2008年08月31日

憑神

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2007年 日本
監督:  降旗康男
原作 : 浅田次郎
出演: 妻夫木聡/夏木マリ/赤井英和/香川照之/西田敏行

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幕末。
別所彦四郎は、婿養子に行った先から離縁され、兄夫婦の家に居候という、肩身の狭い思いをしていた。
あるとき彦四郎は、旧友、榎本武揚と再会する。
そば屋の親父が言うには、榎本が出世したのは、向島にある「三囲り(みめぐり)稲荷」にお参りしたからだという。
その帰り道、酔った彦四郎は「三巡り(みめぐり)稲荷」を発見。
ここぞとばかりに神頼みする彦四郎だったが、それは「みめぐり」違いで、災いを呼び寄せるお稲荷様だった…
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原作は浅田次郎の同名小説。
これがなかなか味わい深い小説で、映画の方も是非観てみたいと思っていたものだ。
だがやはり小説を読んでしまうと映画はどうしてもダイジェスト版。
ちょっと物足りないものを感じてしまう。

主人公の彦四郎は本家に居候する日々。
一度婿養子に行ったのであるが離縁されて出戻っていたのだ。
この時代は長男が家督を相続する時代。
次男以降はなんとか婿養子の口を見つけて家を出ないと居候の無駄飯食いになってしまう。
そこで剣術に学問に人一倍精を出したという。

彦四郎もそうした一人かあの榎本武揚と肩を並べる優秀さであったという。
なのに榎本は大出世し、自分は燻っている・・・
どこの世にもありそうな悲哀である。

そんな彦四郎に「ご利益」を囁くそば屋の親父。
酔った勢いでふと見つけた「三巡り(みめぐり)稲荷」。
ここぞと手を合わせたら、そこは同じ「みめぐり」でも違う神様。
それからやってくる3人のゴーストならぬ3人の神。
「貧乏神」「疫病神」「死神」。

それぞれの神が呉服屋、相撲取り、少女の姿でやってくる。
ディケンズの「クリスマス・キャロル」を髣髴させる展開であるが、神々との出会いを通じて主人公があるべき姿にたどりつくストーリーも同様である。
そして観る者に自分にあてはめて考えさせる事も・・・

幕末という時代設定も絶妙である。
時代が大きく激変する。
今までの価値観が揺らぐ。
それは代々将軍の影武者という役目を守り続けてきた別所家にも襲いかかる。

今までは家柄を守る事が己に果たされた役目であった。
昨日と同じ一日を今日もそして明日も大過なくすごせばそれでよかった。
しかし、黒船来航からグローバル化にさらされ、時代の波に乗ったものが大きな成功を収める。
ここでは榎本武揚を登場させそれを表す。
「今までのままでいいのか」と己に問いかける者と必死になって耳をふさぐ者。
当時の武士たちも現代のサラリーマンと同じ課題を抱えていたのだろうか。

それぞれの神々と対峙しながら己の人生と向き合う彦四郎。
「これからどうなっていくのだろう」
「これから何をすればよいのだろう」
そして最後に己の取るべき道を決めた彦四郎。
武士道にのっとり堂々と決断を下した姿は、時代はどうあれ男はかくあるべしと観る者に伝えているように思える。

ただし、小説の方が最後はぐっとくる。
浅田次郎はやっぱり小説で味わうべきなのだろう。


評価:★★☆☆☆
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2008年08月30日

ゴーストライダー

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原題: Ghost Rider
2007年 アメリカ
監督: マーク・スティーヴン・ジョーンズ
出演: ニコラス・ケイジ/エヴァ・メンデス/ウェス・ベントリー/サム・エリオット/ピーター・フォンダ

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父・バートンと共にスタントライダーをしていたジョニー。
だが、ある日、父親が癌に冒されていることを知る。
ショックを受けるジョニー。
そんな彼の前に悪魔メフィストが現れた。
ジョニーはメフィストと契約し、自分の魂と引き換えに父親を助けるが、結局事故で死んでしまった。
メフィストは癌こそ治したが、事故でバートンを殺したのだ。
そしてメフィストは「お前が必要になったらまた現れる」と言い残して姿を消した…
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またまたアメコミ原作の映画化作品である。
夜になると悪人に触発されて全身炎のどくろマンになってしまう男のお話である。
なぜそんな風になってしまったかというと悪魔と契約したからなのである。
その悪魔メフィストがなんとピーター・フォンダ。
昔懐かしい俳優さんだ。
ジェーン・フォンダさんはどうしているのだろうかなどと思ってしまう。

さて悪魔メフィストと詐欺のような契約を結ばされたジョニー。
「お前が必要になったらまた現れる」と言い残してメフィストは消える。
その後危険なスタントに次々と挑戦し名を成すジョニー。
何せなんとなく悪魔の力で自分は死なないと感じているのだから、無謀とも思える挑戦にも怖気づかないのだ。

月日が流れ「その時」がやってくる。
メフィストの子供ブラックハートが地上に現れ、強大な力を持つ「サン・ヴェンガンザの契約書」を探す。
ブラックハートを退治せよとメフィストの命令が下る。
ここらへんはよくわからない。
悪魔だから善良な人々の魂でも集めてこいと非常な命令を下すのならともかく、親子喧嘩に利用しようというのだから・・・

悪魔の力でゴーストライダーとなったジョニー。
贖罪の目(ペナンス・ステア) という武器で悪人の心を改心させてしまう。
なんで悪魔の手先が悪人を改心させるのだろう?
ここらあたりは原作を読まない限りはわからないのだろう。
まあ深く考えずにそういうものとして観るのが一番である。

かくて昔の恋人をも巻き込んだゴーストライダーとブラックハートの対決へと突入する。
善と悪の対決なのか、悪と悪の対決なのかはよくわからないが、力を抜いて楽しめる映画である。
ニコラス・ケイジがこういう映画に出るというのも何かイメージが違うような気もしていたが、それはそれで十分にマッチしていた。
これからシリーズ化されるのだろうか・・・


評価:★★☆☆☆



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2008年08月28日

限界戦線

POSLEDNIY BRONEPOEZD.jpg


原題: POSLEDNIY BRONEPOEZD/THE LAST ARMORDE TRAIN
2006年 ロシア/ベラルーシ
監督:  ジノヴィー・ロイズマン
出演: アンドレイ・パニン/ デニス・ニキフォロフ/アンソレイ・ソコロフ/エカテリーナ・レドニコバ/ マリナ・アレクサンドロヴァ

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第2次大戦中の独ソ戦線。
ドイツ軍の工作部隊がソ連守備隊を殲滅して鉄橋を奪う。
奪還を図るソ連軍は秘密兵器である軍用列車を動員しようとする。
ドイツ軍とソ連軍の鉄橋を巡る戦いが始まる・・・
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ロシア映画というモノ珍しさもあって観ることにした。
ロシアではやはり戦争といえば対ドイツ戦争なのだろうか。
アメリカはコンバットに代表される第2次大戦ものからベトナム戦争へ。
そして最近はアフガン・イラクと移ってきた。
(それだけたくさん戦争しているという事でもある)

さて観ていて違和感を覚えた。
そしてその原因はすぐにわかった。
ドイツ兵が喋る時(たぶんドイツ語)、そこに言葉が被るのだ。
たぶんロシア語の翻訳だ。
しゃべっているのが女でも男のロシア語が入る。
アメリカ映画だと全部英語だからこんな事はない。
ドイツ人だからドイツ語と律儀に作ったのだろうか。
でもその翻訳は棒読みのような気がするのだ・・・

ストーリーは何やら恩赦の条件として戦線に送られた政治犯が主人公。
戦線に送られる途中でドイツ軍の攻撃を受け、輸送部隊はバラバラとなる。
そこから仲間を引き連れ独自に友軍への合流を図る。
ソ連兵に偽装したドイツ軍部隊と交錯しながらもソ連軍の装甲列車を手中にし進撃する。

大変勇ましいのであるが、敵対するドイツ兵はお粗末そのもの。
すぐにバタバタと倒れてしまう。
やる気あんのか、と一喝したくなるほどだ。
まるで学芸会のような戦闘シーンなのだ。
そんなどうでもいいような戦闘を経てようやく無事友軍に合流する。

どうでもいいような戦闘にどうでもいいような殴り合い。
どうでもいいようなラブシーンがおまけについてくるロシア映画。
物好きな方には是非ともお勧めしたい映画である。


評価:☆☆☆☆☆

posted by HH at 23:45 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(1) | 戦争/戦場ドラマ

2008年08月27日

アンノウン

Unknown.jpg

原題: Unknown
2006年 アメリカ
監督: サイモン・ブランド
出演: ジム・カヴィーゼル/バリー・ペッパー /グレッグ・キニア /ジョー・パントリアーノ/ジェレミー・シスト/ブリジット・モイナハン

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ハイテクの錠に閉ざされた廃棄工場の中で、意識を取り戻した5人の男たち。
毒性のガスを吸い込んだ彼らは、一時的な記憶喪失におちいり、自分が誰なのかも思い出せなくなっていた。
ひとつだけ分かっているのは、5人のうち2人が人質で、3人が誘拐犯だということ。
いったい自分はどちらなのか?誰が敵で、誰が味方なのか?
そこに鳴り響く電話のベル。
それは、誘拐犯のボスからのものだった……
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突然目覚める男。
周りは見覚えのない工場の廃屋。
見渡せば椅子に縛り付けられている男。
手錠につながれている男・・・

突然のシチュエーションに戸惑うのは主人公の(記憶喪失で名前もわからない)ジム・ガヴィーゼルだけではない。
観ている者も戸惑う。
なんとなくあの「ソウ1」を連想させるようなスタートだ。

だんだんと状況が判明してくる。
5人のうち2人は誘拐された人質で残りは犯人グループ。
全員が記憶喪失で誰が誰だかわからない。
まさに「Unknown」である。

一方身代金を受け取ったボス一行は人質のいる工場へと向かう。
ボスが戻れば誰が誰だかわかる。
しかし、その時人質は殺される可能性が高い。
自分が人質(善人)であれば助からない。
犯人(悪人)であれば助かるが、犯罪者である事になる。
究極の選択だ。

一体どっちがいいだろう。
観る者はジム・ガヴィーゼルと同体化している。
さて彼はどっちなのだ。
とりあえず5人で協力して脱出を試みるがうまくいかない。

断片的に脳裏をよぎる記憶。
疑心暗鬼。
観ながら組み合わせを想像できて楽しい。
そしてクライマックスで一気に明らかになる。

善と悪とが交互にひっくり返る。
果たしてジム・ガヴィーゼルは善なのか悪なのか?
なるほど、と唸る結末。
そうかぁ〜という感想を漏らした途端、もう一ひねり。
小粒な感がしてちょっと残念であるが、ストーリーは面白い。


評価:★★★☆☆

posted by HH at 21:40 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | サスペンス

2008年08月26日

300スリーハンドレッド

300.jpg


原題: 300
2006年 アメリカ
監督: ザック・スナイダー
出演:  ジェラルド・バトラー /レナ・ヘディー/デイビッド・ウェナム/ドミニク・ウェスト/ビンセント・リーガン

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紀元前480年。
スパルタ王レオニダスのもとに、圧倒的な軍力を誇るペルシア帝国・クセルクセス王の遣いがやって来た。
曰く、土地と水を差し出さなければ、国を滅ぼすという。
しかしレオニダスは遣いを葬り去り、ペルシアと戦う道を選んだ。
託宣師のお告げも無視し、テルモピュライでの決戦に挑むスパルタの精鋭たち。
その数はたった300人。
対するペルシアの軍勢は、なんと100万の大軍だった…
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今もギリシアに遺跡の残る古代ギリシアの都市国家。
その一つであるスパルタ。
子供が生まれると長老の面接を受け、虚弱者は山奥の洞穴に遺棄されたという。
そして男子は7歳で家庭を離れ共同生活を送り、12歳から本格的な肉体的訓練とスパルタ人としての教育を受ける。
軍事訓練の一つとして、物を盗み殺害することも奨励されたらしい。
今でもスパルタ教育という言葉にその名残がある。

そのスパルタが舞台。
強大な勢力を誇るクセルクセス王率いるペルシャ軍がギリシア都市国家群に迫る。
余裕のペルシャ軍はスパルタに使者を送り服従を勧告する。
しかし、誇り高きスパルタの王レオニダスはこれを拒絶し使者を殺してしまう。

迫りくるペルシャ軍。
しかし、神の宣託によりカルネイア祭の期間中はスパルタ軍の出動は認められない。
圧倒的な数を誇るペルシャ軍に対し、対抗するためには地の利を活かさねばならない。
そのためにレオニダス王は護衛と称して300名の選りすぐりの兵士を連れて出撃する。
タイトルの「300」はここに由来する。

歴史の教科書にも載っているテルモピュレーの戦いである。
ペルシャ軍の軍勢は100万。
学説によると実際は6万人ぐらいという事である。
対するギリシア側はスパルタの精鋭300人にその他の都市国家の軍を含めて7千人くらいだったらしい。

長い槍と盾を持ち相互に守る隊形で闘ったという事だが、それは映画で再現されている。
幼少より鍛え抜かれた肉体を武器に敵を次々になぎ倒すスパルタ軍。
峡谷に導いて地の利を活かし、数がハンディにならない闘い方を選ぶ。
スパルタ兵の刀が振り下ろされるたびに飛び散る血しぶきに手足。
R−15指定もやむを得まい。

詳細はともかく大まかなところでテルモピュレーの戦いをハードな戦闘シーンを交えて描いたこの映画は一見の価値あり。
数では圧倒的に不利ながらも戦略を練り、強いリーダーシップで少数精鋭を率いたレオニダス王の闘いっぷりも見事である。

古代ギリシアの歴史に思いを馳せて観てみたい映画である。


評価:★★★☆☆

posted by HH at 22:34 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | アクション