2011年04月29日

ソウ6

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原題: SAW VI
2009年 アメリカ
監督: ケヴィン・グルタート
出演: トビン・ベル/コンスタンス・マンディラー/ベッツィ・ラッセル/マーク・ロルストン/ピーター・アウターブリッジ

<STORY>********************************************************************************************************
FBI捜査官ストラムが死体となって発見される。
指紋が残されていたことなどから、死亡したジグソウの後継者はストラムではないか、というのが大方の見解となり、これで一連のジグソウ事件は幕引きかと思われた。
しかしストラムの上役だったFBI捜査官エリクソンは、後継者は他にいるのではと疑惑を抱き、ホフマン刑事に接触する。
一方、ジグソウの前妻ジルは、亡き夫が残した遺言と遺品をどう扱うのか、考えあぐねていた。
ようやく彼女の心が決まった頃、新しい“ゲーム”が始まる。
このゲームを最前列で見物しているのは、果たして誰なのか!?
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衝撃的な第1作から早くもシリーズ6作目となった。
よく続くなと正直思う。
それに気がつくと観てしまっている自分がいる。
どうしても観ておきたいと思う心理にさせられるのである。

冒頭で例によって捕えられた男女が登場する。
頭に仕掛けられた装置が始動する。
ジグソウの解説が始る。
制限時間60秒以内で相手よりも多くの肉片を切り取って秤にかける事。
負けた方は装置の餌食となる。
太った男はナイフを手に自らの肥満の腹の肉を切り取るが、痩せた女は意を決して斧を手にし、自らの左腕をテーブルに置く・・・

残虐なシーンがこのシリーズの特徴でもあるが、それは相変わらず。
しかし犠牲となるのは一応それなりに悪い事をしていたとされる人々。
冒頭の男女はローン会社の社員。
返せないとわかっていても家を差し押さえれば回収できるとして貸したのだと言う。
「そういう目」にあっても仕方がないというのだろう。

犠牲者のメインで登場するのは保険会社の重役ウィリアム。
癌にかかり治療費を請求してきた顧客に対し、専門チームが見つけてきた些細な違反を盾に支払いを拒否する。
断られた顧客は、高額な治療費を払えず治療を受けられない事になり、捨てゼリフを残して去っていく。
そんな保険会社のウィリアムと彼の“有能な”スタッフがゲームに参加させられるのである。

ストーリーはストーリーとして、さり気なくアメリカの病根が描かれる。
マイケル・ムーア監督の「シッコ」で描かれていたアメリカの保険制度である。
アメリカでは「医療費は病院と患者が話し合って下さい、国家は関与しません」というスタンスを取る。
高額な医療費はしたがって民間の保険に頼らざるを得ない。
国民皆保険制度を導入しようとしたクリントンも業界の圧力に屈し、公約に掲げて当選したオバマ大統領も解決できずにいる問題である。
そうした問題に対する怒りを隠しているのかもしれない。

すでに死亡したジグソウであるが、協力者であるのがホフマン刑事。
姿の見えない協力者捜査するFBIのエリクソン。
ジグソウの意志を継ぐホフマンのゲームとエリクソンの捜査が同時に進む。
そしてジグソウの遺品を受け取った妻ジル。
過去のシリーズを観ていないとここらあたりはついて行けない。

総集編的な要素もあり、これで終わりかと思う部分もあるが、まだ次の「ソウ ザ ファイナル」へと続くようである。
ここまできたら、最後まで観ようと思うが、衝撃的な第1作から比べると、悪人退治の方向へと進んで来ている感は否めない。
悪人とは言ってもスタッフレベルではどうなのだという気がしないでもない。
失業率が日本よりも遥かに高いアメリカで、仕事を維持しなければならないという事情だってあるではないか、と思う気持ちもある。

まあ、そんな事は映画の世界だし、真剣に考えるべきではないのかもしれない・・・

過去のシリーズ
ソウ3
ソウ4
ソウ5


評価:★★☆☆☆
    


   
posted by HH at 12:47 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | スリラー

2011年04月24日

東京の宿

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1935年 日本
監督: 小津安二郎
出演: 坂本武/突貫小僧/末松孝行/岡田嘉子/小嶋和子/飯田蝶子

<STORY>********************************************************************************************************
子供二人を連れた男喜八が、仕事を探して毎日歩き回っている。
しかしどこへ行っても断られるばかり。
子供たちは野犬を捕まえてお金に代えて飯代を作っている。
彼等が泊まっているのは木賃宿。
そこには、小さな女の子を連れた綺麗な母親がいる。
喜八とその子供たちは、この母子と仲良くなる。
喜八はこの母にほのかな思いを寄せる。
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小津安二郎監督の映画である。
制作年は1935年。
中国大陸できな臭い動きが続き、日本が世界的に孤立への道に進んでいた時代である。
これまでの無声映画から、この映画では音楽が加わる。
セリフはいまだ字幕である。
無声映画からトーキーへの過渡期的な映画なのであろう。
映画進化史に残りそうな映画と言える。

時代背景を写してか、映画は道行く親子を映し出す。
子供たちのシャツは破れ、見た目はみすぼらしい。
父親は工場を訪ねては就職を頼むが、どこもかしこもにべもない。
子供たちは野犬を売って日銭を稼ぐ。
値段は40銭。
これも時代であろうか。

兄弟はまだ小学生で、どちらも無邪気だ。
大人は子供を養わなければならないのに職がない。
その苦悩がにじみ出てくる。
仕事が見つからず親子で入る宿屋は相部屋。

工場地帯が続く風景に続く道はじゃり道。
遠くに一両編成の電車が走る。
こうした背景はセットではなく、その時代の様子をうかがい知る貴重な映像と言える。
父親は同じように職を探す母子と出会う。
それぞれの事情はわからないが、きっといろいろあるのだろうと想像させられる。

父親はやがて知り合いと出会い、思わぬ形で職と住まいを手に入れる。
しかし母子は以前のまま。
困り果てた母子を男は放っておけなくなる。
貧しいながらも美しい母親を見過ごせないのが男というもの。
それがクライマックスの事件へと繋がる。

こういう時代もかつてはあった。
現代の日本では起こりそうもない。
子連れの母親が金に困ってついた職業が、今で言うホステス。
といっても座敷で酌をするだけ。
それでも「こんな仕事をしていてはいけない」とたしなめられる。

人情ドラマのストーリーも時代とともに移り変わる。
かつてあった時代のドラマとして、しみじみと後に残る小津映画である。


評価:★★☆☆☆


    
posted by HH at 23:18 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 小津安二郎監督作品

2011年04月23日

ウィッチマウンテン/地図から消された山

ウィッチマウンテン.jpg

原題: Race to Witch Mountain
2009年 アメリカ
監督: アンディ・フィックマン
出演: ドウェイン・ジョンソン/アナソフィア・ロブ/アレクサンダー・ルドウィッグ/カーラ・グギノ/キアラン・ヘインズ

<STORY>********************************************************************************************************
UFO大会で賑わうラスベガス。
タクシードライバーのジャックは、街に溢れるSFオタクにうんざりしていた。
そんな彼のタクシーに乗り込んだセスとサラと名乗る兄妹の二人組。
彼らを乗せて走り出した途端、怪しいSUV車に追われるが、ジャックの並外れた運転テクニックと兄妹の不思議な力で危機を脱する。
しかし、さらなる追っ手がかかり、ジャックは戸惑いながらも謎めいた兄妹と行動を共にする・・・
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この手の映画はなんとなく一発花火のようで、後に何も残らないというものが多い。
何かを期待して、というよりも何となく観たという形容が正しい。
主演はドウェィン・ジョンソンとあるが、馴染みはもちろんない。
しかしながらよく見るとこの人、あのザ・ロックだとわかる。
WWEの名レスラーである。

映画はどうやらリメイクらしい。
宇宙人が登場するディズニー映画という内容になるのだが、前の作品はともかく、この手の作品は撮影技術が進んだ現在の方がビジュアル的にはいいと思う。

冒頭で過去のUFOの映像等が多々流される。
いかがわしいのもあれば、説明の困難なものもあるだろう。
ひと頃は流行った気がするが、最近はそうでもない。
アメリカ政府が必死に隠蔽しているというメッセージを伴って、これらが流される。
そして地球になぞの飛行物体が墜落する。

一方、怪しげな連中とトラブルを起こしながらも真面目に仕事をするタクシー運転手ジャック・ブルーノ。
その彼の車に乗り込んできた若い兄妹。
お堅い英語をしゃべり、タクシー代として大金を差し出す。
目的地である砂漠地帯に向かう彼らに、なぞの集団が追い迫る・・・

全編はチェイスの連続。
二人の若い兄妹と彼らを乗せたタクシー・ドライバー。
彼らを追う政府組織のグループとマフィアと謎の超人。
得意のドライビングテクニックを活かして、兄妹と逃げるジャックという図式である。

ストーリー的にはありふれているのだが、意外と面白かったというのが正直な感想。
この手の映画は大抵そこそこで終わるものなのである。
ザ・ロックが特に肉体美を誇るわけでもなく、アクションを見せつけるわけでもなく、普通に出演していた。
「DOOM ドゥーム」の時は、まだまだそのご立派な肉体美を披露してくれていたが、今回はそれはなし。
今後はすっかり俳優業に専念するのだろうか。

タイトルにあるウィッチ・マウンテンとは、政府の秘密基地のある山。
地図には載っていないらしい。
原題にRace to ・・・とあるように、兄妹とジャックと途中で加わったアレックス博士とはこの山を目指すのである。
単なるチェイスに留まらず、いろいろと楽しませてくれる仕掛けがある分、楽しめたのかもしれない。
まあディズニー映画だし、そこそこ楽しめる映画であると思う。


評価:★★☆☆☆




     
posted by HH at 12:04 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | SF/近未来ドラマ

2011年04月17日

ノウィング

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原題: Knowing
2009年 アメリカ
監督: アレックス・プロヤス
出演: ニコラス・ケイジ/チャンドラー・カンタベリー/ローズ・バーン/ララ・ロビンソン/ベン・メンデルソン

<STORY>********************************************************************************************************
大学で宇宙物理学を教えているジョンは、ある日、小学生の息子ケレイブが持ち帰った紙に書かれた数字に目を留める。
そこには過去に起きた大惨事の日付と犠牲者の数が書かれていたのだ。
しかもそれは、50年前に小学校に埋められたタイムカプセルから出てきたものだった。
やがて数字に予告された日付に大事故が起きる。
さらに数字の最後には、人類がかつて遭遇したことがない大惨事が待っていた…
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冒頭、1959年のアメリカ某小学校。
小学生たちは50年後に開封されるタイムカプセルに入れる絵を描く事になる。
しかし、ちょっと変わった少女ルシンダは、声が聞こえると言いながら、絵の代わりにに数字を書き連ねる。
そしてそれは50年後に開封されるため、そのまま封印される。
これから何が起こるのだろうと期待させるに十分なスタートだ。

50年後、大学教授ジョンの息子ケイレブは、小学校の創立記念日でタイムカプセルの開封に立ち会う。
そしてまさにルシンダが書いた数字の紙を手にする。
何気なくその紙を見たジョンは、やがてその数字にある意味が隠されている事を知る。
それは過去50年間に世界で起こった惨事の日付と犠牲者の数であった。
さらにそこにはまだこれから起こるべき3つの数字が残っていたのである・・・

大学の授業でジョンは、起こりうる物事はあらかじめすべて決められているという理論と、無秩序に偶然起こるという二つの理論の講義をしている。
すべて決まっていると考えるのなら、あらかじめ予言なども可能だと言う事になる。
そんなジョンは、すべての物事は無秩序に偶然起こると信じる学者である。
ところが、そんな彼をもってしても、この数字の羅列は説明できない。

こうしたスリリングな展開に、観ていて自然に引きこまれていく。
架空のお話だと思っていても、面白いものである。
主演はニコラス・ケイジ。
この人は本当に幅が広い。
情けない男から、冒険家やヒーローまでこなす。
ここでもただの数字の羅列からさの意味を掴んでいく学者として登場する。
実際に、惨事が起きる場所と時間がわかったら、どうするだろう、とついつい想像する。
特に震災のあとだから、尚更かもしれない。

結末は人によって好みが別れるところかもしれない。
個人的にはちょっとこういうエンディングは・・・と思ってしまった。
ニコラス・ケイジも必死に残された暗号の謎を解いたのに、そこに待ち受けていたものは、一部の希望とあまりにも無常な結末・・・
もう少し未来に明るい可能性のあるエンディングにしてほしかった。
映画の世界だから、とくにそう思いたいものである・・・


評価:★★☆☆☆

  
posted by HH at 21:34 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | スリリング

2011年04月16日

カムイ外伝

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2009年 日本
監督: 崔洋一
出演: 松山ケンイチ/小雪/伊藤英明/佐藤浩市/小林薫

<STORY>********************************************************************************************************
貧しさゆえに幼くして忍びの世界に足を踏み入れたカムイは、強靱な意志と優れた忍術を身につけて成長する。
しかし、理不尽な殺戮に明け暮れ、厳しい掟に縛られた年月を経た後、自ら選んだ世界を捨てる覚悟を決める。
それは即ち裏切り者として追われる身となることだった。
逃亡を続けるカムイは、偶然命を救った漁師の半兵衛一家のもとに身を寄せるが、半兵衛の妻は抜忍として身を潜めるかつての仲間スガルだった・・・
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随分と懐かしいタイトルを目にした。
その昔テレビアニメで見た記憶がある。
原作は漫画ながら、独特の暗い雰囲気が好きになれなくてあまり読んだ記憶はない。
したがってストーリーも詳しくは知らない。
あらためて認識した部分もかなりある。

カムイの物語には「カムイ伝」と「カムイ外伝」とがあるらしい。
本筋は「カムイ伝」の方で、「外伝」とある通り、「カムイ外伝」は「カムイ伝」のどうやらサイドストーリーのようである。
なんだかややこしい。

もとは非人の子として生まれたカムイ。
身分制度の最下層として位置付けられ、穢れ仕事をこなしていた人たちである。
そして強くなりたいという思いを秘め、カムイは忍びの世界に足を踏み入れる。
しかし、殺戮の日々に嫌気がさし、忍びの世界を抜ける。
それは「抜忍」として許されざる行為であり、以後「追忍」と呼ばれる追手に追われる事になる。

冒頭でざっとこんな説明がなされ、ストーリーははじまる。
一応忍者の物語だからだろうか、追手との闘争シーンは、ワイヤーで釣り上げたような飛翔があったりして、少し前の中国映画のようで笑ってしまう。
ちょっとお粗末だ。
まあ元が漫画だから、漫画チックなのは仕方ないとして、もう少し映画らしい工夫が見たかった気がする。

そんなカムイが半兵衛という男と知り合い、漁師をしている半兵衛の家で世話になる事になる。
馬の蹄で疑似餌を作る半兵衛が、領主の馬を狙うというのもその後の展開も、いかにも漫画チックなのだが、それは仕方がないだろう。
原作はもっと暗い現実を反映している雰囲気があったが、この映画は明るい。
カムイの背負っているものの重さがあまり出て来ない。
ただ出演者が結構豪華なのが売りなのかもしれない。
現代的なライトタッチの映画だが、原作者が観たらどんな感想を持つだろうか。
ふと、そんな事を考えた映画である・・・


評価:★★☆☆☆



   
posted by HH at 19:17 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(1) | 時代劇/西部劇