2026年01月30日

【こんにちは、母さん】My Cinema File 3119

こんにちは、母さん.jpg

2023年 日本
監督: 山田洋次
出演: 
吉永小百合:神崎福江
大泉洋:神崎昭夫
永野芽郁:神崎舞
YOU:琴子・アンデション
枝元萌:番場百惠
宮藤官九郎:木部富幸
田中泯:井上(イノさん)
寺尾聰:荻生直文

<シネマトゥデイ>
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『男はつらいよ』シリーズなどの山田洋次監督が、ドラマ化もされた永井愛の戯曲を映画化。『母べえ』 『母と暮せば』に続く『母』3部作で、現代の東京下町を舞台に、母親と息子、彼らを取り巻く人々が織り成す人間模様を描く。『キネマの神様』などの朝原雄三が山田監督と共同で脚本を担当。母親を山田監督作『おとうと』などの吉永小百合、久々に会った母親の変化に戸惑う息子を『探偵はBARにいる』シリーズなどの大泉洋が演じる。
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主人公は大会社の人事部長として働く神崎昭夫。表向き勝ち組と言ってもいい役職についているが、実は日々会社の人事問題で神経をすり減らしている。そして私生活でも妻とは別居中という問題を抱えている。ひとり娘の舞は母と住んでいるが、その関係はうまくいっていない。

そんな昭夫の下にしばしばやってくるのは、大学時代から仲の良い同期入社の木部。同期ではあるが、出世では差がついている。そんな木部から昭夫は大学の同窓会の相談を受ける。屋形船でやろうという意見に昭夫は知り合いがいそうな母・福江に相談するため、久しぶりに東京下町で暮らす母を訪ねる。

昭夫の母はたび職人の夫亡きあと、一人でほそぼそとたび屋を営んでいる。昭夫は、店舗兼住居の実家ののれんをくぐると、久しぶりの帰宅に驚きながらも母は笑顔で迎えてくれる。母は商売はそこそこに近所の人たちとボランティア活動をしたりして元気にくらしている。

久々の実家にも自分の居場所がなく、早々と退散した昭夫。自宅で出前のラーメンをたべていると、別居中の妻から電話があり、娘の舞が家に帰っていないと告げられる。心当たりがあった昭夫は再び実家に行くとそこには、福江と仲良く暮らす舞がいる。そして親の心配をよそに、舞は下町の暮らしが気に入っていると言う。

そして舞は昭夫に母福江には、最近好きな人ができたらしいと告げる。それはともにボランティア活動をしている神父。これには昭夫も仰天する。会社では整理解雇の話がでており、そのリストには同期の木部の名前が上がっている。妻との離婚問題もあり、昭夫の苦悩は尽きない・・・

物語は仕事にプライベートに問題を抱える昭夫を追っていく。とは言え、母親の恋愛は問題とは言えなさそう。それでも子供にとって父親の再婚は「片付いた」と感じられ、母親の再婚は「取られた」と感じられるというから昭夫にとっては問題なのかもしれない。そして追い討ちをかけるように木部が騒動を起こす。

大企業に勤めているとは言え、その華やかさとは裏腹の苦悩。思うにまかせない母と娘。それでも昭夫は根は優しい人間である。大学時代の同期というのは特別な関係。しかし、大企業の中では特別扱いはできない。それでも部下の女性はそんな昭夫を理解しているようだし、そこに救いはあるように思う。

最後に昭夫が下した結論は大企業の論理よりも友情を取ったもの。見ていて救われる気がする。それにしてもこういう役柄もピタリとハマって演じてしまうところが大泉洋の良さかもしれない。なかなか心に心地良い人間ドラマである・・・


評価:★★☆☆☆








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2026年01月27日

【八犬伝】My Cinema File 3118

八犬伝.jpg
 
2024年 日本
監督: 曽利文彦
出演: 
役所広司:滝沢(曲亭)馬琴
内野聖陽:葛飾北斎
土屋太鳳:伏姫
渡邊圭祐:犬塚信乃
鈴木仁:犬川荘助
板垣李光人:犬坂毛野
水上恒司:犬飼現八
松岡広大:犬村大角
佳久創:犬田小文吾
藤岡真威人:犬江親兵衛
上杉柊平:犬山道節
河合優実:浜路
黒木華:お路
小木茂光:里見義実
寺島しのぶ:お百

<映画.com>
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山田風太郎の小説「八犬伝」を役所広司主演で映画化。里見家の呪いを解くため運命に引き寄せられた8人の剣士たちの戦いをダイナミックに活写する“虚構”パートと、その作者である江戸時代の作家・滝沢馬琴の創作の真髄に迫る“実話”パートを交錯させて描く。
人気作家の滝沢馬琴は、友人である絵師・葛飾北斎に、構想中の新作小説について語り始める。それは、8つの珠を持つ「八犬士」が運命に導かれるように集結し、里見家にかけられた呪いと戦う物語だった。その内容に引き込まれた北斎は続きを聴くためにたびたび馬琴のもとを訪れるようになり、2人の奇妙な関係が始まる。連載は馬琴のライフワークとなるが、28年の時を経てついにクライマックスを迎えようとしたとき、馬琴の視力は失われつつあった。絶望的な状況に陥りながらも物語を完成させることに執念を燃やす馬琴のもとに、息子の妻・お路から意外な申し出が入る。
滝沢馬琴を役所広司、葛飾北斎を内野聖陽、八犬士の運命を握る伏姫を土屋太鳳、馬琴の息子・宗伯を磯村勇斗、宗伯の妻・お路を黒木華、馬琴の妻・お百を寺島しのぶが演じる。監督は「ピンポン」 『鋼の錬金術師』の曽利文彦。
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「八犬伝」と言えば、その昔「南総里見八犬伝」として子供向けのものを読んだ記憶がある。原作は滝沢馬琴が28年かけて完成させた全98巻に及ぶ大作だという。その労力たるやすごいものがあるが、物語としての「南総里見八犬伝」と作者である滝沢馬琴の創作にまつわる話をミックスさせたのが本作である。よって内容は「八犬伝」の物語と滝沢馬琴の物語との二部構成になっている。

時に長禄二年、足利8代将軍義政が幕府を治めていた時代。安房の滝田城は隣国の安西景連に攻め入られて落城の危機に陥っている。弱りはてた里見家当主の義実は、飼い犬の八房に「敵方の将軍の首を持ってくれば、娘の伏姫を嫁にやろう」と言う。半ば冗談であり、藁をもすがる気持ちであったのだろう。誰もその言葉を本気にする者はなかったが、唯一本気にしたのが当の八房。その言葉を聞き終えると一目散にいずこかへと走り去っていく。そして驚くことに、敵方の大将の首を咥えて戻って来る。

大将が犬にかみ殺され、敵軍は大混乱に陥る。このチャンスに義実は総攻撃を命じ、滝田勢は敵を粉砕して勝利を収める。義実は犬に告げた約束を思い出すが、当の本人は本気にしていない。しかし、八房は伏姫に寄り添い、伏姫もまた「犬とはいえ約束は約束」と父に告げる。そして八房の背に乗ると八房と共に走り去る。慌てた義実は家臣たちと八房を追い、洞窟の前で八房を鉄砲で撃つ。しかし、その時八房を庇った伏姫をも誤って撃ってしまう。事切れる伏姫の体から、8つの光る玉が現れ、四方八方へと飛び散っていく。伏姫の死の間際の言葉から家臣の金碗大輔は、飛び散った8つの珠の行方を探す旅に出る・・・

時は変わって文化10年の晩秋。滝澤馬琴は友人の葛飾北斎に、構想を温めている話として上記の伏姫の物語の筋を語って聞かせる。それを聞いた北斎は絶賛する。そしてその物語のイメージを絵に描いてみせるが、馬琴の懇願にも関わらず、北斎はその絵を譲ることを拒否し、破り捨ててしまう。以降、北斎は馬琴の下をしばしば訪ねては物語のその後の続きを聞く。そして八犬伝の物語はそれに合わせて続いていく。伏姫の死から20年が過ぎ、生まれる時に不思議な珠を持って生まれた者も立派な若者に成長している。

馬琴と北斎がこんな風に交流していたのかどうかはわからない。されど両名とも江戸時代を代表する文化人であり、それなりにウケを狙ったのだろうかとは思ってみる。本当だったのだとしたら興味深い組み合わせである。女房のお百には文句ばかり言われるが、息子は父を尊敬する。されど息子は病弱で、後には病気で亡くなってしまう。一人息子の死に馬琴も慟哭するしかない。そのあたりは史実に沿っているのだろう。八犬伝の中では、たくましく成長した「犬」の文字を苗字に持ち、生まれた時に手にしていたという珠を持つ若者たちが出会っていく・・・

八犬伝は伏姫方の死の間際に飛び散った8つの珠を持つ若者が化け物退治をする物語。そこは空想ファンタジーであるが、江戸時代に書かれたというのが味噌だろうか。娯楽の少ない当時においては、破格のスケールの物語であり、当時の人たちがどんな風に「南総里見八犬伝」を読んだのかと想像させられる。飛び散った8つの珠を持った若者たちを集めて妖怪退治というアイディアは実に現代的であるようにも思う。馬琴も引っ越しをしたり、髪の毛が白くなりまた後退したりして長い時間の経過を伺わせる。28年の歳月は長い。

息子の宗伯が亡くなり、馬琴自身も失明するという不幸の中、最後は嫁のお路が代筆するという形で「八犬伝」を完成させる。その苦労は一つの物語であり、だからこそこれは「八犬伝」と馬琴の物語という二つが並走する形になったのだろう。「八犬伝」の裏にこんな物語があったとは、と思わずにはいられない。日本の文学の伝統に誇りを持ちたくなる一作である・・・


評価:★★☆☆☆








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2026年01月23日

【犯罪都市 PUNISHMENT】My Cinema File 3117

犯罪都市 PUNISHMENT.jpg

原題: 범죄도시4、英題:The Roundup: Punishment
2024年 韓国
監督: ホ・ミョンヘン
出演: 
マ・ドンソク:マ・ソクト
キム・ムヨル:ぺク・チャンギ
パク・ジファン:チャン・イス
イ・ドンフィ:チャン・ドンチョル
イ・ボムス:チャン・テス
キム・ミンジェ:キム・マンジェ
イ・ジフン:ヤン・ジョンス
キム・ドゴン:チョン・デビッド
キム・ジフン:チョ・ジフン
ヒョン・ボンシク:クォン・テウン
イ・ジュビン:ハン・ジス
キム・シンビ:カン・ナムス

<シネマトゥデイ>
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マブリーの愛称で知られるマ・ドンソク主演の『犯罪都市』シリーズの第4弾。拳ひとつで悪党たちをなぎ倒してきた刑事マ・ソクトが、元傭兵が率いる国際IT犯罪組織を検挙すべく奮闘する。監督を務めたのは『バッドランド・ハンターズ』などのホ・ミョンヘン。組織を仕切る非道なリーダーを『悪人伝』などのキム・ムヨルが演じ、『幼い依頼人』などのイ・ドンフィ、これまでのシリーズにも出演したパク・ジファンらが共演する。
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マ・ドンソクがそのガタイのいい体を生かして剛腕刑事を演じる『犯罪都市』シリーズの第4弾。といってもうっかりしていて第3弾にあたる『犯罪都市 NO WAY OUT』を飛ばしてしまった。それでもストーリー的には問題ない。

ところはフィリピン。とある男が必死の形相で何かから逃げている。それを追うのは怪しげな男たち。逃げる男の前にタイミングよくパトカーがやってくる。助けを求める男。怪しげな男たちは舌打ちする。そこへ別の男がやってくる。男は警官を意に介さず、刃物を取り出すと警官を刺殺し、逃げた男を堂々と刺殺する。殺された男の名はチョ・ソンジェ。フィリピンの施設内に監禁され、組織からオンラインカジノ関連のプログラム作成とシステムの運用を強要されており、隙を見て組織から逃げ出そうとしたのである。

一方、ソウル地方警察庁広域捜査隊のマ・ソクトは、麻薬密売事件の捜査の過程で、麻薬取引用のアプリ開発に携わった可能性のあるプログラマー、チョ・ソンジェと、大規模な違法オンラインカジノ組織「皇帝カジノ」の存在を突き止める。警察はチョ・ソンジェを麻薬取引アプリ開発容疑で指名手配したが、フィリピンで刺殺された事が判明する。ソンジェの遺体はフィリピンから韓国に搬送され、ソンジェの母は息子の無残な死によって大きなショックを受け、自死を選ぶ。マ・ソクトは、母の位牌の前で犯人逮捕を誓う。

広域捜査隊はサイバー捜査隊と連携して捜査を開始するが、「皇帝カジノ」のサーバーは海外に置かれており、運営者も表に一切現れないため、その正体が全くつかめない。そこで、マ・ソクトは朝鮮族マフィア「イス組」の元ボスで、現在はソウルでゲームセンターを経営しているチャン・イスの協力を仰ぐことにする。チャン・イスはかつてオンラインカジノ事業に参入しようとしたが、「皇帝カジノ」によってフィリピンのスタジオを破壊されていた。ライバル業者が出てくると再び「皇帝カジノ」が出てくるだろうという読みである。

その「皇帝カジノ」であるが、オーナーは韓国IT企業「QMホールディングス」CEOのチャン・ドンチョル。チャン・ドンチョルは、フィリピンでソンジェを惨殺したペク・チャンギを「皇帝カジノ」の暴力担当として使い荒稼ぎする一方で、仮想暗号通貨事業の新規上場をもくろんでいる。ペク・チャンギは「皇帝カジノ」の顧客増加に応じた配当金の支払いを渋っていたため、不信感を抱いたペク・チャンギは、右腕のチョ・ジフンとともにフィリピンから韓国に帰国する・・・

こうして今回の物語の舞台が整っていく。剛腕マ・ソクトは日和見的な広域捜査隊長のチャン・テスの背中を押しながら捜査を進める。対するペク・チャンギは殺人を何とも思わない狂気の人物。警官も躊躇なく刺殺し、ソウル警察署に逮捕された仲間を白昼堂々、警察署に侵入して刺殺するという危ない殺人者である。コミカルな展開もあるが、剛腕マ・ソクトと殺人者ペク・チャンギとの対立がラストの対決に向けて舞台を整えていく。毎回難敵が登場してくるが、どうしても主人公の活躍のためにはひ弱な敵では話にならない。今回もナイフを使う冷酷な殺人者である。

最近はハリウッド映画にも進出したマ・ドンソク。このシリーズは、完全にマ・ドンソクありきのシリーズであるが、プロレスラー並みのガタイはやはり迫力がある。そのガタイで暴れまわる刑事役は見応えあり、シリーズ化は正解であるように思う。うっかり見落とした第3作はもちろん、これからも続くのであれば観続けたいシリーズである・・・


評価:★★☆☆☆









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2026年01月16日

【ある取り調べ】My Cinema File 3116

ある取り調べ.jpg
 
2015年 日本
監督: 村橋明郎
出演: 
佐藤B作
中西良太
斉藤陽一郎

<映画.com>
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俳優・中西良太の脚本による取調室を舞台にした密室劇。妻と息子を殺害した容疑で連行された男。彼は自分が殺した妻子のもとへすぐにでも行かせてくれと「死刑にしてください」と必死に懇願する。男を取り調べることになったベテラン刑事もまた鬱病の妻を抱え、家庭崩壊の危機に直面していた。立場は正反対ではあるが、追い詰められている状況に置かれた2人の男。狭い取調室の中で2人の男が葛藤しつつ、息詰まるような時間が流れていく。監督は数多くのテレビ、映画の脚本や演出を手がける村橋明郎。容疑者の男に佐藤B作、男を取り調べる刑事を中西自身が演じる。
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登場人物は刑事2人と殺人事件の被疑者が1人という3人だけの物語。冒頭から雨が降る様子が映される。冒頭だけではなく、折に触れて雨が強調される。とある刑事はその朝娘から電話を受ける。仕事で帰宅しなかったことを責められ、母親の介護疲れから鬱に陥った妻のためにも今日は早く帰るようにと約束させられる。そして、折から発生した殺人事件の取調を若手刑事とともに担当する事になる。犯人が連れて来られるまでしばしの猶予がある。

若手刑事は午前4時まで働いたと語り、寝る間もろくにないまま次の仕事に駆り出され、「警察がブラック企業だったとは」とグチをこぼす。そして先輩刑事にその日は母親のために静岡の実家に行きたいと告げる。取り調べが長引くと厳しいかもしれない。そして殺人事件の犯人が連れて来られる。容疑は 妻と息子に対する殺人。そして取調室で向かい合って座ったベテラン刑事に被疑者の男はいきなり「私を死刑にして下さい」と懇願する。

いきなり死刑にしてくれと言われてもモノには手順がある。ベテラン刑事はとりあえず被疑者から事情を聞く。男が殺したのは自分の妻と息子。1人息子であったが、発達障害を抱え妻が四六時中つきっきりで面倒を見ていた。しかし、いつ終わるとも知れないケアの日々に妻は疲労困憊し、挙句に鬱状態に陥って「死にたい」と漏らすまでになってしまったと。男もそんな妻を労り、長年勤めた印刷会社も辞めたが、どうにもならなくなった妻から懇願され、息子と妻を手にかけたのだと。

世の中にはクズのような犯罪者もいるなかで、事情を聞いたベテラン刑事も男の実情を知り、男に同情する。ストーリーは実に単純であり、取調室という小さな空間における人間ドラマになっている。ベテラン刑事も家庭に問題を抱えている。冒頭で娘から電話を受け、仕事で家に帰れないと語るが、確かに仕事は忙しいのであろうが、あえて帰りたくないという気持ちが伝わってくる。だから男が疲労困憊した妻を抱える事情もよく理解できたのであろう。ブラックな労働環境に文句を言っていた若手刑事も早く帰りたいという気持ちをいつしか忘れているように思える。

憎んでいたわけでもない妻を手にかけるしかなかった男の心情が痛いくらいに伝わってくる。全編取調室の中で展開する物語は、同様に犯罪者と教誨室で向き合う『教誨師』(My Cinema File 2999)と似通ったところがある。3人の登場人物には立場が違うがそれぞれが抱えた事情がある。妻と息子を殺めてしまった男はもう生きていても仕方がないと死刑を懇願する。しかし、事情を知った刑事は当然死刑になどしたくない。それは観る者すべての感情だろうし、おそらく裁判でも死刑にはならないだろう。

しかし、極刑は免れたとしても男にとってそれはどうなんだという気がする。刑務所でそれなりの年月を過ごした後、社会に出て1人でどう生きていくのだろうか。観終わってふとそんな事を考えた。妻子の遺影を抱えながら、社会の片隅で安い賃貸住宅に住み、安価な肉体労働で日々の生活の糧を得る。そんな生活の方が男にとっては酷なのではないだろうか。それが贖罪という事であれば、それは誰に対する贖罪なのかという気がする。

雨が降り続く中、取調室という狭い室内で展開される人間ドラマ。観終わっていろいろな事を妄想させてくれる映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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2026年01月15日

【セントラル・インテリジェンス】My Cinema File 3115

セントラル・インテリジェンス.jpg

原題: Central Intelligence
2016年 アメリカ
監督: ローソン・マーシャル・サーバー
出演: 
ケヴィン・ハート:カルヴィン・ジョイナー
ドウェイン・ジョンソン:ロビー・ウィアディクト/ボブ・ストーン
エイミー・ライアン:パメラ・ハリス
アーロン・ポール:フィル・スタントン
ダニエル・ニコレット:マギー・ジョンソン=ジョイナー
ジェイソン・ベイトマン:トレヴァー・オルソン

<MOVIE WALKER PRESS解説>
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『ワイルド・スピード』シリーズのドウェイン・ジョンソン主演のアクションコメディ。高校時代はスーパースターだったが今はしがない会計士のカルヴィンは、当時いじめられっ子で今はマッチョなCIAのボブと再会。組織から追われるボブに助けを求められる。出演は、「ペット」のケヴィン・ハート、『ブリッジ・オブ・スパイ』のエイミー・ライアン、ドラマ『ブレイキング・バッド』のアーロン・ポール、「モンスター上司」のジェイソン・ベイトマン。監督は、「なんちゃって家族」のローソン・マーシャル・サーバー。
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時は遡って1996年。高校生のカルヴィン・ジョイナーは生徒会長を歴任し、運動部でも活躍するヒーロー。卒業を目前にして最優秀生徒として表彰される。その一方、シャワーを浴びていたのは太っていかにも愚鈍といった風体のロビー・ウィアディクト。これを見つけたのはトレヴァー・オルソンとその取り巻き。全裸のロビーを捕まえるとそのまま体育館で行われているカルヴィンの表彰式に抱えていき、全校生徒が見守る中に放り出す。会場が笑いに包まれる中、カルヴィンは咄嗟に着ていたジャンバーをロビーに渡す。いたたまれなくなったロビーはジャンバーで体を隠してその場を後にする・・・

時は流れて現在。カルヴィンは同級生のマギーと結婚し、会計事務所に雇われて働いている。高校時代の栄光とは打って変わって冴えない男になっている。そんな2人に高校の同窓会への案内が届く。しかし、栄光の高校時代と比べ底辺に落ちた感があるカルヴィンは行かないと言う。その気持ちはよくわかる。そして仕事場に戻ったカルヴィンだが、Facebookを開くと、ボブ・ストーンという人物から友達申請が送られてくる。深く考えず承認したところ、さっそく本人からメッセージが届く。「俺はロビー・ウィアディクトだ。今夜6時に会いたい」と。

さっそく指定された店に行くと、そこでカルヴィンは20年ぶりにロビーと再会する。肥満体型の気弱ないじめられっ子だったロビーだが、いつの間にか筋骨粒々で堂々とした体格の男に変貌している。さらに酔っ払い3人に絡まれたカルヴィンをロビーはあっという間に叩きのめして助ける。そしてロビーはカルヴィンに「給与支払いに不正会計の疑いがあるから精査してほしい」と依頼する。そのままカルヴィンの自宅にあるPCで調べてみると、オークションの支払いという名目で数百万ドルの金が動いていることが判明する。

とても給与の記録と思えないデータにカルヴィンは困惑するが、ロビーは何も知らないと言い張り、その日はリビングで一泊することになる。翌朝、カルヴィンの自宅にCIAのパメラ・ハリスが部下を率いて乗り込んでくる。突然のことに動揺するカルヴィンに、パメラは「ロビーは殺人と反逆罪で手配中な上に、機密情報を敵に売ろうとしているCIAのエージェントだ」と告げる。当のロビーはいつのまにか姿を消している。カルヴィンがパメラたちに囲まれながら出社すると、どこからかロビーが現れ、CIAエージェントと銃撃戦になり、ロビーはカルヴィンを連れて逃走に成功する・・・

もはやすっかり俳優が板についてきた感のあるドウェイン・ジョンソンだが今回はアクション・コメディにCIAのエージェントとして登場。高校時代は全校生徒のヒーローといじめられっ子という関係だった2人が、20年の歳月を経て再会すると立場が逆転。いまはしがない会計士である同級生の力を借りて事件の解決に挑むというもの。基本はコメディでありカルヴィン役のケヴィン・ハートがおまぬけ役を引き受ける。ドウェイン・ジョンソンはアクション担当である。

コメディのいいところは多少の(かなりの)突っ込みどころがあっても許されてしまうところだろう。単独で行動するロビーを追うCIAのパメラ。いったいどちらの言い分が正しいのか。ロビーは正義か悪なのか最後までわからない。巨体で筋骨隆々のロビーとひ弱なカルヴィンは見事な凸凹コンビ。ブラック・バッジャーと呼ばれる悪の親玉と機密コードが入ったUSBメモリを巡って争うというもの。

体格では際立つドウェイン・ジョンソンだが、やはり1人おまぬけを演じるケヴィン・ハートがひときわ目立つ。本職のコメディアンらしいが、そのあたりはさすが本職である。最初から最後までリラックスして観られる。それにしても高校時代はヒーローだったのに、大人になってみれば冴えないサラリーマンという人もいるだろう。登場人物の設定に妙なところに意識を持っていかれた。ドウェイン・ジョンソンの出演作品は外れがすくないとこの頃感じさせられる映画の一本である・・・


評価:★★☆☆☆








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2026年01月11日

【フロントランナー】My Cinema File 3114

フロントランナー.jpg

原題: The Front Runner
2018年 アメリカ
監督: ジェイソン・ライトマン
出演: 
ヒュー・ジャックマン:ゲイリー・ハート
ヴェラ・ファーミガ:リー・ハート
J.K.シモンズ:ビル・ディクソン/選挙参謀
アルフレッド・モリーナ:ベン・ブラッドリー/ワシントンポスト紙主幹
モリー・イフラム:アイリーン・ケリー/スケジュール担当
クリス・コイ:ケヴィン・スィーニー/報道担当
アレックス・カルポフスキ:マイク・ストラットン/アドバンス・マン
ジョシュ・ブレナー:ダグ・ウィルソン/政策アドバイス・スタッフ
マムドゥ・アチー:A.J.パーカー/ワシントン・ポスト紙記者
スティーヴ・ジシス:トム・フィドラー/マイアミ・ヘラルド紙記者
サラ・パクストン:ドナ・ライス

<映画.com>
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『グレイテスト・ショーマン』 『X-MEN』シリーズのヒュー・ジャックマンが、スキャンダルにより失脚した実在の政治家ゲイリー・ハートを演じるドラマ。監督は『マイレージ、マイライフ』『JUNO ジュノ』でアカデミー賞にノミネートされたジェイソン・ライトマン。1988年アメリカ大統領選挙。ゲイリー・ハート上院議員は、史上最年少の46歳で民主党の大統領候補となり、予備選で最有力候補として一気に躍り出た。その若さからジョン・F・ケネディの再来と称され、大衆からも愛されていたハートの状況を一変させる出来事が起こる。アイアミ・ヘラルド紙の記者が入手したハートに関する「ある疑惑」。このスキャンダルが一斉に報じられたことで、ハートの支持率は急落し、予備選の当落線上から姿を消すことになってしまう。
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1984年民主党の大統領選予備選から物語は始まる。予備選に挑んでいたゲイリー・ハートは無念の撤退宣言を出す。当時最年少で大統領選に挑んだゲイリー・ハートは、ケネディ大統領の再来とも呼ばれた存在。そして、4年後。捲土重来、ゲイリーは大統領選の最有力候補(=フロントランナー)として大統領選への出馬を宣言する。ゲイリーには選挙参謀としてビル・ディクソンがついている。そのゲイリーはワシントンポストの若手記者パーカーに密着取材を受けているが、ゲイリーが妻と別居していることを質問され渋い顔をする。

ただ、パーカーはよりリベラルで清廉さを求められる民主党の候補者であるゲイリーにとって、この部分はクリアにされるべきと感じている。実態はと言えば、ゲイリーは妻のリーとは別居生活を送っている。そして自身は、全米を遊説して回る中で知り合ったドナという若い女性といい関係になっている。そしてそれを知る者からマイアミの地元紙マイアミ・ヘラルド紙にその事実を密告する電話が入る。さらにその週末、ゲイリーとドナがワシントンで密会するという。

電話を受けたのは記者のトム・フィドラー。ゲイリーの予定を確認したところ、ワシントンに行く予定はなく、ガセネタとしてトムは聞き流す。しかし、ゲイリーが急遽予定を変え、ワシントンに行くと知ったトムは態度を変え、ワシントンへと向かう。そしてゲイリーのワシントンの家の前で張り込みを開始する。半信半疑であったが、密告通りに女性が入っていくとその姿を撮影し、スクープとしてこれを報じる。これを受け、密着取材していたパーカーも報道は事実だと感じ、ワシントンポストもこれに追随する。

当時、若手の大統領候補として「ケネディの再来」と称されていたゲイリーだが、これでスキャンダル騒動となる。別居中の妻の自宅には報道陣が集結し、外出もままならない。選挙参謀のビルはゲイリーに対応を進言するが、ゲイリーは相手にしない。映画の中でも触れられているが、ケネディ大統領の不倫はマスコミはみんな知っていたが、当時は寛大な時代で問題にされることはなかった。しかし、現在は違う。この映画の当時はその過渡期であり、ゲイリーも不倫報道について不快感を露にして相手にしようとしない。しかし、報道は過熱していく・・・

政治家にとっては何より実績が重要で、プライベートで何をしようが関係ないという態度を取るゲイリー。よく「英雄色を好む」と言われるが、できる人間ほどモテるというのも事実だろう。プライベートなど関係ないという考え方もよくわかる。しかし、記者たちはその人間性を問う。不倫をするような人間は果たして政治家たりえるのか、と。どちらの意見ももっともであるが、現在は後者の考え方が正当とされている。この映画はそういう意味では時代の過渡期にあったと言える。

結果的にゲイリーは大統領候補として失速する。そしてもう二度と浮上できない。この時の大統領選は結局、共和党のブッシュが当選する。歴史に「if」はないと言われるが、もしもゲイリーが大統領になっていたら、どんな風になっていたのだろうか。時代の変化に気がつかなかったというところにゲイリーの不幸があるのだろう。それにしても、ケネディの再来を見てみたかったと思わせてくれる映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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2026年01月10日

【エイリアン ロムルス】My Cinema File 3113

エイリアン ロムルス.jpg

原題: Alien: Romulus
2024年 アメリカ
監督: フェデ・アルバレス
出演: 
ケイリー・スピーニー:レイン
デビッド・ジョンソン:アンディ
アーチー・ルノー:タイラー
イザベラ・メルセド:ケイ
スパイク・ファーン:ビヨン
エイリーン・ウー:ナヴァロ

<MOVIE WALKER PRESS解説>
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宇宙空間を舞台に、未知の生命体エイリアンとの死闘を描いた『エイリアン』シリーズの通算7作目。『ドント・ブリーズ』のフェデ・アルバレスが監督を、『エイリアン』のリドリー・スコットが製作を務め、シリーズ1作目の“その後の物語”を描く。『プリシラ』のケイリー・スピーニー、『ライ・レーン』のデヴィッド・ジョンソンらが出演する。
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冒頭宇宙空間を航行する無人探査機の周囲をゆっくりと漂う宇宙船の残骸。その一つにノストロモ号の文字が見える。うまいイントロだと思う。ノストロモ号と言えば『エイリアン』(My Cinema File 49)で主人公リプリーが乗っていた輸送船。エイリアンとの激闘で最後に爆破した残骸である。その残骸から何かが持ち出される。レーザーで解体され、施設に運ばれるが、後には何かが抜け出したような型の痕跡だけが残される・・・

ところかわって、とあるコロニーに移る。劣悪な環境の惑星の鉱山で労働者として暮らす孤児のレイン・キャラダインが主人公。同じ労働者だった両親は既に亡く、知恵遅れの弟のアンディだけが家族である。ただし、アンディは亡き父が拾ってきた再プログラムしたアンドロイドである。目を離せばアンドロイドゆえに酷い扱いを受けたりするが、レインにとっては大事な家族である。

その日、レインは契約満了の予定であったが、なんとこれを強制的に延長されてしまう。レインが大勢の労働者とともに契約するウェイランド・ユタニ社はかなりあくどいビジネスをしているようである。劣悪な環境下で終わりが見えない労働に絶望的になるレイン。そこに元恋人のタイラーからとある誘いを受ける。それはもう使われていない宇宙ステーションに忍び込みコールドスリープ装置を盗みだすというもの。その装置があれば遥か彼方の惑星に逃げ出すことができるというもの。

この計画には施設侵入のためにシステムにアクセスできるアンドロイドが必要不可欠で、タイラーはアンディに目を付けたのである。不安を覚えつつも現状打破できる方法は他になく、レインはアンディとともに参加を決める。そしてタイラーとその妹のケイ、タイラーの従弟のビヨンとその恋人でパイロットのナヴァロの計6名で運搬船に乗り込む。向かったのは破棄された宇宙ステーション「ロムルス」。

宇宙ステーションにドッキングし、タイラー、ビヨン、アンディが中へ入る。重力ジェネレーターを起動させ、無事コールドスリープ装置に辿りつくが肝心の燃料がない。そこで3人は現在も稼働している大型のコールドスリープ装置から燃料を抜き出すことにする。何事も順調にいくばかりではない。しかし、移動途中にはまるで惨劇にでも遭ったような変死体がある。観る者はその理由がわかるが、3人はわからない。そして3人は作業中にドアロックがかかり、施設に閉じ込められてしまう。そこにうごめくモノ・・・

出られなくなった3人を救うべく、身重なケイを置いてレインとナヴァロが救援に向かう。船内温度が上昇する中、打開策としてレインはステーションに置き去りにされていた損傷したアンドロイドのチップをアンディにインストールする。すると、それまで動きも緩慢だったアンディが見違えるように動き始める。ドアロックを解除し、3人を救出するが、そこにエイリアンの幼虫が襲い掛かってくる。そしてナヴァロの顔面に幼虫が絡みついてしまう・・・

このシリーズも数えれば7作目だという。時系列で並べ直すと、最初は2093年が舞台の『プロメテウス』(My Cinema File 1145)であり、続く『エイリアン コヴェナント』(My Cinema File 1846)は2104年が舞台。そして『エイリアン』(My Cinema File 49)へと続き、本作は『エイリアン2』(My Cinema File 1790)との間に位置づけられるようである。エイリアンの成長と動きはおなじみである。過去の作品を踏襲されており変化はない。しかし、本作では妊婦のケイが襲われ、そして急激に成長して出産し、新たな形態が登場するという変化がある。

第1作のリプリーからこのシリーズは戦う女性が主人公。本作もレインがエイリアンとの死闘を演じる。宇宙船内の重力装置をうまく利用したりするところは見応えがある。自分だけが助かるのではなく、仲間を助ける姿は実に美しい。そしてアンドロイドがここでもキーを握る。ハラハラドキドキの展開は衰え知らず。まだまだ続編のネタは尽きそうもない。飽きることなく観続けたいシリーズ第7弾である・・・


評価:★★★☆☆








posted by HH at 21:45| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | SF/近未来ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする