2011年07月26日

【ジュリー&ジュリア】My Cinema File 736

   ジュリー&ジュリア.jpg

原題: Julie & Julia
2009年 アメリカ
監督: ノーラ・エフロン
出演: 
メリル・ストリープ:ジュリア・チャイルド
エイミー・アダムス:ジュリー・パウエル
スタンリー・トゥッチ:ポール・チャイルド
クリス・メッシーナ:エリック・パウエル
リンダ・エモンド:シモーヌ・ベック

<STORY>********************************************************************************************************
1949年、ジュリア・チャイルドは外交官の夫ポールの任地パリで、芸術的なフランス料理の洗礼を受ける。好奇心旺盛で食べることが大好きなジュリアは、大胆にも名門料理学校コルドン・ブルーのプロ養成クラスに飛び込むのだった。それから半世紀を経たニューヨークで、ジュリー・パウエルは夫エリックに励まされながら、ジュリアの著した料理本の全レシピを1年365日で制覇し、ブログに掲載することを決意する・・・
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「この映画は2つの実話に基づいている」と最初に説明される。
「2つの実話?」と訝しがりながら観始めると、やがてその理由がわかる。
ストーリーは2つの話が並行して進む。
1949年、外交官の夫ポールとともに、ポールの任地であるパリに到着するジュリア。
そして現代のニューヨークで、ピザ店の2階のアパートで夫エリックとともに新しい生活を始めるジュリー。一見、無関係な2つのストーリーが絡み合って進む。

ジュリーは公務員。9.11に対する電話応対を担当する。
30歳を迎え、仕事でバリバリ稼ぐ友人たちに引け目と焦りを感じながら、人生を模索する。
そして、夫にヒントをもらい自分を変えるために、ジュリア・チャイルドが書いた“Mastering the Art of French Cooking”という料理本に記載されている536のレシピを365日かけて作る事を決意する。料理が好きで作家を夢見ていたジュリー。
作る事と書く事と、二つをブログを使ってやろうというものである。
ジュリーの生活は、それを期に徐々に変化していく・・・

パリ赴任からしだいに料理に目覚めていくジュリアと、「ジュリア&ジュリープロジェクト」と称して料理を作り始めるジュリー。
そんな二人の奮闘が綴られていく。
何かを成し遂げようと頑張る姿は、ドラマとしても美しい。

映画の中で、ジュリーの綴るブログは、現在もまだ「THE JULIE/JULIA PROJECT」として残っていて、閲覧する事ができる。ストーリーの内容と同様、「Nobody here but us servantless American cooks...」というサブタイトルのそのままである。映画の中のジュリーの心境が実際に窺い知れるわけである。こうしたところは、実話の持つ強みだろう。

しかしながらこのブログ、せめて作った料理の写真だけでもアップされていると、ビジュアルに訴えかけるものがあっていいと思う。
本題とはかけ離れているが、ちょっとした雑感だ。

それにしても頑張って何かを成し遂げる姿は心に訴えかけるものがある。
諦めて漫然と日常生活を送っている人には、誰でもきっと何かを成し遂げられるというヒントになるかもしれない。
ちょっと元気がでる映画である・・・


評価:★★☆☆☆







posted by HH at 21:40| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月24日

【インフォーマント!】My Cinema File 735

インフォーマント.jpg

原題: The Informant!
2009年 アメリカ
監督: スティーヴン・ソダーバーグ
出演: 
マット・デイモン:マーク・ウィテカー
スコット・バクラ:ブライアン・シェパード捜査官
ジョエル・マクヘイル:ボブ・ハーンドン捜査官
メラニー・リンスキー:ジンジャー・ウィテカー

<STORY>********************************************************************************************************
1992年、イリノイ州にある大企業で働くウィテカーは順風満帆だった。33歳にして重役、工場をまかされ、家庭も円満。ところがある日、工場でウィルスが発生。日本企業のスパイから脅迫を受けたと報告した事から、FBIが介入。しかしなぜか録音機を取り付けに来た捜査官に、ウィテカーは会社が違法な価格協定を行っていると告白。その日以来、ウィテカーは巨大企業の内部告発者になるのだが、彼には「隠しごと」があった・・・
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マット・デイモン主演という事で迷わず観る事にした映画。
実話を基にしているといいつつも、かなり脚色されていると最初に説明があったが、なかなか正直だなと感じる。実話と言っても、実際はみんなある程度の脚色はあると思うからだ。

さて、「インフォーマント」というタイトルにある通り、この映画は内部告発者の映画である。主人公はアメリカの企業ADM社の若き重役マーク・ウィテカー。
何とスーツ姿のマット・デイモンであるが、でっぷりと太って登場。
最近はすっかりアクションスターとしてのイメージが強いが、そのイメージを一新するかのようである。

マークは6歳の時に両親が事故死。
以来裕福な家庭の養子となって育てられる。
やがて努力の甲斐あってADM社の若き重役にまで上り詰める。
そのまま勤めあげていれば、順風満帆な人生だったのかもしれない。

ところがある日、彼の担当する工場でウィルスが発生し、日本企業からそれについて脅迫を受けたと報告する。報告を受けた経営陣は、FBIに連絡。
FBIはマークの家に録音機をセットする事を提案。
捜査官がマークの家にやってくる。

しかし、そこでマークは捜査官にADM社が行っているカルテルを密告する。
大規模なカルテルの立件に向けて、FBIはマークに協力を要請。
こうして水面下での捜査が始る。
交渉時に登場する企業に味の素などの名前がバンバン出てきて実にリアル。
こういうところが実話の強みなのだろう。

大規模なカルテルの摘発という方向に進むかと見られたが、ストーリーは意外な方向に展開していく。徐々に露わになるマークの人物像。
あのマット・デイモンのイメージとはどんどんかけ離れていく。

役者だから、いろいろな役柄をこなす必要もあるのだと思う。
アクションもいいが、こうした地味な男の役もまたそれなりに良いのではないかと思う。
それにしてもこの映画、2009年制作という事は、「インビクタス/負けざるものたち」と同じ年なわけで、にも拘らずこの体型の違い。かつてのロバート・デ・ニーロほどではないが、短期間という事を考えると、凄いなぁと感心させられる映画である・・・


評価:★★☆☆☆








     
posted by HH at 23:52| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネスドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月23日

【戦場でワルツを】My Cinema File 734

戦場でワルツを.jpg

原題: ואלס עם באשיר/Waltz With Bashir
2008年 イスラエル・フランス・ドイツ
監督: アリ・フォルマン
出演: 
ミキ・レオン:ボアズ・レイン=バスキーラ
オリ・シヴァン:本人
ロニー・ダヤグ:本人
イェヘズケル・ラザロフ:カルミ・クナアン
シュムエル・フレンケル:本人

<STORY>********************************************************************************************************
2006年のイスラエル。映画監督のアリは、友人のボアズから26匹の犬に追いかけられる悪夢の話を打ち明けられる。若い頃に従軍したレバノン戦争の後遺症だとボアズは言うが、アリにはなぜか当時の記憶がない。不思議に思ったアリは、かつての戦友らを訪ね歩き、自分がその時何をしていたかを探る旅に出る。やがてアリは、ベイルートを占拠した際に起きた「住民虐殺事件」の日、自分がそこにいたことを知る…。
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ちょっと変わったイスラエルのアニメーション映画。
世界の火薬庫と言われた中東。
アラブとイスラエルの紛争の最中に起こったイスラエルのレバノン侵攻。
日本にいると詳細は伝わってこないが、その規模から「第5次中東戦争」と言われるほどのものであったらしい。

そのレバノン侵攻時に従軍した映画監督のアリ。
当時の記憶がないアリが、失った記憶を求めて友人知人を訪ね歩く。
アニメーションとは言うものの、その内容はそうしたアリの記憶を辿るドキュメンタリーとなっている。

中心となっているのはサブラ・シャティーラの虐殺 と呼ばれる事件。
ベイルートを占拠したイスラエル軍によって起こされたというその事件に、アリは参加していた事がわかる。
記憶の中で2人の戦友と海に入っていたアリ。
照明弾に照らされる破壊されたビル。
果たしてそれは実際の記憶なのか・・・

尋ね歩く人たちの証言も生々しい。
決して勝利の連続ばかりでなく、目の前で戦友が戦死し、命からがら逃げた男もいる。
敵の砲火の中で、突撃銃を手に四方八方に撃ちまくる姿がワルツを踊るようで、それがタイトルになっている。

最後の場面ではアニメーションから実際の映像にスイッチする。
生々しい迫力が伝わってくる。
映画は娯楽ではあるものの、一方ではこうした訴える力の強い映画もある。
世界の歴史の一こまとして、観ておいてもいい映画だと思う一作である・・・


評価:★★☆☆☆









    
posted by HH at 22:59| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月22日

【SUPER8/スーパーエイト】My Cinema File 733

スーパーエイト.jpg

原題: Super 8
2011年 アメリカ
監督: J・J・エイブラムス
出演: 
ジョエル・コートニー:ジョー・ラム
エル・ファニング:アリス・デイナード
カイル・チャンドラー:ジャック・ラム
ロン・エルダード:ルイス・デイナード
ノア・エメリッチ:ネレク大佐
ガブリエル・バッソ:マーティン

<STORY>********************************************************************************************************
1979年。オハイオの小さな町に住む14歳のジョーは、仲間たちとの8mm映画作りに没頭していた。ある日、真夜中に家を抜け出し、駅に忍び込んで撮影をしていた彼らは、貨物列車が脱線・炎上する大事故を目撃してしまう。まもなく町に大挙してやってきたのは、武装した空軍関係者。あの列車で、空軍は極秘裏に“なにか”を運んでいたのだ。やがて町では、飼い犬が姿を消し、車のエンジンのみが盗まれるなど不可解な事件が続発。さらに9名の行方不明者が出るなど、事態はどんどん深刻になっていく…。
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最近はメガホンを取る事も少なくなった気がするスティーブン・スピルバーグがプロデューサーとなって参加している最新作。タイトルとなっている「スーパーエイト」とは、スーパー8mmカメラの意味らしい。つまりそれはデジタルではない、古き良き時代のカメラのことである。

事前に何の知識も持たずに観ると、そんな事わからない。
何だか時代設定が昔だな、と観ているうちに気付く。
売り出されたばかりのウォークマンを自慢するシーンが出てきたり、「ソ連の陰謀だ」と主張するシーンが出てきたり、何よりカタコトと音を立てながら撮影するカメラがそれを雄弁に語っている。

冒頭で、ある工場が映し出される。
「無事故記録874日」という表示を取り外し、「無事故記録1日」と表示を改める。
何の説明もないが、「事故があったんだな」と理解させるうまい方法だ。
主人公ジョーの母親が亡くなった事故であった。

母親を失った寂しさを抱えたまま、友人たちと8mmカメラでホラー映画の撮影をするジョー。ある晩、深夜に親に内緒で家を抜けだし、映画の撮影に取り掛かる。
そこに通りかかった貨物列車が突然脱線し、大事故が起こる。
事故現場で大怪我をしていたのはジョーたちが通う中学校の先生。
「見つかれば親諸共殺されるから逃げろ」と言われ、ジョーたちは必死に逃げだす。
そして次の日から町で不思議な事件が起こり始める・・・

解説によると舞台は30年前のオハイオ州。
のどかな町で主人公の少年たちが出くわす大事件。
空軍の貨物列車で運ばれていたモノと、次々に町で起こる事件の真相を巧みにベールで覆いつつ、一方で映画作りに一生懸命になる子供たちの姿を生き生きと描く。
二組の親子の姿も描き、盛沢山のストーリー。
子供たちの冒険物語という事で、なるほどスピルバーグの雰囲気漂う映画である。

ヒロインのエル・ファニングの名前をみて、ピンと来たので調べてみたらダコタ・ファニングの妹だった。似ていると言えば似ている。
子供たちの中で唯一の女の子。
文字通りドラマに彩りを添えていた。

子供たちが映画の中で撮影していた8mm映画が、ラストのエンドロールで流される。
終わった瞬間に席を立って出ていった人は、損したと思う。
この映画は明るくなるまでじっくりと観ていたい映画である・・・


評価:★★★☆☆







   
posted by HH at 23:46| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | SF/近未来ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月18日

【噂のモーガン夫妻】My Cinema File 732

噂のモーガン夫妻.jpg

原題: Did You Hear About the Morgans?
2009年 アメリカ
監督: マーク・ローレンス
出演: 
ヒュー・グラント:ポール・モーガン
サラ・ジェシカ・パーカー:メリル・モーガン
サム・エリオット:クレイ・ウィーラー
メアリー・スティーンバージェン:エマ・ウィーラー
エリザベス・モス:ジャッキー・ドレイク

<STORY>********************************************************************************************************
ニューヨークの人気弁護士ポール・モーガンは、一度の浮気に怒った妻に家を追い出され、3ヶ月もホテル暮らしを余儀なくされていた。セレブ相手の不動産業を営んでいる妻・メリルは電話にも出てくれず、プレゼント攻撃も効き目なし。しかしある日、夫婦揃って歩いていた所、殺人事件を目撃してしまう。犯人の顔を見た二人は命を狙われ、FBIの証人保護プログラムにより、何もないワイオミング州・レイで暮らす羽目になる・・・
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ラブコメの女王といえば、かつてはメグ・ライアンであり今はキャメロン・ディアスでありと、いろいろ出てくるが、相手役のラブコメの女王ならぬ王はと問われれば、ヒュー・グラントなのだろう。ちょっと気弱なダメ男という役柄が、ラブコメにはピッタリとくる。

弁護士のポール・モーガンは、たった一度の浮気で家を追い出され3ヶ月にわたってホテル暮らしをしている。妻のメアリーに復縁を持ちかけているが、セレブ相手の不動産業が忙しいメアリーとはなかなか話ができない。ようやく二人で夕食を共にしたあと、何とメアリーの客が殺される現場に出くわしてしまう。

犯人に顔を見られたメアリーは、犯人から襲われ、バックに犯罪組織がいるとわかった事から証人保護プログラムで保護される事になる。
名前を変え、送られた先はワイオミング州のレイという辺鄙な町。
大自然の中でニューヨーカーの二人は暮らし始める・・・

この映画の面白さの要素として、「別居中の夫婦が一緒に暮らさないといけない」「都会暮らしに慣れた二人がド田舎で暮らさないといけない」という二つがある。
証人保護プログラムで慌ただしく送られたワイオミング。
保安官宅に身を寄せるも、二人一緒。
否が応でも朝から晩まで顔を合わせていないといけない。

そしてワイオミングと言えば雄大な西部。
かつての西部劇の舞台としての大自然が残っている場所。
それを意識してか、ドラマの中ではジョン・ウェインの西部劇のDVDを観るシーンが出てくるし、保護先のクレイはカーボーイ風のスタイルだしと、西部を意識した演出。

そしてそのまま終わるはずがなく、殺し屋が跡を追ってくるという展開もそうなるだろうと言うまさにその通りに進む。シンプルなストーリーで手軽に楽しめるところがラブコメの良いところだろう。それにしても、ヒュー・グラントはもうシリアスや役柄は出来ないんじゃないだろうか。まあそれはそれで持ち味としていいのかもしれないと思える一作である・・・


評価:★★☆☆☆


   

     


posted by HH at 20:29| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | コメディ/ラブコメ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする