2007年02月25日
【ザ・インターネット】My Cinema File 13
原題: The Net
19955年 アメリカ
監督: アーウィン・ウィンクラー
出演:
サンドラ・ブロック: アンジェラ・ベネット
ジェレミー・ノーサム: ジャック・デブリン
デニス・ミラー: ドクター・アラン・チャンピオン
ダイアン・ベイカー: ミセス・ベネット
レイ・マッキノン: デイル・ヘスマン
<映画.com>
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世界最大のコンピューター・ネットワーク、インターネットをテーマにしたサスペンス・スリラー。監督は「グッドフェローズ」などの名プロデューサーで、「ナイト・アンド・ザ・シティ」に次ぐ監督作となるアーウィン・ウィンクラー。脚本はジョン・ブランカートとマイケル・フェリス。製作はウィンクラーと彼のパートナーであるロブ・コーワン。撮影は「マディソン郡の橋」ほかクリント・イーストウッド作品で知られるジャック・N・グリーン、音楽は「ネル」のマーク・アイシャム、美術はデニス・ワシントン、編集は『ロッキー』(アカデミー賞受賞)「ゲッティング・イーブン」のリチャード・ハルシー。主演は「スピード」「あなたが寝てる間に…」のサンドラ・ブロックで、コンピューターを自在に操るために3か月も特訓し、アクション場面も自身でこなす熱演を見せている。共演は、英国の舞台俳優ジェレミー・ノーザム、スタンダップ・コメディアン出身で「ディスクロージャー」のデニス・ミラー、「羊たちの沈黙」のベテラン、ダイアン・ベーカーほか。
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主人公はプログラマー。ソフト会社からバグの処理を請け負って生計を立てている。
近所との付き合いもなく、一日PCの前に座っている生活。
そんなある日、ソフト会社の担当者から持ち込まれた1枚のディスク。それはある国家的陰謀のディスクであった。
コンピューター上の個人情報を書き変えられ、いつのまにか名前も違う犯罪人に仕立て上げられてしまう。
自分が自分である事を証明できなくなった主人公。
孤立無援、たった一人で最後の反撃に出る・・・
この作品、95年のもの。
95年といえばWindows95がヒットした年。
その年、私はWindows3.1でほそぼそとネットしていた。
その当時に作られたと考えられると来るべき社会への警告のような作品。キーとなるディスクがFDだったり、当時の接続環境でそんな事できたのと突っ込みたくなる所があるが、まあそんな細かいところを気にしなければ楽しめる。
サンドラ・ブロックも魅力全開だ。
評価:★★☆☆☆
2007年02月18日
【ディバージェンス】My Cinema File 12

原題: 三岔口/Divergence
2005年 香港
監督: ベニー・チャン
出演:
アーロン・クォック: シュン
イーキン・チェン: トウ
ダニエル・ウー: コーク
アンジェリカ・リー: フォン/エイミー
エリック・ツァン: チョイ
<シネマトゥデイ>
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『ジェネックス・コップ』のベニー・チャン監督が手がけた刑事アクション。それぞれ心に傷を持つ3人の男たちの人生が交錯する様子をスリリングに描く。刑事役には香港四天王の一人、アーロン・クォックがふんし、敏腕弁護士を演じるのは『アブノーマル・ビューティ』のイーキン・チェン。そして『ワンナイト イン モンコック』のダニエル・ウーが謎めいた殺し屋を熱演する。アクションと複雑な人間ドラマが絡む物語は絶品。
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ある事件の証人を護送する刑事。10年前に突然姿を消した彼女を今も捜し求めている。
そして、護送中に証人を暗殺される。
暗殺した凄腕の殺し屋。
それで無罪が濃厚となった実業家の敏腕弁護士。
刑事、殺し屋、弁護士、一見その訴訟事件を中心に絡み合うが、ラストで意外な接点が明らかになる・・・
ずる賢いウラ家業の実業家と熱く追い詰める刑事。
ありふれたストーリーの感じがしていた。
刑事が10年前に失踪した彼女を今も思いつめるシーンは物語に幅を持たせるためのサイドストーリーと思っていたのに最後に明らかにされた事実は意外でした。
それで途中のシーンが意味を持ってつながりました。
「運命の交差点」というサブタイトルは言い得て妙でした・・・
評価:★★★☆☆
2007年02月17日
【ブレイキングニュース】My Cinema File 11

原題: Breaking News
2004年 香港
監督: ジョニー・トー
出演:
リッチー・レン(任賢齊):ユアン(陳一元)
ケリー・チャン(陳慧琳):レベッカ(方潔霞)
ニック・チョン(張家輝):チョン(張志恆)
チョン・シウファイ(張兆輝):エリック(楊警司)
ホイ・シウホン(許紹雄):ホイ(海)
ラム・シュー(林雪):イップ(葉)
ユウ・ヨン(尤勇):チュン(張春)
ディン・ハイフェン(丁海鋒):ロン(張龍)
<映画.com>
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香港警察と銀行強盗団のメディアを巻き込んで繰り広げられる緊迫の攻防をスリリングに描いたサスペンス・アクション。監督は「ザ・ミッション/非情の掟」「PTU」など、先の読めないストーリー展開と映像美で香港はもとより世界で注目されるジョニー・トー。大胆なメディア戦略を行なう新任指揮官・レベッカを演じるのは、「インファナル・アフェア」「冷静と情熱のあいだ」のケリー・チャン。中国本土からやってきた強盗団のリーダー、ユアンを演じるのは、「星願/あなたにもういちど」「ゴージャス」のリッチー・レン。さらにラム・シューやサイモン・ヤム、ホイ・シウホンらトー作品でおなじみの俳優が共演する。
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怪しげな男達が何やら怪しげな雰囲気でアパートから出てくる。
実は強盗を計画する一味であった。
待機していた香港警察と銃撃戦が始まる。
まんまと逃げおせた一味。
屈辱をメディアの前でさらした香港警察は、威信をかけてメディアの前で犯人追撃をはじめる。
しつこく犯人を追い詰める刑事。
あるアパートに立てこもった一味と包囲する警官隊。
最後の死闘がメディアの前で展開される・・・
香港映画らしい映画。
前編これ激しい銃撃戦。
普通主人公の横顔などもエピソードを踏まえて描かれるものだが、ほんのお約束程度。
迫力ある映画。
アクション好きにはおすすめかもしれません。
評価:★★☆☆☆
2007年02月14日
【硫黄島からの手紙】My Cinema File 10
原題: Letters from Iwo Jima
2006年 アメリカ
監督: クリント・イーストウッド
出演:
渡辺謙:栗林忠道中将
二宮和也:西郷
伊原剛志:バロン西
加瀬亮:清水
中村獅童:伊藤中尉
裕木奈江:花子
<Yahoo!映画解説>
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第2次世界大戦時の最も悲劇的な戦いと言われる“硫黄島の戦い”を、日本側の視点から描いた戦争映画。
硫黄島でアメリカ軍を悩ませた伝説の陸軍中将である栗林忠道と彼の部下たちによる死闘が描かれる。監督は『ミリオンダラー・ベイビー』のクリント・イーストウッド。「ラスト・サムライ」の渡辺謙、嵐の二宮和也ら、日本人俳優が出演する。イーストウッドが日米双方の視点から“硫黄島の戦い”を描く“硫黄島プロジェクト”第2弾作品としても注目だ。
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この前作として、『父親たちの星条旗』を監督したクリント・イーストウッド。
今度は同じ硫黄島の闘いを日本側から描くというもの。
同じ硬貨でも裏と表と二つの面がある。
どちらが正義という事はなく、どちらも同じ一枚の硬貨。
それを双方の視点から見ようという試みに共感し、ともに観る事になった。
2006年、硫黄島。
地中から数百通もの手紙が発見された。
それはかつてこの島で戦った男たちが家族に宛てて書き残したものだった……。
戦況が悪化の一途を辿る1944年6月。
陸軍中将・栗林忠道(渡辺謙)が硫黄島に指揮官としてやってきた。
アメリカ留学の経験を持つ栗林の、常識に捉われないやり方は古参の将校たちの反発を呼ぶ。
栗林の防衛戦略は、古参の将校たちが主張する、当時一般的だった“水際撃退戦法”ではなく、島中にトンネルを張り巡らし、地下要塞を作り上げるというものだった。
1945年2月19日、ついにアメリカ軍が上陸する。
制空権も制海権も制し、猛烈な艦砲射撃の援護を受けて、圧倒的な大軍で押し寄せるアメリカ軍に対し、孤立無援の日本軍守備隊は徐々に退却を強いられていく。
玉砕を求める部下に、栗林は最後まで戦いぬけと命令した。
アメリカ軍が当初5日間と見ていたこの戦いは、実に36日間にも及ぶ激戦となっていく。
約2万人の将兵ほとんどが戦死。
そのうち戦闘による死者が1/4。
残り3/4は自害か餓死。
戦闘による戦死者はむしろ米軍の方が多かったという・・・
戦死者の内訳を見てもわかるように、日本兵にとって本当の敵は、硫黄臭漂う灼熱の穴倉であり、食料というより水すらも不足していた過酷な環境だったらしい。
それが映画にはさらりとしか描かれていないが、そこはハリウッドのエンターテイメントゆえ仕方ないのかもしれない。
ほとんどのセリフは日本語であり、出演者も同様。
硫黄島の闘いを日米双方から描くという事を、とことん追求している。
二宮和也という一兵卒の目を通した戦争ドラマもまた見所として面白い。
つくづく、イーストウッド監督に脱帽、の映画である・・・
評価:★★★★☆
2007年02月12日
【シンデレラ・マン】My Cinema File 9

原題: Cinderella Man
2005年 アメリカ
監督: ロン・ハワード
出演:
ラッセル・クロウ: ジム・ブラドック
レネー・ゼルウィガー: メイ・ブラドック
ポール・ジアマッティ: ジョー・グールド
クレイグ・ビアーコ: マックス・ベア
ブルース・マッギル: ジミー・ジョンストン
<映画.com>
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「ビューティフル・マインド」のロン・ハワード監督とラッセル・クロウが再び組んで実在したボクサーを描く感動ドラマ。1930年代の大不況下のアメリカ。負傷のためプロボクシングの世界から引退して肉体労働者となっていたジムは、愛する妻と子供のため、勝ち目のない新進ボクサーとの試合を引き受ける。ジムを見守る妻役でレニー・ゼルウィガー、マネージャー役で「サイドウェイ」に主演したポール・ジアマッティが共演。
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実在のボクサー、ジェームス・J・ブラドックの物語。時に1928年11月30日、この日もブラドックはライト・ヘビー級で強力な右ストレートを武器に10試合連続KO勝ちを収め、マネージャーのジョー・グールドら周囲の人々からタイトル奪取も夢ではないと期待されている。しかし、翌年、世界を襲った大恐慌と利き腕の右手の骨折により、ブラドッグの人生は暗転する。裕福な暮らしも一転、ブラドッグ一家は極貧のどん底生活を強いられるようになる。
悪いことは重なるもの。家賃や光熱費の支払いに困ったブラドックは、グールドの制止を振り切り、怪我をおして試合に臨む。しかし、強打者の宿命か、試合中にさらに手を骨折し、しかも試合は無効試合となり、ファイトマネーをもらえないばかりかブラドックはプロモーターからライセンスを剥奪されてしまう。家族を養うためにブラドックは港湾での日雇いの仕事にも就くが、失業者が溢れる中、日雇い仕事も確実ではない。
そうした失業者の中には、子供を預ける家も出てくる。友達がそうして預けられた息子は、不安になって肉屋からサラミを万引きしてしまう。ブラドックは、息子を連れてサラミを肉屋に返しに行くが、理由を知って子供たちを他所にはやらないと固く誓う。しかし、生活は一向に楽にはならず、遂には自宅の電気を止められ、子供たちは寒さで熱を出してしまうが、病院に行く金もない。妻メイは独断で子供たちを暖房のある自分の親元に預けることにする。
父親としては、己の無力感を強烈に味わわされるところであるが、ブラドックはなりふり構わず連邦緊急救済局で生活保護を申請し、さらにボクシング協会に出向いて援助を求める。物乞いまでしてようやく金を工面して子供たちを連れ戻す。家族のためにプライドを捨ててお金を恵んでもらうブラドッグの姿に同じ男として目頭が熱くなる思いがする。同じ状況に置かれれば迷わず自分もそうするだろうが、それは簡単な事ではない。そんなブラドックの姿を見つめるグールド。
転機は思わぬところからやってくる。世界ランキング2位のコーン・グリフィンの対戦相手が怪我で出場を断念し、急遽代役が必要となるが、強い相手に短い準備期間で誰も手が上がらない。グールドはこの話をブラドッグに持ち込む。ファイトマネーは250ドルで、勝敗に関わらずもらえるとの条件。ブラドックに断るという選択肢はなく、ノックアウトされるのを覚悟で1934年6月14日のマディソン・スクエア・ガーデンのリングに立つ・・・
ボクシング映画は数多く創られているが、この映画は実在のボクサーの実話であるという強みがある。怪我をした選手の代役でリングに上がるブラドック。それはまるでは映画『ロッキー』(My Cinema File 32)そのもの。そしてこの試合で下馬評を覆し、長いブランクをものともせずわずか3ラウンドでグリフィンに勝利を収める。当初はこの一試合限定の復帰のつもりだったブラドックだが、ライセンスが再交付され、本格的にカムバックする。『シンデレラマン』というタイトルも納得の復活である。
そして最後はリングで対戦相手2人を殺した過去を持つ危険なチャンピオンと対戦する。試合そのものも迫力があるが、何と言っても胸を打つのは前半の経済的困窮下でのブラドックの行動だろう。背景には未曽有の大恐慌がある。誰もが失業に喘ぎ、ブラドックも自分自身の事を顧みず家族のためにリングに立ち、骨折を隠して港湾作業に従事する。そんな中でもプロモーターらは、裕福な生活を送っており、実に対照的である。
そして何よりもブラドックを影ながら支えたマネージャーのグールド。自ら家具を売り払い、ブラドックのトレーニング費用を捻出する。危険なリングにブラドックを上げる事に抗議にきた妻のメイも家具を売り払った室内を見て抗議の声を引っ込める。胸が熱くなるシーンが続く。こうした困難な時代だったからこそ、家族のために身を削る男の姿が胸を熱くするのだろう。主演はラッセル・クロウであるし、文句のつけようのない感動的な映画である・・・
評価:★★★★☆