
原題: Anatomy
2000年 ドイツ
監督: ステファン・ルツォヴィツキー
出演:
フランカ・ポテンテ:パウラ
ベンノ・フュルマン:ハイン
アンナ・ロース:グレッチェン
セバスチャン・ブロムベルグ:カスパー
<STORY>********************************************************************************************************
野心家の医学生パウラは、医学界に名を馳せた祖父が学んだ伝統ある名門大学の解剖学セミナーに合格し、熱心に実習に励んでいた。ある日、パウラは実習の教材として運ばれてきた死体の血液濃度が、異常に高いことに気づく。かかとに“AAA!“と刺青されたその死体の組織を調べると、血を素早く凝固させる違法の医薬「プロミダル」が検出された。それは、人間を生きたまま保存できる死の薬だった・・・
********************************************************************************************************
これはちょっと恐ろしい映画である。
といっても目を覆いたくなるようなスプラッターシーンがあるわけではない。
想像するだに恐ろしいという意味である。
冒頭で生きたまま腹を割かれて解剖されていく男のシーンが登場する。
眠りから醒めたものの、自分に対してなされている行為を認識し愕然とする。
痛みはないものの、その恐怖は観る者にも伝わってくる・・・
医学の発展にある程度の実験はやむを得ない。
それが節度ある範囲であれば当然容認される考え方である。
だが、医学の発展という大義名分はどこまで許されるのか。
この映画は限度を遥かに越えてしまっているが、それは難しいテーマでもある。
パウラは祖父から続く医師の一家。
跡を継げという父の意見に反発し、祖父の学んだ名門大学に合格し、希望に燃えて入学する。
言い寄る男たちも多いが、勉強優先と燃えている。
そんなパウラが、道中で命を助けた男が解剖の標本となっていたのを見つけ、その死に疑問を抱く。疑惑を調べるうちにその影に大きな組織に行き当たる。
ストーリー自体はよくありがちなものである。
ただ、想像する恐怖というものが痛々しい。
ちょっと背筋の凍るドイツ映画である。
評価:★★☆☆☆