
原題: Che/The Argentine
2008年 スペイン=フランス=アメリカ
監督: スティーヴン・ソダーバーグ
出演:
ベニチオ・デル・トロ:チェ・ゲバラ
デミアン・ビチル:フィデル・カストロ
サンティアゴ・カブレラ:カミロ・シエンフェゴス
エルビラ・ミンゲス:セリア・サンチェス
カタリーナ・サンディノ・モレノ:アレイダ・マルチ
ロドリゴ・ドス・サントス:ラウル・カストロ
<STORY>********************************************************************************************************
1955年、貧しい人々を助けようと志す若き医師のエルネスト(チェ)・ゲバラは、放浪中のメキシコでフィデル・カストロと運命的な出会いを果たす。キューバの革命を画策するカストロに共感を覚えたチェは、わずか82人で海を渡り、キューバ政府軍と戦うというカストロの作戦に同意し、すぐにゲリラ戦の指揮を執るようになる。チェという愛称で呼ばれ、軍医としてゲリラ戦に参加したチェ・ゲバラは、女性と子供には愛情を持って接するのだった……
********************************************************************************************************
キューバ革命で、フィデル・カストロとともに英雄的な活躍をしたチェ・ゲバラを描いた映画である。実は全編で4時間30分という長い映画であるため、キューバ革命までとその後とで2本に分けられている。本編はその前半部分である。
もともとチェ・ゲバラの名前は知っていたが、その活動内容等はまったく知らなかった。カストロ自身は今は第一線から身を引いたとはいえ、まだ存命だしキューバ革命以降、世界でも独自のスタンスを取り、ニュースで目にする機会も多かったが、チェ・ゲバラは名前だけしか伝わってこない。私自身からするととにかく謎の人物であった。
そんな好奇心から楽しみにして観たこの映画。長い映画の前半部分という構成のためか、特別盛り上がることなく淡々として終わったというイメージの映画である。チェ・ゲバラ紹介編とでもいう位置づけであろうか。
もともとアルゼンチン出身の医師であったゲバラは、カストロと意気投合し82人の仲間とともにキューバへと渡る。当時のキューバはアメリカのお膝元、少数の人間が国の利益の大半を抑え、そして資産もアメリカへと流出していた。多くの国民は読み書きもできない貧しい農民たちで、まさに搾取に甘んじていた。
山間部からゲリラ活動を開始した一行は、政府軍と戦いながら次第に共感する農民たちを勢力に加えて拡大していく。医師であるゲバラは、山中の村々に行くと無料で村民たちの診察をする。「どこも悪くないが医者というものを見た事がないので来た」と言ってゲバラの診察を受ける女性。こうした交流が革命成功へと繋がっていく。
もともと共産主義を生みだしたのは資本主義の歪みである。資本家が貧しい者を搾取する。そうした状況に置かれれば、誰もが反発するであろう。富をみんなで分かち合おうという理想は、そうした虐げられた社会ではあっという間に浸透していく。
仲間に加わりたいと希望する者たちがくると、必ず「読み書きはできるか」と問うゲバラ。読み書きができない者はすぐに騙されるとの信念を持ち、仲間を組織したあとは学校を作り読み書きをおぼえさせる。疲れているからと言って勉強をしない男を叱りつけて勉強させるシーンは印象的だ。
次第に勢力を広げ、やがて都市部にも進出する革命グループ。略奪したスポーツカーに乗る若者を叱りつけて、「返してこい」と指導するゲバラ。そんなエピソードに触れ、ゲバラの人物像が固まっていく。市民の歓迎を受け、輝かしい革命成功でエンディングとなる。
この続きがどうなるのか、後編に期待したい一作である・・・
評価:★★☆☆☆