
原題: Angels & Demons
2009年 アメリカ
監督: ロン・ハワード
原作: ダン・ブラウン
出演:
トム・ハンクス: ロバート・ラングドン
ユアン・マクレガー: パトリック・マッケンナ(カメルレンゴ)
アイェレット・ゾラー: ヴィットリア・ヴェトラ
ステラン・スカルスガルド: リヒター
ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ: オリヴェッティ
<STORY>********************************************************************************************************
ヴァチカンの教皇が逝去した。新たな教皇を決めるコンクラーベ(教皇選挙)を前に、有力な候補である4人の枢機卿が誘拐される。その陰には、かつてガリレオを中心とした科学者たちによる秘密組織イルミナティの姿があった。科学を信仰するイルミナティは、宗教を第一義とするヴァチカンからの弾圧によって消滅を余儀なくされた組織だった。しかし彼らの残党は、科学の先端技術によって欧州原子核研究機構が生成することに成功し驚異的な破壊力を持つ「反物質」も盗み出して、ヴァチカン全体の破壊をも計画していた。ヴァチカンからの使者の依頼を受けて、ハーバート大学の宗教象徴学者であるロバート・ラングドン教授はローマへと向かう・・・
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「ダ・ヴィンチ・コード」に続いて映画化されたダン・ブラウンのベストセラー「天使と悪魔」の映画化作品である。小説が圧倒的な面白さを持っていたため、映画化してもどうだろうか、という危惧があったのは確かだが、観終わってみるとそれは杞憂であった。
小説を映画化すると、どうしても時間の制限というものが出てくる。小説版の「天使と悪魔」の世界は、とてもではないが2時間では収まらない。ただカットし過ぎてダイジェスト版になってしまったら面白くない。そんな難しさをこの映画ではよく克服したと思う。
もちろん省いている部分は多い。反物質を生み出したセレン研究所についてはほとんどカットされていたし、4つの教会の説明も最小限だった。
教会とその対立する組織であるイルミナティとの関わりもかなり省かれていたようだ。個人的には小説版の方が比較にならないくらい面白いと思うが、時間の制約がある以上こうした変更はやむをえないだろう。
一方映画には映画としての良さがある。小説では想像力が頼みだが、映画ではビジュアルに楽しめる。バチカンの街の様子、教会などは想像力だけでは限界がある。見てわかるわかりやすさというものは映画の特徴だ。
ストーリーは至極単純。教皇の死にあたり、次の教皇を選ぶ選挙であるコンクラーベが行われる。そしてその時を狙ったように教皇庁にしかけられた強力な破壊力を持つ反物質。そして教皇候補4人が誘拐され、1時間ごとに一人ずつ殺害するという予告が届く。手掛かりとして残されたアンビグラムの紋章。専門家であるロバート・ラングドンに協力が要請される。
レオナルド・ダ・ヴィンチの本を手掛かりに、殺害される予定の4つの教会を推測し、殺害を阻止すべく追いかけて行くラングドン教授と警察。一方で反物質のありかも探さねばならない。時間が刻一刻と迫る中で、歴史をヒントに謎解きと犯人追跡に観る者も参加する事になる。
主役のラングドン教授は、前回に続いてトム・ハンクス。そしてもう一人の重要人物カメルレンゴ役が、ユアン・マクレガー。こういう真面目な人物像からアクションモノ(スターウォーズ・シリーズ)まで多彩にこなす。出演作には外れは少ない俳優で、けっこう個人的には好きである。
映画は映画と考えれば十分に楽しめる。ベストセラー原作の映画化成功例と言える一作である・・・
評価:★★★☆☆