2010年02月28日

【おくりびと】My Cinema File 523

おくりびと.jpg

原題: 
2008年 日本
監督:  滝田洋二郎
出演:  本木雅弘/広末涼子/余貴美子 /吉行和子/笹野高史/山崎努

<STORY>********************************************************************************************************
所属する東京のオーケストラが解散し職を失ったチェロ奏者の大悟は演奏家を続けることを諦め、妻の美香を連れて故郷の山形に戻ってくる。
早速、求人広告で見つけたNKエージェントに面接に出かけ、その場で採用になるが、それは遺体を棺に納める納棺師という仕事だった。
戸惑いながらも社長の佐々木に指導を受け、新人納棺師として働き始める大悟だったが、美香には冠婚葬祭関係の仕事に就いたとしか告げられずにいた・・・
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第81回アカデミー賞外国語映画賞を受賞し、話題となった作品である。
もともとは「納棺夫日記」という原作を読んだ主演の本木雅弘が、映画化を計画したものの、原作と脚本の相違から著者の承諾を得られず、「まったく別の作品としてやってほしい」という話になり本作に至ったという。
そんなエピソードは映画に隠し味を与える。

納棺夫などという職業が存在しているという事実は、考えてみれば理解できるが、一般的に知名度は低い。
映画の中でも、失職して故郷に帰った主人公大梧が納棺夫の仕事を得るものの、仕事の内容を妻に言えないというシーンが出てくる。
そしてその事実を知った妻からは辞めてくれと懇願され、またある納棺時に「この人みたいな仕事をして・・・」と言われるシーンからも伺えるように、忌み仕事と思われているからかもしれない。

個人的にはどうとも思わないが、日本には伝統的に「死」を扱う職業についてはあまりいい扱いを受けていないため、そんな風になるのだろう。
実際にはわからないが、この映画が話題となった事で納棺夫という職業も市民権を得られたのではないかと推測する。

映画の方は、音楽家としての夢を断念した大梧が仕事として納棺夫を選び、仕事を通じて納棺夫という職業に対する理解を深めていく過程を妻・故郷の友人・会社の社長たちとの交流を横糸に描いていく。
遺体を棺桶に入れるという単純な作業を、死者に対する敬意を込め、遺族に対する配慮も交えながらきめ細かな思いやり溢れる手順で行っていく様は、繊細なる日本人らしいものと改めて思う。

映画はいろいろな影響を観る者に与える。
ただ単に「オスカーを取った」という話題性だけではなく、そうした影の部分に優しい光を当てたところがこの映画の良いところかもしれない。
広末涼子があまりにも良い奥さんを演じ過ぎていて、ちょっと羨ましく思えた映画である・・・


評価:★★★☆☆

posted by HH at 10:06 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2010年02月27日

【コッポラ胡蝶の夢】My Cinema File 522

コッポラ胡蝶の夢.jpg


原題: YOUTH WITHOUT YOUTH
2007年 アメリカ=ドイツ=イタリア=フランス
監督・製作・脚本 : フランシス・フォード・コッポラ 
出演:  ティム・ロス/アレクサンドラ・マリア・ララ/ブルーノ・ガンツ/アンドレ・M・ヘンニック/マーセル・ユーレス

<STORY>********************************************************************************************************
第二次世界大戦前夜のルーマニア。
年老いた言語学者のドミニクは、一生をかけた研究も未完のまま、かつて愛した女性ラウラのことばかり想い続けていた。
そんな日々に耐え切れず自殺を決意した日、彼を落雷が直撃する。
全身火傷の重傷を負いながら、彼は奇跡的に一命をとりとめたのだった。
驚異的なスピードで回復していくドミニクの身体―。
不思議なことに肉体と頭脳は驚異的に若返り、さらに超常的知能を発揮するようになる・・・
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フランシス・F・コッポラといえば何と言っても「ゴッドファーザー」シリーズだろう。
それ以外にも「地獄の黙示録」や個人的には「ペギー・スーの結婚」、「タッカー」、「レインメーカー」は好きな作品だ。

そんなコッポラ監督の久々の作品という事で一も二もなく観る事にした。
観終わって唸ってしまった。
とても難しい作品だ。
全体的に哲学的に深みがある事は確かである。
だが映画として面白いかというとちょっと次元が違う気がする。
面白い面白くないという範疇で語っていい映画なのかもよくわからない。

ストーリーは一見奇抜である。
孤独な言語学者ドミニクは、この世に見切りをつけ自殺をしようと知り合いのいない街へ行くが、そこで突然落雷に打たれる。
瀕死の重傷を負って病院に担ぎ込まれた彼をみて、誰もが助かるまいと思う。
しかし驚異的に復活したばかりか、70歳だったはずの彼はどうみても30〜40代に若返っている。

そんな彼が不思議な力も身につけ、新たに人生をやり直していく。
かつて愛した女性に似たヴェロニカと出会い、言語学者として研究も進む。
しかしヴェロニカの身には逆に過去に遡っていくという現象が起こり始める。
不思議が渦巻くストーリー。
そしてかつて通った地元のカフェに戻った彼は、そこで懐かしい友人たちと会う・・・

何だろうと思って観ていくうちに不思議な雰囲気のまま映画は終わる。
終わってみれば深い余韻が残る。
これがコッポラの新しい世界なのだろうか。
難しいところである・・・


評価:★★☆☆☆
   
posted by HH at 11:17 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2010年02月22日

【ブラインドネス】My Cinema File 521

ブラインドネス.jpg


原題: Blindness
2008年 日本・ブラジル・カナダ
監督: フェルナンド・メイレレス
原作 : ジョゼ・サラマーゴ
出演 : ジュリアン・ムーア/マーク・ラファロ/伊勢谷友介/木村佳乃/ダニー・グローヴァー/ガエル・ガルシア・ベルナル


<STORY>********************************************************************************************************
とある都会の街角。
日本人の男が運転する車が交差点で立ち往生していた。
突然目の前が真っ白になり、完全に視力を失っていたのだ。
親切な男に助けられ家まで送り届けられるが、そのまま車を持ち去られてしまう。
男は妻に付き添われ病院に。
医者は、眼球に異常はなく原因はわからないと告げるが、各地では失明者が続出していた。
車泥棒も、そして、診察した医者までも。
驚異的なスピードで“ブラインドネス”は感染していった…
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「突然世の中の人々の目が見えなくなったら」という面白い前提の映画である。
冒頭で日本人が「患者第1号」として登場する。
そして夫妻の日本語が続くので、アレっと思ったら、これは製作に日本も加わっていると知って納得した。

それはともかく、突然目が見えなくなるとこれほど脆いものかと改めて思わせられる。
車の運転中に目が見えなくなった日本人男性。
親切にも家まで車を運転してくれるという男性の好意に甘える。
しかし、家に送ってもらったあと、車を持っていかれてしまう・・・
彼の態度を見ていて「危ういな」と感じていたが、そもそももう少し対応の仕方はあったと思うのだが、やっぱり日本人は人が良くて脇が甘いと感じてしまう・・・

同様の症例が続くとやがてそれは何らかの「感染症」とされ、「感染者」は隔離されてしまう。
と言っても「謎の感染症」ゆえに隔離病棟のケアはいい加減で、隔離して食料だけ差し入れる方式で、誰も「盲人」の面倒を見てくれない。
病院内はたちまち混乱となってしまう。
やっぱり目が見えないという事は大変な事だと思うのである。

主人公の眼科医の妻は、収容される夫に付き添い、わざと「隔離」される。
なぜか彼女に症状は現れず、病棟内で唯一目が見える人物となる。
放置された病棟はやがて権力関係が生じ、第3病棟が他の病棟を支配するようになる・・・
まるで刑務所のようであるが、こうして隔離された集団において、力の強いものが自ら秩序を形成し始めるのが人間社会なのだろうか・・・

世の中の人間すべてが盲目になったとしたら、どんな風になってしまうのか。
そしてもし、自分だけがそんな世の中でたった一人目が見えるとしたら・・・
そんな想像力を働かせてみた映画。
試みとしては面白い。
期待が大分先行してしまったが、できればストーリーにもう一ひねり欲しかったような気がするのである・・・


評価:★★☆☆☆
posted by HH at 23:02 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | SF/近未来ドラマ

2010年02月21日

【タイムリミット】My Cinema File 520

タイムリミット.jpg


原題: OUT OF TIME
2003年 アメリカ
監督: カール・フランクリン
出演:  デンゼル・ワシントン/エヴァ・メンデス/サナ・レイサン/ディーン・ケイン/ジョン・ビリングスリー

<STORY>********************************************************************************************************
フロリダの小島、バニアン・キーの警察署長・マットは、住民の信望も厚い実直な警察官。
そんな彼の秘密は、高校時代の後輩・アンと不倫関係にあること。
ある日マットはアンの通院に付き添い、彼女が末期ガンで余命僅かということを知る。
いたたまれないマットは署に保管された証拠品の現金を持ち出し、最後の望みをかけた高額な治療を受けるよう、アンに現金を手渡す。
だがその晩、アンの自宅が火災で焼失。
アンと夫の遺体が見つかる。
呆然とするマットの前に現れたのは、殺人課の刑事でマットの別居中の妻・アレックスだった…
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デンゼル・ワシントンと言えば、出演作も数多く、しかも近年は「ハズレ」がないため、必ずその作品は観たいと思わせられる俳優である。
この作品はその中でも、本領発揮といえる「ハラハラドキドキ」モノである。

舞台はフロリダの田舎町。
警察署長マットは住民からも親しまれ、のんびりとした生活を送っている。
しかし、野心家の妻とは折り合い悪く別居中。
一方で高校時代の後輩である人妻アンとは不倫中という身分。

そんな田舎町の警察署長がある事件の証拠品として48万ドルの大金を保管する事になる。
そして一方ではアンが末期癌とわかり、高額な治療費が必要となる。
DB夫に愛想を尽かし、自らの運命を受け入れ、せめてもの思いとして自分の生命保険の受取人をマットに換えて街を離れようとするアン。
そんなアンに対し、マットは保管中の現金を渡し、治療の道を勧める。
しかし、現金を渡したアンの自宅が放火され、焼け跡からアンとその夫と思われる死体が発見される・・・

「タイムリミット」という邦題はなかなかである。
原題は「Out of time」だから「時間切れ」といったところだろうか。
当分保管したままでいいと思っていた証拠品の現金を、突然DEA(麻薬取締局)から提出を求められる。
提出できなければ「横領」となってしまう。
一方で、アン夫婦殺害の容疑者として、アンの「謎の不倫相手」が浮上する。

タイムリミットが切迫する中で、ギリギリのところでデンゼル・ワシントンが真相究明にひた走るのである。
彼を信頼し、協力してくれる仲間。
離婚騒動の中で捜査の指揮を取る妻。
縦糸に横糸がうまく絡み合い、ハラハラドキドキを十分楽しませてくれる映画である。


評価:★★★☆☆
posted by HH at 23:50 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | スリリング

2010年02月20日

【ハンコック】My Cinema File 519

ハンコック.jpg

原題: Hancock
2008年 アメリカ
監督: ピーター・バーグ
出演:  ウィル・スミス/シャーリーズ・セロン/ジェイソン・ベイトマン/ジェイ・ヘッド/エディ・マーサン

<STORY>********************************************************************************************************
超人的な力でロサンゼルスで起こる事件や事故を解決するが、同時に街に大損害を与える男・ハンコック。
粗暴な性格も相まって市民にも毛嫌いされていた。
そんな彼に命を助けられたPR会社の社員・レイは、ハンコックのイメージ回復作戦に乗り出す。
彼を刑務所に入れて罪を償わせた上で、正義のヒーローとして復活させようというのだ。
渋々ハンコックは指示に従い刑務所へ。
その姿をレイの妻・メアリーは複雑な心境で見ていた・・・
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新たなヒーロー映画であるが、ちょっと普通のヒーローとは違う。
スーパーマンのように空を飛び、銃弾は弾き返し、車を片手でひょいと持ち上げたりできる超人的パワーは、スーパーマンに匹敵する。
しかし・・・
酒びたりで、悪を退治しても手加減や傍若無人なやり方は、いつも周りに大損害を与える。

それが原因でいつも周囲からは非難轟々。
とても正義のスーパーヒーローというわけにはいかない。
そんな彼に助けられたPR会社の社員レイは、彼を真のスーパーヒーローとすべく、得意のPR作戦を立てて彼を指導して行く・・・

まずは反省して刑務所に入るハンコックだが、スーパーパワーを持つ彼にとって刑務所の塀などなんの役にも立たない。
塀の外に出たボールを拾いに簡単に飛び越えてしまったりするのである。
そんなユーモラスな展開が、ちょっと一味違うスーパーヒーロー物語となっている。

スーパーマンはクリプトンからやってきたという素性がはっきりしていたが、ハンコックは謎のまま。
それでもストーリーとしては、強敵が現れピンチに陥らないといけないのは、こうしたスーパーヒーローモノには「お約束」。
まあそれなりに「お約束」もちゃんとあってすっきりまとまったストーリーになっている。

ウィル・スミスも態度の悪いスーパーヒーロー役が様になっていて、シャーリーズ・セロンも意外な正体を秘めていたりして、気軽に楽しめる映画となっている。
それでもやっぱり正体をきちんと知りたかったな、というのが正直な感想である・・・


評価:★★★☆☆
   
  
posted by HH at 00:19 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(2) | スーパーヒーロー