
原題: The Reader
2008年 アメリカ・ドイツ
監督: スティーヴン・ダルドリー
原作: ベルンハルト・シュリンク(『朗読者』)
出演:
ケイト・ウィンスレット: ハンナ・シュミッツ
レイフ・ファインズ: マイケル(ミヒャエル)・ベルク
デイヴィッド・クロス: 少年時代のマイケル(ミヒャエル)
レナ・オリン: ローゼ・マーター/後年のイラーナ・マーター
ブルーノ・ガンツ: ロール教授
<STORY>********************************************************************************************************
1958年のドイツ。15歳のマイケルは21歳年上のハンナとの初めての情事にのめり込む。ハンナの部屋に足繁く通い、請われるままに始めた本の朗読によって、2人の時間はいっそう濃密なものになるが、ある日、ハンナは忽然と姿を消す。1966年、大学で法律を学ぶマイケルは傍聴した法廷の被告席にハンナを見つける。裁判に通ううちに彼女が必死に隠し通してきた秘密にようやく気づき、衝撃を受けるのだった・・・
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原作はベルンハルト・シュリンクの「朗読者」。ベストセラーという事で読んだが、あまり印象に残っていない。どうも感性が合わなかったようだが、評判通りの感動を感じる事ができなかった。そんな原作の映画版。原作の印象が薄かったせいか、特に違和感を感じることなく観る事ができた。
戦争が終わって13年後のドイツ。15歳のマイケルは気分が悪くなってあるアパートの前で吐いてしまう。アパートの住人ハンナが偶然そこに出くわし、介抱する。回復してお礼に再びアパートを訪れるマイケル。大人の女性のさり気ない色気にどきりとする。
あっという間にハンナと初体験。そうなると若いマイケルはハンナにのめり込む。アパートに通い、ハンナと情事に耽る毎日。やがてハンナに請われるまま、マイケルはハンナにいろいろな書物の朗読を始める・・・
若い男と年上の女。男からすれば、最初は年上の女性にリードしてもらうという理想的な関係。同級生の女の子がサインを送ってきても、まるで眼中に入らない。実はハンナには秘密があって、至る所にその伏線が張られていく。原作を読んでいたため、その伏線の一つ一つに気がつくが、読んでいない人にはどんな風に思えたのであろう。
突然マイケルの前から姿を消すハンナ。その理由はその秘密のゆえでもあり、年若い男といつまでもふしだらな関係を続けていてはいけないという大人の判断なのかは判然としない。マイケルは突然の喪失感に茫然とするも、やがて成長して大学生になる。
再びマイケルがハンナと再会するのは、戦争犯罪人を裁く裁判での事。被告席にそのハンナが座っている。そうしてやがてマイケルはハンナの秘密に気がつくのであるが、どうもその秘密を巡る扱いについて理解し難いところがある。日本とドイツの社会の違いなのかもしれない。
お堅い原作に沿って作られているせいか、映画も真面目な展開だ。文学作品らしさが漂う。ドイツ人が主人公なのに全編英語。あまり気にしないのかもしれない。
主演のケイト・ウィンスレットも「タイタニック」の時は初々しい女性であったが、ここでは少しくたびれかけた女性から、後半は老女まで変身。随分変わるものだと思っていたが、同時期に制作された「レボリューショナリーロード」では、まだ若さ溢れる女性として登場したから、たぶん役作りなのだろう。すっかりと演技派に変身したようである。
映画は原作と同様、これといったインパクトはない。文学作品らしい良い映画だとは思うが、大げさな宣伝文句ほど感動させられるというものでもない。その原因は、マイケルとハンナの心情にどうしても同感できかねるところがあるからだと思う。そこは仕方がないところなのかもしれないと思うところである・・・
評価:★★☆☆☆
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