
原題: Defiance
2008年 アメリカ
監督・脚本 : エドワード・ズウィック
出演:
ダニエル・クレイグ: トゥヴィア・ビエルスキ
リーヴ・シュレイバー: ズシュ・ビエルスキ
ジェイミー・ベル: アザエル・ビエルスキ
アレクサ・ダヴァロス: リルカ
アラン・コーデュナー: ハレッツ
マーク・フォイアスタイン: イザック
ミア・ワシコウスカ: ハイア
<STORY>********************************************************************************************************
第二次世界大戦さ中の1941年。ナチス・ドイツの迫害はポーランドの小さな田舎町まで迫っていた。両親を殺されたユダヤ人のトゥヴィア、ズシュ、アザエルのビエルスキ兄弟は、復讐を胸にポーランドに隣接するベラルーシの森に身を隠す。やがて森には、ドイツ軍の迫害から逃げてきたユダヤ人が次々と助けを求めて集まってくる…。食料難、寒さの中、人間らしく生き抜くことを心に決め、肉体も精神も極限状態の日々を過ごしていた…
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主人公は第二次大戦中のユダヤ人の兄弟。というとすぐにホロコーストが連想され、抵抗空しく殺される悲劇の映画かと思いきや、タイトルにある通りこれは生き残るために戦ったユダヤ人のストーリーである。しかも実話というなによりも力強いバックボーンがある。
冒頭でのユダヤ人狩り。両親を殺害されたものの、ビエルスキの4兄弟はかろうじて森へ逃げ込む。幼き頃から慣れ親しんだゆえに、彼らにとって隠れて暮らすのはわけのない事だった。ところが、同じように難を逃れて森に逃げ込んできた人たちがあとを絶たない。次兄のズシュは食料を賄いきれないと受け入れに難色を示すが、長兄のトゥヴィアは博愛精神で受け入れる。
ドイツ兵を襲撃しては武器を奪い、ささやかな復讐を成し遂げるもトゥヴィアは満足せず、復讐よりも生き残る事を選択する。力による復讐を主張するズシュは、ソ連兵と行動をともにするが、トゥヴィアは膨れ上がった仲間たちのリーダーとして生きる事を決意する。
自然発生的にできた集団で、食料不足、意見の衝突、病気等の問題が起こる。死の恐怖におびえる人々をまとめていくトゥヴィア。リーダーとなるべきものの役割というものを考えさせられる。そして時には強権を発動する事も。
映画のストーリーの中にはエンターテイメント性を高めるためフィクションとして挿入されたエピソードもあるというが、総じて実話の持つすごみが現れている。ただ収容所に送られて一方的に虐殺されただけではなく、こうして森に逃げ込み生き抜いたユダヤ人たちがいたという事実は驚きだ。結局彼らは1941年から終戦までを森で過ごしたという。最終的には1,200人がそうして森で生き延び、病院や学校までも作っていたという。
映画というエンターテイメントである一方、リーダーシップのあり方や、困難な状況下での生き方などいろいろな要素が盛り込まれている。人間の強さ弱さがパターンを変えて出てくる。こういう映画は是非観ておきたい映画である・・・
評価:★★★☆☆