2012年01月29日

【海角七号 君想う、国境の南】My Cinema File 817

海角七号.jpg

原題: 海角七號/Cape No.7
2008年 台湾
監督: ウェイ・ダーション
出演: 范逸臣(范逸臣/ファン・イーチェン)/田中千絵/應蔚民/民雄/林宗仁/中孝介

<STORY>********************************************************************************************************
ミュージシャンの夢敗れ、台北から故郷の恒春に戻った青年アガは、郵便配達の仕事についたものの、無気力な日々を送っていた。
そんな時、日本から中孝介を招いて行われる町おこしのライブに、前座バンドとして駆り出されることに。
オーディションで集められたメンバーは寄せ集めで、練習もままならない状態。
ひょんなことからマネージャーをする羽目になった日本人女性・友子とも、衝突してばかりだったが…。
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公開当初はそれほど振るわなかったものの、口コミで評価が広がり、結果的に「タイタニック」についで台湾歴代映画興行成績2位を記録したという台湾映画である。
そんな前評判を聞いてしまうと、観る前から期待のテンションが上がる。

主人公はミュージシャンの夢破れ、故郷に帰って燻っている青年アガ。
地元の議員が町おこしに駆け回る。
若者に職を与え、日本人アーティストを招いての町おこしには、許認可権を盾に強引に地元バンドを前座として押し込んでしまう。
アガはそんな流れの中で、郵便配達の仕事を得、そして前座バンドに名を連ねる。

一方、現地で働く日本人女性友子。
本当は自らファッション・モデルであるはずが、雑用係としてこき使われている。
そんな友子が、マネージャーからの指示で、地元の前座バンドのオーディションから管理までを任される事になる。

コンサートに向けて進む日々の中、アガが手にした宛先不明の郵便箱。
住所は旧日本統治時代の「海角7号(直訳すると岬7番地)」。
中味は60年前のラブレター。
送られる事なく箪笥の隅に眠っていたものを、差出人の遺族が本人の死を機に宛先の友子という名の女性に送ってきたものだった。

古いラブレターを背景に物語は進んでいく。
前座バンドといっても、急遽集める事となったため、素人集団となる。
集める過程、集めた後の練習と、ドタバタの様子はコメディタッチで進む。
その一方で、アガと友子との間も衝突からやがて恋心が生じるというありがちな展開も織り込む。
このあたり歴代興行収入2位の看板が、ストーリーが進むにつれて次第に色あせていく。

出演者はさすがにまったく馴染みなく初めてお目にかかる俳優さん。
日本人友子役は、台湾語のセリフが大半だったが、これも知らない女優さん。
そういう意味では新鮮である。
最後に登場する日本人有名アーティスト中孝介。
映画の中の架空のスターかと思っていたら、実名のアーティストだという。
日本の前に台湾でデビューしたらしいが、芸能界に疎い身にはわからない。
まあ映画には関係ない。

圧巻なのは最後のコンサート。
中孝介の前座として、急造バンドが急遽練習した2曲だけのレパートリーを披露する。
これが、なかなか心を震わせてくれる。
それまでのドタバタの中で描かれていた要素が、最後に見事に組み合わされる。
観客の反応はそのまま映画を観る者の反応でもある。

60年前の切ない恋物語は、正直言ってあまり感動するものとも思えなかったが、登場人物たちの様々な思いが凝縮されたラストは、なかなかの感動もの。
このラストに導くためのストーリー展開だったのかと、改めて思い直す。
そんなラストシーン。
コンサートのアンコールっていうものは、本来こういうものだと思わせられる。
台湾映画興業成績歴代2位の看板に偽りなし、と言える映画であった・・・


評価:★★★★☆
              
               
              

             
          
posted by HH at 22:23 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 中国/香港/台湾映画

2012年01月28日

【バタフライ・エフェクト】My Cinema File 816

バタフライエフェクト.jpg

原題: The Butterfly Effect
2004年 アメリカ
監督: エリック・ブレス/J・マッキー・グラバー
出演: アシュトン・カッチャー/エイミー・スマート/エルデン・ヘンソン/ウィリアム・リー・スコット/ジョン・パトリック・アメドリン

<STORY>********************************************************************************************************
幼い頃から度々記憶を失っていたエヴァンは、治療のため日記をつけ始める。
13歳の頃、エヴァンは幼なじみのケイリーたちと悪戯をして大事故をひき起こすが、その瞬間も彼の記憶は空白だった。
やがてエヴァンは引っ越すことになり、虐待傾向のある父と乱暴な兄トミーと暮らすケイリーに、「迎えにくる」と伝え残す。
時が経ち、大学生となったエヴァンは、記憶を失うこともなくなっていた。
しかし、昔の日記を見つけた時から、エヴァンの意識に変化が起きる・・・
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かつて一度観た映画なのだが、もう一度観てみたくなる映画というものがある。
この映画はそんな一作。
近頃デミ・ムーアとの離婚で話題になったアシュトン・カッチャー主演の映画である。

この映画のベースとなっているのは、タイトルにもなっている「バタフライ効果」。
映画の冒頭では、蝶の羽ばたきが地球の裏側で台風になるという言葉で説明されているが、小さな変化がやがて大きな変化へと繋がっていくというもの。
これをタイムトラベルにあてはめたのが、「サウンド・オブ・サンダー」
白亜紀にタイムトラベルし、うっかり古代生物を踏みつけてしまったために、その後の地球の歴史が大きく変わってしまうというストーリー。

そこまでおおげさではないが、理屈としては同じ。
主人公のエヴァンは、子供の頃からたびたび瞬間的な記憶喪失を繰り返してきた。
大学生となったエヴァンは、記憶喪失の治療のためにつけていた日記を読むことで、記憶を失っていた瞬間に戻れる事を発見する。
そして驚く事に、その時の行動によって、その後の人生も変えられる事がわかる。

誰にでも人生をやり直したいというターニング・ポイントがある。
そこに戻って違う行動を取れれば、その後の人生も変わる。
そんな能力があれば、素晴らしい人生が送れるだろう。
だが、変えられる事はできても、思い通りにはいかない。
あちらを立てればこちらが立たず。
変えたはずの未来には別の問題が起きている。

その都度、過去に戻って行動を変えるエヴァン。
人生が変わっても、その間過ごした記憶はそのまま蓄積される。
何十年分もの記憶がエヴァンの脳に負荷をかける。
それでもケイリー、トミー、レニーの誰かが不幸になる。
そして、最後にエヴァンがとった行動は、愛する者のためとはいえ、ちょっと切ない。

なんでも公開版とは違うエンディングのバージョンが3通り作られたらしい。
映画の内容と同様、こちらにもバタフライ・エフェクトが現れているのだろうか。
ちょっと観比べてみたい気がする。
細かい突っ込み所は気にせず、楽しみたい一作である・・・


評価:★★★☆☆
                       
                 

    
        
posted by HH at 21:26 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | SF/近未来ドラマ

2012年01月17日

【エレクション 死の報復】My Cinema File 815

エレクション 死の報復.jpg


原題: ELECTION 2/社會以和為貴
2006年 香港
監督: ジョニー・トー
出演: サイモン・ヤム/ルイス・クー/ウォン・ティンラム/ラム・カートン/ニック・チョン

<STORY>********************************************************************************************************
ロクが会長の座を手にしてから早くも2年の時が過ぎようとしていた。
そして、再び会長選挙の時期がやって来る。
いろいろな候補が囁かれる中、長老たちの本命はビジネスでの才覚を発揮し、みるみる頭角を現わしてきたジミー。
ところが、当のジミーは大陸での事業拡大に関心が向いており、選挙にはまるで乗り気でない。
一方、すっかり権力の味を占めたロクは、任期満了にもかかわらず会長の座を明け渡そうとはせず、一族の掟を無視した前代未聞の再選に向けて動き出すのだったが…
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2005年の香港映画「エレクション」の続編である。
前作では、ライバルを葬って会長の座を安泰にしたロク。
任期の2年が過ぎて、次の会長選びが始る。

筆頭候補のジミーはあまり乗り気でない様子。
それよりも大陸でのビジネスにご執心。
ところが大陸側の警察から、権力がないジミーに商売はさせないという圧力がかかる。
やむなくジミーも会長選に名乗りを上げる。

現会長のロクはポストを明け渡すつもりでいたが、心変わりして再選を目指す。
タブー行為に長老たちは猛反対するが、ロクは意に介さない。
そしてロクとジミーは決定的に対立していく・・・

香港映画らしいバイオレンスストーリー。
選挙で会長を選ぶというところが、このストーリーのミソ。
2年ごとに会長を選んでいて、しかも再選不可のルールだと、随分会長経験者が回りにいそうだが、映画には出てこない。
みんなどうなってしまったのだろうと、くだらないことが脳裏をよぎる。

前作では主人公だったロク。
ところが本作ではすっかり敵役。
こうした正邪逆転も香港映画らしい。
会長の座に固執し、反対する者をそれが例え長老と言えども抹殺していく。
対抗するジミーも、負けず劣らずの状況。
香港映画らしい迫力が、この映画の見所でもある。

この映画は登場人物もほとんど前作と同じ。
制作も1年違いだし、ほとんど同時に撮られたと言えるのだろう。
内容的にも極めて連続的なので、前作と続けて観た方がわかりやすいだろう。
ロクの子供の反応などは、前作のラストが影響していると思われるし、理解も進むだろう。

さて選ばれた新会長も前途の雲行きは怪しい。
祇園精舎の鐘の音が聞こえてきそうな気がする。
この映画を観て思うのは、因果応報。
真面目に暮らすのが、やはり一番だと思える映画である・・・


評価:★★☆☆☆
                 
                    
                
posted by HH at 23:03 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 中国/香港/台湾映画

2012年01月15日

【レニングラード 900日の大包囲戦】My Cinema File 814

レニングラード 900日の大包囲戦.jpg


原題: LENINGRAD
2009年 イギリス・ロシア
監督: アレクサンドル・ブラフスキー
出演: ミラ・ソルヴィノ / ガブリエル・バーン / クリスチャン・ベルケル / アーミン・ミューラー=スタール

<STORY>********************************************************************************************************
第二次世界大戦下のソ連。
ドイツ軍がレニングラードに進行した41年、イギリスのジャーナリスト一行がモスクワからレニングラードへ取材に訪れる。
女性ながらも使命感に燃えるケイトは、恋人のパーカーの反対を押し切って取材陣に加わる。
ところがケイトは、取材中にドイツ軍の空襲に遭い孤立してしまう。
ドイツ軍の包囲網に行く手を阻まれ、帰る術を失ったケイトは…。
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第二次世界大戦下の独ソ戦と言えば、何と言ってもスターリングラードの戦いが有名である。
それにまつわる映画も多い(「スターリングラード」)。

しかしながら、実は旧ソ連第2の都市レニングラードでも大きな戦いがあったのだと、この映画で初めて知った。
1941年9月、レニングラードは押し寄せるドイツ軍に包囲される。
タイトルでは900日となっているが、正確に言えばそれから882日間にわたって包囲が続いたそうである。
その間ドイツ軍による空襲と、何より補給路を断たれたため、市民は食糧難との戦いも強いられ、公式発表で67万人、一説では100万人以上の犠牲者も出たのだという。
この映画は、そんなレニングラードの戦いを背景とした物語である。

モスクワ滞在中のイギリス人女性記者ケイトは、ジャーナリスト魂から激戦の続くレニングラードへの取材を希望する。
心配する恋人のフィル・パーカーは、何とか諦めさせようとするが、ケイトの気持ちは揺るがない。
そして取材に訪れたレニングラード郊外で、ドイツ軍の空襲を受けたケイトは負傷し、モスクワに戻れなくなってしまう。

レニングラード警察のニーナは、同じ女性でもあり、ケイトを助けて当面の住まいを提供する。
そこでケイトは、ドイツ軍に包囲され、食料も底をつくレニングラードの現状を初めて知る事になる。
わずかな配給も徐々に減らされ、世話になっているニーナの知人宅にいる二人の子供たちも体力を失っていく。

勇ましいタイトルとは裏腹に、戦闘シーンはそんなに多くなく、むしろ窮乏下のレニングラードでの人間ドラマが中心となる。
高価な宝石も缶詰一つとようやく交換できる。
食料を確保するため、馬をも殺してしまう人々。
やがて人肉すら食べるようになる。

絶望した母親は、より生き残る可能性の高い長女の食事を増やし、自分と弟の食事は減らす。
体力を失ったケイトも、やがて二人の姉弟のどちらを助けるかの選択を迫られる。
戦争に勝ったロシアが、その勝利を讃える勇ましい物語を作ったのではなく、人として生きた一人の女性のドラマとしてこのレニングラードの戦いを描いたのは、誠に興味深い。
ハリウッドモノとはまた趣の違う映画で、いいと思う。


評価:★★☆☆☆

        
          
posted by HH at 22:13 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 戦争/戦場ドラマ

2012年01月14日

【ヤギと男と男と壁と】My Cinema File 813

ヤギと男と男と壁と.jpg

原題: The Men Who Stare at Goats
2009年 アメリカ
監督: グラント・ヘスロヴ
出演: ジョージ・クルーニー/ユアン・マクレガー/ジェフ・ブリッジス/ケヴィン・スペイシー/スティーブン・ラング

<STORY>********************************************************************************************************
妻の浮気を知った地方紙の記者ボブは、傷心のまま戦争が始まったばかりのイラクへと旅立つ。
クウェートでリンという米国人と知り合ったボブは、以前に取材した男からリンの名を聞いていたことを思い出した。
その男は「リンは軍で有能な超能力者」だと言っていたのだ。
リンに興味を示したボブは、イラクに向かうリンに同行する。道中でリンは、冷戦中に発足した驚くべき“超能力部隊”の歴史を語り始める…。
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主演がジョージ・クルーニーとユアン・マクレガー。
さらにジェフ・ブリッジスとケヴィン・スペイシーが共演しているというと、垂涎の映画という感じがする。
タイトルを見ても食指は動かなかったが、やはりこの出演陣を見たら、そりゃあ観ないといけない、と普通は思うだろう。
それがこの映画を観た動機だ。

しかしながら、どうもイメージしたのとは異なる展開で物語は進む。
ボブは地方記者。
その平和な生活が一変したのは、最愛の妻が編集長と浮気をし、彼の下を去ってしまった事による。
傷心のまま、ボブはイラクへと向かう。

そこで出会ったのが、リンと言う名の男。
かつて取材した男から名前を聞いた事があり、驚くボブ。
実はリンは米軍の超能力部隊に在籍していた超能力者だというのである。
さて、ここから実在したという米軍の超能力部隊の歴史が語られていく。
ボブは内心胡散くささを感じながら、それでもすごすごと帰国するわけにもいかず、リンと行動を共にする。

念力を使った超能力を大真面目に披露するリンであるが、観ている我々もボブとともにその胡散くささを拭いきれない。
タイトルにあるヤギは、念力で心臓を止める実験に使われるのであるが、実在の部隊もこんなことしていたのであろうか。
大真面目にヤギに念を送る姿(The Men Who Stare at Goats)は、滑稽でなんとも言えない。

ストーリーは大した盛り上がりがあるでもなく終わる。
ジョージ・クルーニーもユアン・マクレガーもジェフ・ブリッジスもケヴィン・スペイシーも、みんな真面目に演じているのだが、どうにもこうにも眠くなる映画だった。
正直言って面白くない。
まあみんなの次回作に期待したいと思うのである・・・


評価:★☆☆☆☆

                        


    
     
posted by HH at 23:59 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ