2012年04月30日

【ハリー・ポッターと死の秘宝PART1】My Cinema File 858

ハリー・ポッターと死の秘宝PART1.jpg

原題: Harry Potter and the Deathly Hallows PART1
2010年 イギリス=アメリカ
監督: デヴィッド・イェーツ
出演: 
ダニエル・ラドクリフ:ハリー・ポッター
ルパート・グリント:ロン・ウィーズリー
エマ・ワトソン:ハーマイオニー・グレンジャー
レイフ・ファインズ:ヴォルデモート
ヘレナ・ボナム=カーター:ベラトリックス・レストレンジ
アラン・リックマン:セブルス・スネイプ
ジョン・ハート:オリバンダー老人

<STORY>********************************************************************************************************
ついに守ってくれる人も、導いてくれる師も失ったハリー、ロン、ハーマイオニーの3人は、ヴォルデモートを倒す道をさぐり始める。そのためには、ヴォルデモートの魂を7つに分けて収めた“分霊箱”すべてを探しだし、破壊しなくてはならない。すでに2つが破壊されているので(「ハリー・ポッターと秘密の部屋」「ハリー・ポッターと謎のプリンス」)、残る分霊箱はあと5つ。死喰い人の追跡から身を隠しながら、分霊箱の情報を集めるハリーたちだったが…!?
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ハリー・ポッターシリーズもついに最後の第7章。
最後は2部作で、これがPART1。
前作でタンブルドア校長が死んでしまい、いよいよハリーの身にヴォルデモートの脅威が迫る。今回は冒頭からヴォルデモート軍団の襲撃を受け、仲間を失ったハリーは心も傷つく。

仲間たちは散り散りとなり、ハリー、ハーマイオニー、ロンの3人はともに逃げのびる。
強敵ヴォルデモートは魔法省さえ配下におさめ、もはや向かうところ敵なしの状況。
ハリーたち3人は、そんなヴォルデモートの弱点である分霊箱を探す事にする。
分霊箱は全部で7つ。ヴォルデモートの魂を7つに分けて納めてある。
すでに2つは破壊し、残るは5つ。

ハリーたち3人は、タンブルドア校長からそれぞれ一つずつ遺品を残されている。
その3つを巧みに利用しながらの旅。
一つはロケットだと判明し、それを奪った相手は魔法省にいる。
敵陣深く潜入したかと思うと、また遠くの森に逃げる。
ハリーとハーマイオニーの関係に嫉妬したロンが戦線離脱する。
縦糸に横糸をうまく交えながらのストーリー展開。

目的に向かって苦労を重ねる冒険の旅。
仲間と力を合わせて苦難を乗り切る。
なるほど子供が面白がるのも無理はないし、教育的にも良さそうだ。
それにしてもなぜハーマイオニーはロンの方がいいのだろう。
今やすっかり大人の雰囲気を醸し出していて、個人的には好みのハーマイオニーだ。

タイトルとなった死の秘宝とは、杖と石とマント。
それらの由来として語られる物語が、含蓄もあって良い話だ。
それらは次のPART2で何かの役割を果たすのだろう。
しかしPART1を通じてようやく破壊した分霊箱は1つだけ。
残りはPART2へと続く事になる。
このペースで大丈夫なのだろうかと、個人的には心配してしまう。

原作は1巻しか読んでいないものの、映画はここまで観てきた。
ここまで観たからには最後まで観ないといけない。
楽しみにしていようと思う・・・


評価:★★☆☆☆



ハリー・ポッターシリーズ
「ハリー・ポッターと秘密の部屋」
「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」
「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」
「ハリー・ポッターと謎のプリンス」
「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」
    





posted by HH at 11:46| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月29日

【ディアドクター】My Cinema File 857

ディアドクター.jpg

2009年 日本
監督: 西川美和
出演: 
笑福亭鶴瓶:伊野治
瑛太:相馬啓介
余貴美子:大竹朱美
井川遙:鳥飼りつ子
松重豊:波多野行成巡査部長
香川照之:斎門正芳
八千草薫:鳥飼かづ子

<STORY>********************************************************************************************************
山間の小さな村のただ一人の医師、伊野が失踪した。村人たちに全幅の信頼を寄せられていた伊野だったが、彼の背景を知るものは誰一人としていなかった。やがて刑事が二人やってきて彼の身辺を洗い始める。失踪の2か月前、東京の医大を出たばかりの研修医・相馬が村にやってくる。看護師の朱美と3人での診察の日々。そんなある日、一人暮らしの未亡人、かづ子が倒れたとの一報が入る……
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小さな村の診療所の医師が失踪したところから物語は始る。
そしてその医師がどんな医師であったのか、過去と現在を往復する形で物語は進行していく。

一人の研修医相馬がこの村にやってくる。
今風の若者で、真っ赤なスポーツカーは村でも異彩を放つ。
着いた診療所には、溢れかえる老人たち。
そしてまるで茶飲み話でもするかのように、患者たちと向き合う医師伊野。
失踪した原因は、観ている者には見当もつかない。

しかし観ていくうちに、伊野の独特のスタンスがわかっていく。
ただ病気を治すだけが医者ではない。
患者の望んでいる事、家族が望んでいる事を微妙に嗅ぎ分けていく。
一人の老人の臨終の床に伊野が呼ばれる。
患者の様子を伺う伊野。
しかし、周りの家族は誰ひとり口にはださなくとも、老人の死を望んでいる。
そんな現場が伊野の職場であり、やがてそんな “医療現場”に相馬も馴染んでいく。

やがて伊野には大きな秘密がある事がわかる。
まあ途中で大体何なのかわかってしまうのだが、そんな事は軽微な事。
そうした事実を通して、一体何が大事な事なのか、その本質を鋭くついてくる。
気がつくと、思わず引き込まれてしまっている。

主演は笑福亭鶴瓶。
これが実にいい味を出している。
「おとうと」でもそうだったが、本業は役者でも十分通用するのではないかと思う。

その他瑛太、余貴美子、香川照之、八千草薫とそれぞれが深い味わいのある演技。
じんわりと感動が湧きおこってくる。
予想外に良い映画に巡り合うと嬉しくなってしまう。
これはそんな映画である・・・


評価:★★★☆☆
     



     



ネタばれ覚悟で続きを読む
posted by HH at 11:43| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月28日

【Gamer:ゲーマー】My Cinema File 856

Gamer.jpg

原題: Gamer
2009年 アメリカ
監督: マーク・ネヴェルダイン/ブライアン・テイラー
出演: 
ジェラルド・バトラー:ジョン“ケーブル”ティルマン
マイケル・C・ホール:ケン・キャッスル
アンバー・ヴァレッタ:アンジー“ニカ”ティルマン(ケーブルの妻)
ローガン・ラーマン:サイモン・シルバートン
テリー・クルーズ:ハックマン( 囚人戦士)

<STORY>********************************************************************************************************
西暦2034年、世界中の人々はある“ゲーム”に熱狂していた。天才クリエイター、キャッスルが開発したオンライン・ゲーム“スレイヤー”では、脳細胞手術を受けた生身の人間がプレイヤーに遠隔操作され、激しい戦闘を繰り広げていた。無実の罪で投獄され、スレイヤーの戦士となったケーブルは、「30回勝ち抜けば釈放」という条件にあと1回と迫り、世界中の注目を集めていた。だが、ケーブルは愛する妻と娘に再会するため、“ゲーム”の世界から自力で抜け出そうとする・・・
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未来は常に現在の延長上にある。
昔から近未来を舞台にしたSFは数多く作られてきたけれど、ゲームという概念を導入したのは、今ならではだ。
ここでは囚人たちが、プレーヤー達に操られるという未来が描かれている。

近未来のゲーム“スレイヤー”。
戦場のオンラインバトルゲームであるが、プレイするのは金持ち。
その手足となって動くのは死刑囚たち。
実際の戦場での戦闘。
やられれば実際に死ぬのは囚人たちというゲームである。
ただし、囚人たちにも救いはある。
30回勝ち抜けば、無罪放免となるのである。
ただ自力で達成できないところが何とも言えない。

ありがちなパターンだが、無実の罪でスレイヤーの戦士となったゲーブル。
プレイするのは高校生のサイモン。
ゲームの腕前は高校生くらいの方が優れているのは現代も近未来も同じ。
ゲーブルは次々と勝ち抜き、30回勝ち抜きが目前に迫る。

世界中がこのゲームに熱狂する。
それに対し、単なる殺人ではないかと批判も起こるが、開発者のキャッスルは政府の後ろ盾もあって気にしない。
それどころか、この“スレイヤー”の技術を使ってある企みを企てている。
一方、そんなキャッスルに静かに反旗を翻すグループが現れる。

30回勝ち抜いて妻と娘の下に帰ろうとするゲーブル。
されど当然ながら行く手を阻む者たちがいる。
そこからのアクションはこの手の映画の見所。
ラストへ至る自由への闘争。
楽しめて、なおかつ現代社会への警鐘のようなものも含んでいる映画である。

主演はジエラルド・バトラー。
この人は個人的には器用な人だと思っている。
アクション系からファミリー系から幅広くこなす。
アクション映画としては、「300 スリーハンドレッド」のゴッツイ役柄があったが、この映画はその流れを組んでいる。
「幸せの1ページ」ではユーモラスなパパとして登場した。
「オペラ座の怪人」もまた別の一面だ。
出ていれば観たい俳優の一人である。

トータルして観て損のないエンターテイメント映画である。


評価:★★☆☆☆




     
posted by HH at 13:55| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | アクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月23日

【ダブルフェイス 秘めた女】My Cinema File 855

ダブルフェイス.jpg

原題: Ne te retourne pas.
2009年 フランス
監督: マリナ・ドゥ・ヴァン
出演: 
ソフィー・マルソー:ジャンヌ
モニカ・ベルッチ:ローザマリア
アンドレア・ディ・ステファノ:テオ
ブリジット・カティヨン/ナディア

<STORY>********************************************************************************************************
作家を目指している女性ジャンヌは、子供の頃の交通事故の影響で8歳より前の記憶をなくしていたが、今は夫テオと息子、娘の4人で幸せに暮らしている。ある日、ジャンヌは家の内装や家族の姿に違和感を覚えるようになると、徐々に精神のバランスを崩していき、遂には自分の顔が別人になっていることに気付く。更に夫をはじめ、息子や娘、実家の母親までもが別人になっていることに気付いたジャンヌは、実家で幼い頃の写真を見つけ、そこに「本当の母親」の姿を見る。ジャンヌは真相を明らかにするために、その写真を撮ったイタリアに向かう。
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ソフィー・マルソーと言えば、かつて一世を風靡したフランスの女の子。
時は流れ、今やすっかり大人の女性。
そんなソフィー・マルソーの主演映画というだけで、興味を惹かれて観た映画である。

ジャンヌは作家を目指しているが、その評価はあまり芳しくない。
夫テオと二人の子供に恵まれて幸せな日々。
ところがある日、キッチンのテーブルの位置が変わっている事に気がつく。
夫に指摘しても、以前から変わっていないとの返事。
半信半疑でいるが、やがて部屋の中の様子がいつの間にか明らかに変わっていく。
それに対して誰も違和感を抱かず、イラつく日々。

やがてその変化が子供たちにも及び、いつの間にか夫も別人になっている。
家族のビデオに映る自分の姿は別人のもの。
そして実際の自分の顔も変化していく・・・

何だかオカルトチックな展開に、こちらも戸惑う。
精神科に行っても解決せず、実母のところに身を寄せるも、その母も別人に。
そして今まで母だと思っていた人物が、イタリアにいるとわかり、取るものも取りあえずイタリアに行くジャンヌ。
そして次第に真相に迫っていく。

ストーリー展開としては、かつてない斬新なパターン。
先日の「アンノウン」では、突然周りのみんなが自分を否定しだすという展開であった。
これならなんとなく現実感がある。
ところが自分の顔が変わってしまうというのはなかなかあり得ない。
いやが上にもストーリー展開に惹きつけられる。

そして意外な結末。
何でもかんでもハッピーエンドにしてしまうハリウッド映画と比べると、悲しい現実でも突きつけてくるところがヨーロッパテイストと言えるだろうか。
アクションも良いが、こういう渋い映画もさすがフランス映画という感じがする。
ソフィー・マルソーも、もうすっかり大女優だと感じさせられる映画である・・・


評価:★★☆☆☆
   
    





posted by HH at 22:56| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | サスペンス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月22日

【キャタピラー】My Cinema File 854

キャタピラー.jpg

2010年 日本
監督: 若松孝二
出演: 
寺島しのぶ:黒川シゲ子
大西信満:黒川久蔵
吉澤健:黒川健蔵

<STORY>********************************************************************************************************
一銭五厘の赤紙1枚で召集される男たち。シゲ子の夫・久蔵も盛大に見送られ、勇ましく戦場へと出征していった。しかしシゲ子の元に帰ってきた久蔵は、顔面が焼けただれ、四肢を失った無残な姿であった。村中から奇異の眼を向けられながらも、久蔵は多くの勲章を胸に、“生ける軍神”と祀り上げられる・・・
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映画のストーリーを晒してしまうのは、あまり良い事ではないかもしれないが、観る価値がない映画は構わないだろうと思う。
そうではないと思う人は、以下は読まない方がいいだろう。

戦時中、出征していた夫久蔵が帰ってくる。
しかし、その姿は四肢を失い、顔の半分は焼けただれ、聴力も失っている。
「こんな姿で帰されたって・・・」と絶句する父の姿が、周りの人の偽らざる心境だ。
代わりに得られた勲章と武勲を讃える新聞記事。

妻シゲ子は、始めは動揺して錯乱するも、気を取り直して久蔵の世話をする。
そんな姿でも、久蔵は村で軍神ともてはやされ、シゲ子はその妻として一目置かれる。
ただ寝ているだけの久蔵。
衰えないのは食欲と性欲。

映画は久蔵を世話するシゲ子を描いていく。
食欲も性欲も強い久蔵は、一人では何も満たせないだけにシゲ子も大変。
R15に指定されているが、なるほどシゲ子が久蔵の上に乗って「世話」をするシーンは、とても子供には見せられない。

久蔵とシゲ子とのやり取りは、それなりに訴えかけるものがあると言えばある。
それだけであれば、少しは評価できた。
気に入らないのは回想シーン。
冒頭で、中国で女を追いかけて強姦する日本兵の姿が描かれる。
久蔵自身の行為なのだが、いかがなものかと思ってしまう。

もちろん日本兵がそんな事をしなかった、などというつもりはないが、ただでさえ誤解を招きやすい日本軍に対する評価だ。あえてそれを刺激する必要もあるまい。
婦女暴行など現代のアメリカ兵だって沖縄で繰り返している。
不心得者などどこにでもいるし、むしろ日本軍は武士道を叩きこまれていて、当時のその他の先進国より規律は高かったと聞いている。
敢えて、「それ見た事か」と言われそうなフィクションをわざわざ描く必要などないだろう。

ひもじい時代、妻の分まで食べてしまう久蔵。
いも虫と妻に罵られるが、まさにそんなイメージだ。
徹底して軍人を下劣に描きたかったのだろうか。
作り手のゆがんだ反戦メッセージが伝わってくる。
寺島しのぶをはじめとして、俳優陣の熱演はあったのだが、それ以外のマイナスが多い映画である・・・


評価:★☆☆☆☆
    
    




posted by HH at 22:22| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする