2011年05月30日

【バッド・ルーテナント】My Cinema File 713

バッド・ルーテナント.jpg

原題: Bad Lieutenant:Port of Call New Orleans
2009年 アメリカ
監督: ヴェルナー・ヘルツォーク
出演: 
ニコラス・ケイジ:テレンス・マクドノー
エヴァ・メンデス:フランキー・ドネンフィールド
ヴァル・キルマー:スティーヴィ・プルイト
イグジビット:ビッグ・フェイト
フェルザ・バルク:ハイジ

<STORY>********************************************************************************************************
ハリケーン・カトリーナが襲来した、ニューオリンズ。刑事テレンス・マクドノーはカトリーナにより水没した警察署の中に置き去りにされた容疑者を救ったことにより、表彰され、昇進することになった。だが、マクドノーには押収された麻薬を保管庫から持ち出し、恋人の高級娼婦フランキーと一緒に使用しているという裏の顔を持っていた。ある日、不法移民の一家が惨殺されるという事件が起き、マクドノーが捜査を担当することに・・・
********************************************************************************************************

またまたニコラス・ケイジ登場といった感じで、個人的には随分この人の主演映画を観ている感じがする。今回は刑事として登場。
しかしこの刑事、あまりやる事が好ましくない。

冒頭、ハリケーン・カトリーナによって水没寸前の警察署。
牢屋で溺れかけている容疑者。
相棒とともに笑って見ていたテレンス・マクドノーは、水の中に飛び込み、容疑者を救出。
その功績により表彰され、昇進する。

しかしながら、それが元だったのか、腰を痛め鎮痛剤が手放せなくなる。
それがコカインに手を出すきっかけになったのか、映画の中ではよくはわからない。
かくして刑事としての職務を全うする一方で、コールガールのフランキーとともにコカインをやる日々。ブツは証拠保管室からくすねてくるという綱渡りだ。さらにフットボールの賭けを繰り返し、窮地に陥れば悪人とも手を組む有り様。

しかし、どこかこのニコラス刑事には後ろ暗さが感じられない。
同じ悪徳刑事でも「トレーニング・デイ」のデンゼル・ワシントンなどは憎々しく、かつ怖さも感じられたが、このニコラス刑事にはそれがない。どこか弱々しいのである。

そうして大抵こういうストーリーは最後には破局が待ち構えているのだが、後半は思いもかけない展開になっていく。観終わってどっと力が抜けた「トレーニング・デイ」とは異なり、さらりとしたラストは何ともはや。まあこうした作品には、ニコラス・ケイジがあっているのだろう。

最初に相棒としてヴァル・キルマーが登場してちょっと期待したのだが、あまり出番がなかったのが残念。「トップ・ガン」のパイロット・アイスマンは印象的だったし、「ヒート」ではアル・パチーノとロバート・デ・ニーロの両巨頭の間で存在感を示し、何より「セイント」は面白かった。チョイ役の役者ではないのだが・・・

ニコラス・ケイジ一色の映画なのだが、この映画はリメイク版らしい。
オリジナルもちょっと見比べてみたくなった一作である・・・


評価:★★☆☆☆
    


     





posted by HH at 23:14| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 刑事・探偵・推理ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月29日

【エレジー】My Cinema File 712

エレジー.jpg

原題: Elegy
2008年 アメリカ
監督: イサベル・コイシェ
出演: 
ペネロペ・クルス:コンスエラ・カスティーリョ
ベン・キングズレー:デイヴィッド・ケペシュ
デニス・ホッパー:ジョージ・オハーン
パトリシア・クラークソン:キャロライン
ピーター・サースガード:ケニー・ケペシュ医師

<STORY>********************************************************************************************************
著名な大学教授デヴィッドは、今日もテレビで自分の著書を解説している。表面的には「成功者」の彼だが、家庭はとうの昔に壊れ、息子とも良い関係を築けない。また、女性には愛よりもSEXを求める日々を送っていた。そんな彼の前に美しい学生コンスエラが現れる。娘ほど歳の離れた彼女にデヴィッドはひと目で虜になり、親密な関係になる。しかし、いつか来る「別れ」を恐れ、デヴィッドは彼女との関係に一線を引こうとする。
********************************************************************************************************

30歳の年の差があるカップルの恋愛物語。
ストーリーよりもむしろ出演者に興味を引かれた映画と言った方が正確だ。
なにせ超美形女優のペネロペ・クルスと禿頭がトレードマークの名優ベン・キングスレー共演となれば、ちょっと見逃したくはない。

大学教授デヴィッドは、独身。
別れた妻との間には不仲の息子がおり、20年間続いているセックスパートナーがいる。
ショーペンハウアーの名言に、「結婚とは、男の権利を1/2にし義務を2倍にすること」というのがあるが、デヴィッドの生活は「権利をそのままにして義務を免除されている」に等しい。

そんなデヴィッドが、ある時自分が教える教室に魅力的な女性コンスエラがいるのを見つける。そしてパーティーで巧みに話しかけ、なんと恋愛関係にまで発展させてしまう。しかしながら「万物は流転する」ものであり、都合の良い状況はいつまでも不変というわけにはいかない。家に招き、両親に合わせたいと願うコンスエラの気持ちに、デヴィッドは答えられない。若い女性とセックスだけを楽しむという男にとって都合の良い状況は長く維持できない。そして、とうとう「その時」がやってくる。

人は誰でも年をとる。
20年来の関係を続けるキャロライン。
成功している経営者でもある彼女が、だんだんと周囲が自分を女として見なくなってきているとぽつりと漏らす。いつまでも若いままではいられない。
若いコンスエラに対して踏み込めなかったデヴィッドの気持ちもわかるような気もする。

テーマが男と女、年齢と恋愛という事だからか、妙にいろいろと感じる事の多い映画である。
男であればこういう悩みもいいかもしれない。
タイトルの「エレジー」とは、哀歌という意味があるそうである。
タイトルの重みがずっしりと響いてくる映画である・・・


評価:★★☆☆☆
    



     




posted by HH at 22:54| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月28日

【パラノーマル・エンティティ】My Cinema File 711

パラノーマル・エンティティ.jpg

原題: Paranormal Entity
2009年 アメリカ
監督: シェーン・ヴァン・ダイク
出演: シェーン・ヴァン・ダイク / エリン・マリー・ホーガン/フィア・ペレラ

<STORY>********************************************************************************************************
ある惨劇の犯人として逮捕されたトーマス・フィンリー。彼は事件が悪霊のせいだと訴え、獄中で自殺した。1年後、彼の家の屋根裏で見つかったビデオには、事件に関わるらしい次のような記録が残されていた。トーマスとその母エレン、妹サマンサのフィンリー家では、父亡き後、奇怪な現象が起き始める。超常現象研究家エドガーのアドバイスを受けたトーマスは、原因を探るため家中に暗視カメラを設置し、自らもカメラを回し始める。
********************************************************************************************************

なかなかの恐怖を味わわせてくれた「パラノーマル・アクティビティ」
その続編かなと思って観たが、実は「模造品」との事だった。
しかしながらこの模造品、実によくできている。

冒頭、911への緊急コールが紹介される。
妹をレイプして殺害し、霊能学者をも殺害して逮捕された男のものだ。
男も獄中で自殺するが、後に現場となった家で発見されたホームビデオの映像という設定でストーリーは始る。

「パラノーマル・アクティビティ」が、これ本物の映像なのかと疑いながら観ていったのに対し、こちらは始めから映画として撮影されたものとわかって観るという違いがある。
そういう意味では、「ハンディ」があるかもしれない。
まあ「模造品」の宿命だ。

しかし、その映像はなかなか恐怖心を煽ってくれる。
悪霊の仕業にしても、なかなか凝っている。
特に地下に置いてあった父親の遺灰をひっくり返した悪霊が、その灰を踏んだ事によって足跡があちこちに残るというアイディアはなかなかだ。
その足跡が天井にペタペタついているのである。

その他にも随所に怖がらせてくれるポイントが山盛り。
手ぶれの入りまくったハンディカメラの映像も臨場感あり、なかなかと言える。
それなのにラストが盛り下がったのが残念。
原因は、結末が冒頭でわかってしまっていたからなのだが、もしもわかっていなければかなり面白かったと思う。

登場人物は4人だけ。しかも最後に登場する学者はちょっとだけだし、撮影者であるトーマスはとうとう顔が映らなかった。実質的な出演者は2名だけという事になる。
低予算映画なのだが、それでこれだけの内容となるとアイディアの重要性が理解できる。
ただ、これも続編になるとアイディアの新鮮さも失われる。
そこが制作側の腕の見せ所になるのだろう。安易なモノマネは難しいと思わせてくれる一作である・・・


評価:★★☆☆☆









posted by HH at 20:49| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | ホラー・オカルト・悪魔 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月23日

【パラノーマル・アクティビティ】My Cinema File 710

パラノーマル・アクティビティ.jpg

原題: Paranormal Activity
2009年 アメリカ
監督: オーレン・ペリ
出演: 
ケイティー・フェザーストン:ケイティ
ミカ・スロート:ミカ
マーク・フレドリックス:フレドリックス教授
アンバー・アームストロング:アンバー
アシュリー・パーマー:ダイアン

<STORY>********************************************************************************************************
平凡な一軒家で幸せに暮らす若いカップル。しかし毎晩寝付いた後に家の様子がいつもと変わっていることに気づく。自分たちの家に起こっている“何か”を確認するため、彼らは生活の一部始終をビデオカメラで撮影することにする。真夜中、2人が眠りについた後、何が起きているのか。ビデオには衝撃の映像が映っていた…
********************************************************************************************************

これは久々の歯応えあるホラーだと思わず唸る一作。
冒頭、ビデオを提供してくれたミカとケイティと地元の警察に対する謝辞が流される。
という事は、これは実際の映像なのかと思って観ることになる。
そしてこれは8歳の頃から超常現象を体験しているケイティーの体験をビデオに収めようとしているのだと言う事がわかってくる。嫌が上にも期待は高まる。

そして映像はミカが記録した形で進んでいく。
若い二人らしい会話が微笑ましい。
そして夜は寝室にビデオをセットして、二人が寝ているところでも撮影は続いて行く。
ビデオの右下に時刻表示がなされ、それらしいムードを醸し出す。
そして夜中に突然、起こるのである・・・
物音がしたり、風もないのにドアが動いたり・・・

ドキュメンタリー風に進んでいく様子は、「ブレアウィッチプロジェクト」や「クローバーフィールド」などに似ている。また、事実なのかどうなのか、という疑問で満たしてくれるところは、「フォース・カインド」とまったく同じである。しかしながら、「フォース・カインド」とは「怖さ」が違う。

ビデオに映し出される超常現象の正体はわからない。
事実なのか気のせいか、はたまた演出なのか。
ケイティーは撮影自体が霊(なのだとしたら、であるが)を刺激するからやめろと頼むがミカは聞き入れない。そして超常現象も次第にエスカレートしていく。
いつのまにやらケイティーの恐怖心が観ているこちらにも伝わってくる。

やがて唐突に訪れる結末。
最後のテロップは事実なのかどうなのか、ここでまた疑問は募る。
ほとんど先入観なく観ると恐怖は倍化するかもしれない。
怖いホラーに飢えている人にはお勧めの一作である・・・


評価:★★★☆☆
    




    



posted by HH at 22:55| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | ホラー・オカルト・悪魔 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月22日

【フローズン・ドリーム/煽情の殺人】My Cinema File 709

フローズン・ドリーム.jpg

原題: Winter of Frozen Dreams
2009年 アメリカ
監督: エリック・マンデルバーン
出演: ソーラ・バーチ/キース・キャラダイン/ブレンダン・セクストン3世/レオ・フィッツパトリック/ダン・モーラン/ディーン・ウィンタース

<STORY>********************************************************************************************************
1977年、売春婦のバーバラに呼び出された恋人ジェリーは、帰宅したら部屋に転がっていたという男の死体を見せられる。ジェリーは彼女と共に死体を雪に隠すが、考え直して警察に通報する。捜査当局は売春元締めであるケンの犯行との疑いを強めるが、ベテランのルーリング刑事は別の考えを持っていた・・・
********************************************************************************************************

映画は作った以上観てもらわないと商売にならない。
より多くの人に観てもらおうとしたら、宣伝が必要になる。
そして宣伝にはテクニックがあり、「面白いものはより面白そうに、そうでないものはそれなりに」印象付けないといけない。タイトルだけであったなら、絶対観なかったはずのこの映画を私が観たのは、「宣伝の勝利」に他ならない。

その宣伝には、「米国で初めて裁判の模様がTV中継された殺人事件を基にしたサスペンス」とあった。振り返ってみれば、「基にした」とあるのだが、どうしても「米国で初めて裁判の模様がTV中継された殺人事件」という部分に意識が残ってしまった。まったく映画には関係ないこの部分にうまくしてやられたのである。

映画の内容は正直言ってよくわからない。
過去と現在が入りくり、紛らわしい。
それが物事の展開状況をわかりにくくしてしまっている。

前半部分は、主人公バーバラが恋人ジェリーを自宅に呼び、帰ったら死体が転がっていたと相談したところから始る(もっともこのシーンは後から出てくる)。
殺された男とバーバラ、バーバラとジェリー、ジェリーと警察、引退間近の刑事、これらのシーンが断片的に次々と表れ、本筋の流れをわかりにくくしている。

結局のところなんだったのか、そんな疑問符がたくさん浮かぶエンドロール。
観なければ良かったとの思いが残る。
冷静に考えれば予想できたのだが、やはり宣伝に引きずられたのだ。
救いは1時間半という短さだった・・・


評価:★☆☆☆☆
     


   





ネタばれ覚悟で続きを読む
posted by HH at 21:55| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 犯罪ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする