2008年05月31日

【プリンセス・アンド・ウォリアー】My Cinema File 217

プリンセスアンドウォリアー.jpg

原題: DER KRIEGER UND DIE KAISERIN
2000年 ドイツ
監督:  トム・ティクヴァ
出演:  フランカ・ポテンテ/ベンノ・フユルマン/ヨアヒム・クロール/ラース・ロドルフ/ルドガー・ピストール 

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シシーは精神病院に勤める看護婦。
友人から頼まれて病院へ向かう途中で交通事故に遭い、瀕死の状態のところを逃走中の強盗犯ボドに命を助けられる。
運命を感じた彼女はボドを探し再会を果たす。
だが彼は銀行強盗を計画中だった。
彼女は銀行強盗に巻き込まれ、二人の運命は大きく変わっていく…
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ここのところドイツ映画が多くなっているが、これもその一つ。
ちなみにセリフはドイツ語である。

冒頭のシーン。
一人の男が手紙を書き終えてそれをポストに投函する。
その手紙がポスト内に投函されるところから郵便局内で仕分けされ、配達されてシシーの手元に届くまでをカメラが追う。
ここは「ロード・オブ・ウォー」の冒頭シーンで兵器工場で作られた銃弾が梱包され、一連の輸送ルートを経て銃に装弾され、やがて実践で使用され人間の頭に撃ち込まれるまでをカメラで追うシーンを思い出させられた。
これから始まるドラマでこの手紙が重要な意味を持っているのだろうか、と思わせられた。

さて、その手紙を受け取った看護師シシー。
患者に人気も高いのだが何となく日常生活に疑問を抱いている。
だがどうしてよいかもわからない。
それが突然の交通事故に遭う。
薄れる意識の中で、現場に居合わせた男に命を救われる。
その出会いが運命ではないかと感じ、その男を探し出す。

その探し方がまた凄かったりするのである。
事故の時一緒にいた盲目の患者。
それが恐ろしい能力の持ち主で、何ヶ月も前のその事故のシーンの一連の音を記憶していて、その中から男の足音を思い出しそれがどこから聞えてきたかを伝えるのである。
精神病の患者には時として一つの能力がずば抜けて優れている事が多々あるが、そういう事例を知っているだけにこういう能力もすんなり受け入れられてしまう。

そうしてたどり着いた男が心に傷を持つ強盗犯であった。
運命を感じるが故に男に冷たく拒否されるシシー。
なんとなく「日常生活に疑問を感じ何かをしたいが何をしたら良いかわからない」という気持ちは理解できる。
そういうシシーが、男がアウトローであってもそんな事よりもこの出会いが自分にとって大事なものでありそうな何かを感じる、そういう気持ちがよく伝わってくる。
その先どうなるかはわからない。
映画もそこまでは描かない。
誰にでも同じような思いは多かれ少なかれあるのではないだろうか。

タイトルのプリンセスは病院で人気のあるシシーの事。
ウォリアーは軍隊上がりの男の事。
タイトルからは別のイメージを抱いてしまうが、味わいのある人間ドラマである。


評価:★★☆☆☆
posted by HH at 11:20 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2008年05月26日

【ボビー】My Cinema File 216

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原題: Bobby
2006年 アメリカ
監督: エミリオ・エステヴェス
出演: アンソニー・ホプキンス/デミ・ムーア/シャロン・ストーン/リンジー・ローハン/イライジャ・ウッド/ウィリアム・H・メイシー/ヘレン・ハント/ローレンス・フィッシュバーン

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その日もアンバサダーホテルには様々な人々が居合わせていた。
如才ないホテルの支配人、不満を募らせる厨房の見習い、恋に悩む電話交換手、客の悩みに親身に耳を傾ける美容師、二人だけで結婚式を挙げる若いカップル、倦怠期の裕福な夫婦、酒浸りの歌手、選挙運動のスタッフ…。
そこへカリフォルニア州予備選挙に勝利した次期大統領候補ロバート・F・ケネディ上院議員が現れる。
誰もが歓喜に酔いしれたその夜、悲劇は起きた…
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ボビーとは第35代アメリカ合衆国大統領のジョン・F・ケネディの実弟で、兄が大統領の時は司法長官を努めたロバート・F・ケネディの愛称である。
兄と同様に大統領指名候補選挙中にアンバサダーホテルで暗殺された。
これはその時その場に居合わせた人々を扱ったドラマである。

ボビー本人は当時の映像のみで登場する。
ベトナム戦争、公民権運動に揺れるアメリカ社会。
キング牧師暗殺が暗い影を落とす・・・
そうした背景がケネディの選挙キャンペーンニュースとして流れる。

それらの映像を観ているといかにケネディが明るい希望の星として人々に受け入れられていたかが感じられる。
それゆえにアンバサダーホテルでのケネディ暗殺が人々に与えた影響は計り知れないものがあったのだろうと推察させられる。
大統領への当選確実性が高まるにつれ、それを快く思わない勢力が存在したのだろう。

そんなアンバサダーホテルを訪れる人々の日常ドラマがこの映画である。
ストーリーもさることながらこの映画、なんと言ってもキャストがすごい。
久々に観るエミリオ・エステヴェスはメガフォンを取ると同時に自ら出演し、上記にあげた豪華キャストの他にもエステヴェスの実父マーチン・シーンやクリスチャン・スレーター、デミ・ムーアの夫アシュトン・カッチャー(「バタフライ・エフェクト」に主演していた)も登場する。
ギャラの総額いくらなんだろうなどと想像してしまう・・・

ケネディはケネディとして、みんながみんなそれぞれの立場で人生の一日、運命の1968年6月5日をたまたま同じアンバサダーホテルで過ごす。
実際にそのうちの何人かはケネディ暗殺の現場で流れ弾を受けて負傷する。

人の数だけドラマがある。
それを地で行くドラマである。
歴史に「もしも」はつきものであるが、もしも暗殺されなければボビーは確実に第37代アメリカ大統領になっていただろう。
アメリカが通過した激動の時代の息吹を感じさせる人間ドラマである。


評価:★★★☆☆
posted by HH at 23:42 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2008年05月25日

【フリージア】My Cinema File 215

フリージア.jpg

2006年 日本
監督: 熊切和嘉
出演: 玉山鉄二/西島秀俊/つぐみ/三浦誠己

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近未来。
治安が悪化した戦時下の日本に、犯罪被害者が加害者に対して復讐できる法律「敵討ち法」が成立する。
敵討ち執行代理人となったヒロシ。
淡々と任務をこなしていく彼の前に、15年前の幻が現れる。当時少年兵だったヒロシは、上官に連れられある極秘兵器の実験に立ち会っていた。
目の前で孤児たちが犠牲となり、彼自身も兵器の後遺症ですべての感覚と感情を失ってしまったのだ。
その元上官が、次の敵討ちの対象者だと知り…
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この映画も漫画が原作らしい。
何よりも設定が面白い。
近未来の日本。
戦時下にあり、犯罪被害者が加害者に復讐できる「仇討ち法」が制定されている。
一定のルールの下で代理人を雇い仇討ちが許されるのだ。
そして加害者側にも警護人なる護衛を雇う権利が与えられている。

そういう社会では当然仇討ちを請け負う者が出てくるわけで、それがこのドラマに出てくる「カツミ執行代理人事務所」なのである。
こういう設定がしっかりしているとドラマが締まる。

そこで執行代理人として働く叶ヒロシが主人公。
過去の事件の後遺症で痛みを感じないヒロシ。
無表情に仇討ちを執行していく・・・

背景に流れる仇討ち執行告知の町内アナウンスだとか、次々と読み上げられる戦死者のニュースなどが妙にリアルである。
当然、人権などに対する配慮もされていない様子が伺える。
これはこれで恐ろしい。
こういう社会にしてはいけないというメッセージのようでもある。

事務所の執行事務官であるヒグチという女性も何やら訳ありの様子が伺える。
感情を表に出さず、淡々と仕事をこなしていく。
そうして観ている方もいつの間にか近未来の日本に引きずり込まれていく。

しだいに明らかになっていくヒロシとヒグチの過去。
感情を失ってしまったかのような無表情な二人にやがて感情が芽生えていく。
妙にリアルで不気味な近未来社会に触れながら、なんとも言えない世界を堪能できる映画と言える。

主演の玉山鉄二は「手紙」とはまた感じの異なる役柄であるが、独特の雰囲気があり次回作が楽しみな感じがする。


評価:★★☆☆☆
posted by HH at 22:01 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(1) | SF/近未来ドラマ

2008年05月24日

【アクセル】My Cinema File 214

アクセル.jpg

原題: The Final Contract 
2006年 ドイツ
監督: アクセル・サンド
出演: ドリュー・ファラー/ケン・ボーンズ/サム・ダグラス/アリソン・キング/ジョエル・カービー

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叔父の運送会社に勤めるデヴィッドは、バルセロナに留学するジェニーに告白できないちょっと気弱な青年。
そんな彼が配達に出た時、突然車に美女が乗り込んでくる。
そして銃撃、カーチェイス。
わけのわからぬまま謎の美女とホテルに逃げ込む。
朝を迎えた彼を待っていたのは迫り来る警官隊であった・・・
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前回の「フルスピード」に続いてのドイツ映画。
と言ってもなぜかタイトルは「The Final Contract」、そして始まってすぐ気がつくがセリフが英語・・・
よくわからない。
まあそれはそれ。

何かカーアクションの映画かと思っていたが、どうもそうではない。
厳重な護衛を破り立て続けに重要事件の証人3人のうち2人が殺される。
犯人はロルカと呼ばれるなぞの殺し屋。
姿を見せない謎の暗殺者。
つかみは非常にいい。

ジェニーとうまくいかずに気落ちするデヴィッドの車に突然乗り込んでくる美女。
しかし追われているという言葉と同時にカーチェイスと銃撃。
車はボロボロになる。
カーアクションでは「フルスピード」を上回る。
期待度も上がる。

しかし、後半から失速。
あれれっ?と思う展開。
あまり映画で重箱の隅をつつくような矛盾点を指摘するのはいかがかと常日頃思っているものの、それでもこれはひどいなと思う。

あれだけの腕前を持つ暗殺者が、気弱な青年デヴィッドに警戒厳重な証人の暗殺をさせるという展開はどうなのよ?
おまけにデヴィッドより格闘上手な暗殺者がちょっと殴りあっただけで何で逃げるの?とか・・・

「ジャッカルの日」のような凄腕のスナイパーならぴりりとしまる映画も最後の雑な展開に駄作に成り下がる。
クライマックスは目を覆う惨状・・・
前半が前半なだけに残念である。


評価:★☆☆☆☆
posted by HH at 14:13 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | アクション

2008年05月22日

【フルスピード】My Cinema File 213

フルスピード.jpg


原題: Vollgas - Gebremst wird spater/Full Throttle
2005年 ドイツ
監督: ラーズ・モンタグ
出演: バレリー・ニーハウス/サーシャ・ゲーペル/ヤン・ソスニオク/ハラルド・クラスニッツァー


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天才的な運転技術を持ちながら、職を失った男。
次に得た仕事は美しい社長夫人のお抱え運転手だったが、その車が制御不能となる。
男は警察からも追われることに・・・
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ドイツ製のカーアクション映画という事でちょっと珍しく思い観てみた。
「天才的な運転技術を持ちながら・・・」というキャッチフレーズに期待したのであるが、そんな片鱗はかけらも見せてくれない。
運転していた車に爆弾を仕掛けられ、ドアも開かなくなる。
指示通りに走らなければ爆破すると脅されてドライブを始める男と社長夫人。
事情をしらない警察が追跡する。
そしてカーチェイス。

「さあて見せいただくか」と期待をよそによくありがちなカーチェイス。
果たして「チェイス」とまでいくのだろうか?
そしてあっけなく犯人に迫る。
むしろ車椅子の友人の方がよっぽどの大活躍で男を助ける。

なんと評価すべきか難しいところ。
お隣のフランスの「タクシー」シリーズのはちゃめちゃドライブと比べると雲泥の差がある。
残念ながら「空ぶかし」に終わった映画と言えよう・・・


評価:★☆☆☆☆☆
posted by HH at 21:18 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | アクション