2009年12月31日

【イキガミ】My Cinema File 499

イキガミ.jpg

2008年 日本
監督:  瀧本智行
原作: 間瀬元朗
出演: 
松田翔太:藤本賢吾
塚本高史:森尾秀和
成海璃子:飯塚さくら
山田孝之:飯塚さとし
柄本明:参事官
劇団ひとり:島田
金井勇太:田辺翼
佐野和真:滝沢直樹
井川遥:近藤医師
笹野高史:石井課長
風吹ジュン:滝沢和子

<STORY>********************************************************************************************************
初のテレビ出演を翌日に控えているギタリストの田辺翼は、ボーカルと反りが合わず、悩んでいた。元々、親友の秀和とコンビを組み、路上で歌っていたが、翼ひとりだけがスカウトされ、事務所に決められたボーカリストとデュオを組まされたのだった。そこに、厚生保健省の藤本という男が現れ、「イキガミ」を渡される。「イキガミ」とは、18歳から24歳までの若者に国から発行されるもので、受け取った者は24時間後に死亡することになる…
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突拍子もない前提で始まるストーリーというのは、うまくツボにはまれば面白い。
この「イキガミ」を観てつくづくそう思う。
国家によって18歳から24歳までの青年が強制的に命を奪われるという社会。
それによって命の尊さを教えようという試みで、ドラマの中では事件も自殺件数も劇的に減っている。

中心となって制度を運営しているのは厚生保険省。
あらかじめ体内に注射されたカプセルが、「予定時刻」に破裂して毒を撒き散らす。
その時間はあらかじめ設定されているため、対象者には24時間前に厚生保険省の役人が「死亡予告証」=通称「イキガミ」を届ける。

残された24時間をどう使うかは本人次第。
国家は「イキガミ」を受け取った者にあらゆるサービスを提供する。
殉教者として称えられるし、レストランで豪華な食事をしても飛行機に乗ってもタダなわけで、残された遺族には年金が支給される。
ただし、やけになって犯罪に走ればその権利を失う・・・
架空の設定であるが、よく考えられている。

しかし、もっとよく考えてみると、なんだか既視感を感じる。
国家の為に18〜24歳の若者が命を散らす。
死んだものは称えられ、周りの者は「イキガミ」を受け取った者に最大限の敬意を払い、できる限りの協力を惜しまない。
逆に制度に反対する、あるいは疑問を呈する者は「思想犯」として処罰される・・・
大戦中の日本のようなのである。

当然中には疑問を持つ者も出てくる。
主人公の藤本もその一人。
仕事を忠実にこなしながらも、どこか釈然としない思いを抱えている。
彼がどうなって行くのか、残念ながら映画はそこまで描かない。
イキガミを受け取った3人の24時間を追うのみである。

原作はこれも漫画らしい。
映画の2時間という制限時間の中でどこまで描くは難しいところ。
原作は読んでいないが、なんとなく物足りないのはきっとそのせいかもしれない。
いろいろと考えさせられる映画である・・・


評価:★★★☆☆







posted by HH at 14:46| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | スリラー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月28日

【ウォンテッド】My Cinema File 498

ウォンテッド.jpg

原題: Wanted
2008年 アメリカ
監督: ティムール・ベクマンベトフ
出演: 
ジェームズ・マカヴォイ:ウェスリー・ギブソン
アンジェリーナ・ジョリー:フォックス
モーガン・フリーマン:ペクワースキー
テレンス・スタンプ:スローン
トーマス・クレッチマン:クロス
コモン:ガンスミス
マーク・ウォーレン:リペアマン

<STORY>********************************************************************************************************
上司にはイビられ、恋人は寝取られと、散々な日々を送るウェスリーに突然の転機が訪れる。謎の美女フォックスと彼女が所属する暗殺組織に、暗殺者としてスカウトされたのだ。会社を辞め訓練を重ねたウェスリーは、その身体に秘められた才能も手伝って、一流の暗殺者として頭角を現す。そして彼は父を殺した敵であり組織の裏切り者でもある、クロスの暗殺任務に就くが…
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アンジェリーナ・ジョリーといえばどうしてもアクションというイメージが強い。
それはやっぱり「トゥームレイダー」の影響だと思うが、それ以外にも「Mr&Mrsスミス」なんかでもやっぱりアクションを披露してくれて、それが面白かったからよけいそういうイメージになってしまうのだろう。もちろん、「マイティ・ハート」「グッド・シェパード」のようにシリアスな役柄もあったりするのだが、どちらかと言えばやっぱりアクション系を観たいと思うのだ。そして、この映画ではそんな欲望を存分に満たしてくれる。

ごく普通というか、それ以下というか、しがないサラリーマン生活を送っている主人公がある日突然運命のいたずらで、まったく180度異なる世界に飛び込む、というのもよくあるパターンである。ウェスリーはまさにしがないサラリーマンの典型。そんな彼の前にある日謎の美女が現れたと思ったらいきなりの銃撃戦。そしてカーチェイス。街中で人間業とも思えない攻防。このあたりは「掴み」としては抜群に面白い。そして現れたるは謎の男たち。そこでウェスリーは、自分が1,000年続く暗殺団のメンバーに属していた男の息子だと聞かされる。

ハードなトレーニングを経て立派な暗殺者となるウェスリーであるが、その技術もなかなか漫画チックで面白い。極めつけは目の前の障害物を避けてその後の標的を打ち抜く射撃である。弾丸をカーブさせるなんて、とは思うが、どうもアホらしく思えない。そこが面白いところである。

次から次へと展開される人間離れしたアクションの数々。
そうしたアクションを純粋に楽しむ事ができる。
アンジェリーナ・ジョリーも真骨頂発揮。
ストーリーも一捻り効いていて、単なるアクションだけの映画とはいえない。
観て損はない映画である・・・


評価:★★★☆☆







posted by HH at 21:30| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | アクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月27日

【ハリウッドランド】My Cinema File 497

ハリウッドランド.jpg

原題: Hollywoodland
2006年 アメリカ
監督: アレン・コールター
出演: 
エイドリアン・ブロディ:ルイス・シモ
ベン・アフレック:ジョージ・リーヴス
ダイアン・レイン:トニー・マニックス
ボブ・ホスキンス:エドガー・マニックス
ロイス・スミス:ヘレン・ベッソロ

<STORY>********************************************************************************************************
1959年6月16日、TV版「スーパーマン」シリーズの主演俳優ジョージ・リーブスが殺害された。私立探偵ルイス・シモは事件の真相を追う過程で、映画会社の重役の美貌の夫人とジョージとの情熱的な恋や、ジョージの秘められたコンプレックスなどを次々と暴いていく。事件解決は時間の問題と思われた。しかし、彼はまだ知らなかったのだ。ハリウッドにおいて《真実》と《正義》を求めることがいかに困難で危険なことかを……
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事実を元にしたサスペンス映画である。
冒頭で一人の男の死体が発見される。
男の名はジョージ・リーブス。
1951年から58年までTV版スーパーマンで人気となっていた俳優である。
彼の自殺を信じない母親が一人の私立探偵を雇い、真相を探ろうとする。
私立探偵ルイス・シモは独自の方法で事件の調査を始める。

その一方で映画は過去に遡り、ジョージ・リーブスの姿を追う。
しがない役者であったが、やがてMGMの社長夫人と不倫関係となり、その引き立てもあってハリウッドに足掛かりを掴む。
やがて渋々引き受けた「スーパーマン」で子供たちの心を掴む俳優となって行く。

二つのストーリーが平行して進む。
なぜ、ジョージ・リーブスは死んだのか。
そしてそれは本当に自殺なのか。
事件を追うシモも目に見えない大きな何かに行く手を阻まれる・・・

シモを演じるのは、エイドリアン・ブロディ。
線の細い、気の弱そうな外見の彼であるが、「戦場のピアニスト」でも「ジャケット」でも、「キングコング」でもイメージのそのままで登場する。
しかし、芯は強いといった役どころが多い気もする。

実際に自殺だったのか、事故だったのか、他殺だったのかはわからないが、ハリウッドの裏はいろいろあるのだぞ、という印象を強く植え付けられる。ちょっとしたサスペンスを味わえる映画である・・・


評価:★★★☆☆







posted by HH at 18:14| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | サスペンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月26日

【落下の王国】My Cinema File 496

落下の王国.jpg

原題: The Fall
2006年 アメリカ
監督・製作・脚本 : ターセム
出演: 
リー・ペイス:ロイ・ウォーカー / 黒山賊 / 青山賊
カティンカ・アンタルー:アレクサンドリア / 山賊の娘
ジャスティン・ワデル:エヴリン看護師 / 姫
ダニエル・カルタジローン:シンクレア / 総督オウディアス
レオ・ビル: 病院職員 / ダーウィン

<STORY>********************************************************************************************************
1915年のアメリカ。オレンジの木から落ちて怪我をし、入院中の5歳の少女、アレクサンドリア。人懐こい少女は、あどけない笑顔で病院中の人々に可愛がられていた。ある日、足の怪我でベッドから起きられない青年と知り合う。病室に入ってきた利発そうな少女に、青年は自分が作った物語を聞かせる。たちまち夢中になって、続きを聞かせてとせがむ少女。しかし、それは少女に自分が自殺するための薬を盗み出させるための作戦だった…。
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物語の舞台は1915年のアメリカ。ある病院で出会った青年と少女。青年は映画のスタントマンで、おそらく撮影中の事故で半身不随となってしまった。おまけに恋人も俳優に奪われて自暴自棄になっている。一方無邪気な少女アレクサンドリアは腕を骨折して入院しているものの、暇をもてあまして病院内を探検している。そんな少女と青年が出会う。

青年は幼い少女に話しかけ、他愛もないおとぎ話を語り始める。
動けない自らに代わって自殺するための薬を取ってこさせようと企んだのであるが、語り始めるうちに次第に物語は膨らんでいく。こうしてストーリーは青年と少女の交流と、青年が語るおとぎ話とが平行して進む。

タイトルにある「落下の王国」。原題は”Fall”であるが、どうやらスタントマンとして様々な落下シーンに臨んだ青年を暗示している。自暴自棄になって「落ちていく」事も暗示しているのかもしれない。それに対し、少女アレクサンドリアはどこまでも無邪気。青年の語るおとぎ話にぐいぐいと引き込まれていく。

そんな少女に架空のおとぎ話を語るうちに、いつしか自暴自棄になっていた青年の心も癒されていく。時代はまだ映画勃興期のアメリカ。映画発展の礎となった人達の苦労がわずかながら偲ばれるところもある。たまにはこういう映画もいいかもしれないと思わせてくれる一作である・・・


評価:★★☆☆☆







posted by HH at 18:43| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月25日

【ソウ5】My Cinema File 495

ソウ5.jpg

原題: Saw V
2008年 アメリカ
監督: デイヴィッド・ハックル
出演: 
トビン・ベル:ジグソウ / ジョン・クレイマー
コスタス・マンディラー:マーク・ホフマン
スコット・パターソン:ピーター・ストラム
ベッツィ・ラッセル:ジル・タック
マーク・ロルストン:ダン・エリクソン
カルロ・ロータ:チャールズ
ジュリー・ベンス:ブリット

<STORY>********************************************************************************************************
ジグソウの遺体と対面し、ゲームへの強制参加を知ったFBI捜査官ストラムは奇跡的にトラップを逃れる。ところが、満身創痍の自分に比べ、同じく生還したホフマン刑事は無傷で、しかも連続殺人事件解決の手柄を独り占めにしていた。一方、ジグソウことジョンの元妻ジルは弁護士から手渡された遺品の木箱を開けて驚愕する。そして、密室に監禁され、首輪で繋がれた5人の男女に新たなゲームの開始が告げられるのだった…
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大ヒットシリーズの第5弾。どうも前作のあらすじを覚えていないとなかなかついて行くのが厳しい。本作のスタートは例によって罠にはまった男が出てくる。上から降りてくるでかい斧。腹を捌かれたくなければ腕を固定している機械で自らの腕を潰さないといけない。生き残るにはあまりにも過酷な試練が「ソウ」シリーズの特徴でもあるが、ここでそれが存分に発揮される。

そして「ソウ3」のラストからつながるストーリー。「ソウ4」ではなく、「ソウ3」とつながっている。肝心のジグソウは死んでしまったが、その意思を告ぐものによってゲームは続けられる。次々と登場人物が死んでしまうので、それはそれは目まぐるしい。そして本編と平行して5人の男女が新たな罠にはまる。

犠牲者たちは生き残るための過酷な試練を与えられるが、時間に余裕があればなんとか対処も出来そうな気もする。だが、そんな余裕を与えるジグソウではなく、短い時間に決断を迫られる。そうして次々とジグソウの罠を克服できずに犠牲となっていく。それは観ている観客も同じ事だ。いつの間にか背筋に冷たいものを感じているのである。

ジグソウの元妻ジルがジグソウの遺言で謎の箱を受け取る。その中味はとうとうわからない。どうやら「ソウ6」につながるようである。段々と残虐度も増していくこのシリーズ。だが、第1作目の単純なる衝撃がやっぱり一番のような気がする。

次回もやっぱり観るだろう。
どこで終わるのか分からないが、脚本の妙もあって面白いシリーズである・・・


評価:★★★☆☆








posted by HH at 23:52| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | スリラー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする