
原題: DER KRIEGER UND DIE KAISERIN
2000年 ドイツ
監督: トム・ティクヴァ
出演:
フランカ・ポテンテ:シシー
ベンノ・フユルマン:ボド
ヨアヒム・クロール
ラース・ロドルフ
ルドガー・ピストール
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シシーは精神病院に勤める看護婦。
友人から頼まれて病院へ向かう途中で交通事故に遭い、瀕死の状態のところを逃走中の強盗犯ボドに命を助けられる。
運命を感じた彼女はボドを探し再会を果たす。
だが彼は銀行強盗を計画中だった。
彼女は銀行強盗に巻き込まれ、二人の運命は大きく変わっていく…
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ここのところドイツ映画が多くなっているが、これもその一つ。
ちなみにセリフはドイツ語である。
冒頭のシーン。
一人の男が手紙を書き終えてそれをポストに投函する。
その手紙がポスト内に投函されるところから郵便局内で仕分けされ、配達されてシシーの手元に届くまでをカメラが追う。
ここは「ロード・オブ・ウォー」の冒頭シーンで兵器工場で作られた銃弾が梱包され、一連の輸送ルートを経て銃に装弾され、やがて実践で使用され人間の頭に撃ち込まれるまでをカメラで追うシーンを思い出させられた。
これから始まるドラマでこの手紙が重要な意味を持っているのだろうか、と思わせられた。
さて、その手紙を受け取った看護師シシー。
患者に人気も高いのだが何となく日常生活に疑問を抱いている。
だがどうしてよいかもわからない。
それが突然の交通事故に遭う。
薄れる意識の中で、現場に居合わせた男に命を救われる。
その出会いが運命ではないかと感じ、その男を探し出す。
その探し方がまた凄かったりするのである。
事故の時一緒にいた盲目の患者。
それが恐ろしい能力の持ち主で、何ヶ月も前のその事故のシーンの一連の音を記憶していて、その中から男の足音を思い出しそれがどこから聞えてきたかを伝えるのである。
精神病の患者には時として一つの能力がずば抜けて優れている事が多々あるが、そういう事例を知っているだけにこういう能力もすんなり受け入れられてしまう。
そうしてたどり着いた男が心に傷を持つ強盗犯であった。
運命を感じるが故に男に冷たく拒否されるシシー。
なんとなく「日常生活に疑問を感じ何かをしたいが何をしたら良いかわからない」という気持ちは理解できる。そういうシシーが、男がアウトローであってもそんな事よりもこの出会いが自分にとって大事なものでありそうな何かを感じる、そういう気持ちがよく伝わってくる。
その先どうなるかはわからない。
映画もそこまでは描かない。
誰にでも同じような思いは多かれ少なかれあるのではないだろうか。
タイトルのプリンセスは病院で人気のあるシシーの事。
ウォリアーは軍隊上がりの男の事。
タイトルからは別のイメージを抱いてしまうが、味わいのある人間ドラマである・・・
評価:★★☆☆☆