2012年02月27日

【ニューヨーク、狼たちの野望】My Cinema File 827

ニューヨーク狼たちの野望.jpg

原題: Staten Island
2008年 アメリカ
監督: ジェームズ・デモナコ
出演: 
イーサン・ホーク:サリー・ハルヴァーソン
ヴィンセント・ドノフリオ:パルミ・タルツォ
シーモア・カッセル:ジャスパー・サビアーノ
ジュリアンヌ・ニコルソン:メアリー・ハルヴァーソン

<STORY>********************************************************************************************************
スタテンアイランドのギャングのボス・タルツォの家に強盗が入り、大金が奪われた上、タルツォの年老いた母親が撃たれて大怪我をする事件が起きる。 激しい怒りと憎しみで犯人の行方を追うが、その一方でタルツォはスタテンアイランドの全てを手に入れるつもりであることを部下たちに告白する。 すると早速、タルツォに暗殺の手が伸びるが・・・
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邦題は「ニューヨーク、狼たちの野望」と勇ましく、原題は「Staten Island」と素っ気ない。
まあ珍しい事ではないが、タイトルによって随分と中味に対するイメージも変わる。
冒頭、ニューヨークにあるスタッテン島の紹介。
先住民が住んでいた歴史、マフィアが多いという特徴。
どうやら原題の方が中味に合っていそうな感じのスタート・・・

物語は3つのストーリーがある。
マフィアのボス・タルツォを中心とした物語。
清掃員サリーの物語。
聾唖のデリ店員ジャスパーの物語。
それぞれが同時並行的に描かれる。

タルツォは留守中に自宅に盗みに入り、挙句に母親を銃で撃った犯人を探している。
もちろん、警察には頼らず、見つければ始末するつもりだ。
そしてその犯人の一人であるサリー。
バキュームカーに乗っての仕事なので、家に帰るとシャワーを浴びて隅々まできれいにし、妻から匂いをチェックされる毎日。
子供が生まれるとあって、どうしてもお金が欲しくなる。

そんなサリーが通うデリ店。
聾唖の店員ジャスパーは、タルツォが来ると浮かない顔になる。
それと言うのも、タルツォはいつも“始末”した死体を持ちこんで、ジャスパーに“解体”させているからだ。そんな3人が、交差点で出会うが如く、絡み合う。

淡々と進んでいく物語は、やっぱりどこが「狼たちの野望」なのかと思えてくる。
バイオレンス系をイメージするとだいぶ外す事になる。
主演はイーサン・ホーク。
この人はどうも気の弱い損な役回りの男というイメージがある。
「その土曜日、7時58分」の気弱な弟役もそうだったし、「トレーニング・デイ」でベテラン刑事に嵌められる新米刑事でもそうだった。
この人はイメージ通りだ。

おおよそ犯罪というものは、綿密な計算をして臨むものだと思う。
しかしながらサリーたちは、実に安易だ。
それはそのまま自業自得の結果に繋がる。
まあ犯罪などはうまくいかない方が良いに決まっているから、それでいいのだが、やっぱり犯罪者って愚かだと思わせられる映画である・・・


評価:★★☆☆☆
  







posted by HH at 23:15| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 犯罪ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月20日

【エグザム】My Cinema File 826

エグザム.jpg

原題: Exam
2009年 イギリス
監督: スチュアート・ヘイゼルダイン
出演: 
ルーク・マブリー:ホワイト
ジミ・ミストリー:ブラウン
ナタリー・コックス:プロンド
ポリアンナ・マッキントッシュ:ブルーネット
ジョン・ロイド・フィリンガム:デフ

<STORY>********************************************************************************************************
とある有力企業の最終就職試験に残った8人の男女。会場に入ると、そこは窓一つなく、武装した警備員が立っていた。試験のルールは3つ、それに従わない者は「不適切とみなす」と試験監督は告げる。
(1)試験監督、または入口に立つ警備員に話かけてはならない。
(2)試験用紙を破損してはならない。
(3)部屋から出てはならない。
試験監督はカウントダウン用の時計を作動させ、部屋を去る。しかし、受験者たちが問題に取り掛かろうと用紙を裏返すと・・・********************************************************************************************************

とある企業の入社試験。
最終試験に残ったのは、男女8人。
試験官が現れ、試験のルールを説明する。
「質問は1つ、答えも1つ」
与えられた時間は80分。

試験官が退室し、試験がスタートする。
受験者番号のみが書かれた試験用紙を裏返すと、そこには何も書かれていない。
戸惑う受験者たち・・・

映画はすべてこの部屋の中でのみ進行する。
一人の男がお互いに相談する事は禁止されていない事に気がつき、みんなに協力を呼び掛ける。それぞれの特徴で、「ホワイト」「ブラック」「ブラウン」「ブロンド」「ブルネット」・・・とニックネームを決め、考えうる限りの手段を尽くして質問を探し始める・・・

面白いと思いつつ、何となく似たような展開が脳裏を過る。
そう言えば「ソウ」シリーズの記念すべき第一作と同じだと気がつく。
「ソウ1」もどこかわからぬ部屋の一室に閉じ込められた二人の男の物語であった。
ロケも不要だし、さぞかし低予算で済んだのだろうと思ってしまう。
「ソウ1」を観ていたおかげで、謎のCEOがわかってしまった。

隠された質問は何なのか。
受験者たちと一緒になって考える。
そして考える事は受験者たちも同じで、考えた方法を試してくれるから一緒に楽しめる。
試験官の説明したルールをきちんと覚えていないと足元をすくわれる。
そして一人、また一人とルールに違反して脱落していく。

欧米人は自己主張が強い。
ライバルを蹴落とすのも厭わない。
すべての人がそうだというわけではないが、そういう特徴的な人物が入っていると映画も盛り上がる。

自分だったらどう行動するだろうか。
そう考えながら観るのも面白い。
たぶん最初の注意事項を聞き流していそうだから、それだけでアウトかもしれないなどと思ったりもしてみる。

知的好奇心をくすぐられる映画。
こういう企業の試験、受けてみたいと思った映画である・・・


評価:★★☆☆☆
   




    
    
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2012年02月19日

【ガフールの伝説】My Cinema File 825

ガフールの伝説.jpg

原題: Legend of the Guardians: The Owls of Ga'Hoole
2010年 アメリカ・オーストラリア
監督: ザック・スナイダー
出演(声): 
ジム・スタージェス:ソーレン(メンフクロウ)
ライアン・クワンテン:クラッド(メンフクロウ)
アビー・コーニッシュ:オツリッサ(ニシアメリカフクロウ)
ヒューゴ・ウィーヴィング:ノクタス(メンフクロウ)
ヘレン・ミレン:ナイラ(メンフクロウ)

<STORY>********************************************************************************************************
“純血団”からフクロウたちを救う大戦に挑んだ戦士たちの伝説「ガフールの勇者たち」の話を父から聞き、その話に夢中になる若きフクロウ、ソーレン。勇者たちの一人となることを夢見るソーレンだったが、兄のクラッドはそんな弟をせせら笑い、狩りや飛ぶことに夢中で、父の愛情を独り占めしようとする。ところがクラッドの嫉妬心はとんでもない事態を引き起こす。クラッドとソーレンの兄弟は木の上にあった巣から落ち、そのまま純血団に捕らわれてしまう。ソーレンは勇気ある若き友の助けを借り、大胆な脱走を図らなければならない。彼らはガフールの勇者たちの巣があるとされる“神木”を探しに海を越えることを決意する…
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フクロウが主人公の冒険ファンタジー。
冒頭いかにも3D向けと思われるシーン。
大空を自由に飛ぶ鳥などは3D向けにちょうど良いのだろうと思う。

クラッドとソーレンはメンフクロウの兄弟。
伝説の「ガフールの勇者たち」のお話に夢中になっている。
彼らにも巣立ちの時は近づいており、飛ぶ練習を始めたばかり。
しかし両親の留守中に練習に出たのはいいが、地上に落ちてしまう。
まだ十分に飛べない彼らに、地上の獣が襲いかかる。
そしてその時、彼らを助けたのは別のフクロウたち。

そのまま兄弟は邪悪なフクロウ集団「純血団」の孤児院に入れられる。
そこでは奴隷のように働かされるフクロウたちと、戦士として育成されるフクロウたちがいる。弟のソーレンはサボテンフクロウのジルフィーと出会い、彼女とともに孤児院を逃げ出そうとするが、兄のクラッドは力の支配に憧れ、戦士の道へと進む。

フクロウにもいろいろ種類があって、登場人物(フクロウ)たちも様々。
主人公の兄弟はメンフクロウ。
お面のような顔が特徴的だ。
そう言えば「猿の惑星」シリーズでも、チンパンジー、ゴリラ、オランウータン等々の種族がそれぞれ特徴を出しあっていたが、動物たちを主人公にすると、そんな違いも出せたりするものである。彼らが住むのはティトの森林王国となっているが、調べてみるとこれはメンフクロウの学名(Tyto alba)からきているのだと思う。

子供が成長しながら悪に立ち向かうというストーリーはもはや王道。
まだ一人でしっかりと飛ぶ事もできないメンフクロウの子供が、悪の手から命からがら逃げのび、道中で出会った仲間たちとともに戦うというストーリー展開は、手を変え品を変え、人間から動物からと主人公を変え、さまざまな所で語られていて、違うのは設定だけと言える。

ストーリーの王道として最後に正義は勝つ。
そして主人公も少し大人になる。
しかし、悪も全滅とはいかず、一部は逃げのびる。
暗黒面に落ちたソーレンの兄クラッドも、行方不明であり、続編の存在を示唆している。
ヒットしたら次があるのだろう。

次があるかどうかは別として、こういう映画はちょっと楽しむのには良いだろう。
子供たちと観ても良かったと思う映画である・・・


評価:★★☆☆☆
     





    
   
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2012年02月18日

【食べて、祈って、恋をして】My Cinema File 824

食べて、祈って、恋をして.jpg

原題: Eat Pray Love
2010年 アメリカ
監督: ライアン・マーフィー
出演: 
ジュリア・ロバーツ:リズ・ギルバート
ハビエル・バルデム:フェリペ
ジェームズ・フランコ:デヴィッド
リチャード・ジェンキンス:リチャード
ヴィオラ・デイヴィス:デリア

<STORY>********************************************************************************************************
ニューヨークで作家・ジャーナリストとして活動するエリザベス・ギルバート。夫・スティーブンとの結婚8年目にして新居も購入し、何不自由ない生活を送っているうようだったが、どこか満たされない日々。やがて離婚を決意して家を出た彼女は、若い俳優・デイヴィッドの家に転がり込む。しかし、そこでもうまくいかなくなったエリザベスは、自分を解き放つため、イタリア、インド、バリをめぐる1年間の旅に出ることを決意する…。
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ジュリア・ロバーツ主演という事でちょっと期待して観る事にした映画。
しかしながら、なんだかよくわからなくなる。
どうしてなんだろうという疑問が湧いてくる。
主人公が女性という事もあるのかもしれないが、どうにも共感できない映画だったからかもしれない。

主人公は作家兼ジャーナリストのエリザベス。
ある時、バリ島で地元の占い師のおじさんから、「一度離婚し、その時財産をすべて失う。でも大丈夫、また取り戻せる」とアドバイスを受ける。
そしてその通り、何不自由ない恵まれた結婚生活に自らピリオドを打つ。
その理由がよく理解できない。なんでそんな理由で離婚するのか・・・

そして年下の俳優デイヴィッドと暮らし始めるが、やっぱり突然イタリアへ行く決意をする。
そこでダイエットを気にせず大いに食べる。
続いて移ったインドでは瞑想。
そして最後に再び訪れたバリではちょっとナンパなおじさんと知り合う・・・

タイトルそのままに、イタリアで食べ、インドで祈り、バリで恋をする。
これがおしゃれな女の生き様とでも言うのだろうか。
女性なら何か共感を得られるのかもしれないが、どうもそのあたりは波長が合わなかった。
ジュリア・ロバーツ自身は十分魅力的だとは思うのだが、なんだかプロモーションビデオを見ているようだと言えるだろうか。

敢えて批判はしないが、よくわからない映画だったと素直に告白致したい一作である・・・


評価:★★☆☆☆




    
   
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2012年02月12日

【ALWAYS 三丁目の夕日'64】My Cinema File 823

ALWAYS 三丁目の夕日'64.jpg

2012年 日本
監督: 山崎貴
出演: 
吉岡秀隆:茶川竜之介
堤真一:鈴木則文
小雪:茶川(旧姓:石崎)ヒロミ
薬師丸ひろ子:鈴木トモエ
堀北真希:星野六子

<STORY>********************************************************************************************************
昭和39年。三丁目の住民たちは皆、オリンピック開催を楽しみにしていた。鈴木オートの社長、則文も大きなカラーテレビを買い、近所の人を集めて得意顔だ。長男の一平のエレキギターには頭が痛いが、従業員の六子は仕事の腕をめきめきと上げ、一家は順風満帆に見えた。そんな時、六子に思いを寄せる男性が現れた。六子が火傷で治療を受けた病院の医師、菊池だ。しかし、菊池には悪い噂があった…。
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シリーズ3作目となる本作では、舞台は前作より5年後の昭和39年となる。
新幹線が開通し、東京オリンピックが開催される。
映画の冒頭では代々木体育館や駒沢競技場などの施設の完成が告げられ、世の中にオリンピックムードが高まって行く。

三丁目に住む茶川の家にも念願のテレビが来る。
茶川家の白黒テレビをあざ笑うようにお向かいの鈴木オートにはカラーテレビが搬入される。
テレビ1台でみんなが幸せになれた時代。しかしせっかくのカラーテレビなのに、当時は白黒放送が多くて、カラーテレビでも白黒放送だったというエピソードなんてもう知る人も少ないのだろう。

コカコーラの自動販売機が登場しているが、空き瓶(当時はまだ缶はない)を持っていかれるのが惜しくて、販売機の横でご主人が監視したりしているが、そんな小さなエピソードにも興味を惹かれる。

茶川家では、茶川が出稿する少年誌に強力なライバル作家が現れ、茶川の連載が危機にさらされている。苦しみながら原稿を書く茶川は、そんな苦労を淳之介にはさせじと、東大合格へ向けてはっぱをかける。そんな時、郷里から父の危篤を知らせる電報が届く。

鈴木オートで働く六子には気になる男性が現れる。
仕事でやけどをした時に治療してもらった医師菊池である。
偶然を装って朝挨拶をするだけで満足する六子に、タバコ屋のおばちゃんがおせっかいを焼き菊池医師の評判を尋ねてくるが、意外にも悪評が耳に入ってきてしまう。

実父との確執を抱えていた茶川、そして今度は自分が父として淳之介と対峙する。
晴れて夫婦となった小雪は身ごもり、駄菓子屋の店先で居酒屋を営んで生活を支える。
鈴木オートの跡取り一平は、泥臭い仕事に背を向けギターの練習に勤しむ。
それぞれのストーリーが混載され、今回も涙腺が大いに刺激される。

コメディタッチの部分も多く、涙あり笑いありのストーリー。
少々過剰演出の部分もあるが、気にせず映画の世界にのめり込めば素直に楽しめる。
一貫して流れるのは、他者への愛情。
それが所々に表れていて、その都度涙腺が緩む。
それらは現代に置き換えても通じるものもあれば、時代的な制限があったからこそというものもある。では制限がなくなった、もっと恵まれているはずの現代ではどうなのかと、ふと考えさせられる。人の幸せってなんだろうという思いがあらためて沸き起こる。

エンターテイメントとして粗探ししてもつまらない。
隅々まで昭和30年代の世界にどっぷりと浸かってみたい映画である・・・


評価:★★★★★


「ALWAYS 三丁目の夕日」
「ALWAYS 続・三丁目の夕日」



   



posted by HH at 21:55| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする