
原題: The Brave One
2007年 アメリカ=オーストラリア
監督: ニール・ジョーダン
出演:
ジョディ・フォスター:エリカ・ベイン
テレンス・ハワード:ショーン・マーサー刑事
ナビーン・アンドリュース:デイビッド・キルマーニ
ニッキー・カット:ビタール刑事
メアリー・スティーン・バージェン:キャロル
<シネマトゥデイ>
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婚約者との幸せな未来を夢見ていたヒロインが、暴漢に襲われて婚約者を亡くしたのを機に、悪に制裁を加える“処刑人”と化すサスペンス・スリラー。監督は『クライング・ゲーム』のニール・ジョーダン。2度のアカデミー主演女優賞に輝く名女優ジョディ・フォスターが主演と製作総指揮を務めている。共演は『ハッスル&フロウ』のテレンス・ハワード。銃を片手に悪をけ散らすヒロインの変ぼうと、ラスト15分に用意された衝撃の結末に注目だ。
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世の中は理不尽である。
正しく生きていれば常に幸せが訪れるというわけではない。
「なぜ」という疑問と共に突然の災難に襲われる事は珍しい事ではない。
そんな悲劇がエリカ・ベインに襲い掛かる。
結婚式を間近に控え慌しい中にも幸せな日々。
ラジオのパーソナリティとしての仕事も充実している。
婚約者と何気なく出かけた犬の散歩。
そして突然暴漢たちに襲われる。
意識を失って病院に運び込まれる。
救急医療スタッフらが血まみれの衣服を剥ぎ取る最中、無意識の中で婚約者にベッドで服を脱がされる夢を見るエリカ。
夢と現実の対比が物悲しい。
退院してもショックで外出もままならない日々。
ようやく外出できるようになって一丁の銃を買い求める。
偶然居合わせたコンビニで店員を射殺した強盗をその銃で射殺してしまう。
それからエリカの銃が社会の悪者に向けられる。
この映画は復讐の映画である。
この映画は復讐の映画ではあるが、よくあるような勧善懲悪ものではない。
主人公が天に代わって悪を成敗するというものでもない。
目線は常にエリカという暴力には抵抗力のない弱者のものだ。
そして弱者には頼りであるはずの警察もあまりにも事件が多すぎるのか、個々の事件にはどこかよそよそしく機械的で無機質な対応しかしてくれない。
結局は他人事なのかという絶望感に打ちのめされる。
違法な復讐には常に賛否両論が対立する。
エリカの番組にもそうした視聴者の声が届く。
だがそれらはすべて無責任な第三者の声でしかない。
いずれの声もどこか上っ面を撫でるだけで妙案などないのだ。
正義はどんな手段であっても正義として正しいのか。
悪法もまた法なりなのか。
エリカに親身になるマーサー刑事。
同情を寄せつつも連続して起こる正義の殺人犯が彼女なのか。
法を守る立場としてどう対応すべきか。
善悪の対決と葛藤。
ラストは決して後味の悪いものではない・・・
評価:★★☆☆☆