2010年05月30日

【7つの贈り物】My Cinema File 557

7つの贈り物.jpg

原題: Seven Pounds
2008年 アメリカ
監督: ガブリエレ・ムッチーノ
出演: 
ウィル・スミス:ベン・トーマス
ロザリオ・ドーソン:エミリー・ポサ
ウディ・ハレルソン:エズラ・ターナー
バリー・ペッパー:ダン
マイケル・イーリー:トーマスの弟

<STORY>********************************************************************************************************
男の名前はベン・トーマス。ベンは7人の名前が載ったリストを持っている。彼らは互いに何の関係もない他人同士。ベンは彼らに近づき、彼らの人生を調べ始める。そして、ある条件に一致すれば、彼らの運命を永遠に変える贈り物を渡そうとしている。ベン・トーマスとは何者なのか?彼の目的は何なのか?そして、贈り物の中身とは…?
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ウィル・スミスと言えば、デンゼル・ワシントンと並ぶアメリカの代表的な主役級の黒人スター。出演作はまず外れる事がないので安心して観られる俳優である。

出演作品のパターンも「メン・イン・ブラック」「ワイルド・ワイルド・ウエスト」「ハンコック」のようなちょっとコメディチックなアクション系から、スリラー系(「エネミー・オブ・アメリカ」、「アイ・アム・レジェンド」)、SF系(「アイ・ロボット」)と多岐にわたる。この映画は、「幸せの力」と同じハートウォーミング系であるが、どれをとってもお勧めできるものばかりである。

冒頭で自ら自殺予告の電話をする男。どういう背景なのかまるでわからない。国税庁職員を名乗りながら人助けをするようであり、かと言えば盲目の男を罵倒するというひどい行為をしてみたり、と何をしようとしているのかわからないままドラマは進む。映画の半分は疑問符を抱いたまま観る事になり、ちょっとストレスである。

時折フラッシュバックされる回想シーンでは、美女と事故が交互する。主人公のなぞの行動と回想シーンが少しずつ重なっていく。そしてそれがラストですべて一つに繋がっていく。もう少し早くからストーリーが見え始めてくると、かなりストレスが少なかったはずだと個人的には思うが、好みの問題なのかもしれない。

弟との諍い、幼馴染の親友の苦悩。ラストになってすべて繋がった時に、初めて深い感動となって一つのストーリーが完成する。感動的ではあるが、切ない物語。ウィル・スミスも守備範囲が広いなとつくづく思わせられる。観て損はない映画である・・・


評価:★★★☆☆
       


   




posted by HH at 21:38| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | ファンタジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月29日

【チェンジリング】My Cinema File 556

チェンジリング.jpg

原題: Changeling
2008年 アメリカ
監督・製作・音楽 : クリント・イーストウッド
出演: 
アンジェリーナ・ジョリー: クリスティン・コリンズ
ジョン・マルコヴィッチ: グスタヴ・ブリーグレブ牧師
ジェフリー・ドノヴァン: J.J.ジョーンズ警部
コルム・フィオール: ジェームズ・E・デーヴィス市警本部長
ジェイソン・バトラー・ハーナー: ゴードン・ノースコット

<STORY>********************************************************************************************************
1928年。ロサンゼルスの郊外で息子・ウォルターと幸せな毎日を送る、シングル・マザーのクリスティン。だがある日突然、家で留守番をしていたウォルターが失踪。誘拐か家出か分からないまま、行方不明の状態が続き、クリスティンは眠れない夜を過ごす。そして5ヶ月後、息子が発見されたとの報せを聞き、クリスティンは念願の再会を果たす。だが、彼女の前に現れたのは、最愛のウォルターではなく、彼によく似た見知らぬ少年だった・・・
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1920年代後半のアメリカで実際に起こった事件の映画化である。この事件は実話であるというが、2つの恐ろしい事件が絡み合っている。一つはこの映画の本流。ある日突然失踪した息子。懸命に探す母親の元に警察から連絡があり、発見された子供と再会する。ところがこの子がまったくの別人。にも関わらず息子だと主張するロス警察の恐ろしい体質。

一方で子供ばかりを誘拐しては殺害して、自ら経営する養鶏場に埋めていたという連続殺人事件。殺された子供はなんと20人以上という戦慄すべきもの。80年以上も前の事件とはいえ、なんともやりきれないものがある。

監督はもはや名優というべきか名監督というべきか迷いそうでもあるクリント・イーストウッド。主演の アンジェリーナ・ジョリーは得意のアクションは片鱗も見せず、子供を失い、ロス警察の悪質な仕打ちにも毅然と対応する母親を演じる。逆にその静かな対応が迫力をもって伝わってくる。

それにしても当時のロス警察の対応はまったくもって不可思議である。行方不明の子供を捜索し、母親に引き渡したところまでは良かったものの、その子が別人であるという母親の主張にはまったく耳を貸さない。背が低くなったのも、体型の変化も、なかったはずの割礼のあともすべて証拠にはならないと吐き捨てる。本当は証拠などいらずに母親の証言だけでも十分だろう。現代の感覚ではおよそ信じ難い事である。当時はそんな事がまかり通る(少なくとも本人たちがそう考えてもおかしくない)時代だったという事なのだろうか。

原題のChangilingにはヨーロッパの民話で、妖精が人間の子供をさらった後に置いていく妖精の子供という意味があるそうである。まさにこの事件そのものの話であり、日本人にはわからないがうまいタイトルである。

それにしてもなんともやり切れない後味の悪さを残す映画。それはクリント・イーストウッド監督の責任でもアンジェリーナ・ジョリーの責任でも他の映画関係者だれの責任でもない。逆にあまりにもリアルに訴えかける映画になったからそう感じるのかもしれない。それもまた映画の良さなのだろうけど、心に重い映画である・・・


評価:★★★☆☆


      




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2010年05月25日

【ザ・クリーナー】My Cinema File 555

ザ・クリーナー 消された殺人.jpg

原題: CLEANER
2007年 アメリカ
監督:  レニー・ハーリン
出演: 
サミュエル・L・ジャクソン: トム・カトラー
エド・ハリス: エディ・ロレンゾ
エヴァ・メンデス: アン・ノーカット
キキ・パーマー: ローズ・カトラー

<STORY>********************************************************************************************************
元刑事で現在は犯罪や事故現場の清掃会社を営むトムの元に、ある邸宅の殺人現場の清掃依頼が届く。滞りなく作業を終了したトムだが鍵を返し忘れ、翌日再び邸宅を訪れる。すると出迎えた女主人のアンは清掃を依頼したことはおろか、自らの家で殺人事件が起こったことすら知らなかった。やがてメディアは実業家ジョンの行方不明を報じ始める。ジョンはアンの夫であり、“殺人”は“失踪”に切り替わっていた……。
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何気なく観た映画であるが、意外なキャストにちょっと驚いた。主演の サミュエル・L・ジャクソンといえば、モーガン・フリーマンと並んであらゆる映画に出ているんではないかと思わせられるくらい数多くの映画に出演している黒人俳優だし、エド・ハリスはなんといっても「アビス」が秀逸で好きな俳優に数えられる一人だし、エヴァ・メンデスもよく出演作品を観ている。

さらに、油断していたら監督は「クリフハンガー」のレニー・ハーリンという有り様だ。キャストだけ観ていたら、絶対見逃したくない映画だ。しかしながらあまり名前が売れていないという事は、やっぱりそれなりの内容なわけであり、それは少なくとも俳優の責任ではないと思う。

ではストーリーの責任かというとそうとも言い切れない。主人公のトムは元警官であるが、現在は特殊な清掃会社を営んでいる。事件や事故といった悲惨な現場を手掛ける清掃会社である。死後何日もたった現場などは普通の人では正視できないものであり、限界を感じた社員を休ませたりと、苦労の多いトムである。

そんなトムがふと受けた犯罪現場の清掃。仕事を終えたあとで、依頼主であるはずの警察には事件ナンバーも担当者も存在していない事がわかる。つまり警察に知られることなく事件現場を処理してしまったわけである。下手をすれば共犯、もしくは犯人とされてしまう可能性もある。

そして折からその警察は贈収賄事件で揺れており、トムが処理した現場はその贈収賄事件の重要証人の自宅となると、よけい疑惑を呼ぶ事になる。警察に相談しようにも誰が敵で誰が味方かわからない・・・サイドストーリーとして親子の関係も描き、そこそこスリリングな展開を楽しめる。意外な事件の真相と善悪の判断が難しい結末。ストーリーも悪くない。

しかしながらトータルでみると今一つ物足りなさを感じさせられてしまう。まあそういう映画もあるだろう。時間も短いので、ちょっと空いた時間に手軽に観るのに適した映画とも言える映画である・・・


評価:★★☆☆☆


     





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2010年05月18日

【ザ・プロテクター】My Cinema File 554

ザ・プロテクター.jpg

原題: THE SHEPHERD: BORDER PATROL
2008年 アメリカ
監督: アイザック・フロレンティーン
出演: 
ジャン=クロード・ヴァン・ダム: ジャック・ロビドー
スコット・アドキンス: カープ
スティーヴン・ロード: ベンジャミン・マイヤーズ
ゲーリー・マクドナルド: ビリー・ポーネル
ナタリー・ロブ: ラモーナ・ガルシア分隊長

<STORY>********************************************************************************************************
警察官を辞職したジャックは、国境警備隊に新たな職を得た。まだ若かった娘を麻薬中毒で亡くした彼は、麻薬の供給源であるシンジケートを壊滅させることで敵討ちを果たそうと決意していたのだ。真面目な仕事ぶりで周囲の信頼を得ていくジャックだったが、一方、賄賂も恐喝も受け付けない彼を疎ましく思う者も少なくなかった。シンジケートはすでに警備隊の内部をも蝕み、麻薬を米国内に流通させるためのルートを確保していたのだ・・・
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アクション俳優を挙げれば必ずこの人の名前は外せないという一人がジャン・クロード・ヴァン・ダム。太って動けなくなったスティーブン・セガールは過去の人であるが、この人はまだまだ現役で鑑賞に耐えるアクションを披露してくれる。

こういう映画はストーリーはあまり重要でない。悪があって、正義の味方ヴァン・ダムが登場して悪を一掃する、というストーリーにあまり意味はない。ヴァン・ダムの得意な格闘アクションが観られるなら、それはそれで満足なのである。

冒頭のアフガニスタンでの戦闘シーン。ここで敵役のスコット・アドキンスが見事な格闘アクションを披露してくれる。ジャンプしての回転回し蹴りは、実践的かどうかはともかく、浅田真央びっくりの回転ジャンプで、少なくとも見た目は迫力がある。こうしたサービスは嬉しくもある。そして最後にヴァン・ダムとの対戦があるんだろうと期待を持たせてくれる。

最後に強敵と戦ってこれを倒すというのはブルース・リーの時代からお約束である。日本の黒沢作品だってそうだ。やっぱりヒーローが目立つためには敵役が強くないといけない。そういう意味で、スコット・アドキンスの冒頭でのアクションは重要である。

ヴァン・ダムは国境警備隊に入る事になる。ボスは女性であるがなかなか迫力がある。相棒と組んで任務をスタートするが、麻薬組織はすでに幅広く浸透していて、すぐに銃撃戦。この銃撃戦もなかなかの迫力。

スティーブン・セガールが年齢と体型で観るも無残な姿を映画で晒しているのと比較すると、ヴァン・ダムはまだ十分にアクションを堪能させてくれる。そのアクションを楽しみたい映画である・・・


評価:★★☆☆☆


    






posted by HH at 22:26| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | アクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月17日

【マンマミーア!】My Cinema File 553

マンマミーア.jpg

原題: Mamma Mia!
2008年 アメリカ
監督: フィリダ・ロイド
出演: 
メリル・ストリープ: ドナ・シェリダン
アマンダ・セイフライド: ソフィ・シェリダン
ピアース・ブロスナン: サム・カーマイケル
コリン・ファース: ハリー・ブライト
ステラン・スカルスガルド: ビル・アンダーソン
ドミニク・クーパー: スカイ

<STORY>********************************************************************************************************
ギリシャの島で小さなホテルを営むドナの愛娘ソフィの結婚式前日、三人の男たちが島にやって来る。父親を知らずに育ったソフィの夢は結婚式でヴァージンロードをパパと二人で歩くこと。かつての母の恋人サム、ハリー、ビルのうちの誰かが自分の父親だと見当をつけたソフィが、内緒で招待状を送ったのだ。式の準備でただでさえ大わらわのドナは、昔の恋人たちの出現に大ショック。果たしてソフィの父親は誰なのか?
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ミュージカルを映画化しても成功しないと個人的には考えている。なぜならミュージカルは歌と踊りを楽しむものでストーリーはどうしても二の次になるからである。普通の映画を観る感覚でミュージカルを観ると落胆することになる。このミュージカルも例外ではない。

しかし、この「マンマ・ミーア!」が普通と違うところは、全編ABBAのヒット曲で構成されており、馴染み深いというところ。映画ではなく、プロモーションビデオを観ている感覚に近いかもしれない。次から次に流れるABBAの名曲。ストーリーはついているが、それはおまけでメインはABBAの曲と考えればこれは楽しめる。

それにしてもABBAの曲に合わせてよくもこれだけ見事にストーリーを作れるものだと感心してしまう。それぞれの歌詞が場面場面によくマッチしている。ストーリーと歌が流れるように絡み合い、自然と体もリズムをとってしまう。

主演のメリル・ストリープも頑張って歌に踊りにと披露してくれる。「プラダを着た悪魔」の気難しい編集長と同一人物とはとても思えない。ABBAが好きだった世代なら最初から最後まで楽しく観られる映画である。


評価:★★★☆☆


    



posted by HH at 23:08| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ミュージカル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする