
原題: Red Dust
2004年 イギリス
監督: トム・フーパー
出演:
ヒラリー・スワンク:サラ
キウェテル・イジョフォー:アレックス
マリウス・メイヤーズ
イアン・ロバーツ
<STORY>********************************************************************************************************
アパルトヘイト廃止後の南アフリカでは、民族和解委員会の聴聞会で全ての罪を告白することで犯罪者が恩赦を受けていた。ある時、弁護士のサラは、元警官の恩赦申請に異議を申し立てた黒人政治家・アレックスを助けることになる・・・
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南アフリカの悪名高きアパルトヘイト。すでに廃止されて久しいが、廃止された時に民族和解というものが進められ、聴聞会ですべての罪を正直に告白すれば過去の罪が免責されるという制度を導入した。それ自体知らなかったが、それにしても思い切った政策である。過去にどんな酷い事をしてもそれをすべて告白すれば許されてしまうのである。
元警官ヘンドリックスが制度を利用して恩赦を申し立てる。彼はかつて黒人の抵抗グループのメンバーだったアレックスを捕らえ、拷問したのであった。その恩赦申請を審議する聴聞会に当のアレックスは弁護士のサラとともに出席する。実はアレックスには大事な目的があった。それはその時一緒に逮捕され、直後に行方がわからなくなった友人ジゼラの行方(殺されて埋められた場所)を聞き出す事であった。
映画は過去のヘンドリックスの罪を暴く形で進んでいく。アレックスもジゼラの行方を追及すると目論んでいるが、今ひとつ歯切れが悪い。自身地元で育ち、白人の立場で黒人と付き合っていたために逮捕された経歴を持つサラがそれに協力する。事件の経緯が明らかになるにつれ、アレックスが隠していた事実が明らかになり、彼も一転、裏切り者と仲間たちに糾弾される。
すべてを告白すれば恩赦となり自由の身となる制度。「報復」よりも「真実」を優先し、対立してきた白人と黒人を融和させて一つの国として未来に目を向けやっていこうという趣旨なのだろうが、人間の感情はそう簡単にはいかない。家族を殺された者が、目の前で殺した人間が自由になる事を本当に受け入れられるのか。自分に当てはめて考えてみるととても難しい。なかなか重いテーマの映画である・・・
評価:★★★☆☆