2010年04月29日

【チェ 28歳の革命】My Cinema File 543

チェ 28歳の革命.jpg

原題: Che/The Argentine
2008年 スペイン=フランス=アメリカ
監督:  スティーヴン・ソダーバーグ
出演:  ベニチオ・デル・トロ/デミアン・ビチル/サンティアゴ・カブレラ/エルビラ・ミンゲス

<STORY>********************************************************************************************************
1955年、貧しい人々を助けようと志す若き医師のエルネスト(チェ)・ゲバラは、放浪中のメキシコでフィデル・カストロと運命的な出会いを果たす。
キューバの革命を画策するカストロに共感を覚えたチェは、わずか82人で海を渡り、キューバ政府軍と戦うというカストロの作戦に同意し、すぐにゲリラ戦の指揮を執るようになる。
チェという愛称で呼ばれ、軍医としてゲリラ戦に参加したチェ・ゲバラは、女性と子供には愛情を持って接するのだった……
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キューバ革命で、フィデル・カストロとともに英雄的な活躍をしたチェ・ゲバラを描いた映画である。
実は全編で4時間30分という長い映画であるため、キューバ革命までとその後とで2本に分けられた映画である。
本編はその前半部分である。

もともとチェ・ゲバラの名前は知っていたが、その活動内容等はまったく知らなかった。
カストロ自身は今は第一線から身を引いたとはいえ、まだ存命だしキューバ革命以降、世界でも独自のスタンスを取り、ニュースで目にする機会も多かったが、チェ・ゲバラは名前だけしか伝わってこない。
私自身からするととにかく謎の人物であった。

そんな好奇心から楽しみにして観たこの映画。
長い映画の前半部分という構成のためか、特別盛り上がることなく淡々として終わったというイメージの映画である。
チェ・ゲバラ紹介編とでもいう位置づけであろうか。

もともとアルゼンチン出身の医師であったゲバラは、カストロと意気投合し82人の仲間とともにキューバへと渡る。
当時のキューバはアメリカのお膝元、少数の人間が国の利益の大半を抑え、そして資産もアメリカへと流出していた。
多くの国民は読み書きもできない貧しい農民たちで、まさに搾取に甘んじていた。

山間部からゲリラ活動を開始した一行は、政府軍と戦いながら次第に共感する農民たちを勢力に加えて拡大していく。
医師であるゲバラは、山中の村々に行くと無料で村民たちの診察をする。
「どこも悪くないが医者というものを見た事がないので来た」と言ってゲバラの診察を受ける女性。
こうした交流が革命成功へと繋がっていく。

もともと共産主義を生みだしたのは資本主義の歪みである。
資本家が貧しい者を搾取する。
そうした状況に置かれれば、誰もが反発するであろう。
富をみんなで分かち合おうという理想は、そうした虐げられた社会ではあっという間に浸透していく。

仲間に加わりたいと希望する者たちがくると、必ず「読み書きはできるか」と問うゲバラ。
読み書きができない者はすぐに騙されるとの信念を持ち、仲間を組織したあとは学校を作り読み書きをおぼえさせる。
疲れているからと言って勉強をしない男を叱りつけて勉強させるシーンは印象的だ。

次第に勢力を広げ、やがて都市部にも進出する革命グループ。
略奪したスポーツカーに乗る若者を叱りつけて、「返してこい」と指導するゲバラ。
そんなエピソードに触れ、ゲバラの人物像が固まっていく。
市民の歓迎を受け、輝かしい革命成功でエンディングとなる。

この続きがどうなるのか、後編に期待したい・・・


評価:★★☆☆☆

        
posted by HH at 22:41 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 実話ドラマ

2010年04月25日

【ミッドナイト・エクスプレス】My Cinema File 542

ミッドナイトエクスプレス.jpg

原題: Midnight Express
1978年 アメリカ
監督: アラン・パーカー
脚本: オリヴァー・ストーン
出演: ブラッド・デイヴィス/ランディ・クエイド/ボー・ホプキンス/ジョン・ハート/ポール・スミス/マイク・ケリン/ノーバート・ワイザー/アイリーン・ミラクル

<STORY>********************************************************************************************************
1970年、ニクソン政情下のアメリカは、中東諸国との関係を悪化させ、険悪な政治情勢が続いていた。
そんな折、イスタンブール空港から、たまたま2キロのハシシ(麻薬)をアメリカへ運び出そうとしていたアメリカ青年ビリー・ヘイズはハシシ密輸の罪で官憲に逮捕された。
やがてビリーは、セイガミルカー刑務所に移され、途方もない恐怖と孤独感に襲われる。
単なるハシシ密輸の罪なのに、さも重罪人のように扱われるビリー。
傷ついたビリーを看護してくれたのは、2人のアメリカ人、ジミーとエリックだった。
そしてジミーはビリーに言った。
「この刑務所に入れられたら、半病人になるか、ミッドナイト・エクスプレスに乗るかのどちらかだ」と・・・
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昔観たはずなのに忘れてしまった映画も実は多い。
この「ミッドナイト・エクスプレス」もその一つだ。
大まかな概要は覚えているが、詳細は忘却の彼方。
ゆえに逆に新鮮な気持ちで観る事ができた。

1970年のイスタンブール。
ハシシという麻薬をアメリカへ持ち出そうとしたビリーが、空港で逮捕される。
心臓の鼓動をうまく使ってビリーの緊張感を演出するやり方は、観ている方にもビリーの緊張感が伝わってくる。
そして逮捕。

言葉のわからない中での尋問。
異国で逮捕されるという事は、これほどの恐怖感があるという事が見事に伝わってくる。
実話に基づいたこの映画は、罪は罪として、風俗習慣の異なる異国での刑務所での生活に対する恐怖感というものがうまく伝わってくる。
法制度もまた然りである。

かつて外国人を無罪にしたという敏腕弁護士の名前を聞き出し、父親や領事館の伝手を頼って万全の構えで裁判に臨む。
結果は4年2ヶ月の懲役。
求刑は終身刑だから、実質的には勝訴だと強がる弁護士。

ハシシを持ち出そうとした動機までは描かれていないが、随分と高い結末に本人の後悔度はいかにと思いを馳せる。
若気の至りというにはあまりにも代償が大きい。
そんな彼に対し、ここから出るには半病人になるかミッドナイト・エクスプレスに乗るしかないと同じアメリカ人の囚人仲間でささやく。
タイトルの意味(刑務所用語で脱獄)がここでわかる。

西洋民主主義的な人権の意識がおよそあるとは思えない刑務所。
そんな刑務所からの脱獄の誘いを断るビリー。
刑期が4年2ヶ月という事を考えれば、高いリスクを伴う脱獄を選択する理由はない。
ところがあと53日というところで、突然刑が30年に変更される。
アメリカとトルコの関係悪化という政治的背景がその裏にはある。

結局紆余曲折を経て、逮捕から5年後にビリーは脱獄に成功してギリシャ経由で帰国する。
そこに至るまでのストーリーが、オスカーにも輝いたテーマ音楽をバックに描かれる。
結果的にみれば脱獄なのであるが、彼は当初の刑期は努めているわけであり、その意味では人道的に許されるのかもしれない。

そして映画公開後、国際世論の動きもあってかアメリカとトルコは囚人交換協定を結んだそうである。
何よりも実話という迫力がこの映画にはある。
もう40年も前の事であるが、そういう時代もあったのだという歴史的な記録でもあるかもしれない。

それにしてもうまく脱獄できたのは本当に幸運だったのかもしれない。
エンディングのテーマ音楽がそんな余韻に浸らせてくれる。
実話の持つ凄味が伝わってくる映画である。


評価:★★★☆☆


posted by HH at 12:09 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | スリリング

2010年04月24日

【BOY A】My Cinema File 541

BOY A.jpg

原題: BOY A
2007年 イギリス
監督: ジョン・クローリー
出演: アンドリュー・ガーフィールド/ピーター・ミュラン/ケイティ・リオンズ/ショーン・エヴァンス/シヴォーン・フィネラン

<STORY>********************************************************************************************************
24歳のジャックは、子供の頃に犯した犯罪により少年院に入れられ、14年間の刑期を終え再び外の世界へ出ようとしている。
ソーシャルワーカーのテリーから仕事とアパートが与えられ、彼は過去を隠し、名前も変え新しい生活を始める。
運送業の会社に就職した彼は、同世代の青年クリスとコンビを組むことになる。
職場にはミシェルという気になる女性もいた。
ある日ジャックは、クリスに後押しされてミシェルを誘う…
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原題を和訳すれば「少年A」。
日本でも未成年者が犯罪を犯した場合は実名報道されないが、イギリスでもそれは同様。
これはそんな少年Aが、社会復帰していく様子を描いた作品である。

冒頭でソーシャルワーカーのテリーから社会復帰の手ほどきを受けるジャック。
ジャックという名前もその場で決めたものである。
新しいアパートと仕事、そしてテリーからは靴をプレゼントされる。
並行して描かれる少年時代のエピソード。
どうやら少年Aとなった経緯は、友人とともにある少女を殺害した事だとわかっていく。

世間ではいまだにその事件に対する憎しみが強く、少年Aが出所したというニュースが新聞で報道され、似ているとされた人の家が放火されるというエピソードも出てくる。
罪は償っても世間はそれを許していない様子がうかがえる。
やがて仕事にも慣れ、パートナーとも仲良くなり、そして彼女もできる。
普通に暮らし始めた彼の心に重く圧し掛かるのは、「もしも過去がばれたら」という不安と、最愛の彼女に事実を伝えるべきかという葛藤。

日本でも一時少年犯罪が話題となった。
筆頭格の「酒鬼薔薇聖斗」もすでに出所しているが、居場所について近所で話題になった事もあったが、その手の話に対する関心はどこの国でも同じなのであろう。
事実、ジャックの正体がばれるとともに報道関係者がジャックの自宅に押し掛けてくる。

映画はあくまでジャックの視点で描かれている。
一生懸命普通に生きようとするが、儘にならない現実。
観ているうちに自然と同情的になる。
しかも犯行自体、もう一人の少年が主導していたように暗示されているから、尚更である。

しかしながら事件には当然被害者がいるわけで、被害者(の家族)の視点は描かれない。
描かれれば当然ジャックについても別の姿が浮かび上がるわけであるが、それも描かれていない。
意図的に犯罪者に同情的に作られているが、これはこれとして別の視点もあるよという認識は持たないといけない。
そんなに簡単に社会に受け入れられていいとはどうしても思えないし、ジャックの苦しみはある意味自業自得なのである。

単なる娯楽と割り切ってもいいし、そんな問題意識をもっても面白い。
映画ってやっぱり面白いものである・・・


評価:★★☆☆☆


posted by HH at 12:22 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2010年04月18日

【ブッシュ】My Cinema File 540

ブッシュ.jpg

原題: W.
2008年 アメリカ
監督: オリバー・ストーン
出演:  ジョシュ・ブローリン/エリザベス・バンクス/エレン・バースティン/ジェームズ・クロムウェル/リチャード・ドレイファス/スコット・グレン

<STORY>********************************************************************************************************
「弟を見習え、このろくでなし!」
名門一家の若き跡継ぎジョージ・W・ブッシュは、40歳になるまで父から与えられた仕事を途中で投げ出す、アル中のダメ息子。
「だがいつかはボクも、パパに認められたい…」
パパの巨大な影と闘いながらも、ある日ブッシュは神の預言を聞く。
「お前が大統領になるのだ――」。
そして遂に、パパに認めてもらえる日がやってくる筈だったが…
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第43代アメリカ合衆国大統領ジョージ・W・ブッシュの伝記映画である。
ただ、この伝記どこからどこまでが真実なのか今一よくわからない。
というのも内容は極めてシニカルに描かれており、本人が観たらたぶん気分を害するものだからである。

親子二代にわたる大統領ともなれば、それはすごい事なのであるが、いまやブッシュ大統領は「最悪の大統領」という批評もあるくらい厳しい評価を受けている。
実際、「世界の平和に脅威を与える人物」という事でオサマ・ビン・ラディンに次いで第二位の評価を得た事もある。
イスラム世界ではなく西側自由諸国での評価で、である。
(イスラム世界であればダントツの一位という事になる)

ストーリーは9.11後、アフガニスタンを制圧したあとの時代と若き日が並行して描かれる形で進んでいく。
ブッシュ家の長男と言う割には飲酒運転でトラブルを起こし、仕事についても次々にやめてしまう。
父親のブッシュ議員(のちのブッシュ父大統領)も幾度となく手を差し伸べるが、一向に改まらない。
それが現代とオーバーラップして進むので、のちのダメ大統領ぶりを暗示するかの如きである。

興味深いのはやはり大統領としての執務状況。
コンドリーザ・ライス補佐官やコリン・パウエル国務長官などが本物そっくりの雰囲気で登場する。
そしてイラク侵攻に関する喧々諤々の議論も興味深い。
公式的にはイラクが大量破壊兵器を保有しているという名目だったが、実質的には石油が目当てだったこの戦争。
それが赤裸々にあらわされる。

アメリカの石油はいずれ枯渇するが、全世界の消費の25%を占めるアメリカにはイラクの石油を抑えておくことが不可欠だ、と堂々と語られ核兵器開発疑惑では嫌疑が薄いとなり、もっともらしい生物兵器などの大量破壊兵器という名目が出来上がっていく。
ここのところは限りなく真実だと思うから、尚更興味深い。
そしてイラク侵攻は石油利権確保という目的は達成したものの、いまなお重いツケとなってアメリカにのしかかっている。

この映画を観ているとよくブッシュは大統領になれたものだと改めて思う。
アル・ゴアとのもつれにもつれた大統領選もラッキーだったと言えるが、それにしてもテキサス州知事も務めているし、やっぱり大統領になるくらいだからそれなりのものはあったはず。
オリバー・ストーン監督としては徹底的にコケおろしたかったのかもしれないが、やっぱり評価すべきところもきちんと描いてほしかったなとそんな風に思った映画である。


評価:★★☆☆☆

    
   
posted by HH at 23:10 | 東京 ☀ | Comment(1) | TrackBack(0) | 実話ドラマ

2010年04月17日

【インクレディブル・ハルク】My Cinema File 539

インクレディブルハルク.jpg


原題: The Incredible Hulk
2008年 アメリカ
監督: ルイ・レテリエ
出演:  エドワード・ノートン/リヴ・タイラー/ティム・ロス/ティム・ブレイク・ネルソン/タイ・バーレル/ウィリアム・ハート/ロバート・ダウニーJr.

<STORY>********************************************************************************************************
研究実験の事故で心拍数が上がると緑色のモンスター“ハルク”に変身してしまう、科学者のブルース。
彼はその体質の軍事利用を狙うロス将軍から逃れながら、ミスター・ブルーなる謎の科学者と連絡を取り、元の身体に戻る方法を模索していた。
潜伏していたブラジルからアメリカに戻ったブルースは、最愛の女性ベティと再会。
しかしロス将軍とその部下のブロンスキーが再び彼の捕獲作戦を実行し……。
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以前テレビドラマでやっていた「超人ハルク」。
面白くてずっと観ていた。
それが映画化されたのが、前作「ハルク」。
最新の映像技術で、以前のテレビシリーズよりもずっと迫力を増して登場し、大いに楽しんだ。

その続編が本作。
といってもキャストはがらりと代わっている。
代わっているのはキャストだけで設定はそのままなのであまり違和感はない。
ハルクに変身する事を隠しブラジルでひっそりと暮らすブルース。
怒りによって心拍数が上がると変身するため、怒りを抑えるトレーニングをしている。
そのコーチがヒクソン・グレイシーというのはサービスだろう。

こうしたヒーローモノに登場するのは必ず敵役。
今回はロス将軍の手配した根っからの軍人ブロンスキー。
なんと志願してハルクに変身していく。
自らの強さに磨きをかけ、それを進化させていく事に恍惚となっていく軍人である。

一方で必ず出てくるヒロインは同じく科学者のベティ。
ロス将軍の娘という立場で、ブルースを助ける。
敵役の娘がヒロインというのもありがちな設定ではあるが、まあアメコミだからそういうものだろう。

みどころはやっぱり変身したハルクの暴れっぷりにあるのだろう。
最新設備の米軍もまったく歯が立たない。
最後の度迫力のバトルも昔のテレビドラマシリーズからすると夢のよう。
そういえば大学の警備員を観てどこかで観た事がある、とずっと考えていた。
あとで昔のテレビドラマシリーズでハルクを演じたルー・フェリグノである事がわかった。
ちょっとした粋なキャスティングだ。

ストーリーもわかりやすくはっきりしていて、迫力のある映像。
十二分に楽しめる映画である。


評価:★★★☆☆

   
   
posted by HH at 22:53 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(1) | スーパーヒーロー