
2006年 日本
監督: 浜本正機
出演:
内野聖陽:永吉/傳蔵
中谷美紀:おふみ
中村梅雀:平田屋
石橋蓮司:清兵衛
岩下志麻:おしの
勝村政信:嘉次郎
泉谷しげる:源治
<シネマトゥデイ>
********************************************************************************************************
時代小説の第一人者、山本一力の直木賞受賞作品を映画化した感動作。市井に生きる人々の愛と人情、そして家族の再生を描く。本作の企画には、2003年の『スパイ・ゾルゲ』をもって監督業を引退した篠田正浩がたずさわっている。主演は内野聖陽と『嫌われ松子の一生』の中谷美紀。石橋蓮司や、篠田正浩の実生活での妻でもある岩下志麻など個性派が脇を固める。VFX映像でリアルによみがえらせた永代橋など、江戸の町並みも見どころのひとつ。
********************************************************************************************************
江戸は深川蛤町。職人たちが多く暮らす長屋が並んだ裏町で、井戸から汲み上げた水をじっと眺めている旅姿の男ー京の豆腐屋で修行し、江戸で店を持つためにやってきた永吉ーは、近くに住む桶屋の娘おふみと出会う。お互い惹かれ合うものを感じた二人は、京の豆腐を江戸で売り出すために力を合わす。影で見守る清兵衛とおしのは、幼くして行方知れずになった息子を永吉に重ね合わせ、何かと力になるのだった。
そして18年の時が流れる…
原作は山本一力の直木賞を受賞した小説との事(知らなかった)。
一言で言えば大江戸人情物語である。
冒頭の永代橋。
浮世絵で見たことのある景色そのままの大迫力であるが、このVFX映像というやつは「ALWAYS三丁目の夕日」でもリアル感を見せてくれたが、ここでも威力を発揮。
そこかしこの江戸の街も自然に再現されていて違和感がない。
きっとこうだったんだろうなと思えるのである。
京都の豆腐屋で修行し、一旗上げるべく江戸へと出てきた永吉。
もともと世話好きなのだろうか、上京したての永吉に何くれとなく世話をやくおふみ。
この二人を軸にストーリーは進んでいく。
今では日本の首都東京は日本の中心地。
しかし、当時は江戸幕府によって政治の中心は関東に移っていたものの、京はいまだに「上方」。江戸へは「下る」と表現されていたようである。
そんな「上方」豆腐を広めようと悪戦苦闘する永吉。
同業者の嘉次郎や清兵衛も口では冷たくあしらうが、裏では江戸で繁盛するヒントをくれたり口利きをしてくれたりする。
粋を売り物にした江戸っ子らしさが現れている。
やがて成功し表店を構え3人の子に恵まれた永吉とおふみ。
しかし、長男永太郎と永吉はことごとく衝突する。
永吉の「京や」の成功を快く思わない平田屋は腹に一物を秘めたまま永太郎を取り込む。
内野聖陽が一人二役で賭場を仕切る傳蔵親分として登場。
平田屋の悪巧みに手を貸していく。
真面目一筋に商売をする永吉とおふみ。
後半では平田屋と傳蔵に対して見事な振る舞いをする。
マネーゲームに明け暮れる現代人に「大事なモノ」を示唆してくれるようで、今の時勢にぴったりとあったような映画である。
江戸といえば「人情」。
そして禍福はあざなえる縄の如し。
良いこと悪い事がどちらもやってくる。
人と人は、助け助けられ。
おふみはどんな窮地にあっても「平気、平気」という口癖で乗り越えていく。
現代とは違って何の保証もなかった時代の人々の生きる様。
そんな江戸風情に触れてみたくなったら、この映画を観ればいいかもしれない。
原作も是非読んでみたくなった一作である・・・
評価:★★★☆☆