2020年01月03日

【来る】My Cinema File 2053

来る.jpg
 
2018年 日本
監督: 中島哲也
原作: 澤村伊智
出演: 
岡田准一: 野崎
黒木華:田原香奈
小松菜奈:比嘉真琴
松たか子:比嘉琴子
妻夫木聡:田原秀樹
青木崇:高津田大吾
柴田理恵:逢坂セツ子

<シネマトゥデイ>
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第22回日本ホラー小説大賞に輝いた澤村伊智の小説「ぼぎわんが、来る」を、『告白』などの中島哲也監督が映画化。謎の訪問者をきっかけに起こる奇妙な出来事を描く。主演を岡田准一が務めるほか、黒木華、小松菜奈、松たか子、妻夫木聡らが共演。劇作家・岩井秀人が共同脚本、『君の名は』などの川村元気が企画・プロデュースを担当した。
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物語は、あるちょっと軽く浮かれた感じの男、田原秀樹の結婚から始まる。妻加奈はちょっと大人しい感じの女性。やがて一人娘の知紗が生まれる。今の時代の男らしく、秀樹は妻を労わり子どもにも愛情を注ぎ、イクメンぶりを発揮する。その思いは事細かにブログにアップし、同じマンションのパパ友の間では、イクメンのリーダー的存在になっていく。

そんな秀樹だが、実は幼少時から心に引っ掛かっていることがある。それは幼馴染だった少女との記憶。得体の知れない“何か”が、自分を連れ去りに来るという話。その“何か”は秀樹も連れ去りにやってくると言う。もうその少女の名前も覚えていないが、秀樹の中には、その漠然とした不安が残っている。そんなある日、家に帰ってきた秀樹は、荒れた部屋と、部屋に下げておいたお守りがすべて切り刻まれ、呆然とした加奈と泣き続ける知紗の姿を発見して愕然とする。

記憶の中の少女の恐怖もあり、秀樹は友人の民俗学者の津田に相談する。津田はさらに心霊やオカルトを中心にライター業をしている野崎を秀樹に紹介し、その野崎から秀樹は真琴を紹介される。真琴は霊能者という触れ込みとはウラハラに、普段はキャバ嬢をしていて、刺青にピアスという出で立ちは普通の人ならちょっと顔をしかめてしまう。しかし、迫り来る“何か”は、真琴の力を上回っており、そんな時、真琴の姉だというやはり霊媒師の琴子から連絡が来る。

久しぶりの和風ホラーであるが、幼少時から秀樹に付きまとって来た何かが、平和な家庭を築いた秀樹の家庭に襲い来るというもの。その何かは正体不明で、秀樹が琴子に紹介された霊能力者と中華料理店で話をしていると、突然その“何か”が襲い掛かり、なんとその霊能力者は片腕をちぎられてしまう。考えてみれば、あたりかまわず襲われるというのは恐怖である。そしてその正体が気になる所であるが、それは明かされないまま。

名画『エクソシスト』の例を出すまでもなく、悪霊退治となると、霊能者が先頭に立って儀式を行うものであるが、その中心たる琴子のやり方は面白い。自身の力だけでは及ばずとして、全国から神道や仏教の霊能者を集める。ラストの“お祓い”は「総力戦」の様相を呈していて、そのアイディアは秀逸だと思う。もしも神や仏や悪霊がこの世に存在するのであれば、「神様のアベンジャーズ」こそが最強であろう。

それはともかく、秀樹と加奈の夫婦の様子に夫婦のすれ違いの形が見事に現れているなと、ストーリーとは関係のないところで感心してしまった。秀樹は自分が良い夫であり、良い父親であると信じている。子どもが泣いていても知らん顔で自分のイクメンぶりをブログに綴る。その陰で1人家事に孤軍奮闘する妻加奈の心は次第に秀樹から離れていく。その兆候は既に結婚式の時から要所要所に現れている。秀樹にとっては、家族もファッションの一部であるかのようである。

ちょっと意外だったのはストーリー展開だろう。“何か”の影に幼い時から脅かされて来た秀樹だが、いよいよそれが本格的に襲いかかって来たとき、秀樹はあっさり殺されてしまう。主人公が途中でいなくなってしまった感があり、戸惑いをもたらせてくる。それにその“何か”の正体は最後までわからず。秀樹一家だけでなく、友人の津田なども襲われて命を落としていくのに、結局正体がわからないままというのも何となく消化不良感を感じたままであった。

秀樹に不満を募らせる加奈は、やがて津田と不倫関係になっていく。姉妹の間にも葛藤がある琴子と真琴。ライターとして秀樹家族と“それ”との間で関わっていく野崎。いろいろなキャラクターが登場するが、なんとなくサラッと描かれているだけのようであったのは、原作を圧縮して映画化したからなのかも知れない。一度原作本も読んでみようかと思わされる。

ホラーとしては、もうちょっと怖さがあって欲しかったと思う一作である・・・


評価:★★☆☆☆









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2020年01月02日

【海難1890】My Cinema File 2052

海難1890.jpg

2015年 日本・トルコ
監督: 田中光敏
出演: 
内野聖陽:田村元貞
ケナン・エジェ:ムスタファ/ムラト
忽那:汐里ハル/春海
アリジャン・ユジェソイ:ベキール
夏川結衣:お雪
永島敏行:野村
小澤征悦:藤本源太郎

<シネマトゥデイ>
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日本とトルコの長年にわたる友好関係をテーマにしたドラマ。海難事故に遭ったトルコ軍艦エルトゥールル号への日本人による救援と、トルコ人によるイラン・イラク戦争時の在イラン日本人救出という、両国の絆を象徴する二つの出来事を見つめる。監督は『精霊流し』『サクラサク』などの田中光敏。『臨場』シリーズなどの内野聖陽、『許されざる者』などの忽那汐里、『孤高のメス』などの夏川結衣らが出演する。約100年という歴史をまたいだ展開はもちろん、日本とトルコの知られざる物語にも胸を打たれる。
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 日本とトルコの間にある歴史的な感動実話を映画化したもの。時に1889年7月、オスマン帝国は、大日本帝国への親善使節団約600人を軍艦「エルトゥールル号」で派遣する。翌1890年6月に日本に到着し、明治天皇への謁見を果たした使節団は、艦内でコレラが蔓延するというトラブルもあり帰国を延期、9月15日にようやく横浜港から出港する。しかし、台風に遭遇し、エルトゥールル号は紀伊大島沖で岩礁に衝突して座礁してしまう。まもなく機関室の爆発もあり、エルトゥールル号はオスマン・パシャ提督以下約500人と共に沈没してしまう。

 エルトゥールル号の爆発音を聞いた地元住民らは、総出で生存者の救助にあたる。中心になるのは、村の医師田村元貞と助手のハル。一夜明け、生存者の一人であるムスタファ大尉は、親友ベキールをはじめ多くの船員が犠牲になったことで呆然自失としている。手当に忙しい田村は、そんなムスタファの世話をハルに任せる。やがて日本政府はドイツに要請して軍艦を派遣し、生存者を母国へと送り届ける。

 この遭難事件から95年後の1985年。時にイラン・イラク戦争下のテヘラン。イラクのサダム・フセイン大統領は、突然48時間後にイラン上空を飛行する航空機を無差別攻撃するという声明を出し、空港は避難する外国人で混乱する。日本人学校の校長竹下は、日本大使館に向かい、野村大使に脱出用の航空券を手配するよう依頼する。しかし、各国は自国民の避難優先で、日本人を乗せてくれるところはなく、日本航空は空路の安全が保障されないという理由で要請を拒み、自衛隊も国会の承認が得られないとして救援を断念する・・・

 物語は、前半のエルトゥールル号の物語と、後半のテヘランとに分かれる。エルトゥールル号の中心になるのは、ムスタファ大尉。日本への出発にあたり家族とのやり取りや、航海中の機関室の兵士とのやり取りが描かれる。一方、地元民は医師の田村、そしてその助手を務めるハルの物語が描かれる。救助にあたっては、村人が総出となり、さらに村の貴重な食糧を生存者たちに分け与える。貧しい村ゆえに余分な食糧などないが、村長はあえて決断する。

 こうした行為がトルコ国民に広まり、教科書にも載っているエピソードなのだという。そしてそれは95年後に、テヘランで孤立した日本人に対し、救援機を派遣するという決定でトルコは恩返しをしてくれる。自国民の救助ができないという当時(今は法律が整備されてできるようになったという)のふがいない政府(というより自衛隊を敵視していた「平和主義者」たちだろうか)の様子が際立つ。

 日本とトルコ両国の感動的な実話なのであるが、映画はそうではない。途中までは確かに感動的なのであるが、最後にコケル。テヘランから日本人が救援機に乗る場面など、必要以上に露骨な演出をして、かえってわざとらしさから感動が消失してしまう。余計な演出などせずに、そのまま描いていたらいい映画になっていたと思うが、たとえるならそのまま食べるだけで美味しい素材を下手な料理人が下手に料理してぶち壊したと言えるだろう。監督が悪いのか、誰が悪いのかはわからないが、下手くそこの上なく、もったいないと素人でも思う。

 実に残念な映画である・・・


評価:★★☆☆☆






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2020年01月01日

2019年年間ベスト10

 2020年の新しい年が始まった。ラグビーのワールドカップに湧いた2019年に対し、今年はオリンピックが開催される。果たしてどんな一年になるのか。個人的には仕事で大きな動きがありそうであり、その行方によってはのんびり映画など楽しんでいる場合ではなくなるかもしれない。そんな危機感のある年である。

 そんな新たな年を迎えるにあたり、例年の通り一年の映画を振り返ってみる。鑑賞した映画の総数は143本。これは2018年に比べると33本少ない。マンション管理士の資格取得に向けた勉強に時間を割いたこともあるが、週3本観るのはやっぱり無理があり、普通に週末2本のペースに戻したためでもある。さらに143本のうち7本は過去に一度観た映画である。心に残った映画をもう一度観るゆとりも持ちたいと思う。

 新たに観た136本の内から独断で選んだベスト10は下記の通り。

第1位:
『ちはやふる−結び−』

ちはやふる−結び−.jpg

 2017年にベスト1に挙げた『ちはやふる−上の句−』『ちはやふる−下の句−』に続く第三弾。前二作は前篇・後篇の対になっていて、高校生のかるたという地味な題材ながら、実に感動的なストーリーだった。その続編である本作も前作の流れを継いで、その後の瑞沢高校かるた部の面々が描かれていく。主人公千早をはじめとしたメンバーの成長、奥深い競技かるたの世界、前二作とあわせてトータルでじっくりと堪能できるストーリー。主人公の広瀬すずもみずみずしく、大満足のベスト1である。

第2位:
『クリード 炎の宿敵』

クリード 炎の宿敵.jpg

 人は誰でも年を取る。いかなロッキーでもいつまでもチャンピオンではいられず、引退の時が来る。普通はそこで終わるものであり、ボクシングの名画『ロッキー』も、本来『ロッキー・ザ・ファイナル』で終わっても不思議ではなかったが、それがなんとロッキーのライバル、アポロ・クリードの息子を主人公にして続けてしまうという大胆な続編(スピンオフ)。『クリード:チャンプを継ぐ男』に続いての第2弾。

 しかも今回はかつてのロッキーのライバル、ロシアのイワン・ドゴの息子が強敵として登場するというストーリー。父アポロはドラゴとの一戦で命を落としており、ドラゴもロッキーに負けて地位を失っていて、どちらも負けられぬ二世対決。これだけでも十分引きつけられるが、迫力あるボクシングシーンと相まって、『ロッキー』に負けず劣らずのシリーズになりそうな勢い。文句なしの映画である。

第3位:
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー.jpg

 個々のスーパーヒーロー単体での活躍でさえ目が離せないのに、それをドリームチームとしてまとめてしまった『アベンジャーズ』シリーズ。次から次へと出てくる強敵。今回の敵サノスは圧倒的な力を持ち、立ちはだかるアベンジャーズの面々を蹴散らしていく。初めから終わりまで空前のスケールと大迫力でストーリーが展開される。観終ってどっと疲れが出るほどだが、今回はさらに続編へと続く。それだけではなく、『アントマン&ワスプ』および『キャプテン・マーベル』も同じ続編へと続く仕組みになっている。この世界観は圧巻である。

 さて、それ以下は以下の通り。個人的には順位はあってなきようなものだと思っている。どれもこれも心に残る映画である。

第4位:『アリータ:バトル・エンジェル』

第5位:『万引き家族』

第6位:『アリー/スター誕生』

第7位:『殺人者の記憶法』/『殺人者の記憶法 新しい記憶』

第8位:『ファースト・マン』

第9位:『愚行録』

第10位:『3月のライオン 前編』/『3月のライオン 後編』

 さて、東京オリンピックを控える2020年。どんな映画と巡り合えるだろうか。そして過去に観たあの映画、この映画ももう一度観てみたい。今年も欲は尽きない年の始まりである・・・


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2019年12月31日

【隔離】My Cinema File 2051

隔離.jpg

原題: SOLITARY
2009年 アメリカ
監督: グレッグ・デロチー
出演: 
アンバー・イエガー:サラ
アンドリュー・ジョンソン:レズニック(医師)
キーロン・エリオット:マーク(夫)
クリスティン・サリヴァン:ジーナ(姉)
B・アンソニー・コーエン:刑事
ダルトン・リーブ:刑事

<Amazon Prime Video解説>
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家から出ることが出来ない女が一人、夫の謎の失踪を解く。
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主人公のサラは夫マークと2人で暮らしている。その日はサラの誕生日。夫と2人でささやかに食事でもしようという話をしていたが、夫はなぜか帰ってこない。意を決して外に出ようと試みたサラであるが、家を出た途端、呼吸困難になって家の中に慌てて戻る。実はサラはパニック障害を抱えていて、外出ができない。飼っていた小鳥が死んでしまい庭に埋葬しようとするも、それもできず、やむなく玄関前の空き地になんとか埋めるのが精一杯である(どうやって買い物をしているのだろうと心の中でつぶやく・・・)。

家を訪ねてくるのは、姉のジーナだけ。姉はサラのために高名な精神科医レズニックを紹介し、レズニックは治療のために家まで訪れることになる。しかし、サラの苛立ちは収まらず、その矛先は姉や医師のレズニックにも向かう。家の中にはなぜか鍵をなくしてしまって入れない部屋がある。さらに正体のわからない物音や庭先に夫に似た人物を見かけたりとサラの周りでは何かが起こっている兆しが訪れる。

夫はかねてから子供を欲しがっていたが、サラは今一つその考えに同意できないでいる。夫が失踪した今となって気になるのか、やがて開かずの部屋から赤ん坊の泣き声が聞こえてくる。警察にも捜索願を出し、不審な状況を訴える。やってきた刑事は護身用の銃の携帯を勧める。夜中に物音がして恐る恐る調べに行くが、何もない。事前にあまり内容は見ないようにしているから、一体この映画がホラーなのかサスペンスなのかイマイチ判然としない。

やがて少しずつ隠れていた事実が浮かび上がってくる。開かずの部屋も鍵が見つかるが、部屋の中は赤ん坊どころかがらんとしたまま。そして実はサラの誕生日から半年が経過していることが判明する。さらに、実は半年前のサラの誕生日に2人は自動車事故に遭い、夫は亡くなっていたことをサラはようやく思い出す。冒頭から続いてきた不思議な現象は、サラの精神的なショックによるものかと思っていたが、実はまださらに隠れた真実がラストであきらかになる・・・

気軽に観始めた映画であるが、どういう展開になるのかわからないまま観る者を引っ張っていく。登場人物はみな怪しげであり、中心にいるサラ(と観ている者)だけが、事実を知らないかのよう。飼っていた小鳥を埋めたのにそれが掘り返されて机の上に置いてあったりして、なにか普通とは違う状況だというのはわかる。そしてそれが最後にすべてわかるという展開。

考えてみれば、切ない話なのであるが、そこに至る摩訶不思議で怪しい雰囲気満載の内容は短いながらも充分堪能させてくれる。この手の映画としては『ジェイコブス・ラダー』 を思い出す。ホラー映画のようでいて、実は・・・という映画。あまり時間のない時に、ちょっと観るには程よい映画である・・・


評価:★★☆☆☆






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2019年12月30日

【アリータ:バトル・エンジェル】My Cinema File 2050

アリータ:バトル・エンジェル.jpg

原題: Alita: Battle Angel
2019年 アメリカ
監督: ロバート・ロドリゲス
脚本: ジェームズ・キャメロン/レータ・カログリディス
原作: 木城ゆきと/『銃夢』
製作: ジェームズ・キャメロン/ジョン・ランドー
出演: 
ローサ・サラザール: アリータ
クリストフ・ワルツ:イド
ジェニファー・コネリー:チレン
マハーシャラ・アリ:ベクター
キーアン・ジョンソン:ヒューゴ
エド・スクレイン:ザパン
ジャッキー・アール・ヘイリー:グリュシュカ
ホルヘ・レンデボルグ・Jr.:タンジ
エドワード・ノートン:ノヴァ

<シネマトゥデイ>
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木城ゆきとのコミック「銃夢」を、ジェームズ・キャメロンが脚本と製作を手掛けて実写化したSFアクション。未来を舞台に、圧倒的な戦闘能力を持つサイボーグ少女が失われた記憶を探る姿を活写する。メガホンを取るのは『シン・シティ』シリーズなどのロバート・ロドリゲス。『メイズ・ランナー』シリーズなどのローサ・サラザール、『ジャンゴ 繋がれざる者』などのクリストフ・ヴァルツらが出演する。ローサがモーションキャプチャーでサイボーグ役に挑む。
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予告を観た時から気になっていたこの映画。元ネタは日本のアニメだというし、おまけにジェームズ・キャメロンの名前まであれば、是非観ないといけない。そしてその期待に応えてくれた映画である。

時は2563年、地上にはスラムのような雑然とした街並みがある一方、その上空には巨大な都市ザレムが浮かんでいる。その上空の都市から何やらゴミが大量に地上に降り注いでいる。そんなゴミの山で、サイバードクターのイドは使えそうな部品を探している。そこで、イドはサイボーグの少女の上半身を発見する。調べてみるとそのサイボーグの脳は無傷であり、イドは残りの体をつなぎ合わせて一体のサイボーグを作り上げる。

イドは街でも腕のいいドクターであり、機能を回復したサイボーグはアリータと名づけられる。イドには強盗に娘を殺された過去があり、妻のチレンはそれが原因でイドと別れ、今は自分の生まれた故郷ザレムに帰るため、街からザレムに人を送る権限を持っているベクターという男の下で働いている。そのベクターは、モーターボールと呼ばれるレース形式の球技を仕切っていて、街の住人に娯楽を提供している。

体を得て歩き回れるようになったアリータは、街でヒューゴという少年と友達になる。時に街では若い女性が連続して殺害される事件が起こっているが、そんな時、アリータは夜な夜なイドが外出して傷を負っては帰ってくることに気づく。ある夜、意を決してイドの後をつけたアリータは、実はイドは「ハンターウォリアー」と呼ばれる賞金稼ぎをしていて、犯罪者であるサイボーグ達を捕らえていることがわかる。

お尋ね者のサイボーグを捕らえようとしたイドだが、相手は予想外の強敵。あわやというところで、アリータは一部の記憶を取り戻す。それは自身が戦士だった記憶。そしてアリータは見事な腕前を披露し、お尋ね者のサイボーグを破壊する。しかし、そのうちの一体であるグリュシュカには逃げられてしまう。そして逃げたグリュシュカは、雇い主のベクターにそれを報告。さらにはそれを知らされたザレムを支配する男ノバは、ベクター達にアリータを殺す様に命じる。

こうしてアリータはザレムを支配するノバとその手下であるベクターに狙われることになる。ヒューゴとの交流で徐々に記憶を取り戻していくアリータ。そして封印されていたアリータの過去が明らかになっていく。サイボーグ化した人間とモーターボールなどで繰り広げられるバトルアクション。見かけは目が異常に大きい少女が無敵とも言える強さを見せてくれる。そのギャップがまた見ていて心地良い。こういうヒーローモノは単純明快に楽しめる。

この未来世界では、進んだ科学技術によって人間の体はすべて作り上げることができる。アリータのように脳以外はすべて機械という人間も数多くいる。機械とはいっても、その機能によっては人力を超えたパフオーマンスが可能になる。そんな人間を超越したサイボーグのバトルがこの映画の1つの魅力かもしれない。原作の『銃夢』(「がんむ」と読むらしい)は読んだことがないが、この映画を観る限りは原作も面白そうである。

自らを狙うベクターが送り込む殺人サイボーグと戦いながら、イドとヒューゴと関わり合って記憶を取り戻していくアリータ。しかし、ザレムを支配するノバとの対決には至らず、また上空に浮かぶザレムの内部もわからないまま映画は終わる。どうやら続編へと続きそうな展開である。モーターボールでチャンピオンになるとザレムへ行くことができる。そしてアリータはその座を目指す。この続きが観られるのであれば、実に楽しみである。

続編を心待ちにしたいジェームズ・キャメロン製作映画である・・・


評価:★★★☆☆






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2019年12月29日

【ヴェノム】My Cinema File 2049

ヴェノム.jpg

原題: Venom
2018年 アメリカ
監督: ルーベン・フライシャー
出演: 
トム・ハーディ:エディ・ブロック/ヴェノム
ミシェル・ウィリアムズ:アン・ウエイン
リズ・アーメッド:カールトン・ドレイク/ライオット
スコット・ヘイズ:トリース
リード・スコット:ダン・ルイス
ジェニー・スレイト:ドーラ・スカース
ウッディ・ハレルソン:クレタス・キャサディ

<映画.com>
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スパイダーマンの宿敵として知られるマーベルコミックの人気キャラクター「ヴェノム」を、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『ダンケルク』のトム・ハーディ主演で映画化。サム・ライミ監督作『スパイダーマン3』にも敵として登場したヴェノムを、「ゾンビランド」「L.A. ギャング ストーリー」のルーベン・フライシャー監督のメガホンで、新たなダークヒーローとして描く。「誰もが望む、歴史的偉業」を発見したというライフ財団が、ひそかに人体実験を行い、死者を出しているという噂をかぎつけたジャーナリストのエディ・ブロック。正義感に突き動かされ取材を進めるエディだったが、その過程で人体実験の被験者と接触し、そこで意思をもった地球外生命体「シンビオート」に寄生されてしまう。エディはシンビオートが語りかける声が聞こえるようになり、次第に体にも恐るべき変化が現れはじめる。
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マーベルのまた新たなヒーローモノである。と言っても、既に『スパイダーマン3』でスーパーマンの敵として登場した相手であり、それが今度は立場が代わり主人公として登場するもの。まぁ次から次へという気がしないでもないが、面白ければいいのかもしれない。

マレーシアのとある場所で宇宙探査機が墜落する。この探査機は、ライフ財団の所有であり、その目的は、いずれ環境破壊で滅びる地球に代わる居住可能な惑星を探すためのもの。実はこの探査船は奇妙なサンプルを採取。しかし、移送の途中で墜落してしまったものである。そのサンプルとは謎の地球外生命体。墜落した探査機から逃げ出したこの地球外生命体は人の身体に次々と乗り移ると、いずこかへと向かう・・・

一方、サンフランシスコに住むジャーナリストのエディ・ブロックは正義感溢れるが、しばしその思いが強すぎて暴走することがある。今回も弁護士である恋人アンのパソコンを盗み見て、「ライフ財団が人体実験で死者を出している」という情報を知り、ライフ財団のCEOドレイクを直撃取材し、情報を突きつける。この取材によりドレイクの怒りを買ったエディは、会社もクビになってしまう。さらにこの騒動に巻き込まれ同じく会社をクビになった恋人アンからは別れを告げられてしまう。

しかし、情報は真実であり、ライフ財団では秘密裏に回収した三体の地球外生命体 “シンビオート”の生態を知るため、ホームレスを連れ去ってはシンビオートと融合させるという人体実験を繰り返している。この非人道的な人体実験に疑問を持ったライフ財団の科学者ドーラはドレイクに隠れてエディにこの情報を流す。ドーラに手を貸すべく研究所に忍び込んだエディだが、そこで囚われていた知り合いのホームレスを助け出そうとした時、シンビオートの一体に寄生されてしまう。

多くの場合、このシンビオートに寄生された人間は死んでしまうのだが、エディの身体はなぜかマッチし、人間の能力をはるかに超えた力を発揮する。肉体がなければ活動できないシンビオートは、エディと一体になって活動するヴェノムとなる。一方、マレーシアから寄生を繰り返しやってきたシンビオートのボス、ライオットはドレイクに寄生。このライオットは財団所有の宇宙船で仲間たちを地球に呼び寄せようと企む。ヴェノムは、ライオットとは仲間ではあるが、これと対峙することになる。

こうしてストーリーは進んでいくが、このシンビオートは人間を食べてしまう。なんとも不気味な風体に、人間を食べるという点でとてもスーパーヒーローとは言い難い。スパイダーマンと敵対するのも無理はない。まぁ、言ってみればダークヒーローと言えるのだろう。生きていくためには人間を食わないといけない。それも脳みそが好みらしい。吸血鬼でも『トワイライト』シリーズの「ベジタリアン(人間の血を吸わない)」がいるくらいだから、人間を食べなくてもいいシンビオートになるのかと思いきや、そうではない。当面は、強盗の頭を食ったりして過ごすのかもしれないが、どう進んでいくのかは見ものである。

今後、スパイダーマンと対峙していくのか、それとも一緒にアベンジャーズ入りしていくのか。シリーズとして続いていくようであるし、楽しみにしてみたいと思う一作である・・・



評価:★★★☆☆







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2019年12月28日

【X―MEN:ダーク・フェニックス】My Cinema File 2048

X―MEN:ダーク・フェニックス.jpg

原題: Dark Phoenix
2019年 アメリカ
監督: サイモン・キンバーグ
出演: 
ソフィー・ターナー:ダーク・フェニックス/ジーン・グレイ
ジェームズ・マカボイ:プロフェッサーX/チャールズ・エグゼビア
マイケル・ファスベンダー:マグニートー/エリック・レーンシャー
ジェニファー・ローレンス:ミスティーク/レイブン
ニコラス・ホルト:ビースト/ハンク・マッコイ
タイ・シェリダン:サイクロップス/スコット・サマーズ
アレクサンドラ・シップ:ストーム/オロロ・モンロー
エバン・ピーターズ:クイックシルバー/ピーター・マキシモフ

<映画.com>
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マーベルコミック原作の大ヒット作『X-MEN』シリーズの7作目で、原作コミックでも重要な作品として名高い「ダーク・フェニックス サーガ」を映画化。X-MENのリーダーであるプロフェッサーXの右腕として、メンバーからの信頼も厚い優等生のジーン・グレイだったが、ある宇宙ミッションでの事故をきっかけに、抑え込まれていたもうひとつの人格「ダーク・フェニックス」が解放されてしまう。ジーン自身にも制御不能なダーク・フェニックスは暴走をはじめ、地上の生命体が全滅しかねない、かつてない危機が訪れる。大ヒットテレビシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」で注目され、前作『X-MEN:アポカリプス』でジーン役に抜てきされたソフィー・ターナーが、今作でも再び同役を演じる。そのほか、プロフェッサーX役のジェームズ・マカボイ、マグニートー役のマイケル・ファスベンダー、ミスティーク役のジェニファー・ローレンスら、おなじみの豪華キャストが出演。これまでの『X-MEN』シリーズや『デッドプール』『LOGAN ローガン』などで製作や脚本を務めてきたサイモン・キンバーグがメガホンをとり、長編映画監督デビューを果たした。
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『X-MEN』3部作のあと、『X-MEN:ファースト・ジエネレーション』から前日譚という形で始まったシリーズの4作目、通算で7作目の作品。『スター・ウォーズ』シリーズのようであるが、なんだか前日譚の方が重みを増してきている感じである。

本作品の主人公は、ジーン・グレイ。物語はそのジーン・グレイが子供の頃、両親と車に乗っているところから始まる。事はラジオのチャンネル争いという些細なところから始まる。後部座席に乗っているジーンは、自分のパワーを使ってラジオのチャンネルを変えてしまう。それを元に戻す母親。挙句にジーンが大声で叫ぶと、驚いた母親がハンドル操作を誤り、事故を起こしてしまう。これにより両親は帰らぬ人となるが、ジーンは無傷で生き残る。

病院に運びこまれたジーンの元にやってきたのは若き日のチャールズ・エグゼビア。ジーンに面会すると、彼女が特別なパワーを持っていることを伝える。チャールズは孤児となったジーンを自分の特別学校へと連れて行き、同じように特別なパワーを持った他の子供達と一緒に学ばせながら育てるのである。そして月日は流れ、NASAのスペースシャトルでトラブルが発生する。大統領から直々に助けを求められたチャールズは、ジーンを含めたX-MENにスペースシャトル救出へ向かわせる。困難を極めた救出ミッションであり、シャトルに残された乗組員を助け出そうとしたジーンはそのまま太陽フレアーによる大量の放射線を浴びてしまう。

同じ頃、ある夕食パーティーに姿を表した異星人の一行は、パーティーに参加していた人間を殺し、その姿に変身する。その異星人たちはシャトル事故の原因となった太陽フレアーを追ってきたものであり、ある狙いをもって放射線を浴びたジーンを探しているのだった。そのジーンは、パワーレベルが測りきれないくらい強力になり、自分でもコントロール出来なくなってくる。やがて幼い頃、交通事故で死んだはずの父親が生きていることに気付いてしまう。

最初の『X-MEN』三部作では、強力なパワーを持っていてサイクロップスと付き合いながらもウルヴァリンの心を惑わす存在として登場していたジーン・グレイだが、そのパワーの源泉がこの物語で描かれる。幼い頃、そのパワーが原因で両親を失い(実は父親は生きていた)、少なからず心に傷を負って生きている。チャールズもまたその指導において若さを露呈する。

シリーズを通して敵対したり手を携えたりするチャールズとエリック(マグニートー)は、本作では謎の異星人を敵に回し、互いに協力することになる。しかし、パワーを暴走させたジーンはなんとレイブンを殺してしまう。しかし、ちょっと待てよと混乱する。レイブン(ミスティーク)は、『X-MEN』三部作にしっかりと出ていたはず。前日譚であるこのシリーズで死んでしまうのはちょっとおかしい。さらにジーン自身も消えてしまう。

 ミュータント軍が連帯して異星人と対峙する本シリーズ。ミュータントがその持てる力をフルに発揮して活躍する内容は見応え十分。内容的にはまったく問題ないのであるが、『X-MEN』三部作とはどうつながっていくのだろうかが気になるところ。でもこの前日譚シリーズはまだ続くようだし、期待して待ちたいと思う一作である・・・


評価:★★★☆☆










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