2025年04月05日

【侍タイムスリッパー】My Cinema File 2990

侍タイムスリッパー.jpg
 
2024年 日本
監督: 安田淳一
出演: 
山口馬木也:高坂新左衛門
冨家ノリマサ:風見恭一郎
沙倉ゆうの:山本優子
峰蘭太郎:殺陣師・関本
庄野ア謙:山形彦九郎
紅萬子:住職の妻・節子
福田善晴:西経寺住職
井上肇:撮影所所長・井上
安藤彰則:斬られ役俳優・安藤
田村ツトム:錦京太郎

<映画.com>
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現代の時代劇撮影所にタイムスリップした幕末の侍が時代劇の斬られ役として奮闘する姿を描いた時代劇コメディ。
幕末の京都。会津藩士の高坂新左衛門は家老から長州藩士を討つよう密命を受けるが、標的の男と刃を交えた瞬間、落雷によって気を失ってしまう。目を覚ますと、そこは現代の時代劇撮影所だった。新左衛門は行く先々で騒動を起こしながら、江戸幕府が140年前に滅んだことを知り、がく然とする。一度は死を覚悟する新左衛門だったが、心優しい人たちに助けられ、生きる気力を取り戻していく。やがて彼は磨き上げた剣の腕だけを頼りに撮影所の門を叩き、斬られ役として生きていくことを決意する。
テレビドラマ「剣客商売」シリーズなど数々の時代劇に出演してきた山口馬木也が主演を務め、冨家ノリマサ、沙倉ゆうのが共演。「ごはん」「拳銃と目玉焼」の安田淳一が監督・脚本を手がけ、自主制作作品でありながら東映京都撮影所の特別協力によって完成させた。
2024年8月17日に池袋シネマ・ロサの一館のみで封切られ(8月30日からは川崎チネチッタでシーンを追加した「デラックス版」が上映スタート)、口コミで話題が広まったことから同年9月13日からはギャガが共同配給につき、新宿ピカデリー、TOHOシネマズ日比谷ほか全国100館以上で順次拡大公開。インディペンデント映画として異例の大ヒットを記録したうえ、第48回日本アカデミー賞では最優秀作品賞を受賞する快挙となった。
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口コミで話題が広まり、インディペンデント映画として異例の大ヒットを記録したうえ、第48回日本アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞したこともあって興味をもっていた作品。『カメラを止めるな!』(My Cinema File 2022)と同じようなパターンかと個人的にも期待していたところもある。

物語のはじまりは幕末の京都。会津藩士・高坂新左衛門は村田左之助とともに長州藩士・山形彦九郎を暗殺すべくこれを待ち受ける。そしてとある寺の門を出てきた山形を待ち伏せし、いざ勝負と対峙する。暗殺と言っても奇襲ではなく、正々堂々とした果たし合いの感がある。しかし、そこでにわかに天候が崩れ、落雷が二人を直撃する。衝撃で気を失った高坂が目覚めると、あたりの様子が一変している。どこかの町の様であるが、行き交う人の様子が異なる。じつはそこは現代の京都にある時代劇撮影所。そして撮影の真っ最中であった。

不良浪人に町娘が絡まれている。助けようとした高坂の前に心配無用之助と名乗る武士があらわれ、町娘を救う。ホッとした高坂だが、なぜかまた同じ状況が繰り返される。今度は助太刀を申し入れたところで、ストップが入る。戸惑う高坂に撮影助監督である山本優子は、撮影グループが違うのではと親切に伝える。戸惑いながらあたりをうろつく高坂は、セットに頭を痛打して気を失う。病院に運ばれた高坂は、成り行きから再び山本の世話になる。戸惑いは消えず、病院を出た高坂は現代の京都の町を歩き回り途方に暮れる。

見た事もない街、見た事もない乗り物。実際、江戸時代の人間が突然現代に現れたら相当戸惑うだろう。そして見かけた展示会のチラシから高坂は自分が140年後の日本にタイムスリップしてしまったことを知る。愕然とした高坂があてどなく街を彷徨い歩くうちに見覚えのある寺の前に辿り着く。そこは高坂が長州藩士・山形彦九郎と対峙したところ。一晩をその門前で過ごした高坂は、親切な住職夫妻に助けられ、しばらく寺に居候することになる。

とりあえず住むところを確保した高坂は少しずつ現代に慣れていく。初めてのテレビに驚くも、放映されていた時代劇を見て高坂は感銘を受ける。そんな中、寺で時代劇の撮影が行われることになるが、斬られ役の出演者が急病になり、高坂に声がかかる。なにせ「本物の」髷を結っており、立ち居振る舞いも本物の武士である。無事、演技も済ませて斬られ役を体験した高坂は、それこそ現代で自分ができる唯一の仕事だと気づき、殺陣のプロ集団「剣心会」への入門を決意する。

撮影助監督の優子の紹介もあり、剣心会代表・関本の了解を得て入門が認められた高坂は、斬られ役として新生活をスタートさせる。元は本物の武士であり、しかも真剣な姿勢と本物の風格で、高坂は次第に仕事の幅を広げていく。そしてそれが実を成し、スター俳優・風見恭一郎が主演する新作映画『最後の武士』の制作が発表された際、高坂は風見本人から指名を受け、準主役という大役に抜擢される。斬られ役の高坂にとっては青天の霹靂のような話。高坂は辞退を申し出るが、風見は高坂に衝撃の事実を打ち明ける・・・

侍が現代にタイムスリップするという物語。突然見も知らぬ世界に置かれて戸惑う主人公が、次第に現代社会に馴染んでいく。テレビを見て驚き、ドラマのストーリーに感激して涙を流す。自分もいつの間にか140年も未来に吹っ飛んだら、と想像してしまう。ドラマでは描かれていないが、主人公の高坂にも家族がいたのだろうが、その家族は、と想像は限りない。幕末に会津藩が味わった悲劇を知ってショックを受ける高坂。そしてどこへ行くかと思われたストーリーは意外な展開を見せていく。

ラストは未来に飛ばされた高坂の自分の時代への思いが蘇る。手に汗握る真剣勝負。この映画がなぜ口コミで広まったのかよくわかる。ラストシーンはその後を楽しく想像させてくれる。こういう映画が自主製作で創られたというところに、日本映画も捨てたものではないと思わされる。製作者たちの熱い思いが、主人公の姿に表れているように思う。こういう映画がこれからも創られる事を願わずにはいられない一作である・・・


評価:★★★☆☆










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2025年04月04日

【ブラックライト】My Cinema File 2989

ブラックライト.jpg

原題: Blacklight
2022年 オーストラリア
監督: マーク・ウィリアムズ
出演: 
リーアム・ニーソン:トラビス・ブロック
エイダン・クイン:ガブリエル・ロビンソン
テイラー・ジョン・スミス:ダスティ・クレン
エミー・レイバー=ランプマン:ミラ
クレア・ヴァン・ダー・ブーム:アマンダ・ブロック

<シネマトゥデイ>
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『マークスマン』などのリーアム・ニーソン主演のクライムアクション。身の危険が迫ったFBIの潜入捜査官を救出する任務を命じられた男が、国家を揺るがす極秘計画をめぐってFBIと戦う。監督は『ファイナル・プラン』でもリーアムと組んだ、マーク・ウィリアムズ。ドラマシリーズ「エレメンタリー」などのエイダン・クイン、ドラマシリーズ「アンブレラ・アカデミー」などのエミー・レイヴァー=ランプマンのほか、テイラー・ジョン・スミスらが出演する。
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主人公のトラヴィス・ブロックは、通称「フィクサー」と呼ばれるFBIの潜入捜査官に危機が迫った際、救出するという“影の任務”を担っている。その日も村人に包囲されて助けを求めてきた潜入捜査官を救いに向かう。殺気だった村人たちを抑えるのはたった2人の保安官のみ。たくみに村人たちの目をそらし、そのすきに捜査官を救い出して脱出する。冒頭はだいたい顔見世的な活躍を紹介するものであるが、いまやアクションスターと言っても過言ではないリーアム・ニーソンゆえに期待感が漂う。

一方、ホワイトハウス前で大勢の大衆を集めて演説するのは新人議員ソフィア・フロレス。真の革命を起こそうとの演説に大衆は大歓声で応える。帰宅したソフィア議員は車を降りるが、直後、背後から来た車にはねられる。運転手と共謀した明らかなひき逃げ事故であり、背後に陰謀の影が漂う。早々に単なる事故として扱われた事に疑問を呈し、事故に関する記事を書いたのはワシントンニュースサイクル(NC)の記者ミラ・ジョーンズ。裏に何かがあるのではと嗅ぎつけるが、上司は慎重派でありミラには自制を促す。

ある日トラヴィスは、新たな指令を受けFBIの潜入捜査官ダスティ・クレインを救出する。と言っても救出先は留置場。精神的に不安定になっていた事もあり、トラヴィスは警官から職務質問を受けた際、逃げようとして4人の警官相手に乱闘して捕まったのである。逮捕記録も抹消するように指示してダスティを連れ出す。ところがトラヴィスは途中で孫娘のナタリーを迎えに行く約束をしていたことを思い出す。長年、仕事優先で家庭を顧みなかった結果、家庭崩壊したトラヴィスは、今は孫との関係構築を目指しており、今回は家庭を優先する。

トラヴィスはダスティを手錠で車の中に拘束し、孫娘のナタリーが通う学校へ。しかし、迎えに行くのが遅れたため教師がナタリーの母である娘のアマンダに電話してしまい、アマンダが来るまでナタリーと待つことになる。その間、ダスティもおとなしく待っているわけもなく、下校途中の男の子のバッジを借りて手錠を外し逃げ出してしまう。気が付いたトラヴィスが慌てて追いかけるが、ダスティはゴミ収集車を盗んで逃走する。街中での派手なカーチェイス。結局、トラヴィスはダスティに逃げられてしまう。

ダスティはワシントンNCのミラに接触しようとするが、トラヴィスが追いついてきたため、話すこともできず再び逃走する。ダスティを取り逃してしまったトラヴィスは、 FBI長官ガブリエル・ロビンソンに叱責される。ロビンソンはトラヴィスとはベトナム戦争での戦友である。それに対し、トラヴィスは引退を申し出る。いつどこに派遣されるか分からない仕事であり、そろそろ家族優先の生活を送りたいとトラヴィスは思う。それに対し、ロビンソンはダスティを連れ戻せたらもっと孫と一緒に入れるようにしてやると答える。

物語は、新人議員を暗殺し、何かを握っているらしいダスティの様子から背後に何らかの陰謀が動く中、ダスティを追うトラヴィスを縦糸とし、長年の仕事優先の生活から引退して家族と過ごしたいと願うトラヴィスの物語を横糸として進む。過度に身辺を点検し、夜中に起きて家の戸締りを確認したり、娘の友達の親の素性を調べたりという「職業病」のトラヴィスをアマンダは心配する。そこに絡んでくる記者のミラ。陰謀の背後には巨悪が潜んでいる。それはにわかには信じ難い事。

今やすっかりアクションスターとなっているリーアム・ニーソンであるが、年齢のせいもあるのか(ドラマの設定でもベトナム戦争従軍経験者である)アクションは控え目。それでも「現役」のFBI捜査官と対等に渡り合うのは、長年培った経験のなせる技。タイトルの『ブラックライト』であるが、目に見えない蛍光塗料に反応して可視化するもの。表には表れない陰謀に光を当てるという暗示なのだろうか、なかなか味のあるタイトルである。

巨悪を向こうに回し、敢然と立ち向かうトラヴィス。老兵は死なず。ミラと協力し、迫りくる暗殺者と対峙する。主演はリーアム・ニーソンであり、「観て外れはない俳優」である通りこの映画も物語の世界を堪能できる。『96時間』(My Cinema File 719)では17歳の娘を助けるために奮闘したリーアム・ニーソンも早や孫娘と遊ぶようになった。時代の変化を感じさせてくれる一作である・・・


評価:★★☆☆☆








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2025年04月01日

2025年1-3月ベスト3

桜の風景が心を和ませる4月である。毎年の事ながら、毎朝少し遠回りして近所の桜を愛でながら通勤している。桜が咲き誇るこのわずかの期間、1日1日の大事さを実感させられるのもこの時期ならではである。

さて、そんな桜の季節に1月からの3か月間を振り返ってみた。この間、観た作品は41本。昨年の同時期の45本に比べると4本少ない。ドラマも随分観ているからその影響もあるが、映画もしっかり観たいところである。

その中からベスト3を選んでみた。

第1位:『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』(My Cinema File 2954)

ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ.jpg

タイトルだけで選んでいたらまず間違いなく観なかったと思う。たまたま車の中で聞いていたラジオで誰かが勧めていたので観ることにしたもの。これが大正解。基本的に人に勧められたものは必ず観る事にしているが、それは自分の趣向の範囲を超えるという意味でも大事だと改めて思う。

物語はクリスマスシーズンを迎えた全寮制の高校を舞台としたもの。クリスマス休暇でみんなが帰省する中、家庭の事情で1人残らなければならなくなった少年と、そのために残らなければならなくなった教師と料理長との3人の物語。恋人と過ごすために息子に残れという母親も母親だが、それにすねた少年と偏屈で変わり者と見られている教師、折からのベトナム戦争で最愛の息子を失った料理長との心温まる交流。

なんでこんなセンスのないタイトルを平気でつけられるのだろうかという思いは封印し、観た自分を褒めてやりたくなる映画である。

第2位:『マイスモールランド』(My Cinema File 2960)

マイスモールランド.jpg

日本にいるクルド難民にスポットライトを当てた映画。主人公はクルド難民の女子高生。長年日本で暮らし、日本語も流ちょうに話す。進学の時期に来ているが、そこで事件が起こり、将来に暗雲が漂う。日本にいるクルド人問題もいろいろあるようで、クルド人に対する批判の声もあるようである。何が正しいのかは総合的に判断しないといけないが、この映画に関してだけ言えば、難民ゆえに苦労する女子高生に同情したくなる物語。

日本における難民認定が困難な事はよく言われているが、その問題に一石を投じるもの。この映画だけ観ていればたしかにそう思う。美形の主人公に人として何とかしたいと思わされる。いろいろな意味で観る価値は高い映画である・

第3位:『52ヘルツのクジラたち』(My Cinema File 2972)

52ヘルツのクジラたち.jpg

変わったタイトルは、特定の周波数で鳴くゆえに他のクジラに聞こえないと言われる孤独なクジラから来ている。主人公はとある田舎町に越してきた女性。訳アリの様子に町では都会で風俗嬢をしていたという噂が流れる。そんな主人公の訳アリの過去。それは実の親に虐待されて育ったというもの。あるきっかけでそんな境遇から解放されるが、恩人とは通じ合えない苦悩がある。不幸は後を追いかけてくる。田舎に移り住んだ主人公は、同じく虐待されている少年と出会う。

我が子は可愛いと思うのが普通の親の感情。虐待など考えられないが、世の中にはそういう考えられない親もいる。やりきれない気持ちになることしばしば。主人公の幸せを心から願いたくなる映画である。

さて、季節はこれから新緑の季節に向かう。外も気持ちいいが、夜は映画に没頭したい。GWもあるし、溜め込んだ映画を次々と観ていきたいと思うのである。



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2025年03月29日

【そして僕は途方に暮れる】My Cinema File 2988

そして僕は途方に暮れる.jpg

2022年 日本
監督: 三浦大輔
出演: 
藤ヶ谷太輔:菅原裕一
前田敦子:鈴木里美
中尾明慶:今井伸二
毎熊克哉:田村修
野村周平:加藤勇
香里奈:菅原香
原田美枝子:菅原智子
豊川悦司:菅原浩二

<シネマトゥデイ>
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映画化もされた「愛の渦」などで知られる三浦大輔が作・演出、アイドルグループ「Kis-My-Ft2」の藤ヶ谷太輔主演により2018年に上演された舞台を、三浦自身が映画化。ささいなきっかけから恋人や親友、家族などあらゆる人間関係を断ち切ろうとする青年の逃避行を描く。主演の藤ヶ谷をはじめ、前田敦子と中尾明慶が舞台版から続投し、映画版新キャストとして『純平、考え直せ』などの毎熊克哉と野村周平、『深呼吸の必要』などの香里奈、『百花』などの原田美枝子、『今度は愛妻家』などの豊川悦司らが出演する。
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この物語は日付が表示されて始まる。まずは11月19日木曜日。菅原裕一はフリーター。彼女の鈴木里美と同棲中。朝、仕事に向かう里美に眠そうに目を覚ます裕一。その夜、里美が帰宅する。実は裕一は浮気をしているのだが、スマホの画面を巧みに里美に見えなくしようとしていた態度に我慢できなくなった里美は裕一を問い詰める。里美も密かに裕一のパスワードを見抜いてチェックしていたのである。慌てた裕一はそそくさと荷物をまとめるとそのままアパートから出ていく。アパートの名義は里美になっているからと。

裕一は幼馴染の今井伸二に連絡を取り、伸二の家に転がり込む。それから1週間後の11月26日木曜日。居候の立場の裕一だが、洗濯も掃除も家事はすべて伸二がやっている。さらにトイレットペーパーが切れたことを指摘し、翌朝の仕事にそなえて寝る伸二のそばで平気でテレビを見続け、朝は起こさないように静かに出て行ってくれという裕一にさしもの伸二もキレて注意をする。するとそれが気に入らなかったのか、裕一は荷物をまとめると伸二の家を出て行く。スマホの電話帳から選んだのは、バイト先の先輩田村。

それからまた1週間後の12月3日木曜日。さすがに先輩の家とあって裕一はこまめに家事をする。これを田村は重宝し、裕一との関係も良好。しかし、やっぱりいろいろと気づまりになり、裕一はここも出る事にする。次に頼ったのは後輩の加藤。これまでの経緯を説明すると加藤は感心する。助監督を務める勇に裕一の存在自体が映画だと言われ、裕一は成り行きから泊めてくれと言えなくなる。頼れる先はあまり多くない様子。裕一は姉の香に連絡を取り、香の家を訪れる。しかし、香に金を借りに来たと勘違いされ、またしてもそこを出る。もう行く先は実家しかない。

そして12月5日土曜日。裕一はお金を節約して長距離バスとフェリーを乗り継いで北海道苫小牧にある実家に帰り着く。母は裕一のことを喜んで迎える。母はクリーニング店で働いているが、リウマチを抱えて右半身が不自由である。父は女を作って何年も前に家を出ている。不自由な体で一軒家に1人暮らしの母に申し訳なさを感じた裕一は、このまま実家で暮らすことを決める。しかし、母は新興宗教にはまっており、裕一にも入るよう勧める。裕一はそれに嫌悪感を示すと実家を飛び出す・・・

こうして1週間ごとに住みついたところを飛び出す裕一。問題が生じるとそれに向き合うことなく逃げて行く姿はいかがなものかと思わざるをえない。東京に行く前の裕一のことは描かれておらずわからないが、もともとそんないいかげんな性格だったのだろうかと思ってみたりする。それでも女性にはモテるようなので、性根がしっかりしていたら仕事もできるのではないかと言う気がする。

フラフラと生きている若者にはイライラさせられるものであるが、主人公の裕一はそんな典型。先の事を考えずに流されるまま生きていく。しかし裕一には持つべき友がいる。自堕落に生きる父親は反面教師。落ちるところまで落ちた裕一は、最後にみんなに支えられて這い上がるきっかけを掴む。しかし、そこで突然思いもかけない事が起こる。タイトルはかつて流行った歌と一緒だが、最後に裕一は途方に暮れる。なかなか捻りの効いたストーリー。自分よりも酷い人間を見ると人は安心するものだろう。「俺もここまで酷くない」と。その後、裕一はどうなったのだろう。少なくとも冒頭の裕一ではないはず。そんなことを考えてみた映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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2025年03月28日

【生きてるだけで、愛。】My Cinema File 2987

生きてるだけで、愛。.jpg
 
2018年 日本
監督: 関根光才
原作: 本谷有希子
出演: 
趣里:寧子
菅田将暉:津奈木
田中哲司:村田
西田尚美:真紀
松重豊:磯山
石橋静河:美里
織田梨沙:莉奈
仲里依紗:安堂

<映画.com>
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小説家、劇作家、演出家などマルチな活動を展開する芥川賞作家・本谷有希子の同名小説を趣里の主演で映画化。過眠症で引きこもり気味、現在無職の寧子は、ゴシップ雑誌の編集者である恋人・津奈木の部屋で同棲生活を送っている。自分でうまく感情をコントロールできない自分に嫌気がさしていた寧子は、どうすることもできずに津奈木に当たり散らしていた。ある日突然、寧子の目の前に津奈木の元恋人・安堂が現れる。津奈木とヨリを戻したい安堂は、寧子を自立させて津奈木の部屋から追い出すため、寧子に無理矢理カフェバーのアルバイトを決めてしまう。趣里が主人公・寧子役を演じるほか、津奈木役を菅田将暉、安堂役を仲里依紗がそれぞれ演じる。数々のCMやAKB48、Mr.ChildrenなどのMVなどを手がけ、カンヌ国際広告祭でグランプリなどを受賞した関根光才の長編劇映画初監督作品。
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登場人物は同棲中の寧子と津奈木のカップル。寧子はメンタルに問題を抱えており、過眠症で寝てばかりいる。帰宅した津奈木が声をかけても「うるさい!」と怒鳴り、ものを投げつける有様である。津奈木は弁当を買いに出るが、寧子は煙草がない事に気付き煙草とコーラを買ってきてと津奈木にメールを送る。自動販売機でコーラを買った津奈木は、販売機が割れているのを見て、寧子と初めて出会った日のことを思い出す。

それはとある飲み会に参加した津奈木が、酔っ払った寧子を送っていくことになる。寧子の酔い方は酷いあり様で、友人たちもいつもの事なのかあきれ顔。何も知らない津奈木に寧子を預けてさっさと去ってしまう。津奈木が親切に自動販売機で水を買って寧子に渡すと、一気に飲み干し、突然頭を自動販売機に打ち付ける。額からは血が流れてるが寧子は気にもしない。さらに心配する津奈木をよそに寧子は走り出す。酔っているとしても異常である。

そんな津奈木は、物書きになりたくて出版社に入ったものの、三流週刊誌の編集部に配属され、ゴシップ記事の執筆に追われる日々を送っている。編集長はとある女優のスキャンダラスな記事を津奈木にまわすが、津奈木も他の仕事を抱えて手一杯である。同僚の女性記者が、裏取りをしていない記事を案じるが、津奈木はしばらくしたらみんな忘れると淡々と仕事をこなす。その様子はどこか諦めている感じが漂う。

一方の寧子はバイトの面接を受けようとしたが、起きられずに面接をドタキャンする。同棲していると言っても2人の寝室は別々であり、寧子は完全なヒモ状態。さらに津奈木に対する態度も悪く、普通であれば追い出されるだろう。なぜ津奈木が根気よく付き合っているのかよくわからない。そして突然夕食を作る事を思い立ち、津奈木のリクエストを聞くとスーパーに買い物に行く。ところがミンチが売り切れていたせいで調子が狂い、卵を床に落としてしまい愕然とする。帰宅して、料理にとりかかるが、ブレーカーが落ちてしまい、どうにもならなくなって大声を上げて泣き出す。

津奈木が戻ると、真っ暗な部屋で寧子がうずくまっている。肉親であればまだしも、他人の女であれば自分ならとても耐えられない。そして物語は動いていく。寧子がいつものように昼過ぎまで寝ていると、見知らぬ女が訪ねてくる。女は安堂といい、かつて津奈木とつき合っていたと言う。津奈木を見かけて尾行したという安堂は、どうやら津奈木と復縁する事を望んでいる。津奈木の性格からして寧子をいまのまま追い出すことはできないので寧子に働いて自立するように求める。

突然やってきて、彼氏を横取りすると宣言し、寧子を知り合いのカフェバーにバイトとして紹介する。寧子も寧子なら、この安堂も安堂である。しかし、このカフェバーのオーナーは心が広く、さして理由も聞かずに寧子を迎え入れる。とは言え、突然しっかり者になるわけでもなく、寧子は失敗の連続で、きちんと起きられず遅刻ばかりしてしまう。津奈木は津奈木で、たくさんの仕事を押し付けられ、夜遅くまで働くことが増えて次第に疲弊していく。寧子は調子がよくなり津奈木に話しかけるが、今度は津奈木にそれを聞くゆとりがない。そして事件が起こる・・・

社会の片隅で不器用に生きる2人。女はメンタル不調で、行動は怪しい。男の立場からすると、付き合うどころかそばにも寄って欲しくないタイプである。トイレのウォシュレットのことが心配という話を真面目にされても引くだけである。本人も苦しんでいて、「生きているだけで本当にしんどい」と寧子は語る。そしてあまりにもしんどくなって、店を飛び出した寧子は、走りながら服を脱ぎ、マンションの屋上でとうとう全裸になってしまう。タイトルの意味がこのあたりでわかってくる。

すぐにブレーカーが落ちてしまう部屋で暮らす2人。その姿は本当に「生きているだけで、愛」である。こんな女の近くには寄りたくないと心から思うも、映画だからいいとも言える。寧子には幼い頃、母親が全裸で踊っていた記憶がある。それは遺伝なのであろうか。だとすれば、2人の子もまた寧子のようになるのだろうか。そんなことを考えながら観終わった映画である・・・


評価:★★☆☆☆







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2025年03月24日

【きみの瞳(め)が問いかけている】My Cinema File 2986

きみの瞳(め)が問いかけている.jpg
 
2020年 日本
監督: 三木孝浩
出演: 
吉高由里子:柏木明香里
横浜流星:アントニオ篠崎塁
やべきょうすけ:原田陣
田山涼成:大内会長
野間口徹:尾崎隆文
岡田義徳:坂本晋
奥野瑛太:久慈充

<MOVIE WALKER PRESS解説>
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『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』の三木孝浩監督が手がけるラブストーリー。不慮の事故で視力を失った明香里を吉高由里子が、罪を犯しキックボクサーの夢を失った塁を横浜流星が演じ、互いに惹かれ合うも残酷な運命に翻弄されていく男女の姿を描く。チャールズ・チャップリンの名作『街の灯』をモチーフにした韓国映画『ただ君だけ』のリメイクで、世界で活躍する韓国出身の人気グループBTSが主題歌を担当している。
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無口で暗い表情の若者が酒屋の配達のバイトを黙々とこなす。重い酒樽を持って階段を上り下りし、体力勝負の仕事である。それが終わればネットカフェで眠る。若者は元キックボクサーの塁。あるビルの管理の仕事の募集を見かけ、夜はそこでも働くようになる。前任者のおじいさんは、突然姿を消したとの事で、寝起きしていた管理室には生活の跡がそのまま残っている。新しい仕事場での勤務初日。管理室に見知らぬ女性がずかずか入ってきて、親しげに塁に話しかけながら、差し入れを渡す。どうやら目が不自由なようで、塁を前任者と勘違いしている。

その女性の名は明香里。前任者のおじいさんとは親しくしていて、一緒にテレビドラマを見ていたそうである。人違いと気づいた明香里は、管理室から慌てて出ていこうとするが、雨が降り始めたこともあり、塁は、管理室でドラマを見ていくよう声を掛けて引き止める。楽しそうにドラマを見終えると、管理室の入り口にある金木犀の鉢植えの水やりを忘れないように告げて明香里は帰って行く。

明香里はコールセンターで働いている。なるほど、目が見えない者でも働くことができる職場の1つである。上司は明香里に優しいが、さりげなく肩に手を置く。それは今の基準ではセクハラ認定されてもおかしくない。その頃、塁はかつて所属していたキックボクシングジムを訪れ、会長とコーチに謝罪する。どうやら突然姿を消したようである。コーチの話から塁は有望だった事がわかる。そしてコーチは復帰を促すが、塁は断る。

1週間後、明香里が再び管理人室にやって来る。お気に入りのテレビドラマがあるようである。金木犀の香りに満足する明香里。管理人室に入るとさり気なく窓を開けてもいいかと尋ねる。履き古したスニーカーが異臭を放っている事に気づく塁。テレビドラマのヒロインに夢中になる明香里。不愛想な塁も少しずつ表情に笑顔と言葉が増えていく。そして次の週、塁はスニーカーを新調し、身だしなみを気にしながら明香里が来るのを待つ。

なぜか名前を尋ねられた塁は答えられない。転んで足をくじいた明香里を塁は自宅まで送る。最後はおぶって長い階段を登り、自宅に辿りつく。ついでに排水口のつまりも直してくれた塁へのお礼に、明香里はコンサートのチケットを渡す。一緒に行く相手がいないと断ろうとする塁だが、明香里の提案で一緒にコンサートに行く約束をする。そして2人でコンサートに行く。こうして2人は少しずつ距離を縮めていく。

コンサートの後、明香里の希望で焼肉屋へ行く2人。目が見えないというのは、健常者にはわからない不便がある。食事中、明香里は肉を落として来ていたニットを汚してしまう。しかし、本人には汚れをうまくふき取れない。それを塁も指摘できない。距離が縮んだり少し離れたり。恋愛というものはそんなものかもしれない。それでも明香里は目が見えなくなった経緯が事故にあり、その事故で両親がなくなっている事を語る。塁も不器用ながら自分のことを打ち明ける。名前はアントニオ・篠崎塁。

2人の恋愛に絡んでくるのが明香里の職場の上司。コンサートのチケットも上司のプレゼントであり、その日もネックレスの入ったプレゼントを渡され、食事に誘われる。一方、塁も実は刑務所に入っており、その原因は施設で一緒に育った半グレ集団のリーダー恭介。恭介は塁に地下格闘技の試合に出場するように迫ってくる。2人の恋愛の前に漂う暗雲。そして2人は過去にそれと知らずに意外な接点があったことがわかる。

恋愛ドラマに障害はつきもの。そして半グレ集団との付き合いは大きな障害。目が見えない女性との恋愛ドラマは過去にもあったが、ヒロインの明香里を演じるのは吉高由里子。お相手は横浜流星で、ともに美男美女であることは否定しないが、何となく吉高由里子が演じるのは違和感がある。2人の年齢差もあるが、吉高由里子が若々しい恋愛ドラマの主人公というのがどうもピンとこない。原作があってその設定がそうなっているのだろうかと思ったりする。

個人的にはこの手の恋愛ドラマは少々合わなくなってきていると感じる。ラストの展開で浜辺で2人が再会するシーンも心は物語の中に入っていけない。それはストーリーの限界か自分の年齢によるものかはよくわからない。そろそろこの手の恋愛ドラマからは卒業なのかもしれない。それでもラストの展開がもう少し自然であったら、という思いはある。韓国ドラマのように無理にドラマチックにし過ぎてコケた印象がある。ラストがもう少し自然であれば、感情移入できたかもしれない映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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2025年03月23日

【ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅】My Cinema File 2985

ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅.jpg

原題: Nebraska
2013年 アメリカ
監督: アレクサンダー・ペイン
出演: 
ブルース・ダーン:ウディ・グラント
ウィル・フォーテ:デイビッド・グラント
ジューン・スキッブ:ケイト・グラント
ステイシー・キーチ:エド・ピグラム
ボブ・オデンカーク:ロス・グラント
アンジェラ・マキューアン:ペグ・ナギー

<映画.com>
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『ファミリー・ツリー』「サイドウェイ」のアレクサンダー・ペイン監督が、頑固者の父親と、そんな父とは距離を置いて生きてきた息子が、旅を通して心を通わせる姿をモノクロームの映像で描いたロードムービー。モンタナ州に暮らす大酒飲みで頑固な老人ウディのもとに、100万ドルを贈呈するという明らかに胡散臭い手紙が届く。すっかり信じ込んでしまったウディは、妻や周囲の声にも耳を貸さず、歩いてでも賞金をもらいにいくと言って聞かない。そんな父を見かねた息子のデイビッドは、無駄骨と分かりつつも父を車に乗せてネブラスカ州を目指すが、途中で立ち寄ったウディの故郷で両親の意外な過去を知る。ウディを演じた主演のブルース・ダーンが、2013年・第66回カンヌ国際映画祭で男優賞を受賞した。
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車が走りすぎる幹線道路を1人の老人がとぼとぼ歩いている。やがてパトカーが老人を保護する。老人はウッドロウ・グラント。その言う事には、100万ドルが当選したとの手紙を受け取り、ネブラスカ州までもらいに行くのだと言う。警察から連絡を受けた息子のデイビッドが父を迎えに来る。明らかにうさん臭い手紙に息子はやめろと諭すも父は聞かない。家に連れ帰るが、父は再び徒歩でネブラスカに行こうとする。

母親は口やかましく文句を言う。デイビッドには兄がいるが、兄もそんな父にあきれている。止めても聞かない父にデイビットは諦めて付き合う事にする。仕事を休んで父を車に乗せる。100万ドルの話は嘘だとわかりきっているが、高齢者はしばし判断力が衰え、愚かな行為を犯すものである。下手に説得を試みてもダメなら納得するまでやらせるというのはいい方法である。こうして親子2人のドライブに出る。目的地はネブラスカ。

旅の一日目の夜。モーテルの部屋でウッドロウがつまずいて頭を怪我する。病院で診てもらうと、傷が深いため入院を勧められる。しかし、ウッドロウは金曜日までにリンカーン州まで行きたいと主張する。やむなくデイビッドは、道中にある伯父宅に週末までそこに滞在しようと提案する。月曜にはネブラスカに到着できると言うと、父は渋々納得する。そうしてデイビッドと父は伯父宅にやって来る。父とともに父の知人がマスターを勤めたバーに入る。

デイビッドは思うところがあり、トイレに行く際、100万ドルの話はするなと父にくぎを刺す。しかし、デイビッドがトイレから戻ってくると、父は旧知の知人たちと100万ドルの話で盛り上がっている。デイビッドが一生懸命否定するが、周りは信じない。驚く事にその話は伯父の家族にも知れわたる。途端に手のひらを返してにこやかに振る舞う伯父一家。現金と言えば現金。金に群がる亡者のようである。

狭い田舎の町のこと、ウッドロウの100万ドルの話はあっと言う間に町中に広まる。挙句に新聞社からからも使いを任された少年がウッドロウの写真を撮りに来る。頭を抱えたデイビッドは、記事を阻止するために新聞社を訪れる。経営者のペグに当選話は父の勘違いだと伝えると、ペグはすんなり理解する。驚く事に、ペグは若い頃父と付き合っていたとわかる。ペグの話では、父は朝鮮戦争から帰還した後、酒に溺れるようになったと言う。父の若かりし頃の写真を見たデイビッドは何かを思う。

100万ドル騒動は続く。すり寄って来る者もいれば、昔の恩を盾に露骨に金を要求して来る者もいる。それなりにウッドロウが迷惑をかけたこともあるとはいうものの、デイビッドは嫌気がさす。100万ドルなど嘘だといくら言っても信用しない。それは親戚すら同様で、デイビッドが100万ドルの話を否定しても、親戚の者は誰も本気にしない。それどころか貸した金を返してくれという。人間の浅ましさだろうか。

デイビッドは父と100万ドルを受け取りに向かう。結果はわかっているが、父が納得するまで付き合うデイビッドの優しさが、ドラマの裏でゆっくり流れる。父ウッドロウが100万ドルにこだわる理由も不甲斐ない自分なりに家族の事を考えてのもの。ラストで父と子2人で家路につくが、デイビッドの行動は心温まるもの。ウッドロウが得意満面の表情でトラックを運転する姿は何よりも心に響いてくる。普通はあきれて相手にしないかもしれない父親に最後まで付き合う息子。

金に群がる人々の滑稽さと対照的な息子の姿に老親を持つ自分もかくありたいと思わされる。予想外に心に優しく響いてきたのは、ウッドロウの姿が、この頃衰えを見せている私の父親に重なるからかもしれない。全編モノクロ映像と相まって心に優しい映画である・・・


評価:★★★☆☆








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