
2010年 日本
監督: 山田洋次
出演:
吉永小百合:高野吟子
笑福亭鶴瓶:丹野鉄郎
蒼井優:高野小春
小林稔侍:丹野庄平
加瀬亮:長田亨
<STORY>********************************************************************************************************
早くに夫を亡くした吟子は、東京の私鉄沿線の一角で、小さな薬局を女手一つで切り盛りしながら娘の小春を育て、義母の絹代と3人で暮らしていた。小春とエリート医師の結婚が決まり、一家は幸せの絶頂にあった。そして結婚式当日。和やかに始まった披露宴に、にわかに暗雲が―吟子の夫の13回忌で大暴れしたのを最後に、音信不通になっていた吟子の弟・鉄郎が紋付き袴で現れたのだ・・・
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しっかり者の姉とダメな弟。
タイトルの通り、そんな姉弟愛を描いた山田洋次監督の人情ドラマである。
主演は吉永小百合。
夫を亡くし、一人薬局を切り盛りしながら義母と一人娘と暮らしている。
一人娘の小春は、薬剤師になって店を手伝う一方で、医師との結婚が決まり幸せの絶頂期にある。そんな小春の結婚式に、音信普通だった“叔父”が突然やってくる。
酒癖が悪いため、「飲まない」と約束していたにも関わらず、飲んで酔って醜態をさらす。
旅芸人として全国を回り、たまに帰ってくれば、常識外れで空気の読めない立ち居振る舞いで一族の鼻つまみ者。そんな叔父を笑福亭鶴瓶が自然に演じる。
結婚式はぶち壊すし、借金は押し付けてくる。
ダメダメ人間のおとうと・鉄郎だが、姉吟子は事あるごとに庇う。
吟子の一人娘小春のエピソードと吟子と鉄郎のエピソードが人情味溢れて綴られていく。
どうして吟子はこんなにも鉄郎をかばうのだろうか。
単に吉永小百合のキャラクターに合わせたシナリオなのか。
観ているとそんな風に思うかもしれない。
しかし、姉弟の組み合わせを持つ親の立場からすると、また違ったように見える。
親亡きあと、弟がダメ人間になったとしても、やっぱりお姉ちゃんには面倒をみてほしいものだと、親の立場からは思えてしまう。
きっと二人の親も、吟子の事を空の上から褒めているに違いない。
この二人を見ていると、「ダメな兄貴としっかり者のの妹」というあるコンビが頭に浮かぶ。
山田洋次監督も、きっとフーテンの寅さんを意識しているに違いない。
まあ寅さんの方が、もっとしっかりしているかもしれないが・・・
吉永小百合のどこまでも非の打ちどころのないキャラクターと鶴瓶のどんぴしゃりとハマったキャラクターと、小春の蒼井優のどこか幸薄げなキャラクターが見事にブレンドされた心温まるドラマである・・・
評価:★★★☆☆