オソン:イ・ジュンソク
キム・ウビン:チェ・ソンフン
チュ・ジンモ:イ・チョルジュ
チョン・ホビン:ウンギ
チャン・ヨンナム:ヘジ
キ・ジュボン:ヒョンドゥ

<シネマトゥデイ>
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2001年の韓国映画『友へ チング』の17年後を舞台に、裏社会で生きる3世代にわたる男たちの過酷な運命を描いたノワールアクション。親友を殺した罪で服役していた主人公が出所後に巻き込まれる抗争や弟分との絆と共に、前作でなぜ親友が亡くなったのかが明らかになる。監督のクァク・キョンテクと主人公のヤクザを演じるユ・オソンは前作より続投し、キム・ウビンやチュ・ジンモらが共演する。裏社会の男たちの切ない生きざまと、ハードなアクションが見どころ。
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物語は裁判とともに始まる。この映画は、2001年に公開された映画『友へ チング』の続編だというが、どうやら冒頭の裁判は前作を受けてのものらしい。親友だったドンスの殺害を指示したと認めたヤクザのジュンソクは刑務所に服役している。一方、少年時代から母に暴力を振るう義理の父親に対する憎しみから暴力的に育ったソンフンは、ついにその父親を半殺しにして刑務所に収監される。

刑務所での危険を心配した母親はジュンソクを訪ね、ソンフンがドンスの息子であることを告げ彼を守るように頼む。ジュンソクはソンフンの面倒を見て、出所後にはそばに置くことにする。故郷の釜山に舞い戻ったジュンソクだが、長い不在期間に組織はかつての弟分のウンギが副会長になっていることがわかる。さらにウンギは兄貴分だったジュンソクに海外へ息抜きに行くように進める始末。年老いた会長も引退を迫られる有様で、組織はすっかりウンギに牛耳られていることを知る。

これを問題視したジュンソクは、ウンギの手から組織を取り戻す決意をする。死を前にした会長から軍資金を授かると、ソンフンを使って仲間を募り反撃の狼煙を上げる。警察にも裏金を渡し、死者を出さないという約束で抗争に目を瞑るように根回しをする。そうしてウンギが目を掛ける幹部を襲撃していく。

合間に語られるのは、ジュンソクの父がかつて日本のヤクザと抗争しながらも釜山を勢力圏下に収め、今の組織を作ったこと。独立から朝鮮戦争を経て、激動の時代の余韻が残る韓国。命を張った中で、勢力を築き上げた父。親子二代の物語は、『ゴッドファーザーPARTII』を彷彿とさせるが、父については扱いも短く、『ゴッドファーザーPARTII』の迫力には及ばない。

続編とはいうものの、前作を観ていなくてもそれほど違和感はない。これはこれで1つの完結した作品として観ることができる。それよりもこうしたヤクザ同士の抗争ものとなると、ある程度の迫力は必要になるところである。『アウトレイジ』がそのいい見本なのだが、この映画にはそこまでの迫力がない。韓国映画にしては珍しいことではないかと思う。

前作については、随分と高評価なのであるが、続編となる本作はそれほどでもない。こうなると前作も観てみたいという気になってくる。いずれそのうちにとは思うが、この映画については「そこそこ」という評価にとどめたい映画である・・・


評価:★★☆☆☆



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2017年10月02日

【おみおくりの作法】

おみおくりの作法.jpg

原題: Still Life
2013年 イギリス・イタリア
監督: ウベルト・パゾリーニ
出演: 
エディ・マーサン:ジョン・メイ
ジョアンヌ・フロガット:ケリー
カレン・ドルーリー:メアリー
アンドリュー・バカン:プラチェット氏
キアラン・マッキンタイア:ジャンボ
ニール・ディスーザ:シャクティ
ポール・アンダーソン:ホームレスの男
ティム・ポッター:ホームレスの男

<シネマトゥデイ>
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『ベラミ 愛を弄ぶ男』などのプロデューサー、ウベルト・パゾリーニが監督を務め、身寄りのない人の葬儀を行う地方公務員の姿にスポットを当てた人間ドラマ。『戦火の馬』などのイギリスの実力派俳優エディ・マーサンを主演に迎え、心を込めて死者を弔う孤独な男の生きざまを描く。主人公が淡い思いを抱く女性を、テレビドラマ「ダウントン・アビー 〜貴族とメイドと相続人〜」などのジョアンヌ・フロガットが好演。人生の最期にまつわる、ほろ苦くて切なく優しい物語に魅了される。
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主人公のジョン・メイは、44歳の独身で、ロンドン南部のケニントン地区で民生係をしている。民生係としてジョンは、孤独死した人の葬儀等の事務仕事をおこなっている。日本でも『おくりびと』という納棺師を描いた映画があったが、仕事内容は異なるものの、死者を弔うという点では共通点のある映画だと言える。

几帳面なジョンは、日常の些細な仕草だけではなく、仕事においても同様で、孤独死した人に対しては単に事務処理をおこなえばよいのに、死者の部屋を訪問して私物を遺品として保管したり、アパートやマンションの家主には、荷物の処分業者の連絡先を渡したりと手間をかける。それは本来の姿というべきであるが、やらなくても済むことでもあり、そういうことは大抵の人はやらないものだと思う。

死者のアルバムがあれば持ち帰り、家族や友人の有無を調査、死者が好きだった曲がわかれば葬儀の時に流し、弔辞まで用意する。さらに引き取り手のない遺骨は、一定期間きちんと保管し、その後散骨している。毎日同じ時間帯に出勤し、仕事が終わるとまっすぐ帰宅し、食事も家でランチョンマットを丁寧に敷いて食器を並べて食べる。毎日死者のために丁寧な「おみおくり」の仕事をしていたが、それを理解してくれる人はいない。

ある日、連絡を受けて出向いた孤独死の現場は、なんとジョンの向かいのアパート。こんな身近でどこかの誰かが数週間、発見されずにいたことにジョンはショックを受ける。さらにジョンは上司のプラチェット氏に呼び出されると、経費削減のため地区の民生係の統合が決まり、ジョンの業務は別の担当者に引き継がれることになったと告げられる。それまでの仕事振りは何も認められず、ジョンは職を失うことになる。ジョンは動揺を抑え、かろうじて向かいのアパートの死者の案件を最後の仕事として認めてもらう。こうして、ジョンは最後の仕事に取り掛かる・・・

「理想と現実」と言う言葉が脳裏に浮かぶ。主人公のジョンは、民生係。身寄りなく亡くなった者を丁寧に弔っている。誰も参列しない葬儀に1人参列し、弔辞まで考える。一定期間遺灰を保管し、時が来ると丁寧に散骨する。しかし、経済的観念からすると、それは無駄な仕事。葬儀に参列する暇があったら、その分他の仕事ができるし、遺灰もすぐに処理をすれば仕事も早く片付く。事実、ジョンの後継者はそれをやる。ジョンが「溜めていた」遺灰を次々と散骨していくのである。

ジョンは、最後の仕事を一層丁寧に行う。それは最後の葬儀のシーンによく表れている。孤独死したはずの人の葬儀とは思えないもの。それは心温まるものではあるが、しかしそのシーンは一方で無情なシーンでもある。結局、ジョンのやって来た仕事は、非効率なだけの無駄な仕事だったのであろうか。映画は、そうではないことを訴えて終わるのであるが、しみじみとした気分にさせてくれる。

やたらと派手だったり、とにかくハッピーエンドだったりするハリウッド映画と比べ、ヨーロッパの映画は濃厚である。じっくりと余韻を味わいたい映画である・・・


評価:★★☆☆☆




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2017年10月01日

2017年7-9月ベスト3

雨が多く、気温も例年に比べると低めで、ビジネスマンとしてはありがたい反面、やはり夏は夏らしくあってほしいと思う夏も早や過ぎ去り、季節はスポーツの秋、食欲の秋、芸術の秋、映画の秋(?)になった。夏らしい夏でなかった物足りなさを感じつつ、今年の秋は秋らしくあってほしいと思うところである。

さて、その秋を前にしてこの夏を振り返ると、3ヶ月間で観た映画は46本。これは昨年の同時期よりも11本多い。ちょうど今年から「週3本」ペースに移行しており、週1本増えた分がそのまま数として現れている感じである。それでもまだ「リスト」は増え続けており、じっくりと確実にこなしていきたいと思う。

その46本を振り返ってみたベスト3は下記の通り。

第1位:
『ラ・ラ・ランド』

ラ・ラ・ランド.jpg

アカデミー賞を取ったというのは、個人的には合う合わないがあるからあまり影響はないのであるが、これは個人の趣向にぴったりとあった。「映画とミュージカルは親和性がない」という個人の感覚は、『オペラ座の怪人』や『レ・ミゼラブル』で覆されてしまっているが、また1つ覆す作品がでてしまった。

と言っても、これはストーリーの合間合間に効果的に歌と音楽が入ってくる感じで、そもそもあまり違和感がない。明日を目指す2人のロマンチックな関係とちょっと切ない顛末とに相まって、歌と音楽が実に効果的に使われている。何よりも心に響くストーリーが秀逸だと思う。素直に良い映画だと思える作品である。

第2位:
『ジェーン』

ジェーン.jpg

個人的にナタリー・ポートマンが好きという要素はあるものの、もちろんそれだけではない。南北戦争で不幸なタイミングで別れてしまった2人。女にとって、別の男と一緒になったのは、その経緯を見れば責めるのも酷。しかし、諦めきれないのは待っていてくれると信じて帰ってきた男。

そして女に危機が訪れた時、助けを求められた男はやるせ無い気持ちとは裏腹に断ることができない気持ちとがある。多勢に無勢の中、女を守るための戦いが始まる。西部劇も最近はただのドンパチではなく、濃厚なストーリーを伴うものが増えている。ただ相手を撃ちたおすだけのストーリーだと支持は得られないだろう。しっかりとしたストーリーが心に響く西部劇である。

第3位:
『64 ロクヨン前編』
『64 ロクヨン後編』
『あやしい彼女』

64 ロクヨン 前編.jpg 64 ロクヨン 後編.jpg あやしい彼女(日本).jpg

これは甲乙つけがたい選択であった。それぞれタイプが違うし、従って面白さも違う。甲乙と言っても「個人的な好み」なのでどっちでも良いような気がするが、いくら個人の好みではあっても、順位はしっかりとつけてみたい。そうして悩んだ挙句は同位なのである。

共通しているのは邦画という点。方や刑事物であり、方やファンタジー・コメディ。『64 ロクヨン前編』『64 ロクヨン後編』原作本を読んでおり、『あやしい彼女』は、リメイク元の韓国版を観てストーリーを知っていたという点も共通点であるが、ストーリーを知っていても良かったと思わせるものがそれぞれあったと言える。

前者は役者の演技(の迫力)であり、後者は日本に合わせたアレンジである。特に日本風アレンジという点では、『許されざる者』が秀逸であったが、「本家を上回る」という点ではこの映画に「リメイク賞」をあげたいと思う。今後もうまく日本風アレンジができるのなら、どんどんやってほしいと思わされる。

さてこれから秋の夜長の季節。慌ただしい年末も含まれるが、映画の時間はきちんと取って観るものを観ていきたいと思う。そしてまた選択に大いに迷う映画に出会いたいと思うのである・・・


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