2008年10月30日

イーグル・アイ

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原題: EAGLE EYE
2008年 アメリカ
監督: D・J・カルーソー
製作総指揮・原案 : スティーヴン・スピルバーグ
出演 : シャイア・ラブーフ/ミシェル・モナハン/ロザリオ・ドーソン/ビリー・ボブ・ソーントン/イーサン・エンブリー

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「私の言うとおりにしなさい さもないと死ぬことになる」
突然かかってきた1本の電話。
その瞬間から、コピーショップの店員ジェリーと、法律事務所で事務係として働くシングルマザーのレイチェルの平凡な生活は一変する。
アリアという謎の女性に引き合わされたまったく面識のない男と女。
彼らの愛するものを奪い、目的も知らせぬまま、次々と指示を伝え秒単位で行動させていくアリアは、二人を戻ることのできない恐怖へと巻き込んでいく…
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冒頭、亡国砂漠地帯。
偵察衛星からもたらされる映像。
コンピューターが重要テロリスト本人かを推定し、作戦決行か中止かを巡って緊迫感あるやり取りが交される。
そして本人の可能性51%という中でコンピューターは中止勧告を出すものの大統領からGOサインが出て、ミサイルが発射される。
一瞬にして吹き飛ぶ人々・・・
ここまで監視されそれと知らぬ間にこの世から消されてしまう。
あながちフィクションとも言えないだけに恐ろしい。

場面変わって突然1本の電話がかかってくる。
「30秒後にFBIが来るから逃げろ」
そんな事いきなり言われたってこまるよな。
主人公のジェリーもうろたえているうちにFBIに逮捕される。
そういえば「マトリックス」も最初にこんな展開があった。
やっぱりネオも捕まってたし・・・
さらに謎の電話は続けてかかって来る。

FBIから逃れたあとも謎の声は次々に指示を飛ばす。
同じように子供を人質に取られたレイチェルも謎の声の脅迫によりジェリーを助けて追ってから逃れる。
的確な指示ばかりでなく、謎の声は信号を変え無人のクレーンを操ってパトカーの追跡を妨害する。
見えざる手に導かれて二人は脱出に成功するが果たして謎の声の正体は誰なのか。

謎の声はあらゆるコンピューターのネットワークを駆使し、何らかの目的のもと二人を導く。
最後の最後まで息もつかせない展開が続く。
いろは坂を猛スピードで駆け下りているような感覚だ。
これは紛れもなく★×4だなと感じながらラストまで引き込まれる。
しかし、最後の最後でコケル。

どうしてもアメリカ映画はああいうエンディングにしたいのだろう。
感動チックだっただけに残念だ。
だが面白い事は面白い。
見終わってどっと疲れが出た。
エキサイティングな映画を観たい人にはお勧めだ。


評価:★★★☆☆



ネタバレ覚悟で続きを読む
posted by HH at 21:48 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(5) | スリリング

2008年10月26日

リトル・チルドレン

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原題: LITTLE CHILDREN
2006年 アメリカ
監督: トッド・フィールド
出演:  ケイト・ウィンスレット/パトリック・ウィルソン/ジェニファー・コネリー/ジャッキー・アール・ヘイリー

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郊外の街に住む主婦サラは、いつも娘を遊ばせに来る公園での主婦付き合いに飽き飽きしていた。
そんなある日、司法試験勉強中の“主夫”ブラッドが息子と公園にやってくる。
互いの存在に興味を抱いた2人は、子供をダシにして市民プールで毎日会うようになる。
そんな中、子供への性犯罪で服役していたロニーが釈放され、街に帰ってくる。
ブラッドの友人で元警官のラリーはこれに過敏に反応、ロニーと老母への執拗な嫌がらせを開始するが…
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タイトルは「リトル・チルドレン」となっているがこれはR−15指定の立派な不倫映画である。

冒頭で主婦サラが公園で子供を遊ばせている。
しかしどうしてもまわりの主婦とはあわない。
日本でも「公園デビュー」などと言われ、新米ママが緊張したりするようであるが、アメリカでもこういうところは似通っているらしい。

そこにやってくるのは主夫ブラッド。
アメリカらしく奥さんが働き、司法試験の勉強という建前はあるもののご主人が家の事をやっているのだ。
イケメンなので主婦連中は影でキャーキャー言うものの言葉すら交さない。
サラは5ドルを賭けて電話番号を聞きに行き、そこから二人の関係が始まる。

なぜか平行して性犯罪の前科を持つロニーが登場する。
近所ではロニーの排斥運動が展開され町中に顔写真が貼られまくる。
元警官のこれもちょっと危ない男が執拗に嫌がらせを繰り返す。
アメリカでは性犯罪者情報が登録・公開されるためであるが、日本では考えられない状況だ。
しかし、性癖などというものは刑務所に入ったくらいでは治る事はなくこのくらいした方がいいのかもしれない。
ロニーも危ない変態行為を繰り返すがどうもストーリーのサイドメニューとしてはどうなのかと思う。

いつの間にかどっぷりと不倫関係に染まったブラッドとサラ。
ブラッドの奥さんがこれに気付く。
いわゆる女の勘というやつだが、男としてはちょっと背筋が寒くなる。
やがて二人の不倫とロニーの変態騒動に区切りがつく。
他愛もないといえば他愛もないお話である。

ケイト・ウィンスレットは「タイタニック」からはや10年。
子供のいる主婦を演じていても違和感がない。
ジェニファー・コネリーも「ワンス・アポンナ・タイム・イン・アメリカ」の美少女から随分と大人になった。
ロニー役のジャッキー・アール・ヘイリーも「頑張れベアーズ」では美少年だった。

ストーリーとは別にそんなところに月日の流れを感じる。
ちょっと軽い息抜きにはいいかもしれない。


評価:★★☆☆☆
posted by HH at 11:44 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2008年10月25日

故郷の香り

故郷の香り.jpg

原題: 暖/NUAN
2003年 中国
監督: フォ・ジェンチイ
出演: グオ・シャオドン/リー・ジア/香川照之

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北京の役所に勤め、妻も子どももいるジンハーが、大学に合格して以来10年ぶりに故郷の村に帰ってきた。
すぐに北京に帰るつもりだったジンハーだが、村の橋で初恋の人・ヌアンと再会し、彼はヌアンの家を訪ねる。
ヌアンは耳と口が不自由なヤーバと結婚しており、6歳になる娘がいた。
ジンハーはヌアンと2人で学校に通った昔を思い出す。
2人で乗った村のブランコ。
村にやってきた劇団員に恋するヌアンと、それに嫉妬する自分。
そしてヌアンに自分の思いを告げたことなど・・・
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誰でも「あの時ああしておけば・・・」という想いはあるはず。
そうしていたらもっと違った人生を送っていたはず、と・・・
ただ誰もがそうして送っていたであろう別の人生を想い現実と比較してどうにもならないという事実をただ受け止めるだけしかできないのだが・・・
この映画はそんな想いを強くさせる映画である。

映画はジンハーが10年ぶりの里帰りをするところからはじまる。
川の橋の上ですれ違ったくたびれ果てた姿の足の不自由な農婦が昔の恋人ヌアンだと気付く。
かつて必ず迎えに来るとヌアンに言い残して村を出たジンハー。
ヌアンは村でバカにされていた聾唖のヤーバと結婚していた。

ヌアンの家を訪ねていくジンハー。
過去の出来事と現在が交互に綴られていく。
幼馴染であった二人。
今はそれぞれ別々の所帯をもって子供もいる。
どこでどうして道が違ってしまったのか。
田舎の景色の中でそれが綴られていく。

起承転結のはっきりしたストーリーではない。
ゆっくりと流れる川のようにストーリーは進む。
ドラマチックな出来事もなく、キスシーンすらない静かな恋愛ドラマ。

迎えに来ると言いながらそれを果たさなかったジンハー。
迎えを待っていたであろうヌアンは村でバカにされていたヤーバと結婚し貧しい暮らしを送っている。
贖罪感を持ちながらも懐かしさを押さえられないジンハー。
思い出の日々が蘇る。

再会の一時を過ごし北京のもとの生活へと戻っていくジンハー。
自分が不幸にしてしまったヌアンへの贖罪感にまみれての帰り道。
思いもかけない形で知ったヤーバのヌアンに対する愛情によってヌアンもまた幸せなのだと気付く。
静かに心に染み渡るストーリー。

なぜだか宮川照之が出演している。
聾唖の役だから言葉はいらない。
しかしとっても大事な役柄だ。
あらためてその存在感を意識させられる。
経済大国として猛発展している中国。
映画の世界でも大国入りは間違いない。

「もしもあの時・・・」という切ない想い出を持っている人なら是非とも観ておきたい映画の一本だ。


評価:★★★☆☆

posted by HH at 22:56 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 中国/香港/台湾映画

2008年10月19日

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊

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1995年 日本
監督: 押井守
出演: 田中敦子 (草薙素子(声))/家弓家正(人形使い(声))/大塚明夫(バトー(声))/山寺宏一(トグサ(声))/仲野裕 (イシカワ(声))

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2029年、企業のネットが星を被い電子や光が駆け巡っても国家や民族が消えてなくなるほど情報化されていない近未来。
場所は、アジアの一画にある企業集合体国家。通信ネットワークの飛躍的な進歩と人体のサイボーグ化とに伴う電脳犯罪の高度化・複雑化にしたがい、政府は、荒巻部長を責任者、サイボーグの草薙素子少佐を隊長とする非公然で首相直属の特殊部隊・公安9課=通称“攻殻機動隊"を誕生させた・・・
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かねてから噂だけは耳にしていたこの映画。
なかなか腰が上がらなかったが、とうとう観ることになった。
結果としては大後悔。
もっと早く観ておくんだった・・・

冒頭のシーン。
黒の背景に緑の数字の羅列が走る。
主人公草薙は首の後ろにプラグを差し込んでネットにアクセスする。
何だか 「マトリックス」そのままだな、と思う。
しかし、この映画の方が4年早い。
「マトリックス」に影響を与えたのはこの映画の方だとわかる。

テクノロジーが高度に進んだ近未来。
人体の各部はすでに人工物に置き換えられてしまっている。
義手・義足・義眼などという程度ではなく、主人公草薙は全身すべてがサイボーグつまり「義体」。
こうなると何が「人間」の基準かは難しい。
唯一「人格」ともいうべき記憶・感情の塊=Ghostが人間の証となるのであろうか。
しかし、そのGhostすら人工的に作られた存在は果たして人間と呼べるのか。

ストーリーは近未来の政府直轄組織、公安9課が正体不明の謎のハッカー「人形遣い」を追うという単純なもの。
「人形遣い」に操られた者たちは作り出された記憶を植えつけられそうとは知らずに普通に生活している。
本人にはその自覚はまったくない。

他人事のように観ていてふと不安になる。
今こうして当たり前の生活を送っている自分自身の記憶は確実なのであろうか。
誰かに作られた記憶でないとどうしたらわかるのだろうか?
「我思う、ゆえに我あり」などと言っていられなくなる。
デカルトも失業しそうな世界だ。

ストーリーを追いながら、自分自身もわけのわからない世界にはまり込みそうになる。
アニメの枠を超えたアニメ。
こういう映画を作ってしまうところが、日本のアニメのすごいところなのかもしれない。

観ないと確実に損をする映画である。


評価:★★★☆☆
posted by HH at 22:04 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ

2008年10月18日

スパイダーマン3

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原題: SPIDER-MAN 3
2007年 アメリカ
監督: サム・ライミ
出演:  トビー・マグワイア/キルスティン・ダンスト/ジェームズ・フランコ/トーマス・ヘイデン・チャーチ/トファー・グレイス/ローズマリー・ハリス

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今やピーター・パーカーの人生は順風満帆そのものだ。
スパイダーマンとしてはNY市民にヒーローとして愛され、大学では成績トップ、ブロードウェイ・デビューを果たした恋人MJとの関係も良好で、ついにプロポーズを決意する。
ところが、謎の黒い液状生命体に取り憑かれ、復讐と憎しみの感情に支配されたブラック・スパイダーマンになってしまう。
そんな彼の前にこれまでになく手強い敵サンドマンとヴェノムが現れる……
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シリーズ第3弾。
アメコミも単なる勧善懲悪ものに留まらなくなってきている。
ただ単にスパイダーマンが悪をやっつけて終わるという形ではなく、そこに深い人間ドラマが織り込まれるようになっているのである。

本作品では様々な登場人物たちの想いが描かれる。
ピーター・パーカーはスパイダーマンとしてNY市民にヒーローとして愛され、大学では成績トップ、恋人MJにプロポーズする決意をし得意絶頂。
しかしMJはようやく念願かなった舞台は酷評されて降板となり落ち込む。
父親をスパイダーマンに殺されたと信じてひたすら復讐に執念を燃やすハリー。
重病の娘を助ける金が欲しくて強盗に手を染め、脱獄した挙句サンドマンとなるマルコ。
恋人と結婚するために特ダネ写真を追い求め、うまくいかずに黒い怪人ヴェノムとなるエディ。

それぞれの想いが交錯する。
スパイダーマン自身も黒い物体の影響を受けてブラックスパイダーマンとなり、今まで以上の力を手にし、次第に心が黒く染まっていく。
スパイダーマンと闘う怪人たちも根っからの悪人ではなく、それぞれに悲しい事情を秘めている。

世の中はどうしても思い通りに行くばかりとは限らない。
復讐に執念を燃やすハリーももともとはピーターの親友。
短期間の記憶喪失になった時はピーターの親友に戻るのだ。
スパイダーマンへの復讐心も裏返せば父親への愛情だ。

不本意ながらサンドマンとなったマルコ。
強盗を働き(その時にピーターの叔父を誤射してしまう)警察に追われ、サンドマンとなった後は現金輸送車を襲う。
しかし彼は強盗が目的なのではなく、ただ単に愛する娘の病気を治したいだけだ。
ヴェノムに取り付かれるエディもカメラマンとして定職を得て恋人と結婚したいと願うただの青年だ。
そんな彼らが思い通りにならない運命の流れの中でスパイダーマンと死闘を繰り広げる。
悪を退治してもめでたしめでたしとはなりそうもない。

高層ビルを自在に飛び交うスパイダーマンの動きはシャープに描かれ、今の映像技術に改めて満足させられる。
その一方で木々の間に「巣」を張り巡らせてMJと寝転んで夜空を見上げるシーンなどちょっと変わった「糸」の使い方もあって微笑ましい。

アメコミならではのスカットしたアクションあり、良質の人間ドラマあり、幅広く楽しめる映画ではないだろうか。
まだまだ続くのであれば、次回作も大いに期待したいところである。


評価:★★★☆☆
posted by HH at 10:54 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | スーパーヒーロー