
2006年 日本
監督: 市川崑
出演:
石坂浩二:金田一耕助
松嶋菜々子:野々宮珠世
尾上菊之助:犬神佐清 / 青沼静馬
富司純子:犬神松子
松坂慶子:犬神竹子
萬田久子:犬神梅子
仲代達矢:犬神佐兵衛
<映画.com>
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76年に角川映画の第1作として公開され大ヒットを記録した同タイトルを、市川崑監督&石坂浩二主演という当時のコンビのままで30年ぶりにリメイク。昭和22年、信州諏訪・犬神財閥の当主佐兵衛が逝去。犬神家の顧問弁護士である若林はその遺言書を巡って家族内で問題が起きることを予期し、東京から探偵の金田一耕助を諏訪へ呼び寄せる。だが、金田一が諏訪に着いた日に若林が殺害される。プロデューサーは「呪怨」「リング」の一瀬隆重。
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信州の製薬王・犬神佐兵衛が亡くなった。
血縁関係者が揃った場で公開された遺言状には、3人の孫のいずれかとの結婚を条件に全財産を、佐兵衛の恩人の孫娘・野々宮珠世に譲渡するという内容だった。
珠世をめぐる3人の男たちによる争奪戦が繰り広げられ、遂には殺人事件が。
遺言状を預かる法律事務所から仕事の依頼を受けた名探偵・金田一耕助は捜査に乗り出すのだが、第2、第3の殺人事件が起きてしまう・・・
かつて金田一耕助の登場する横溝正史のシリーズはドラマ・映画化されブームとなった。
この映画も1976年に製作されたもののリメイクである。
30年振りのリメイクとなるわけであるが、テーマ音楽は変わらず主演の石坂浩二も同じというリメイク版も不思議な感じがする。
ストーリーはもうお馴染みになつてしまった感がある。
莫大な財産を残して犬神佐兵衛が亡くなる。
死の床にあって犬神家の一族が揃うわけであるが、父親の死を悲しむよりも遺産が気になる。
欲の権化の集合である。
もっとも子供たち(三姉妹)といってもすべて母親は異なるといった有様で、父親の死を悲しもうとしないのは身からでたサビなのであろう。
そして、争ってくれと言わんばかりの遺言状の内容。
唯一すべての財産を相続する権利を与えられた恩人の孫娘・野々宮珠世は、しかし権利を得るためには3人の孫の誰かと結婚しなければならない。
(ここで遺留分がどうのこうのなどといってはいけない)
財産のために決められた中から相手を選ぶか、好きな相手と結婚するために財産を諦めるのか、悩ましい選択である。
しかも対象者が次々と殺され、最後に残ったのは戦争で顔におぞましい怪我を負った佐清(すけきよ)だけ・・・
自分ならどうするであろう・・・
金田一耕助が事件に臨むのであるが、しかしこの作品ではするどい推理もお預け。
なぜなら事件は自然と解決に向かうのである。
戦争で負傷したという理由でマスクをつけた佐清(すけきよ)。
彼が事件の鍵を握るのである。
莫大な遺産を巡る欲望の絵巻という形容がぴったりとくる一族。
推理小説というよりも欲望の人間ドラマというべきストーリーである。
昭和22年という時代設定もドラマに深みを与えているが、30年たった今日ではかつて感じた「横溝正史シリーズ」の持つインパクトが薄くなったと感じるのは私だけであろうか。
かつての雰囲気が懐かしく思える映画である・・・
評価:★★☆☆☆