
原題: Pour elle
2008年 フランス
監督: フレッド・カヴァイエ
出演:
ヴァンサン・ランドン:夫・ジュリアン
ダイアン・クルーガー:妻・リザ
ランスロ・ロッシュ:息子・オスカル
オリヴィエ・マルシャル:作家・アンリ・パスケ
<STORY>********************************************************************************************************
フランス、パリ。国語教師であるジュリアンと編集者であるリザは、一人息子のオスカルと共に平凡ながらも幸せな生活を送っていた。しかし、ある朝、彼らの人生が一変してしまう。警察が突如として家に押し入り、リザが上司を殺した容疑で逮捕され、投獄される。やがて三年の時が経ち、リザに二十年の禁固刑が宣告されてしまう。無実の罪を必死に主張するリザであったが、状況証拠などから、誰もが彼女の罪を確信していた。夫・ジュリアンを除いては…。彼女の人生に残されたのは絶望だけだった。次第に衰弱し、精神も不安定になっていくリザ。悩んだ末に、ジュリアンがとった行動とは?そして、リザはその時…。
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フランス映画という事もあるかもしれないが、何となく系統の違う映画を観た感じがする。
主人公は国語教師のジュリアン。
編集者のリザと一人息子オスカルと暮らしている。
そんなある日、家に雪崩れ込んできた警察によってリザは逮捕されてしまう。
容疑は殺人。
実は殺人現場でリザは犯人とすれ違い、それと気がつかずに凶器に触り、コートには血痕をつけられ、そうした状況証拠の数々から何と有罪になって収監されてしまう。
幸せな生活が一転。
持病を抱えるリザは、家族と離れての収監生活に次第に疲弊していく。
ここでジュリアンは妻を救い出す事に力を入れていく。
普通ならそれは「真犯人を探す」という事なのだが、なんとここではそれは「脱獄」
何となく「系統が違う」と感じたのはこのストーリー展開だ。
悪は悪のまま放置して、それを犯罪という手段で覆そうというのだ。
「正しい目的のためなら違法手段も許されるのか」と、哲学的なテーマを突きつけられる事になる。
「脱獄」と言っても、近代の刑務所ではそう簡単にできるものではない。
そこを必死で探していくジュリアンの姿は、なるほど映画としては面白い。
年端もいかない子供を抱えて、そんな無謀な計画に没頭していくのはリスクが高い。
リザも心配している通り、「両親が揃って収監」となったら、子供に与える影響は計り知れない。
最後までハラハラさせてくれるストーリーはそれなりに面白い。
しかしながら、真犯人こそどこかでほくそ笑んでいるわけであり、果たしてこれはハッピーエンドなのだろうかと思うラストもどうなのかと思わずにはいられない。
ハリウッド映画ならあり得ない展開とラストのような気がする。
まあこれはこれで、ハリウッドにはない魅力なのかもしれないと思わせられる映画である・・・
評価:★★☆☆☆