
原題: SAW VI
2009年 アメリカ
監督: ケヴィン・グルタート
出演:
トビン・ベル: ジグソウ / ジョン・クレイマー
コンスタンス・マンディラー: マーク・ホフマン
ベッツィ・ラッセル: ジル・タック
マーク・ロルストン: ダン・エリクソン
ピーター・アウターブリッジ: ウィリアム・イーストン
<STORY>********************************************************************************************************
FBI捜査官ストラムが死体となって発見される。指紋が残されていたことなどから、死亡したジグソウの後継者はストラムではないか、というのが大方の見解となり、これで一連のジグソウ事件は幕引きかと思われた。しかしストラムの上役だったFBI捜査官エリクソンは、後継者は他にいるのではと疑惑を抱き、ホフマン刑事に接触する。一方、ジグソウの前妻ジルは、亡き夫が残した遺言と遺品をどう扱うのか、考えあぐねていた。ようやく彼女の心が決まった頃、新しい“ゲーム”が始まる。このゲームを最前列で見物しているのは、果たして誰なのか!?
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衝撃的な第1作から早くもシリーズ6作目となった。
よく続くなと正直思う。
それに気がつくと観てしまっている自分がいる。
どうしても観ておきたいと思う心理にさせられるのである。
冒頭で例によって捕えられた男女が登場する。
頭に仕掛けられた装置が始動する。
ジグソウの解説が始る。
制限時間60秒以内で相手よりも多くの肉片を切り取って秤にかける事。
負けた方は装置の餌食となる。
太った男はナイフを手に自らの肥満の腹の肉を切り取るが、痩せた女は意を決して斧を手にし、自らの左腕をテーブルに置く・・・
残虐なシーンがこのシリーズの特徴でもあるが、それは相変わらず。
しかし犠牲となるのは一応それなりに悪い事をしていたとされる人々。
冒頭の男女はローン会社の社員。
返せないとわかっていても家を差し押さえれば回収できるとして貸したのだと言う。
「そういう目」にあっても仕方がないというのだろう。
犠牲者のメインで登場するのは保険会社の重役ウィリアム。癌にかかり治療費を請求してきた顧客に対し、専門チームが見つけてきた些細な違反を盾に支払いを拒否する。断られた顧客は、高額な治療費を払えず治療を受けられない事になり、捨てゼリフを残して去っていく。そんな保険会社のウィリアムと彼の“有能な”スタッフがゲームに参加させられるのである。
ストーリーはストーリーとして、さり気なくアメリカの病根が描かれる。
マイケル・ムーア監督の「シッコ」で描かれていたアメリカの保険制度である。
アメリカでは「医療費は病院と患者が話し合って下さい、国家は関与しません」というスタンスを取る。高額な医療費はしたがって民間の保険に頼らざるを得ない。
国民皆保険制度を導入しようとしたクリントンも業界の圧力に屈し、公約に掲げて当選したオバマ大統領も解決できずにいる問題である。
そうした問題に対する怒りを隠しているのかもしれない。
すでに死亡したジグソウであるが、協力者であるのがホフマン刑事。
姿の見えない協力者を捜査するFBIのエリクソン。
ジグソウの意志を継ぐホフマンのゲームとエリクソンの捜査が同時に進む。
そしてジグソウの遺品を受け取った妻ジル。
過去のシリーズを観ていないとここらあたりはついて行けない。
総集編的な要素もあり、これで終わりかと思う部分もあるが、まだ次の『ソウ・ザ・ファイナル』へと続くようである。ここまできたら、最後まで観ようと思うが、衝撃的な第1作から比べると、悪人退治の方向へと進んで来ている感は否めない。悪人とは言ってもスタッフレベルではどうなのだという気がしないでもない。失業率が日本よりも遥かに高いアメリカで、仕事を維持しなければならないという事情だってあるではないか、と思う気持ちもある。
まあ、そんな事は映画の世界だし、真剣に考えるべきではないのかもしれない・・・
過去のシリーズ
ソウ3
ソウ4
ソウ5
評価:★★☆☆☆