2007年10月28日

【LOFTロフト】My Cinema File 133

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2005年 日本
監督: 黒沢清
出演: 
中谷美紀:春名礼子
豊川悦司:吉岡誠
西島秀俊:木島幸
安達祐実:亜矢
鈴木砂羽:野々村めぐみ

<シネマトゥデイ>
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『回路』などで世界中から注目される黒沢清監督が、『ドッペルゲンガー』以来3年ぶりに手がけたサスペンス・ホラー。新作執筆のため引っ越した郊外で、ミイラを研究する男と出会ったことから悪夢のような日々を過ごすヒロインを、中谷美紀が好演する。謎めいた大学教授役の豊川悦司をはじめ、西島秀俊、安達祐実、鈴木砂羽、大杉漣ら実力派俳優が集結。ホラーからサスペンス、ラブストーリーが絶妙に溶け合う、黒沢監督の新境地に圧倒される。
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芥川賞作家、春名礼子は、スランプから脱却するために、純文学から大衆小説へと路線を変えようとしていた。しかし筆はなかなか進まず、そのせいか体調も悪くなってきた。そこで、編集担当者の木島の紹介で、高円寺のマンションから森の中にある古い一軒家に移り住み、執筆に専念することにした。家の前には、人気のない不気味な建物があった。ある夜、礼子は、その建物に一人の男が出入りしているのを見る。それ以来、礼子はその建物に惹かれるようになる・・・

これは何とも言いにくい映画だ。
何とも言いにくいとはどういう事なのか、それすら説明しにくい。

これはホラーなのだろうか?
サスペンスなのだろうか?
それとも恋愛映画なのだろうか?
そのどれでもあり、どれでもない・・・

結局中途半端であるというのが私の結論。
きっともっと崇高な意図に基づいていて、「素人にはわからない」のかもしれないが、私の信念として、「素人にわからない映画は駄作」という思いがある。
「これは芸術なんだ」と言うなら「勝手にどうぞ」である。

そういう考えからこの映画の感想は「わけがわからない」だ。
ミイラが出てきたからそこから何かストーリーが生まれるのかと思ったらそうではなかった。
死んだ女性が画面の端にさり気なく立っていてどきりとし、一瞬驚きぞっとさせてくれたからそこからホラー展開するのかと思いきやそうはならない・・・
トヨエツと中谷美紀が徐々に接近していき、恋愛へと結びつくのかと思うも、それにしてはストーリーが他のことに向きすぎている・・・

結局、いろいろ求めすぎて目標を見失ったとしか思えない。
こういう映画の良さがわかる「芸術鑑賞家」にいつかなれる日が来るのだろうかとつくづく思わされる映画である・・・

評価:★☆☆☆☆








posted by HH at 09:42| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月27日

【ダ・ヴィンチ・コード】My Cinema File 132

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原題: The Da Vinci Code
2006年 アメリカ
監督: ロン・ハワード
出演: 
トム・ハンクス:ロバート・ラングドン
オドレイ・トトゥ:ソフィー・ヌヴー
イアン・マッケラン:リー・ティービング
ポール・ベタニー:シラス
アルフレッド・モリーナ:アリンガローサ
ジャン・レノ:ファーシュ

<シネマトゥデイ>
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世界中でベストセラーになっているダン・ブラウンの同名小説を映画化した超大作ミステリー。レオナルド・ダ・ヴィンチの名画に秘められた謎を、アカデミー賞俳優のトム・ハンクス演じるロバート・ラングドンが解き明かしていく。そのほかのキャストに『アメリ』のオドレイ・トトゥや『レオン』のジャン・レノら演技派スターも名を連ねる。監督はアカデミー賞を獲得したのロン・ハワード。ルーヴル美術館で撮影が行われたり、歴史的価値の美術品がぞくぞくと登場するところも見逃せない。
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講演会のためパリを訪れていたハーヴァード大学教授のラングドン。
突然、深夜にフランス司法警察のファーシュ警部に呼ばれ、ルーブル美術館に連れ出される。
美術館長のソニエールが殺され、彼に捜査に協力して欲しいとの要請を受けるが、実は、ラングドンも容疑者にされていたのだった。
そこにソニエールの孫娘で、暗号解読者のソフィーが現れる。
ソフィーは、現場の写真を見て、祖父が自分だけに分かる暗号を残したことに気付く・・・

ダン・ブラウンの同名小説がベストセラーとなったのは記憶に新しいが、それが映画化された。
原作は結構長い。
内容もちょっと難解なところもあり、映画になったらコケルのではないかと予想していたが、見た印象としては「よく出来ている」であった。
よくぞこれだけのものを2時間30分でまとめたものだと思う。

見ていて小説のストーリーが蘇ってきて楽しめた事は確かである。
だが、そう考えてみると小説を読んでなくてこの映画を見たらもっと違う印象を持つかもしれない。
事前に小説を読んだ方が良いと思う。

ストーリーはイエス・キリストにまつわる異説をテーマにしたものだ。
それが見ていくうちに惹きつけられるのは「もっともらしい」からだろう。
「最後の晩餐」に対する解釈などは「なるほど」と唸ってしまう。
そうしたしっかりとした筋があるからこそ、小説も映画も厚みを増しているのである。

主演のトム・ハンクスは髪型が変わって見方によっては「アメリカの学者」っぽく見える。オドレイ・トゥトゥも知的美人という雰囲気で小説の雰囲気にぴったりだと感じた。
だが、ジャン・レノはちょっともったいない感じだ。
あれだけの存在感のある俳優なのにここではチョイ役ともいえる脇役だ。
別にジャン・レノでなくても十分だ。
それでもジャン・レノファンであれば「何でもいい」のであろうか・・・

考えてみればストーリーがあまりにも重厚で、各々の俳優のキャラクターが埋没してしまっている感がある。
派手なアクションがあるわけでもなし、どうしても興味は「謎解き」に向かってしまう。
それは致し方ないかもしれない。

まだ原作を読んでいない人には是非一読をお勧めしたい映画である・・・


評価:★★★☆☆




posted by HH at 10:07| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(1) | サスペンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月25日

【グッドシェパード】My Cinema File 131

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原題: The Good Shepherd
2007年 アメリカ
監督: ロバート・デ・ニーロ
出演: 
マット・デイモン:エドワード・ウィルソン
アンジェリーナ・ジョリー:マーガレット・ラッセル・ウィルソン“クローバー”
アレック・ボールドウィン:サム・ミュラック
ウイリアム・ハート:フィリップ・アレン
ロバート・デ・ニーロ:ビル・サリヴァン将軍
ビリー・クラダップ:アーチ・カミングス
ジョー・ペシ:ジョゼフ・パルミ
ジョン・タトゥーロ:レイ・ブロッコ

<シネマトゥデイ>
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CIAの誕生をめぐり、1人の男が運命に翻弄されていく様を描いた壮大な人間ドラマ。『ブロンクス物語/愛につつまれた街』以来13年ぶりにメガホンを取ったロバート・デ・ニーロが、監督、製作、出演の3役をこなす。主演の諜報部員役にマット・デイモン、その妻役にアンジェリーナ・ジョリーがふんする。これまであまり描かれることのなかったCIAメンバーの、1人の人間としての苦悩が胸に突き刺さる。
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1961年、キューバのカストロ政権転覆を目論んだピッグス湾侵攻作戦がCIA内部の情報漏れで失敗し、指揮をとったベテラン諜報員エドワード・ウィルソンは窮地に立たされる。
第二次世界大戦前夜、イェール大学在学中に秘密結社スカル&ボーンズに勧誘されされたのを機に、この道に足を踏み入れて以来、戦中、戦後と優秀な諜報員として暗躍してきたが、その陰で妻と息子は孤独な生活を強いられていた…

マット・デイモンがCIAの諜報部員に扮し、しかも夫人がアンジェリーナ・ジョリーとなると何やら夫婦で世界を股に陰謀に立ち向かう、といったイメージを持ってしまう。
だが、この映画でのマット・デイモンは無口で、「ボーン〜」シリーズで見せまくるアクションはかけらも披露してくれない。
寡黙にただ国家に忠実に職務をこなすのである。
アンジェリーナ・ジョリーも家庭をあまり顧みない夫を不満に思いつつ苦悩する夫人を演じる。

タイトルの「グッド・シェパード」とは聖書に出てくる「良き羊飼い」だそうな。
任務を忠実にこなす男を「良き羊飼い」に例えているのであろう。
なかなか良いタイトルである。

時は第2次大戦前夜、諜報戦の必要から情報機関に関与し始めたエドワードが、大戦後の冷戦時代を通じてソ連との諜報戦の最前線で苦闘していく過程を辿る。
エドワードを通して描かれる「表の歴史」と「裏の歴史」。
どこまでが本当なのだろうかと考えてしまう。

ジェームス・ボンドもジャック・ライアンも登場しないスパイ映画。
劇中で「なぜCIAにtheがつかないか?神にtheはつけないだろう」というセリフが印象的だ。
本当のスパイとはかくあるものなのだろう。

監督であるロバート・デ・ニーロも将軍役で登場する。
でも最初は恰幅の良かった将軍が、病で最後に登場した時は痩せていた。
かつて「レイジングブル」で20キロの体重差を演じ分けたデ・ニーロの根性マジックの再現なのだろうかと思ってしまう。
アレック・ボールドウィン、ウィリアム・ハート、ジョー・ペシ、脇役陣も豪華である。

任務のプレッシャーと夫として、そして父親としての苦悩・・・
主人公エドワードの寡黙な後姿が、全編に渡ってどっぷりと重い雰囲気を醸し出す2時間45分である。


評価:★★★☆☆


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posted by HH at 23:50| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | サスペンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月21日

【涙そうそう】My Cinema File 130

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2006年 日本
監督: 土井裕泰
出演: 
妻夫木聡:新垣洋太郎
長澤まさみ:新垣カオル
麻生久美子:稲嶺恵子
塚本高史:島袋勇一
中村達也:金城昭嘉(カオルの父)
平良とみ:新垣ミト(おばあ)
森下愛子:みどり
大森南朋:医者
船越英一郎:亀岡
橋爪功:稲嶺義郎(恵子の父)
小泉今日子:光江(洋太郎の母)

<映画.com>
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日本中で愛されている名曲「涙そうそう」をモチーフに、「いま、会いにゆきます」の土井裕泰監督が手掛けた感動ドラマ。沖縄で生まれ育った血のつながらない兄妹が織りなす、切ない愛の物語を描く。素朴で優しい兄・洋太郎を人気俳優の妻夫木聡が、兄の愛情を一身に受けてまっすぐに育った妹・カオルを「タッチ」「ラフ」の長澤まさみが好演。また、彼らを取り巻く人々を、小泉今日子、麻生久美子、塚本高史ら豪華俳優陣が演じる。
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沖縄県那覇市で自分の店を持つことを夢見て、市内の市場や居酒屋で必死に働く新垣洋太郎(妻夫木聡)。
ある日、高校に合格した洋太郎の妹・新垣カオル(長澤まさみ)が離島から那覇にやってきた。
2人は幼い頃、母親を病気で亡くし、親戚のもとで育ったのだった・・・

大ヒットした唄のタイトルがついた映画。
なんとなく「お涙頂戴系」だというのはわかっていたが、こういう映画は難しい。
なぜなら安易な悲劇であれば、逆に興ざめしてしまうからだ。

お互いに血の繋がっていない兄妹。
妹の高校受験を機に那覇で一緒に暮らし始める。
兄は高校を中退し、将来自分で店を出すために寸暇を惜しんで働いている。
妹はきっちりと大学に進ませようとしている。
妹もそんな兄の愛情を感じ、兄を助けようと受験前の大事な夏に密かにアルバイトをし始める・・・

経済的に苦しい中で、お互いに相手のことを思いやる・・・
オー・ヘンリーの小説「賢者の贈り物」を思い出させる。
それでなかなかいい感じにストーリーは進んでいく。

ただ、最後の結末がいただけない。
安易な「悲劇系お涙頂戴」に走ってしまったのだ。

これだけいろいろなストーリーが溢れる現代。
こんな安易な結末だと映画全体の印象が悪くなる。
個人的にはとても残念に思う。

韓国映画的「悲劇系お涙頂戴」でもいい方、妻夫木君が好きな人には良いかもしれない・・・


評価:★★☆☆☆







posted by HH at 10:12| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月20日

【スターリングラード】My Cinema File 129

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原題:  Enemy at the Gates
2001年 アメリカ・ドイツ・イギリス・アイルランド
監督: ジャン=ジャック・アノー
出演: 
ジュード・ロウ:ヴァシリ・ザイツェフ
ジョセフ・ファインズ:ダニロフ
レイチェル・ワイズ :ターニャ・チェルノワ
エド・ハリス:エルヴィン・ケーニッヒ少佐
ボブ・ホスキンス:ニキータ・フルシチョフ
ガブリエル・トムソン:サーシャ・フィリポフ
ロン・パールマン:クリコフ

<映画.com>
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1942年9月。1カ月にわたり、ナチス・ドイツの猛攻にさらされてきたスターリングラードに、新兵として赴任してきたバシリ・ザイツェフ。彼はウラルの羊飼いの家に育ち、祖父に射撃を仕込まれた天才スナイパーだった。やがて彼の射撃の腕はソビエト軍の志気を高めるために利用され、バシリは英雄へとまつりあげられていった。
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1942年9月、ナチス・ドイツの猛攻にさらされてきたスターリングラードは陥落寸前。凄まじい銃撃戦を生き延びた青年ヴァシリ・ザイツェフは、羊飼いの家で射撃を仕込まれた名手だった。そんな彼は共産党の青年将校ダニロフと親しくなり、兵士の士気を高めるため英雄を求めていた友の要請で、スナイパーとしての任務を始める・・・

実話を基にした歴史映画というものは、やはり真実の持つ魅力がありそれだけで映画に迫力を持たせるものである。勿論、「脚色」もそれなりにされているであろうが・・・
この映画も実在したソ連軍のスナイパー(狙撃兵)の実話だという。
タイトルの「スターリングラード」は第2次世界大戦で、戦況の大きなターニングポイントとなった激戦地。
スターニンの名を冠した街だけにここを落とす意味は両軍にとって大きかった。

だが、映画自体には舞台がスターリングラード攻防戦であったというだけで、とくに「スターリングラード」が大きな意味を持つものではない。タイトルだけ見ているともっと違う内容を想像してしまう。
このタイトル(邦題)のつけ方は下手な例だと言える。

その実在のスナイパー「ヴァシリ・グリゴーリエヴィチ・ザイツェフ」が、単なる一兵卒としてスターリングラードに送り込まれ、やがてその狙撃の腕で頭角を現し、重要な一戦で兵士の士気を高めるために宣伝に利用され、その名を高めていく。
映画の中では恋愛も出てくるが、こうなるとさすがにどこまで実話かなと考えるようになる。
ただ、それはそれでいいのだ。

普通戦闘においては敵と対峙している。
戦闘の最中は当然「殺されるかもしれない」という恐怖の中で敵を倒そうとする。
だが狙撃は相手が見えない。
自分が狙撃されて死ぬとは直前まで、というより撃たれた本人はその事実をわからないまま死んで行く。
それも考えてみれば恐ろしい。

邦題タイトルは失敗だが戦闘シーンは迫力があり、これも一つの見所かもしれない映画である・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 09:54| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦争/戦場ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする