2012年06月30日

義兄弟

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原題: SECRET REUNION
2010年 韓国
監督: チャン・フン
出演: ソン・ガンホ(イ・ハンギュ)/カン・ドンウォン(ソン・ジウォン)/チョン・グックァン(影)

<STORY>********************************************************************************************************
ソウル市内で起きた、北朝鮮工作員との銃撃事件で犯人を取り逃がした責任を問われ、国家情報員のイ・ハンギュは免職を余儀なくされる。
それから6年、逃げた妻や外国人妻を捜す探偵まがいの家業で食いつないでいた彼は、工事現場で韓国に潜入していた工作員のジウォンに偶然出くわす。
ジウォンはこの6年間、パク・ギジュンという偽名を使って潜伏生活を送っていた…。
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緊張感漂う冒頭のシーン。
家族と電話をしていた男が、「仕事が終わったら帰る」と伝えて電話を切る。
暗号を解読し、別の男たちと合流。
やがて任務は暗殺だとわかる。
それを追う男たち。
そして銃撃戦。

なかなかのアクションシーンで掴みはOKといったところ。
北朝鮮の工作員とそれを阻止しようとする韓国の国家情報局。
鮮やかに人を殺していく“影”とそれをサポートするソン・ジウォン。
現場を指揮していたイ・ハンギュは、犯人逮捕失敗の責任を問われて職務を追われる。
優柔不断で上ばかりみている上司に愛想を尽かし、連絡せずに作戦を実施したのである。
鮮やかな手口の工作員の前に、国家情報員たちは翻弄され、次々に銃弾に倒れる。

そして6年。
失職したイ・ハンギュは探偵まがいの仕事をしている。
そして、偶然工作員のジウォンを見つける。
互いに6年前の事件の相手だと認識するが、それと隠して接近。
やがてともに仕事をする事となる。

互いに事件での失敗から、一方は仕事を追われ、一方は祖国から裏切り者と見なされる。
そんな二人が思惑を秘めて寝食をともにする。
タイトルの意味が透けて見えてくる。
人間ドラマの味わいを秘めたアクション。
いつのまにか引き込まれている。

どう見てもしょぼくれた“おっさん”なイ・ハンギュ。
正体を隠して暮らしている男らしく、クールなジウォン。
対象的な両者だが、それがなかなかの名コンビぶり。
それぞれ韓国と北朝鮮の雰囲気を出していると言えるかもしれない。

何かと“北”は話題にしやすいのだろう。
南北問題を取り上げた映画は、韓国映画ならではのものと言える。
まあそんなネタがないのは幸せではあるが・・・
浮ついた韓流ドラマは好きにはなれないが、こうした骨太ストーリーは素直に受け入れられる。
ラストシーンはいただけなかったが、まず見応えのある一作である。


評価:★★☆☆☆
      
      

     
posted by HH at 21:13 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国映画

2012年06月27日

解夏

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2003年 日本
監督: 磯村一路
原作: さだまさし
出演: 大沢たかお(高野隆之)/石田ゆり子(朝村陽子)/富司純子(高野聡子)/林隆三(朝村健吉)/田辺誠一(松尾輝彦)

<STORY>********************************************************************************************************
東京の小学校で教師をする隆之は、突然ベーチェット病に倒れた。
それは、徐々に視力を失っていく原因不明の難病。
隆之は、研究のためモンゴルにいる恋人・陽子の未来を思い、ひとり、故郷の長崎へ戻ることに。
しかし、隆之の病気を知った陽子は、長崎へ追いかけてきた。
隆之は、生まれ育った長崎の景色を目に焼き付けようと、陽子と2人で坂の町を歩き始める。
日を追うごとに曇っていく隆之の視界。
光を失う恐怖のなか、やがて隆之に「解夏」の時がやってくる…
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まず戸惑ったのは、タイトルの読み方。
「げげ」が正しいそうだ。
意味は禅宗の教えで、古来インドでは夏の間托鉢修行を禁じ、もっぱら庵に籠って修行をしたという。
外を歩かないのは、この時期活発になる虫たちを踏み殺さないためだというが、この期間の始りが「結夏(けつげ)」、そして終わりが「解夏」なのだという。
そんな意味のこめられた映画。

主人公は大沢たかお演じる小学校教師の隆之。
体に異常を感じ、友人である医師に検査を頼む。
その結果わかったのが、ベーチェット病という聞きなれない病気。
原因不明で、徐々に視力を失い失明に至るという病。
症状は人によって様々だと言うが、自らの症状から失明は避けられないと判断した隆之は、教師を辞めて故郷の長崎に帰る。

恩師の娘陽子と付き合っていたが、自分の将来と陽子の将来とを考え、黙って実家に帰る隆之。
そして、そんな隆之を追いかけて長崎へやってきた陽子。
故郷の長崎で、古い友人たちと共に、隆之と陽子は残された日々を過ごす。

長崎の情緒ある街並みが印象的に映る。
長崎に対する愛情のようなものを感じる。
子供たちに大人気の教師であった隆之。
突然仕事と視力とを失う理不尽。
視力というのは、よく考えてみれば非常に重要だ。
場合によっては手足の一本を失う方がいいかもしれないと思える。

映画の中の話と言ってしまえばそれまでだが、石田ゆり子演じる陽子は美しく、健気だ。
めくらの男と一緒になるよりは、と考え一人故郷に帰った隆之を追いかけてきてくれる。
それだけで何よりもありがたく、生きる気力へとつながるものだ。
もしも自分が同じ状況になったとしたら、おそらく妻は追いかけてこないだろう。
せめて映画の中で、理想の女性を疑似体験して満足したいものである。

原作はさだまさし。
「眉山」でも優しいストーリーに心打たれたが、この映画にも相通じるものがある。
考えてみれば、歌の歌詞の延長で物語れるのかもしれない。
優しい歌の多いさだまさしならではなのだろうか。
これからも、目を話せない「さだまさし原作」モノだと言えるだろう・・・


評価:★★☆☆☆
      
        
      

    
posted by HH at 22:52 | 東京 ☀ | Comment(1) | TrackBack(0) | 恋愛

2012年06月25日

メッセージ そして、愛が残る

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原題:Et après /英題:AFTERWARDS
2008年 ドイツ=フランス=カナダ
監督: ジル・ブルドス
出演: ロマン・デュリス(Nathan)/ジョン・マルコヴィッチ(Doctor Kay)/エヴァンジェリン・リリー(Claire)/リース・トンプソン(Jeremy)/パスカル・ブシェール(Anna)

<STORY>********************************************************************************************************
法律事務所に勤めるネイサンの元に、ある日、ジョゼフ・ケイと名乗る医師が現れる。
幼い息子を突然亡くし、妻や娘と別れてひとり仕事に没頭していたネイサンに、ケイは見知らぬ青年の死を予告する。
半信半疑だったネイサンだが、不思議な出来事が続き、死を予見するケイの能力を信じるようになる。
ケイは死期の迫った人に、その運命と向き合う時間を与えるメッセンジャーの役目を果たしていたのだ。
そしてケイがネイサンの前に現れた理由が解き明かされていく。
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冒頭、湖のほとりで遊んでいた子供二人。
女の子が桟橋の木が壊れ池にハマる。
大人の助けを求めて走る男の子。
しかし、道路に飛び出した瞬間、車にはねられる。
ピクリとも動かぬ男の子の体は、やがて白い光に包まれる・・・

大人になったネイサンは弁護士。
しかし幼い息子を突然死で失い、妻のクレアとの関係もまずくなり別居する。
そんな彼の前にケイと言う名の医師が現れる。
彼は地下鉄駅で見知らぬ青年の死を予告し、的中させる。
彼には人の死を予見する能力があった。

人の死が予見できるというのも、何だかあんまり気持ちの良いものではない。
相手に教えてどうなるのだろうと言う気もする。
教えてもらって嬉しいと思う人と、そうでない人とがいるだろうが、それを見分けるのは難しい。

ケイを演じるのはジョン・マルコビッチ。
個人的な感覚かもしれないが、この人のねちっこいしゃべり方にどうもイライラ感がしてしまう。
何だか小バカにされているような気がして、それで「あなたは死にます」と言われたら、自分だったらブチ切れてしまうかもしれないと感じる。

自分の死期が近いとわかってしまったら、自分だったらどうするだろう。
そんな事を考えながら、ストーリーを追う。
ネイサンも妻と娘との元へ行き、和解しようとする。
そんな心が妻のクレアにも伝わる。

ハッピーエンドとは言えないエンディング。
いろいろと感じてくれというメッセージのようなものを感じる。
しかし、ジョン・マルコビッチへの反発からあまり面白いとは感じられなかった。
他の俳優だったら、もう少し印象が変わったかもしれない。
最初のシーンの映像の意味も、もう少しわかりやすくして欲しかった気もする。

人によってこの映画の評価は分かれるかもしれない。
良い映画だと思える要素もわかる。
ただ個人的にはちょっと合わなかったな、と言える映画である・・・


評価:★☆☆☆☆
    
     

    
posted by HH at 00:02 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2012年06月22日

白いリボン

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原題: Das weiße Band
2009年 オーストリア=フランス=イタリア=ドイツ
監督: ミヒャエル・ハネケ
出演: 
クリスティアン・フリーデル(The School Teacher)
レオニー・ベネシュ(Eva)
ウルトリッヒ・トゥクール(The Baron)
スザンネ・ローター(The Midwife)
ブルクハルト・クラウスナー(The Pastor)
ライナー・ボック(The Doctor)

<STORY>********************************************************************************************************
1913年夏、北ドイツのある村。
張られた針金が原因でドクターが落馬したのが発端だった。
翌日にはその針金が消え、小作人の妻が男爵家の納屋で起きた事故で命を落とす。
秋、収穫祭の日、母の死に納得できない息子が、男爵の畑のキャベツを切り刻む。
その夜、男爵家の長男ジギが行方不明になった。
一方、牧師は反抗的な自分の子供たちに“純心”の象徴である白いリボンを腕に巻かせる。
犯人がわからないまま、不信感が村に広がっていく。
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2009年カンヌ映画祭パルムドール受賞作品。
ヨーロッパの映画は、ハリウッドのそれとは一味違う。
さらにもまして、モノクロとくると映画全体を覆う暗い雰囲気がより一層際立つ感じがする。

物語の舞台は第一次大戦前のドイツ。
まだ男爵という爵位が残っており、その男爵を中心とした村に小作人たちが暮らしている。
そんな村で事件が起こる。
まずは村のドクターが、乗馬中に張られた針金に引っ掛かり落馬して重傷を負う。
明らかに意図的な事件だが、犯人はわからない。

続いて村の農婦が納屋の二階から落ちて死ぬ。
さらに男爵の息子ジギが、何者かに襲われて怪我をする。
そしてドクターを手伝う看護婦の知恵遅れの息子もまた、同じ目に会う。
そしてある晩、納屋が放火される。
すべて犯人は不明である。

村の有力者は男爵と牧師とドクター。
いずれも村で唯一の権威。
されど人格者というわけではなく、裏の顔を持つ。
男爵は夫婦関係に冷たい亀裂が入っており、牧師は家庭内でもあまりにも厳格過ぎ、ドクターは看護婦と不適切な関係を続けているといった有り様である。

村で起こる事件と3人の権力者を脇に置き、どうやら物語の語り部である教師の暮らしが描かれる。
男爵家のメイドに想いを寄せ、アプローチしていく。
まだ男女交際も不自由な時代を感じさせる二人の付き合いが、サイドストーリーとして語られる。

サラエボでオーストリア皇太子が暗殺される。
時代は戦争の足音がこだまする。
漠然と浮かび上がる犯人の姿。
心を病んでいると言える犯人だが、それを生み出しているのは明らかにその村である。

タイトルにある白いリボンとは、牧師が自分の子供につけさせたもの。
嘘をつく罰としてつけさせるのだが、どうやらそれは子供にとっては不名誉の証のようなものらしい。
ドイツらしい厳格な家庭で反抗は許されず、それがまた闇を生み出している事を連想させる。

ハリウッド映画のようなハッピーエンドとはほど遠く、重い雰囲気がのしかかってくる。事件の真相は結局わからないが、背景をあれこれと想像させてくれる。
そして大体の全体像もなんとなくわかる。
この村に特別に起こった事というよりも、大なり小なりどこにでも起こりうる事なのかもしれない。
観終わったあとに、考えさせてくれる映画である・・・

評価:★★☆☆☆
    
      

     
posted by HH at 22:19 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2012年06月18日

デイブレイカー

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原題: Daybreakers
2008年 オーストラリア=アメリカ
監督: ピーター・スピエリッグ/マイケル・スピエリッグ
出演: イーサン・ホーク(Edward Dalton)/ウィレム・デフォー(Lionel 'Elvis' Cormac)/クローディア・カーヴァン(Audrey Bennett)/サム・ニール(Charles Bromley)/マイケル・ドーマン(Frankie Dalton)

<STORY>********************************************************************************************************
2019年、ウィルスの蔓延により、全人口の95%がヴァンパイアとなっていた。
エドワードは製薬会社ブロムリー=マークス社にて人工血液を開発する研究者。
彼もヴァンパイアだが人血を飲む事に罪悪感を覚えていた。
ある夜、エドワードは追われていたレジスタンスの人間たちを助ける。
レジスタンスから信用されたエドワードは、彼らに呼び出された。
そこで待っていたのは、ある事故で人間に戻った元ヴァンパイアだった…。
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この映画は数多あるヴァンパイア映画のひとつであるが、一味の違いを見せてくれる。
物語の舞台は2019年。
なんとウィルスの蔓延により、人類はその95%がヴァンパイアになっている。
主流となったヴァンパイアが、世界を支配。
残り5%となった人間たちはひっそりと隠れて生きている。

ヴァンパイアは独自の生活スタイルを築いている。
昼はシールドで覆う事のできる家に住み、車ももちろん紫外線完全シャットアウト仕様車。
軍隊は完全防備スタイルで、昼でも屋外での活動が可能になっている。

しかし、そんな社会での大問題は「食料」。
数少なくなった人間を捕え、工場で「繁殖」させているが、それだけでは「食料」の供給は覚束ない。
代用血液の研究は遅れ、飢えたヴァンパイアはサブサイダーと呼ばれる怪物と化して、人々(=ヴァンパイア)を襲い、社会問題となっている。
なかなか面白い設定だ。

そんな社会の中、製薬会社で働くエドワードは、感染によってヴァンパイアになってしまったが、人血を飲む事に嫌悪感を抱いている。
代用血液の開発も遅れる中、わずかな血液を巡っての争いが各地で起こり、世の中は不穏な空気に晒される。

そんな中で、エドワードは偶然、逃亡中の人間を助ける。
人間たちは信頼できるヴァンパイアを探しており、両者の思惑が一致する。
そしてその中に、奇跡的に感染から完治して人間に戻ったヴァンパイアがいた。
治療法のヒントを求めるエドワード。
「食料問題」の解決策を感染からの治療に求めるエドワードだが、解決方法を違う方面に求めるヴァンパイアたちと当然ながら対立する事になる。

未来の話はある程度その「前提条件」にかかってくる。
「人類の95%がヴァンパイア」という設定が、この物語の勝因である事は間違いない。
昼の間は人間たちの目を逃れて隠れているというのが、ヴァンパイアのイメージだが、世の主流となると堂々と暮らしている。
世を悲観した不死のヴァンパイアが、太陽の下に出て自殺したりするケースも出てきたりするのである。

みんながヴァンパイアになってしまった事から起こる「食糧難」という事態も秀逸。
捕まえられた人類は、工場で採血されるのだが、まさに「養殖」であり、人間の身からは恐ろしい事態である。
牛や豚や鳥の気持ちがわかるような気がする。

ようやく明らかになった「治療法」。
それが世に広まって、再び人間たちの世の中になるのだろうか。
ちょっと物語の先を想像してみると、楽しいかもしれない映画である・・・


評価:★★☆☆☆
     
       

     
posted by HH at 23:04 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | SF/近未来ドラマ