2010年01月31日

【レッドダスト】My Cinema File 512

レッドダスト.jpg

原題: Red Dust
2004年 イギリス
監督: トム・フーパー
出演: 
ヒラリー・スワンク:サラ
キウェテル・イジョフォー:アレックス
マリウス・メイヤーズ
イアン・ロバーツ

<STORY>********************************************************************************************************
アパルトヘイト廃止後の南アフリカでは、民族和解委員会の聴聞会で全ての罪を告白することで犯罪者が恩赦を受けていた。ある時、弁護士のサラは、元警官の恩赦申請に異議を申し立てた黒人政治家・アレックスを助けることになる・・・
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南アフリカの悪名高きアパルトヘイト。すでに廃止されて久しいが、廃止された時に民族和解というものが進められ、聴聞会ですべての罪を正直に告白すれば過去の罪が免責されるという制度を導入した。それ自体知らなかったが、それにしても思い切った政策である。過去にどんな酷い事をしてもそれをすべて告白すれば許されてしまうのである。

元警官ヘンドリックスが制度を利用して恩赦を申し立てる。彼はかつて黒人の抵抗グループのメンバーだったアレックスを捕らえ、拷問したのであった。その恩赦申請を審議する聴聞会に当のアレックスは弁護士のサラとともに出席する。実はアレックスには大事な目的があった。それはその時一緒に逮捕され、直後に行方がわからなくなった友人ジゼラの行方(殺されて埋められた場所)を聞き出す事であった。

映画は過去のヘンドリックスの罪を暴く形で進んでいく。アレックスもジゼラの行方を追及すると目論んでいるが、今ひとつ歯切れが悪い。自身地元で育ち、白人の立場で黒人と付き合っていたために逮捕された経歴を持つサラがそれに協力する。事件の経緯が明らかになるにつれ、アレックスが隠していた事実が明らかになり、彼も一転、裏切り者と仲間たちに糾弾される。

すべてを告白すれば恩赦となり自由の身となる制度。「報復」よりも「真実」を優先し、対立してきた白人と黒人を融和させて一つの国として未来に目を向けやっていこうという趣旨なのだろうが、人間の感情はそう簡単にはいかない。家族を殺された者が、目の前で殺した人間が自由になる事を本当に受け入れられるのか。自分に当てはめて考えてみるととても難しい。なかなか重いテーマの映画である・・・


評価:★★★☆☆
    





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2010年01月30日

【再会の街で】My Cinema File 511

再会の街で.jpg

原題: Reign Over Me
2007年 アメリカ
監督: マイク・バインダー
出演: 
アダム・サンドラー:チャーリー・ファインマン
ドン・チードル:アラン・ジョンソン
ジェイダ・ピンケット=スミス:ジャニーン・ジョンソン
リヴ・タイラー:アンジェラ・オークハースト
ドナルド・サザーランド:レインズ判事

<STORY>********************************************************************************************************
ニューヨークの歯科医アランは美しい妻と二人の娘に恵まれ、さらに仕事は順調、他人もうらやむ生活を送っていた。ある日アランは大学時代のルームメイト、チャーリーを街で見かける。彼は“9.11”で妻子を亡くして以来、消息がわからなくなっていたのだ。後日アランは再びチャーリーと遭遇するが、彼は昔のことを覚えていない様子。だが、自宅アパートに招待してくれた。そこは何とも言えない不思議な空間で…
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主人公アランは歯科医。表面上は順風満帆な人生。しかし、どこ何かが足りない。そんな時に大学時代のルームメイト、チャーリーを街で見かける。再会したチャーリーはアランの事をまともに覚えていない。「9.11」で家族すべてを失い、失意の中で精神を病んでいたのだった。

一方ドナという美人の患者に突然迫られるアラン。拒絶すると「治療中に暴行を受けた」と訴えると脅される。友情からチャーリーとしばしば夜中に外出するようになると、妻との間には不協和音が生じる・・・
チャーリーとドナと妻との間で苦悩するアラン・・・

何となくわかったようなわからないような映画。この映画の主人公はやっぱりアランなのだが、どうも美人患者ドナとの絡みの意味がわからないし、結局チャーリーとの絡みも何が言いたいのかよくわからない。「9.11」が何か意味があるのかもよくわからない。傷ついた人達の再生の物語という意味なのかもしれないが、どうもなぁというのが正直な感想である。

バックに流れる70年代、80年代のロックも個人的に馴染みがないからかもしれない。原題はザ・フーの曲名らしいが、歌声でわかったのはブルース・スプリングスティーンだけだった。背景が理解できればもう少しわかるのかもしれないが、残念ながら今ひとつとしか言えない映画である・・・


評価:★★☆☆☆






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2010年01月24日

【12人の怒れる男】My Cinema File 510

12.jpg


原題: 12
2007年 ロシア
監督:  ニキータ・ミハルコフ
出演: セルゲイ・マコヴェツキイ/ニキータ・ミハルコフ/セルゲイ・ガルマッシュ/ヴァレンティン・ガフト/アレクセイ・ペトレンコ/ユーリ・ストヤノフ/セルゲイ・ガザロフ

<STORY>********************************************************************************************************
ロシアでチェチェンの少年がロシア軍将校だった養父を殺害するという事件が起きた。少年は第一級殺人の罪に問われ、検察は最高刑を求刑。有罪となれば一生刑務所に拘束される運命だ。審議が終了し、市民から選ばれた12人の陪審員は、改装中の陪審員室の代わりに学校の体育館に通された。携帯電話も没収され、全員一致の評決が出るまで幽閉されることに。12人の長い長い審議が始まった・・・
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原題である「12」をみても何の映画かわからないが、邦題「12人の怒れる男」をみればそれがハリウッド映画(原題12 Angry men)のリメイクだとわかる。名優ヘンリー・フォンダが出演したハリウッド版は、印象深い良い映画である。そういう名画が頭に入っている人に対してはちょっとハンディがある映画なのかもしれない。

ストーリーはさすがにロシア版という事で、ロシア国内事情にあわせてアレンジされている。ロシアでは死刑が廃止されているので、最高刑は終身刑である。そしてチェチェンの少年がロシア軍将校だった養父殺害の罪で起訴されている。ロシアの事情はよくわからないが、チェチェンといえば紛争地域であるし、ロシア語も話せないという少年は、ハリウッド版の被告が黒人青年であった事と同様、ロシア人からみれば「いかにも犯罪を犯しそうな」人間と捉えられるのだろう。そして誰がみても有罪は明らかという状況で、陪審員たちは審議に入る。

誰もが簡単な評決だと考え、すぐに終わると思い、ろくに議論もせずに評決に入る。陪審員制度は全員一致が原則である。そして一人だけ無罪を主張する。と言っても、名探偵よろしく事件の疑問点を上げて「おかしい」と主張するわけではない。ただ、「人一人の一生がかかっているのにこんなに簡単に決めていいのか?」という単純な理由である。

当然周りからはブーイング。
みんな次の予定を抱えていたからだ。
彼はやむなく無記名での再投票を主張し、全員が有罪なら有罪に同意すると最後は折れる。
ところが無記名の投票でもう一人無罪とした者が現れる・・・

ここからの長い展開はハリウッド版と同様である。日本でも「裁判員制度」がスタートし、こうした陪審員制度への感心が高まっている。実際の審議はどのようなものかわからないが、登場人物の「簡単なモノに思えても、結果が重要だから慎重に扱うべき」というスタンスは大いに共感するところである。このロシア版でもそれがすべてと言える。実際、そこから「そういえば・・・」という意見が生まれてくるのである。

これから裁判員に選ばれる機会があるのかどうかはわからない。
だがもしもそんな機会に巡りあったなら、この二つの映画を思い出して(できればハリウッド版をもう一度観て)出かけたいものである・・・


評価:★★☆☆☆








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2010年01月23日

【バンクジョブ】My Cinema File 509

バンクジョブ.jpg

原題: The Bank Job
2008年 イギリス
監督:  ロジャー・ドナルドソン
出演: 
ジェイソン・ステイサム:テリー・レザー
サフロン・バロウズ:マルティーヌ・ラブ
スティーヴン・キャンベル・ムーア:ケヴィン・スウェイン
ダニエル・メイズ:デイヴ・シリング
リチャード・リンターン:ティム・エヴェレット

<STORY>********************************************************************************************************
イースト・ロンドンで中古車ディーラーを経営するテリーは、知り合いの女性マルティーヌから銀行強盗の話を持ちかけられる。「一生に一度のチャンス」と説得され、計画実行を決意する。テリーは総勢7人の実行メンバーを集め、地下トンネルを掘り金庫への侵入に成功する。しかし、その盗んだ貸金庫の中には、犯罪組織はもちろん、イギリス政府や警察、王室までもが関係する秘密が預けられていたのだ…。
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 この映画は、1970年代に実際にあった事件を映画化したものであるらしい。実在の事件の映画化というのは決して珍しくはないのであるが、これは本当にあった事件なのかと思わず唸ってしまう。実在の事件の映画化とはいえ、映画だから多少の脚色はあるだろうが、それにしてもあまりにもドラマチックなので疑わしくなってしまう。

 イギリス政府組織(MI−5か6)が裏で主導し、テリー達に銀行の貸金庫を襲わせる。狙いは王室のスキャンダル写真。ある男がそれを元に政府に揺さぶりをかけており、政府組織はテリー達にそれと知られずに写真を奪還しようといたのである。ところが奪った貸金庫の中には予想外の様々なのものがあり、それには犯罪組織の汚職警官リストもあったりする。その結果、政府組織、犯罪組織、そして普通の何も知らない警察が三つ巴となってテリー達犯人グループを追う事になるといものである。

 主演のテリーを演じるのはジェイソン・ステイサム。この人はアクション系ながらも、正義の味方というよりちょい悪が入っている役がぴったりくる気がする。たぶん顔が「悪顔」だからだろう。ここでも持ち込まれた話の裏を見抜き、見事にピンチを切り抜けている。そんな男の役がぴったりである。

 時代は1970年。まだ携帯もなく、事が発覚したのも見張り役との無線交信を傍受されたもの。いろいろな人々の思惑が絡み合う稀有な事件とその顛末。事実は小説よりも奇なりというか、映画化しても奇なりと言える映画である・・・


評価:★★★☆☆








posted by HH at 17:05| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | アクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月17日

【ハプニング】My Cinema File 508

ハプニング1.jpg


原題: The Happening
2008年 アメリカ
監督:  M・ナイト・シャマラン
出演: 
マーク・ウォールバーグ:エリオット・ムーア
ズーイー・デシャネル:アルマ・ムーア
ジョン・レグイザモ:ジュリアン
スペンサー・ブレスリン:ジョシュ
ベティ・バックリー:ジョーンズ夫人
ヴィクトリア・クラーク:植物学者の妻
フランク・コリソン:植物学者

<STORY>********************************************************************************************************
ある日突然、アメリカ全土からミツバチが姿を消したのを皮切りに、街で人が次々と倒れていく異常現象が始まる。連絡も取れなくなり、情報はだんだん少なくなっていく。原因も分からないまま世界はパニック状態に陥り、“何か”に人々は追い詰められていく…
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原題はThe Happening。
何かわからないものの、何かが起こっているという映画の内容を表すには「なるほど」と思わせるタイトル。ある日突然何かが起こり、人々が次々に自殺していく。「つかみ」は非常に良い映画である。

とにかく原因がわからなければ対処のしようもない。始めはニューヨークでテロという情報が流れる。高校教師エリオットは妻と共に親友の実家に非難する事に決めたが、どちらかといえば心配事は妻アルマとの夫婦関係。ところが乗り込んだ列車の中で、テロが各地に広がっている事を知る。あげくに途中の駅で列車は運行をやめてしまう。ニュースではテロではなく別のものであり、それが各地に広がっていると伝える・・・
パニックに陥った人々は我先にとわずかな情報を頼りに移動を始める。

エリオットとアルマも親友の子供とともに逃避行を始めるが、何かが確実に彼らに迫り、しかも原因はまったくわからず、風が何かを運んでくるのかと予想しては草木がたなびく様に恐怖するだけ・・・
そして映画は唐突に終わる。

「えっ」と呆気に取られる。
途中で寝てしまってラストだけ観たような気分。
「シックス・センス」「アンブレイカブル」「サイン」「ヴィレッジ」といった作品を残してきたシャマラン監督だけに期待していたが、肩透かしを食らってしまった。
まぁ、たまにはこういう事もあるだろう。
途中まで良かっただけに残念な映画である・・・


評価:★☆☆☆☆
        





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