2009年06月29日

トレーニング・デイ

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原題: Training Day
2001年 アメリカ
監督: アントワン・フークア
出演: デンゼル・ワシントン/イーサン・ホーク/スコット・グレン/エヴァ・メンデス/シャーロット・アヤナ

<STORY>********************************************************************************
ロサンゼルス市警の麻薬取締課に配属となった新人刑事ジェイクは、ベテラン刑事のアロンソとコンビを組み、麻薬捜査のいろはを教え込まれる。
数々の大事件を解決し、麻薬に絡むあらゆることを熟知しているカリスマ刑事アロンソは、ジェイクの手本であり憧れの存在。
「かよわい子羊でいるのか。獰猛な狼になるのか。それを選べ」と忠告するアロンソは、犯罪摘発のためにはいともたやすく自ら法を犯す。
とまどうジェイクをよそに、アロンソの行動はさらにエスカレートしていく・・・
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麻薬取締課に配属された新人刑事の訓練第1日目(Training day)を描いた作品。

目が覚めると幼い乳飲み子に母乳を与える新婚の妻。
家族を支えるために出世しようと志願して麻薬捜査課へと配属になったジェイク。
意欲的な彼の目の前に現れた上司はカリスマ刑事アロンゾ。
彼のやり方に戸惑いながらも必死についていく。

しかしながらアロンゾのやり方は、教科書とはまるで正反対。
大きな犯罪を抑えるためには、小さな犯罪には目もかけず、そればかりか捜査のやり方自体違法なもの。
疑問を持ちながらもアロンゾ流を理解しようとする。
しかし、とうとう越えてはならない一線を越えてしまう。
しかも、それに反抗すれば自らの刑事生命も終わってしまう。
巧妙に用意された罠に嵌り、「仲間になるか、それとも刑事をやめるか」の選択肢をつきつけられるジェイク・・・

デンゼル・ワシントンといえば常に正義を体現してきたような役割が多い。
ジーン・ハックマンとの潜水艦内での緊迫した対立が素晴らしかった「クリムゾン・タイド」、隠された陰謀を暴いていく「ペリカン文書」、「戦火の勇気」「デジャヴ」
・・・
しかし、本作品では憎々しい悪徳警官を演じている。
巧妙に新米のジェイクを罠にはめていく様は恐ろしいほどである。

アロンゾの巧妙な罠に陥り絶体絶命のピンチに陥ったジェイクを救ったのは、彼自身の行為。
アロンゾが見向きもしないようなチンピラのレイプ未遂事件を、ジェイクは警官としての正義感から助けに入る。
それが思いもよらない形で彼の命を救う。
世の中ってこうやって悪がのさばるのかな、と思いかけているところにこのシーンには救われる気になる。

ジェイクの「長い一日」が終わると共にどっと体から力が抜ける。
見応えは十分。
デンゼル・ワシントンはこの作品でアカデミー賞主演男優賞に輝く。
悪徳刑事役という事で異質といえば異質、されどらしいといえばらしい。
そんな作品である。


評価:★★★☆☆


    
posted by HH at 22:19 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 刑事・探偵・推理ドラマ

2009年06月28日

フィクサー

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原題:MICHAEL CLAYTON
2007年 アメリカ
監督・脚本 : トニー・ギルロイ
出演 : ジョージ・クルーニー/トム・ウィルキンソン/ティルダ・スウィントン/シドニー・ポラック/マイケル・オキーフ

<STORY>********************************************************************************
NYの大手弁護士事務所に勤めるマイケル・クレイトンの専門は不始末をもみ消すこと。
そんな仕事に嫌気が差していた時、大規模集団訴訟を担当中の同僚弁護士アーサー・イーデンスが、依頼人の農薬会社U・ノース社を裏切る行動に出る。
マイケルは事態の収拾に乗り出すが、アーサーは訴訟を覆す恐るべき秘密を握っていた。
一方、U・ノース社の法務部本部長カレン・クラウダーは追い詰められ非情な手段に出るのだった…
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邦題の「フィクサー」とは実は映画の中では「事件の揉み消し屋」の意味で使われている。
日本語だとどうしても「黒幕」というイメージがあるので、映画を見ながらどこでどんな「黒幕」的な活躍をするのだろうと想像してしまう。
そうした点を考慮していないという点で、これも下手なタイトルと言わざるを得ない。

実際、ジョージ・クルーニーのイメージと「フィクサー」という言葉のイメージから、世の中の裏側で暗躍する巨大な黒幕というイメージを抱いてしまった。
邦題のタイトルを考えるにあたっては、内容を良く観てからにしてほしいもので、いい加減なサラリーマンの「やっつけ仕事」と思えてならない。

映画の原題は一人の男の名前=マイケル・クライトンである。
弁護士事務所で正面から正攻法で解決できない事件を、裏側で処理する一人の男の物語である。
ただ、「敏腕」というイメージにはほど遠い。
親戚の借金に加えて自らのギャンブルでの借金で首が回らない。
事務所で長く努めてはいるものの、「表」の者たちがパートナーに出世していくのを横目に自らは日陰を歩むだけ。
そんな不満を上司にぶつける様は日本語の「フィクサー」のイメージとはほど遠い。
どちらかといえば「オーシャンズ13」の方が、そのイメージにはぴったりとくる。

そんな彼が呼び出されたのは、巨大な集団訴訟事件を担当するパートナー弁護士のアーサーが問題を起こしたからだ。
クライアントの農薬会社U・ノース社は問題をひた隠ししているが、その隠された真実を原告側に提供しようとしていたのだある。

一方で子供との交流も描かれる。
返済を迫られる借金。
アーサーの行動をどうするかという仕事の問題。
自らの借金に加えて自分に借金を追わせた親戚と自分の子供との関係。
猛烈なストレスの中、苦悩する姿はとてもクールガイとは言えない。

一つ一つの問題が、最後に集約されていく。
最後の決着はあっさりしたものであった。
もう一工夫あってもよかった気もする。
無難にまとまった作品というべき一作である。


評価:★★☆☆☆
posted by HH at 12:03 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | スリリング

2009年06月27日

ここに幸あり

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原題: JARDINS EN AUTOMNE
2006年 フランス・イタリア・ロシア
監督・脚本・出演 : オタール・イオセリアーニ
出演 : セヴラン・ブランシェ/ミシェル・ピコリ/ジャン・ドゥーシェ/リリ・ラヴィーナ/アルベール・メンディ/ヤニック・カルパンティエ

<STORY>********************************************************************************
大臣のヴァンサンは、ある日突然辞任に追い込まれ、仕事も住む家も愛人も失ってしまう。
別れた元妻にも相手にされず、行き場を無くした彼を迎え入れてくれたのは老いて尚頼れる母と昔の友人たちだった。
地位も財産も関係なく、仲間たちと飲んで食べて歌って過ごすうちに、今まで気づかなかった小さな喜びや、素敵な出会いが巡ってくる。
色んなものを失ってはじめてヴァンサンは自由気ままに人生を謳歌し始めるのだった・・・
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フランスってこんな国なのだろうか?
あらためてそう思った。
大臣のヴァンサンは突然その職を追われる。
多くの男のように突然放り出されると世の中でなすすべもない。
おまけに家も愛人も元妻にさえ相手にされない。

自宅を占拠され行き場を失った挙句、窓から汚物をかけられる有り様。
その昔はトイレなども発達していず、窓から投げ捨てていたという話を聞いた事があるが、そんな伝統なのだろうか?
しかし、このヴァンサンはどこかたくましい。
その場で助けてくれた赤毛の女性と懇ろになり、さらには母親や友人たちとおもしろおかしく過ごすようになる。
そのうち次々と女性たちと「仲良く」なってしまう。

一方でヴァンサンを追い出した新大臣も暴動が発生するなどの政情不安にさらされる。
人生で大事なのは地位か名誉か金か生きがいか?
いろいろと議論の余地のあるところではあるが、たくましく生きるヴァンサンを見ているとその一つの答えがあるように思う。

ヴァンサンは決して失ったモノを嘆いてはいない。
ただ、身の回りの変化に対してフランス人らしいとでも言うべきなのだろうか、楽天主義で生きていく。
周りには友人たちもいる。
そんな彼らと心からの交流を繰り返して生きる姿は、仕事を離れると何もする事がないという人には良いお手本だ。

淡々と流れるストーリー。
ともすれば睡魔に襲われかねない静かな展開の映画であるが、じっくりと噛み締めながら観てみるといろいろと人生のヒントが詰まっていそうな映画である。


評価:★☆☆☆☆
posted by HH at 11:58 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2009年06月21日

マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋

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原題: MR. MAGORIUM'S WONDER EMPORIUM
2007年 アメリカ
監督・脚本 : ザック・ヘルム
出演 : ダスティン・ホフマン/ナタリー・ポートマン/ジェイソン・ベイトマン/ザック・ミルズ/テッド・ラドジグ

<STORY>**************************************************************************
都会の一角にある、マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋。
おもちゃたちが魔法で動き回り、子どもたちに大人気だ。
しかしマゴリアムおじさんは引退を宣言。
支配人のモリーに店を継いでほしいと言い出し、資産価値の計算のために経理士のヘンリーを雇う。
自信のないモリーは必死におじさんを引き止めるが、聞き入れてもらえない。
そんな中、オーナー変更や魔法を信じないヘンリーに、おもちゃたちが怒り出し…
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マゴリアムおじさんが経営する魔法のおもちゃ屋さんを舞台としたファンタジー映画である。
外観は一見してとてもおもちゃ屋には見えない。
一歩店内に入ると、なんとも不思議なおもちゃが店内に溢れていて、子供たちがおもちゃで遊びまくっている。
世俗的な自分としてはついつい「儲かっているのだろうか?」と考えてしまう。

それはマゴリアムおじさんもやっぱり同じで、店を支配人に譲ろうとしてもいったい資産がいくらあるのか、収支はどうなっているのかわからない。
そこで会計士を雇う事にする。
100年以上「どんぶり勘定」でやってきた店のたな卸しをやるとなるといくら会計士でもとてつもない苦労だろうな、と同情してしまう。
どうも俗世間から思考が離れられない。

会計士のヘンリーはそれでも資料の山と格闘する。
見つけ出してきた借用書にはエジソンのものもあったりする。
「オークションに出したら凄い値段になるのでは」とやっぱり俗世間的に考えてしまう。

ストーリーは引退してこの世から「消える」事を決めたマゴリアムおじさんと跡を託されることとなった支配人のモリーの困惑と葛藤、会計士ヘンリーとの交流といったものである。
モリーはピアニストではあるものの壁に当たって苦しんでいる。
こんな不思議な店で働きながらも、自らの才能の限界と対面するという世俗的な悩みを抱えるモリーの苦悩は俗世間的にはもどかしい気もする。
しかし、それは最後に花開くことになるのだが・・・

ダスティン・ホフマンとナタリー・ポートマンという個人的には申し分のない組み合わせなのであるが、ちょっとパンチ力に欠けるところがある。
それはストーリーの限界ともいうべきものかもしれない。
「卒業」や「真夜中のカーボーイ」、「クレイマー、クレイマー」、「レインマン」、「トッツィー」と数々の名作に出演してきたダスティン・ホフマン。
オスカーを取った時の感動的なスピーチもまだ記憶に残っているが、気がつけばいつのまにかもうお爺さんである。
ちょっと感慨深いところがある。

個人的に好きなナタリー・ポートマンの魅力は健在。
「3時のおやつ」的に楽しめる映画である。


評価:★★☆☆☆


   
  
posted by HH at 21:49 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジー

2009年06月14日

あの頃ペニーレインと

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原題: Almost Famous
2000年 アメリカ
監督: キャメロン・クロウ
出演: ビリー・クラダップ/フランシス・マクドーマンド/ケイト・ハドスン/ パトリック・フュジット/ジェイソン・リー

<STORY>**************************************************************************
1973年、大学教授の母と暮らす知的で陽気な15歳の少年ウィリアムは、姉アニタが教えたロック音楽の魅力に取り憑かれ、学校新聞などにロック記事を書いていた。
やがて、伝説のロック・ライターでクリーム誌の編集長、レスター・バングスに認められ、さらにローリングストーン誌からも声がかかり、ウィリアムが愛する新進バンド、スティルウォーターのツアーに同行取材をすることになる。
そして、このバンドを追う少女たちの中にいた、一際美しいペニー・レインに恋をするのだが、彼女はスティルウォーターのギタリスト、ラッセルと付き合っていた・・・
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舞台は1970年代。
アメリカはベトナムの後遺症を引きずり、古いものと新しいものが融合していた時代。
母子家庭で厳格な母の下、姉がますば母親と衝突して家を出て行く。
母親が堕落した音楽と評したそれは「サイモン&ガーファンクル」。
今では違和感を感じるその指摘も当時の保守的な親からすれば当然だったのかもしれない。
そんな母親と残されたウィリアム。

彼も飛び級で大学へ進学し、15歳ながらも卒業を迎える。
そんな彼が惹かれていたのは姉に教わったロックの魅力。
クリーム誌の編集長に認められ、新進バンドステイルウォーターの取材に乗り出す。
そんな彼の突撃取材ぶりとバンドとの交流の中で成長していく様を描いたのが本作品。
ウィリアムの視点からは甘く切ないひと夏の経験ともいうべきドラマである。

15歳という年齢はちょうど子供から大人へと成長する微妙な過程である。
ロックバンドの取材に行くにも母親に車で会場まで送ってもらうウィリアム。
ツアーに同行するにも母親と一日2回電話をする事という約束をして行くあり様。
一方、バンドのメンバーは酒に女にとリアルな大人の世界。
ウィリアムにとってそのギャップは大きい。

一方邦題にもあるペニー・レインはバンドの追っかけの一人。
本名を隠し、あえて「ペニー・レイン」と名乗っている。
「ペニー・レイン」とはビートルズの曲で有名であるが、ここでは今一由来がわからない。
もう少しわかる工夫をしてくれればありがたかったと個人的には思う。

そんなペニー・レインはバンドの中心的メンバーラッセルと付き合うようになる。
淡い恋心を秘めたまま、それを見守るしかないウィリアム。
ペニー・レインはそんな彼に弟のように親しく接するが、それが嬉しくもあり、また一人前として見られない切なさでもある・・・

刺激的な「大人の世界」とのギャップとペニー・レインに対する淡い恋心。
一人の少年がひと夏の経験を通じて母親離れをして大人の男になっていく。
そんな様子は同じ男としてある種の共感を持って観ることが出来る。
胸を締め付けられるようなそんな経験は、いずれやがてどこかで確実な糧となって実を結ぶものである。
そんな経験自体が貴重なのである。

アカデミー脚本賞に輝いたというのも頷ける、ちょっと良い感じの映画である。


評価:★★★☆☆


   
posted by HH at 23:34 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 青春ドラマ!