2017年08月17日

ロスト・エリア −真実と幻の出逢う森−

ロスト・エリア −真実と幻の出逢う森−.jpg

原題: The Driftless Area
2015年 アメリカ
監督: ザカリー・スルーザー
出演: 
アントン・イェルチン:ピエール
ズーイー・デシャネル:ステラ
ジョン・ホークス:シェーン
アリア・ショウカット:キャリー
フランク・ランジェラ:ティム
キアラン・ハインズ:ネッド
オーブリー・プラザ:ジーン

<映画.com>
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「スター・トレック」シリーズのアントン・イェルチンと「(500)日のサマー」のズーイー・デシャネルが共演したクライムドラマ。両親を亡くした青年ピエールは、ミュージシャンになる夢をあきらめて故郷に戻り、バーテンダーとして働きはじめる。ある日、森を散歩中に誤って古井戸に転落してしまったピエールはそのまま一晩を過ごし、翌日偶然通りかかった女性ステラに助けられる。ミステリアスなステラと恋に落ちるピエールだったが、やがて麻薬組織が絡む事件に巻き込まれていく。共演に「セッションズ」のジョン・ホークス、「ライフ・アフター・ベス」のオーブリー・プラザ。
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主人公は、音楽家を目指し大学に通っていたものの相次いで両親がこの世を去って24歳で無一文になったピエール。今は故郷の田舎町に戻ってバーテンダーをして生計を立てている。そのピエールの元を時折訪ねてくるのは、幼馴染のキャリー。ある日野原を一人で散歩していたピエールは、誤って古井戸に落ちてしまう。這い上がれずに一夜を過ごした後、どこからともなく現れたステラに助けられる。

そのステラは、知人から頼まれて留守番をしていた家が放火され、さ迷い出たところを老人ティムに助けられ、ティムの亡き叔母の家に住まわせてもらっている。ステラに助けられたピエールは、以後ステラを訪ねていくようになる。まぁ、その気持ちはわからなくもない。そして、ピエールに想いを寄せていると思われるキャリーとの関係が気になってくる。

ある日、ピエールは車が故障し道端でヒッチハイクをする。そこに通りかかったのは、シェーン。ピエールを乗せると20ドルを要求し、何と途中で降りろと迫る。さらにピエールが抱えていたバラの鉢植えまで奪うと、ピエールを置いて走り去ろうとする。ピエールは持っていた石を腹立ちまぎれに投げると、なんとそれがシェーン後頭部に命中し、昏倒したシェーンはトラックごと道端に落ちる。驚いたピエールだが、バラの鉢植えと石とを取り返し、トラックの鍵を抜いて投げ捨てる。さらに目についたバッグを開けるとそこにあったのは大量の札束。ピエールはバッグを手にし、その場を離れる。

実はシェーンは、レンタカー店を経営するネッドの指示でステラのいた家を放火した犯人で、 さらに金をため込んでいるという男の店を襲って金を奪う指示も受ける。ピエールに奪われた金はまさにそうして奪った金であり、意識を取り戻したシェーンは、なんと通りがかりに心配して声をかけてきた親切な女性の車を奪うという極悪人。当然、ピエールを探し出して金を奪い返そうと画策する・・・

こんなストーリーが淡々と続いていく。それにしてもわからないのは、ステラの正体。本人は、ピエールに自分の正体を明かすのだが、それは実に驚くべき内容。驚くといっても、それはその正体そのものに対してというよりも、「それならそうともっとそれらしくしないのか」という創り手に対する杜撰さに対して、である。同じような「実は私は・・・」という正体明かしは、『シックス・センス』があったが、『シックス・センス』の見事さからすると、この映画はいかがなものかという気しかしない。

結局、何が言いたかったのかよくわからないまま映画は終わる。いろいろ観ていればこういう映画もあるだろうと思う。この映画を観ようと思ったのは、予告が面白そうだったったからに他ならないが、予告がうまく創られていたということが言えるだろう。それ以外は、残念ながらもう一つと言える映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2017年08月15日

カイト/KITE

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原題: Kite
2014年 アメリカ
監督: ラルフ・ジマン
出演: 
インディア・アイズリー:サワ
サミュエル・L・ジャクソン:カール・アカイ
カラン・マッコーリフ:オブリ
カール・ボークス:ソーンヒル
テレンス・ブリジット:スタギー
デオン・ロッツプ:リンズルー
ライオネル・ニュートン:オーティス・ブリードラブ

<映画.com>
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1998年にアダルトアニメとして発表され、海外でもカルト的人気を誇る梅津泰臣監督のエロティックバイオレンスアクション「A KITE」を、サミュエル・L・ジャクソンらの出演で実写映画化。少女たちが売買されるモラルの崩壊した近未来を舞台に、両親を殺され、暗殺者として育った少女サワの戦いや葛藤を描く。少女たちが人身売買組織に性の奴隷として売り買いされる近未来。幼い頃に組織によって両親を殺されたサワは、父の相棒だった刑事アカイに暗殺者として育てられる。組織への復讐のため、娼婦になりすまして男たちを暗殺していくサワは、精神のバランスを保つ薬「アンプ」の副作用で記憶が薄れていくなか、組織のボスに接近していくが、やがて残酷な真実が明らかになる。サワ役は名女優オリビア・ハッセーの娘インディア・アイズリー。「セルラー」「スネーク・フライト」などで知られるデビッド・R・エリスの監督で撮影に入ったが、エリス監督がその途中で死去。ミュージックビデオなどを手がけてきたラルフ・ジマンがメガホンを引き継いだ。
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経済が崩壊し、無法地帯と化した近未来。そこでは少女が「商品」として売買され、そのため各グループは少女の拉致を繰り返している。そんな中、1人の男が赤い髪の女を連れてエレベーターに乗り込む。住人と思しき老婆がエレベーターに乗り合わせ、男に対する蔑視を向ける。忌々し気に老婆を足蹴にする男。そんな男の一瞬のスキを突き、赤髪の女は男を蹴倒すと、銃を抜き男の頭を撃ち抜く。数秒後、男の頭部は破裂し、脳が飛び散る・・・

なかなかいい掴みの映画である。少女が見事な腕前でアクションをこなすというのは、『ニキータ』以降確立されたジャンルだと思うが、この映画でも主人公は少女サワ。不思議な名前だと思っていたら、どうやらオリジナルは日本のアニメだという。それもアダルトアニメだというが、アダルトアニメには接触する機会もなく、当然まったく知らない。よくそんなところまでリサーチしているものだと感心してしまう。

エレベーターの中で頭を吹き飛ばされて死んだ男について、警察は捜査にくる。担当するのは刑事のカール。目撃者の証言から犯人は少女であることされるが、カールはそれを否定して現場を去る。そして、そのまま何とカールはサワを訪ねて行く。そこでカールはかつてサワの父親の相棒であり、父を殺したエミールに復讐しようとしているという事情がわかってくる。サワはアンプというクスリをやっているが、それは一方でサワの記憶を奪うものでもある。

次にサワは、娼婦に変装しエミールの元に乗り込む。うまく紛れ込んだサワは、エミールの父親をベッドへ誘い、油断したところでのどを掻き切る。そこを脱出したサワは、道中、自分のことを呼ぶ青年オブリに声をかけられる。オブリはサワの知り合いだと言うが、アンプの効果で記憶が曖昧になっているサワは思い出せない。それどころか、目の前で殺された両親の顔すら忘れかけている。オブリはそんなサワにアンプを止めろと忠告する・・・

こうしてサワの復讐劇が進んでいく。陰でそれをサポートする刑事カールを演じるのは、あらゆる作品に出演している感があるサミュエル・L・ジャクソン。味方なのにどこか裏がありそうな癖のある刑事は実にピッタリである。少女アクションモノと言っても、その格闘アクションは、それほどの切れ味ではない。切れ味的には『ハンナ』の方がはるかに上だろうと思う。ただし、世紀末的な雰囲気の中で危うげなアクションは、独特の味わいがある。

結局のところ、物語を支えているのは世界観かもしれない。荒廃したとはいえ、『マッドマックス2』の世界よりはまだまし。混沌の中にも一応警察秩序はある。そんな中で、一人の少女がクスリで記憶を失いつつも復讐に燃えて行動する。ラストに至る展開は何となく予想できたが、ストーリーの面白さもあってまずまずである。

残念なのは、もともとアダルトアニメという部分を封印し、無難に実写化したところだろうか。この手のものであるなら、原作に忠実にやってもらっても良かったと思う。密かに、それを期待したい一作である・・・


評価:★★☆☆☆




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2017年08月14日

【あと1センチの恋】

あと1センチの恋.jpg

原題: Love, Rosie
2014年 イギリス・ドイツ
監督: クリスチャン・ディッター
出演: 
リリー・コリンズ:ロージー
サム・クラフリン:アレックス
ジェイミー・ウィンストン:ルビー
クリスチャン・クック:グレッグ
タムシン・エガートン:サリー
スキ・ウォーターハウス:ベサニー

<シネマトゥデイ>
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『P.S.アイラヴユー』の原作者としても知られるセシリア・アハーンの「愛は虹の向こうに」を基に、友達以上恋人未満の男女の擦れ違いを描くラブストーリー。6歳のころから全てを共有してきた男女が思いを伝えられず、それぞれの人生を歩むことになりながらも、思いも寄らぬ運命へと導かれていくプロセスを映す。主演は、『白雪姫と鏡の女王』などのリリー・コリンズと『スノーホワイト』などのサム・クラフリン。運命のいたずらに翻弄され、12年間も擦れ違い続けた二人のもどかしく切ない関係に胸が詰まる。
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ロージーとアレックスは、6歳からの幼なじみ。ずっと一緒に過ごしてきたため、高校生となってもその関係は「友達以上恋人未満」とも言うべき関係。互いに触れてはならない部分を避けるかのように過ごしているが、年頃になりアレックスに気がある女の子も出てくる。その一人ベサニーに興味を持つアレックス。ロージーは心にもなく、「誘え」と言ってしまう。そしてその通りにしたアレックスはベサニーと付き合うようになる。

ロージーもアレックスも密かに相手を想っているが、こうなると自分からは言い出せない。ロージーはグレッグに誘われ、そのまま付き合い初体験を迎える。2人は、共にイギリスの田舎町を離れ、アメリカのボストンにある大学へ一緒に進学しようと語り合う。しかし、何とロージーは妊娠が発覚してしまう。一度は生まれた子供を里子に出し、ボストンへ行こうと計画するロージーだが、いざ生まれた子を抱くと手放せなくなる。こうしてロージーは地元に残り、アレックスとは別々の道を歩むことになる。

以来、アレックスはボストンで着々と夢へと進み、ロージーは生まれた娘の子育てで忙しい日々を過ごす。互いに寄せる想いは封印したまま。以後2人のすれ違いは続いていく。ロージーがフリーの時はアレックスに恋人がいて、アレックスが破局した時にはロージーはグレッグとよりを戻していて、まさに思いはすれどもすれ違い。そんなドラマがつついていく。

そう言えば、アン・ハサウェイの『ワン・デイ23年のラブストーリー』も互いに思いながら結ばれない2人を描いていたが、この手の話はたくさんあるのかもしれない。かく言う自分も、これほどドラマチックではないが、苦い「すれ違い」を経験しているので、よけいこの2人に共感してしまう。人生にはどうしようもない事ってあるのである。

幼馴染であるがゆえに、あまりにも近すぎて今さら恋愛感情を告白できないというのもよく理解できる。そういう意味では、共感しやすいストーリーである。主演のリリー・コリンズも愛らしくて、男としては尚更共感度大である。『白雪姫と鏡の女王』ではそれほど気付かなかったが、かなりかわいい女優さんである。

『ワン・デイ23年のラブストーリー』もこの映画も、個人的には似たような経験をしているということもあってかなり心に響くものがあった。観終わって溜息が出たのは言うまでもない。そんな自分のほろ苦い思い出を刺激してくれた映画である・・・


評価:★★☆☆☆




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2017年08月13日

【ジョン・ウィック】

ジョン・ウィック.jpg

原題: John Wick
2014年 アメリカ
監督: チャド・スタエルスキ
出演: 
キアヌ・リーブス:ジョン・ウィック
ミカエル・ニクビスト:ヴィゴ・タラソフ
アルフィー・アレン:ヨセフ・タラソフ
ウィレム・デフォー:マーカス
ディーン・ウィンタース:アヴィ
エイドリアン・パリッキ:ミス・パーキンス
オメル・バルネア:グレゴリー
トビー・レナード・ムーア:ヴィクター
ダニエル・バーンハード:キリル
ジョン・レグイザモ:オーレリオ

<シネマトゥデイ>
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『マトリックス』シリーズなどのキアヌ・リーヴスがすご腕の元ヒットマンを演じたアクション。ロシアン・マフィアに平穏な日々を壊された元暗殺者が、壮絶な復讐に乗り出していく。メガホンを取るのは、『マトリックス』シリーズなどのスタントを務めてきたチャド・スタエルスキ。『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』などのウィレム・デフォー、『ヘラクレス』などのイアン・マクシェーンら、実力派が共演する。全編を貫くダークでスタイリッシュなビジュアルに加え、カンフーと銃撃戦を融合させた迫力のアクションも必見。
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冒頭、最愛の妻の葬儀に参列する一人の男ジョン・ウィック。葬儀の後、亡き妻から贈り物として子犬が届く。趣味の自動車はほどほどにしてというメッセージとともに。ある日、ジョンは、愛車ムスタングでガソリンスタンドに寄る。そこで出会ったのはロシア系のチンピラ。1人がジョンのムスタングを売れと言うが、ジョンは軽くいなす。ところがその夜、子犬の鳴き声で目を覚ましたジョンは、何者かに襲われる。そしてムスタングを奪われ、挙句妻の形見の子犬も殺されてしまう・・・

車を奪ったのは、ロシアン・マフィアのボス、ヴィゴ・タラソフの息子・ヨセフ。ヨセフは配下の自動車工場にムスタングを持ち込むが、工場のオーナーはそれが誰の車か一目で見分けると、ボスの息子にもかかわらずヨセフを殴る。そしてそれを咎めてきたヴィゴに、オーナーはジョンのことを告げる。それを聞いたヴィゴは、息子を殴る。そして慌ててジョンに連絡して和解の道を探るも、ジョンは受け付けない。やむなく、ヴィゴは部下をジョンの家へと向かわせる・・・

ここに至り、ヴィゴがジョンの正体を息子に語って聞かせる。かつては組織に属する凄腕の殺し屋で、妻と出会い足を洗ったと。そしてその時条件として出された不可能に近い殺しをやり遂げたと。そして家に押し入ったヴィゴの部下たちは次々にジョンに射殺されていく。このアクションがまたすごい。ガンファイトと格闘技をミックスしたもので、いままでに見たことがない。あっという間に、全滅させ、「クリーニング」を呼ぶ。

ヴィゴは、懸賞金200万ドルでジョンの暗殺を殺し屋達に公示する。その中にはジョンの親友でもあるマーカスもいる。ジョンは、殺し屋御用達の「コンチネンタル・ホテル」に宿を取る。ここでの殺しはご法度というルールがある。顔なじみのジョンは、ホテルのオーナーからヨセフの居場所を聞き出すと、彼のいるナイトクラブに単身乗り込んでいく。顔なじみでジョンの腕前を知るクラブの護衛の1人は、ジョンに立ち去るように言われ、感謝して去っていく。なかなかいい雰囲気のアクションドラマである。

こうしてジョンと今や組織を挙げてこれに立ち向かうヴィゴとの対決が全編にわたって展開される。ジョンと旧知の女暗殺者ミズ・パーキンズすら敵に回る。ホテルの掟を破ってでも殺せば賞金は倍額と言われての行動。これはすんでのところでマーカスの狙撃によって救われ、逆にパーキンズを捕らえる。彼女からヴィゴの隠し資産の場所を聞き出したジョンは、そこを襲撃し、財産に火をかけて灰にする。今や壮絶な死闘になり、ストーリーから目が離せなくなる。

随所に光る格闘ガンファイト。これはなかなかクールである。キアヌ・リーヴスも『スピード』などでアクションを見せてくれていたが、これはまた一味も二味も違う。早くも続編が発表されているが、シリーズ化されるなら必見だろう。まったくの無敵というわけではなく、何度も殺されそうなピンチがあって、その都度マーカスに救われたりする。そんな危うさも魅力だろうか。

新しいヒーローの誕生にワクワクしつつ、シリーズ化に心が躍る思いがする。続編も実に楽しみな映画である・・・


評価:★★★☆☆





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2017年08月12日

アナーキー

アナーキー.jpg

原題: Cymbeline
2014年 アメリカ
監督: マイケル・アルメレイダ
出演: 
イーサン・ホーク:ヤーキモー
エド・ハリス:シンベリン
ミラ・ジョボビッチ:クイーン
ジョン・レグイザモ:ピザーニオ
ペン・バッジリー:ポステュマス
ダコタ・ジョンソン:イノジェン
アントン・イェルチン:クロートン

<シネマトゥデイ>
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『ハムレット』のマイケル・アルメレイダ監督とイーサン・ホークが再び手を組み、前作同様シェイクスピア劇を映画化したクライムアクション。舞台を現代のアメリカの寂れた町に移し、過酷な宿命に振り回される恋人たちの姿を描く。『めぐりあう時間たち』などのエド・ハリスが麻薬王を演じ、その後妻を『バイオハザード』シリーズなどのミラ・ジョヴォヴィッチが好演。真実の愛が試される、偽りに満ちた世界に引き込まれる。
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物語は、バイクギャング軍団の麻薬王シンベリンとその後妻のクイーン、シンベリンの娘イノジェンとその幼なじであり夫のポステュマス、クイーンの息子クロートンという一族を中心に展開される。クイーンは、夫のシンベリンを操り、警察への賄賂を中止するように働きかける。これは警察に喧嘩を売る行為。一方、息子のクロートンとイノジェンを結婚させようと暗躍している。

そんな継母の動きにも、イノジェンの夫に対する愛は揺るぎがない。しかし、ポステュマスは娘の夫としては気に入らないシンベリンによって追い出されてしまう。そんな中、ポステュマスの前にヤーキモーという男が現れ、イノジェンの愛を試すべくある賭けをふっかける。イノージェンの愛が本物か確かどうか、ヤーキモーがイノジェンを誘惑するというものである。

自信満々のポステュマスはこれを受けるが、ヤーキモーは巧みにイノジェンに近づくと、ベッドを共にしたという証拠を捏造し、賭けに勝つ。ポステュマスは賭けに負けたことよりも、イノジェンの裏切りを許せない。挙句に部下にイノジェンを殺すようにと指示してしまう。そうしたドラマが続く背景で、ギャングと警察との抗争は激化していく・・・

何となく既視感があり、それでいて違和感があるストーリー展開だと感じていたが、何とこれはシェイクスピア劇の現代版リメイクなのだという。「愛する妻の愛を信じた賭け」など、言われてみればシェイクスピアっぽいと思う。それに夫の服を着て殺されたクロートンを夫が死んだと信じたり、逆に愛する妻を殺させてしまったと夫が悔んだり、「死んだと思ったら生きていました」という展開もシェイクスピア的である。

警察は、犯罪組織に堂々と賄賂を要求し、犯罪組織はこれを断ると正面から警察組織に戦いを挑む。考えてみればものすごい展開である。シェイクスピアっぽいゴテゴテとした人間ドラマがこってりと展開されていく。そして最後はすべてを裏で牛耳っていた悪女が死んで大円団。振り返ってみれば、やっぱり違和感は拭いきれない。

それでも最後まで見飽きないのは、出演陣の豪華さだろう。イーサン・ホーク、エド・ハリス、ミラ・ジョヴォヴィッチ、この大物に加え、『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』のダコタ・ジョンソンも出演していて、これだけでも観る価値は十分にあるというもの。多少の違和感が何だという感じである。

原題はシェイクスピア劇そのままの「シンベリン」。邦題は、現代から見ると無秩序そのもののドラマの世界のイメージを表したものなのかもしれない。現代からすると違和感が感じられるが、観ていてそれなりに楽しめる。新しい瓶に入れた古い葡萄酒の感じがする映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2017年08月11日

クラウン

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原題: Clown
2014年 アメリカ
監督: ジョン・ワッツ
出演: 
アンディ・パワーズ:ケント
ローラ・アレン:メグ
ピーター・ストーメア:カールソン
エリザベス・ウィットメア
イーライ・ロス

<シネマトゥデイ>
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『ホステル』シリーズなどで知られるイーライ・ロスが製作を手掛け、呪われたピエロの衣装を着たことから子食いの怪物へと変貌していく男の運命を描くホラー。2010年、無名のフィルムメーカーがジョークで作った偽ホラー映画の予告編クレジットにロスの名前を勝手に入れてYouTubeに投稿したところ、すぐにロス本人から企画を持ち掛けられ、まさかの映画化が実現した。出演はテレビドラマ「TAKEN テイクン」などのアンディ・パワーズ、『キック・オーバー』などのピーター・ストーメアらが出演。
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何となく予告が面白そうで観てみようと思った映画であるが、それもそのはず、この映画はもともとフェイクで創った予告が基になって映画化されたのだという。そんな経緯だが、中身は意外に怖がらせてくれた映画である。

主人公のケントは不動産の販売をしている。息子の誕生日のお祝いに手配していたピエロが来られなくなったと聞いた時、たまたま管理していた古い家でピエロの衣装を見つける。そしてそれを着て息子の誕生日パーティに駆け付ける。子供たちは大喜びでパーティは終わるが、ケントが衣装を脱ごうとしたところ、かつらは頭に張り付き、鼻も取れなくなり、何と衣装すら脱げなくなる。

無理に剥がした鼻のあとは皮膚を傷めてしまい、異常を感じたケントは屋敷の持ち主を調べる。しかし、屋敷の持ち主は既に亡くなっており、連絡が取れた持ち主の弟は、兄の死を知ると「ピエロの衣装に触ってはいけない」と警告する。だが、既に身につけてしまっているケント。慌てて弟のカールソンを訪ねると、その衣装にまつわる悪魔の伝説を聞かされる。その悪魔は毎月5人の子供を食べていたという・・・

こうしてピエロの衣装が取れなくなってしまったケント。何せピエロの恰好では仕事にも支障がでる。穏やかならぬ話を聞いてしまうが、カールソンは解決策としてケントの首を切り落とそうとする始末。やがて、ケントは体に異変が生じ、悪魔の姿に変化し始め焦り始める。一方、そんな夫の異変に気付いた妻のメグも、その事実を知ることになる。

こうして悪魔の衣装が脱げなくなった主人公。体の変化に伴い、子供を殺して食べるようになる。最初の子供はアクシデントで死なせてしまうが、その「味」に気がつくと次には息子をいじめていた友達を襲う。そしてさらに次の子供を求めていく。なかなか面白いストーリーである。

何気なく着た衣装が脱げなくなるという発想も面白いし、ピエロはもともと道化ではなかったという由来の真偽は定かではないが、子供を食べるがゆえに子供を惹きつける必要がある=道化になるという理屈付けも面白い。そして実はカールソンもかつて衣装を着てしまっていたという過去があり、医師をしていた兄が悪魔と取引し、病院で死を待つ子供5人と引き換えに弟を助けたという事実を知る。

そして4人食い殺した悪魔にあと1人差し出せばケントを返すと言われた妻メグは、パニックになったゲームセンターで1人きりの子供を目で追う・・・自分だったらどうするだろうという、まさに悪魔のささやき・・・そんな心理戦も面白い。最近、ホラーが怖くないと感じていたが、これはほどほどに怖がらせてくれる。手軽に楽しむにはいいかもしれない。

やはり、得体のしれないモノには手を出さないようにしないといけない。子供が見たら素直にそう信じそうな映画である・・・


評価:★★☆☆☆




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2017年08月10日

ゼロの未来

ゼロの未来.jpg

原題: The Zero Theorem
2013年 アメリカ
監督: テリー・ギリアム
出演: 
クリストフ・ワルツ:コーエン・レス
デビッド・シューリス:ジョビー
メラニー・ティエリー:ベインズリー
ルーカス・ヘッジズ:ボブ
マット・デイモン:マネジメント

<シネマトゥデイ>
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『未来世紀ブラジル』などで知られるテリー・ギリアム監督が、コンピューターに支配された世界を舞台に、人間の存在意義と生きる目的を問うSFドラマ。寂れた教会にこもり謎の数式を解こうとする孤独な天才技師の人生が、ある女性との出会いを機に動きだしていくさまを描く。主演は、『イングロリアス・バスターズ』などのオスカー俳優クリストフ・ヴァルツ。共演には『海の上のピアニスト』などのメラニー・ティエリー、『ハリー・ポッター』シリーズなどのデヴィッド・シューリスら実力派がそろう。
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物語の舞台は、近未来。主人公のコーエンは、コンピュータ技師。荒廃した教会に一人で住み、何やら作業をしながら人生の意味を教えてくれる電話が鳴るのを待っている。そんなコーエンが出勤する。外に出るとケバケバしい色彩が溢れた未来社会。コーエンが歩くのに合わせて壁の広告が移動する。今やスマホの位置情報を元に、広告を表示する技術が語られているが、これが実用化されるとこんな風になるのかもしれないと思わされる1シーン。

職場についてコーエンは、スロットマシンのような機械の前に座り、ペダルを漕いでコントローラーを操作する。何やらゲームなのかと思いきや、これがコンピューター操作でコーエンの仕事である。コーエンは、いつかかってくるかもしれない電話を受けるため、上司のジョビーに在宅勤務の申し入れをするが、マネジメントに相談してみるとはぐらかされる。そしてそんなやり取りから、マネジメントが出席するパーティーに参加する様、ジョビーはコーエンに指示する。

パーティーに連れ出されたコーエンは、明らかにパーティー向きの人間ではなく、まわりに馴染めない。しかし、そんな中で、コーエンは魅力的な女性ベインスリーと出会う。さらに逃げ込んだ部屋で偶然マネジメントと会う。そしてそこでコーエンは、マネジメントから直接「ゼロの定理」を求める仕事を指示される。在宅勤務が認められたことから、コーエンはさっそく仕事に取り掛かる。しかし、この仕事は過去に何人も挑戦しては出来ずに終わっているといういわく付きの仕事であった・・・

どんな映画かと期待していたが、「何やら良くわからない映画」というのが正直な感想。古い教会と次々と登場する変わった登場人物。ケバケバしいだけにしか見えない未来ファッションに包まれた人々。中でもマネジメントとして登場するのは、マット・デイモン。なんでこんな映画に出演しているのか不思議であるが・・・

ピカソの絵を見ても一般の人には落書きにしか見えないが、見る人によってはものすごい芸術作品に見えるもの。この映画もそんな「芸術作品」のような感じがする。素直に観れば面白くないのであるが、何かを感じさせる香りが漂っているのは事実である。マット・デイモンもそんな可能性を見て出演したのかもしれない、などと思ってみる。

しかしながら、ピカソの絵と同様、優れた芸術作品と駄作とは紙一重の世界。この映画も微妙である。何かを感じはするものの、単純に映画としてはそんなに面白くはない。もう一度観たいかと問われれば、答えは“No”である。まぁ、素人鑑賞家としてはそれでいいと思っている。
映画は、わかりやすい方がいいと実感させてくれる映画である・・・


評価:★★☆☆☆




posted by HH at 00:00 | 東京 ☀ | Comment(0) | SF/近未来ドラマ