2011年09月25日

【NINE】My Cinema File 771

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原題: Nine
2009年 アメリカ
監督: ロブ・マーシャル
出演: 
ダニエル・デイ・ルイス:グイド・コンティニ
マリオン・コティヤール:ルイザ
ペネロペ・クルス:カルラ
ジュディ・デンチ:リリー
ニコール・キッドマン:クラウディア
ソフィア・ローレン:マンマ

<STORY>********************************************************************************************************
イタリアが世界に誇る映画監督、グイド・コンティー二。だが豊かなはずの想像力が突如として消え果てた彼は、9作目となる新作の脚本を一行も書けずにいた。決まっているのは主演女優だけなのに、刻々と迫る撮影開始日。追い詰められた彼は、ついに新作の記者会見から逃げ出し、海辺のホテルに身を隠す。そこで人生に影響を与えた美しき女性たちの幻想に逃避し、現実世界では呼び出した浮気相手と妻に救いを求めるグイド。だが間もなく、プロデューサーに居場所を突き止められた彼は、また映画製作という戦場に連れ戻されてしまう…
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イタリアの名映画監督フェデリコ・フェリーニによる自伝的映画『8 1/2』をミュージカル化し、トニー賞を受賞した同名ブロードウェイ・ミュージカルを映画化した作品だということである。かねてからミュージカルと映画は相性が良くないと思っているが、この作品では少し馴染んでいるかなという印象を受けた。

ミュージカルとなるとストーリーはあまり重視されない。
ここでも新作の脚本が書けなくて記者会見から逃亡する映画監督の姿を描くだけである。
ただ、合間合間に挟まれる歌はそんなに多くなくて、それがストーリーとのバランスが良く感じられた理由かもしれない。

始めの方でソフィア・ローレンが登場する。
懐かしいと思う反面、その昔観た記憶にある姿とあまり変化なく、とてもではないが、御年77歳とは思えない。女優とは恐ろしいものであると思ってしまう。

主演のダニエル・デイ・ルイスもさすがオスカー俳優だけあって、ネタ切れに苦しむ映画監督の苦悩を見事に表現。しかしそれ以上にペネロペ・クルスやニコール・キッドマンという女優陣が、歌って踊ってと見せてくれる。ファッショナブルできらびやかで、さすがに音楽シーンは一見の価値がある。

映画の方はそれなりの満足感という出来だと思うが、オリジナルのミュージカルを舞台で見たら、たぶん相当面白いのではないかと思ってしまう。
そちらの方をいつか観たいと思うのである・・・


評価:★★☆☆☆







                       
posted by HH at 22:38| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ミュージカル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月24日

【タイタンの戦い】My Cinema File 770

タイタンの闘い.jpg

原題: Clash of the Titans
2010年 アメリカ
監督: ルイ・レテリエ
出演: 
サム・ワーシントン:ペルセウス
リーアム・ニーソン:ゼウス
レイフ・ファインズ:ハデス
ジェマ・アータートン:イオ/語り手
マッツ・ミケルセン:ドラコ隊長

<STORY>********************************************************************************************************
古代ギリシャ世代、アルゴス国では、人間たちは慢心し、神への敬意を無くしていた。神々の王・ゼウスの石像を打ち壊し、冥界の王・ハデスの復讐にあう。ゼウスと人間の子である半神ペルセウスは、育ての親をハデスに殺され、人間の味方につく。ゼウスの命を受けたハデスは、アルゴス国の王女・アンドロメダを生贄に捧げねば、アルゴス国をクラーケンに襲わせると人間に告げる。ペルセウスは王女を救うため、地獄山へ旅立った…。
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ギリシャ神話をベースとした古代世界の物語。
馴染みのある登場人物たちが出てくるが、ストーリーはオリジナルのようである。
ゼウスと人間の子ペルセウスは、漁師によって発見され育てられる。
成長して漁師となったペルセウスだが、時に人間は傲慢となり、アルゴス国はとうとう神々への信仰を捨てて反旗を翻す。

ゼウスの兄である冥界の王ハデスは、これに対し力を誇示した上で次の日蝕の日にアルゴス国の王女アンドロメダを生贄に捧げなければ、怪物クラーケンにアルゴス国を滅ぼさせると伝える。ペルセウスは、クラーケンの弱点を知るという魔女に会うために仲間とともに旅立つ・・・

ゼウス、ハデス、ペルセウス、アンドロメダ、クラーケン、メデューサ等々ギリシャ神話でお馴染の面々が登場する。
まだ神々は実に人間臭く、人間との境目は微妙。ゼウスが王妃のベッドに王の姿で忍び込み、王妃はゼウスの子を懐妊する。
処女でイエスを宿したキリスト教の神とは大違いである。

ともあれそうして生まれたのが、半神ペルセウス。
一つの目を3人で共有する魔女たちからクラーケンの弱点を聞き出し、冥界へとわたりメドューサの首を狙う。鎖に繋がれたアンドロメダ王女にクラーケンが迫る様は、まさに神話の通り。ペルセウスの活躍が見せ場を迎える。

ペルセウスに扮するのは、「アバター」のサム・ワーシントン。
ここでも「アバター」同様の短い髪型で登場。存分の活躍を見せてくれる。
そしてリーアム・ニーソンとレイフ・ファインズのゼウスとハデスが、兄弟の神として脇を固める。

ギリシャ神話では、ペルセウスは助けたアンドロメダ王妃と結婚するが、映画の結末はちょっと違う味付け。まったく神話をなぞるわけでもない。
短い時間でちょっと楽しめるアクション映画である。


評価:★★☆☆☆
               



    
    


posted by HH at 22:42| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | SF/近未来ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月23日

【ウルフマン】My Cinema File 769

ウルフマン.jpg

原題: The Wolfman
2010年 アメリカ
監督: ジョー・ジョンストン
出演: 
ベニチオ・デル・トロ:ローレンス・タルボット/ウルフマン
アンソニー・ホプキンス:ジョン・タルボット卿
エミリー・ブラント:グエン・コンリフ
ヒューゴ・ウィーヴィング:アバライン警部
マリオ・マリン=ボルケス:幼い頃のローレンス

<STORY>********************************************************************************************************
19世紀、イギリス・ブラックムーア。舞台俳優のローレンスは弟ベンが行方不明になったと知り、久々に実家の城に帰ってきた。しかし到着早々、無残に引き裂かれたベンの死体が発見される事態に。自ら犯人捜査に乗り出すローレンスだが、謎の狼男に襲われ、自らもウルフマンとなってしまう。満月の夜にウルフマンに変身し、次々と村人を襲うローレンス。その父ジョンはあえてローレンスを凶行に走らせる不可解な行動をとり……
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吸血鬼ドラキュラと並ぶ西洋の怪物、狼男の映画である。
実は1941年に製作された映画のリメイクらしい。
狼男の映画も「狼男アメリカン」など変身シーンが話題になった映画もあるが、1941年版のリメイクということで、オーソドックスな作品なのかもしれない。

主人公のローレンス・タルボットが生まれ故郷に帰ってくる。
弟が行方不明との知らせを受けたためだ。
しかしその弟は無残に殺された姿で発見される。
かつて自殺したジプシーの母に次いで弟までもが奇怪な死を遂げ、タルボット家は呪われた家と噂される。

満月の夜、父の警告を無視して弟殺しの犯人を捜すためにジプシーのキャンプを訪れたローレンスだが、そこで正体不明の獣に襲われ重傷を負う。
瀕死の傷だったが、不思議な回復力を見せ、やがて元気になるローレンス。
しかし満月の夜が近づき、得体の知れぬ不安を感じたローレンスは、密かに慕う弟の婚約者グエンにすぐに村を離れるように警告する。
そして満月の夜、とうとう体に変化が起こる・・・

さすがに原点とも言うべき狼男で、ストーリーはシンプルである。
しかも19世紀のイギリスという舞台も実にフィットしている。
霧が多く暗い様子はいかにもという感じだし、切り裂きジャックなどの事件の起こった背景も暗い時代の雰囲気を表している。

主演のベニチオ・デル・トロがまた良い感じである。
もともと暗い表情のある俳優さんだが、その暗さが相乗効果となっている。
反目する父親はアンソニー・ホプキンス。
「羊たちの沈黙」のハンニバル・レクターが印象的だが、そのハンニバル・レクターの印象そのままで登場。二人の“親子”がストーリーの中心となる。

しかしながらそのストーリーはちょっとインパクトに欠けた。
最もそれはもう語り尽くされた感があるからなのかもしれない。
人間とは違う化け物に変身し、美しい女性との愛と自分の意志ではままならぬ運命に苦しむというパターンは、デヴィッド・クローネンバーグ監督の「ザ・フライ」を連想させる。
ただ「ザ・フライ」は主人公の切なさがラストで見事に表現されていたが、ここではそれに比べるとパンチ力が弱い。そんなところが、「なぞった様な」印象に繋がる。

ラストではウルフマンに噛まれたアーバライン警部(「マトリックス」のエージェント・スミスのヒューゴ・ウィービングだ)が、ローレンスの杖を掴む。
何か続編にでも繋がりそうなシーンだったが、今度はアーバライン警部版のウルフマンでも作るのだろうか。そうだとしても期待度は低いかもしれない・・・


評価:★★☆☆☆
               








                  

2011年09月20日

【ミレニアム 眠れる女と狂卓の騎士】My Cinema File 768

ミレニアム 眠れる女と狂卓の騎士.jpg

原題: Luftslottet som sprängdes
2009年 スウェーデン=デンマーク=ドイツ
監督: ダニエル・アルフレッドソン
出演: 
ミカエル・ニュークヴィスト:ミカエル・ブルムクヴィスト
ノオミ・ラパス:リスベット・サランデル
レナ・エンドレ:エリカ・ベルジェ
アニカ・ハリン:アニカ・ジャンニーニ
ハンス・アルフレッドソン:エーヴェルト・グルベリ

<STORY>********************************************************************************************************
自分を陥れていた宿敵と対決し、瀕死の重傷を負った天才ハッカーのリスベット。雑誌「ミレニアム」発行人のミカエルは、入院した彼女にPDAをわたし、彼女を取り巻く陰謀を暴くための自伝を書くように勧める。そして殺人容疑での裁判に向けて、ミカエルの妹・アニカがリスベットの弁護士を務めることに。ミカエルはリスベットのハッカー仲間・プレイグらと共に、リスベットに対して仕組まれた陰謀を暴こうと、調査を進める・・・
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「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」「ミレニアム 火と戯れる女」と続いてきた「ミレニアム」シリーズの第3弾である。前作で自分が追い詰めた宿敵ザラと対決し、瀕死の重傷を負ったリスベット。ストーリーは前作のラストから始る。

かろうじて一命を取り留めたリスベットは、徐々に回復へと向かう。
しかし、自身にかけられた殺人容疑はそのままであり、医師の保護も回復までの限られたもの。ミレニアム誌のミカエルは、リスベットの無実とともに背後に隠された公安警察の陰謀を白日の下に晒そうと、必死に調査に奔走する。

一方、30年にわたって隠し続けてきた秘密を守ろうと、年老いた元公安警察メンバーが活動を開始する。ザラとリスベットの口を封じようとするが、ザラの射殺のみに留まる。
陰謀側も年老いた老人であり、必死の様子。
そしてとうとうリスベットの裁判が始る・・・

シリーズ三部作の完結編ともあって、事件の全体像が明らかになる。
危険な敵と対峙し、メンバーが身の危険に晒されるにあたってせっかくの暴露記事の発刊を躊躇する編集長。リスベットに不利な裁判に際し、必死にハッカー仲間とともに起死回生の証拠を探るミカエル。主を失って不気味に単独行動を取る殺人鬼ニーダーマン。
そうした登場人物たちの顛末がラストに向かって収束する。

さすがに3部作ともなると、ながくじっくり煮込んだスープのように、濃い味わいのストーリーとなる。結局背中のタトゥーについてはわからなかったが、誰にも話を聞いてもらえず、精神病院に閉じ込められて拘束され、やり場のない怒りを抱えていたリスベットが、自らの体を痛める事でそれを癒し、またドラゴンそのもので内に秘めた怒りを表していたのだろうか、などと想像してみる。

すでにハリウッド版でリメイクが決定しているというが、これを上回る事ができるのだろうか。スウェーデンで大ヒットしたのも納得の3部作完結編である・・・


評価:★★★☆☆
     


posted by HH at 22:54| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | サスペンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月19日

【交渉人 THE MOVIE タイムリミット 高度10,000mの頭脳戦】 My Cinema File 767

交渉人The movie.jpg

2010年 日本
監督: 松田秀知
出演: 
米倉涼子:宇佐木 玲子
筧利夫:木崎 誠一郎
陣内孝則:桐沢 圭吾
笹野高史:墨田 耕平
反町隆史:中川 伸也
津川雅彦:御堂 啓一郎

<STORY>********************************************************************************************************
2億6,000万円が現金輸送車から強奪される事件が発生。犯人は人質をとりショッピングモールに立てこもった。捜査一課特殊捜査班の宇佐木玲子は犯人との交渉に入るが、交渉は一方的に打ち切られ、その後モールは爆発してしまう。その数週間後、玲子は羽田空港で、先の事件で人質になっていた木元祐介を見かける。彼の行動を不審に感じた玲子は祐介の乗る飛行機に同乗。するとその飛行機はハイジャックされてしまい……。
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タイトルに「The Movie」とあったので、なんとなくテレビドラマの映画版という感じがしていたが、どうやらそのようである。もっとも大元のテレビドラマの方は観ていないので、チョイ役で出てきた人物などいろいろ背景はありそうだなと感じる程度しかわからなかった。

オリジナルのドラマをまったく観ていないのだが、なんとなく不思議なタイトルだ。
「交渉人」というから主人公の宇佐木玲子が、犯人と手に汗握るギリギリの交渉を繰り広げるのかと思ったらそうではない。最初だけその片鱗を見せたものの、あとは自ら犯罪者に立ち向かうアクションの連続。まるで「アンフェア」の篠原涼子に対抗しているが如くである(同じ涼子だし・・・)。

美しい女性が男顔負けのアクションで、大活躍するというのはやっぱり絵になるだろうし、ウケルのだろうと思うが、ハリウッドのアンジョリやミラあたりと比べると見劣りしてしまう。
それにストーリーがどちらも子供騙しだ。映画では真面目におかしなところを探して突っ込みを入れるのはやめるべきだと、いつも大目に見る事にしているが、それにも限度というものがある。

犯人の行動が手に取るようにわかり過ぎだし、記憶力良すぎるし、飛行機内でバンバン発砲しても機内はなんともないし、撃たれて意識を失って操縦不能になったはずの柳葉敏郎機長がラストで肩を借りて歩いているし・・・
数え上げたらきりがない。

ストーリー自体は決してつまらなくもない。
コロコロと変わり、なかなか明らかにならない黒幕。
最後の最後まで事件の背景がわからず、楽しませてくれる。
ただなぁ、交渉人なら交渉人らしいところが見てみたかったところだ。
結局のところ、所詮この手のドラマの延長の映画にありがちな、「TV局のサラリーマンが上司向けの説明に都合のよいウケそうな要素だけ盛り込んで作らせた作品」といったところなのだろう。ドラマを観ていない者には伝わらない映画である・・・


評価:★☆☆☆☆
            
     


     
    
posted by HH at 10:56| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | アクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする