2012年09月30日

ラルゴ・ウィンチ

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原題: LARGO WINCH
2008年 フランス/ベルギー
監督: ジェローム・サル
出演: 
トメル・シスレー(ラルゴ・ウィンチ)
クリスティン・スコット・トーマス(アン・ファーガソン)
ミキ・マノイロヴィッチ(ネリオ・ウィンチ)
ジルベール・メルキ(フレディ)
メラニー・ティエリー(レア/ナオミ)
カレル・ローデン(ミカエル・コルスキー)

<STORY>********************************************************************************************************
巨大財閥の創始者ネリオ・ウィンチが暗殺され、後継者として指名されたのは、誰もが初めて知る養子ラルゴだった。
財や権力に無欲のラルゴの周囲では、この大企業を乗っ取ろうとする陰謀が浮上。
父の仇をとることを決意したラルゴは、女性取締役アンの協力を得て、過酷な逆襲に挑む・・・
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ラルゴ・ウィンチは、主人公の名前。
巨大財閥Wグループを一代で築いたネリオ・ウィンチの養子であり、唯一の相続人。
若き日のネリオが、孤児院から見出し、子供のいない知り合いの夫婦に育てさせていた。
やがて成長してネリオから後継者として育てられる事になるが、一筋縄ではいかない男として成長する。

そして現代。
何者かによってネリオが暗殺される。
混乱に陥るWグループは、女性取締役アンを臨時代表にして後継体制を作ろうとするが、コルスキー率いるグループが買収活動に乗り出し、内外に問題を抱える。
ネリオの唯一の相続人としてラルゴが指名されるも、それぞれに思惑を秘めた者たちの暗躍が続く。

ラルゴももともと父親の後継者として素直に育っていない。
町で荒くれ男たちに絡まれていたメラニーを、腕っ節と知恵で助けてみせる頼もしさがある。
取締役会に乗り込んだラルゴは、自分がグループの株式の65パーセントを抑えている事実を公表するが、さっそく経理社員が殺害され、不穏な空気が付きまとう・・・

原作はヨーロッパのコミックだという。
アメコミとはまた一味違うようである。
物語の背景は巨大財閥の権力闘争とも言うべきもの。
無欲とも言えるラルゴが、父親を殺した犯人を追いかけていくというのがストーリーの骨子。

大富豪の主人公が、財産には背を向けて生きて行こうとする。
なかなか凡人には真似できることではなく、そこがヨーロピアンテイストなのかもしれない。
父親殺しの犯人とその背後にある欲望にまみれた権力闘争。

続編も公開されていて、シリーズ化されるのかどうかはわからない。
ただ、シリーズ化されてもストーリー的に無理があるかもしれない。
その先はともかくとして、続編も観ようと言う気になったのだけは、確かな一作である・・・


評価:★★☆☆☆





      
      
posted by HH at 23:35 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | アクション

2012年09月23日

ロスト・アイズ

ロスト・アイズ.jpg

原題: LOS OJOS DE JULIA/JULIA'S EYES
2010年 スペイン
監督: ギリェム・モラレス
出演: 
ベレン・ルエダ(ulia / Sara)
リュイス・オマール(Isaac)
パブロ・デルキ(Ivan)
フランセスク・オレーリャ(Inspector Dimas)
ホアン・ダルマウ(Crespulo)

<STORY>********************************************************************************************************
全盲の女性の首吊り死体が、自宅地下室より発見された。
自殺したサラの双子の妹・フリアは、姉の死に疑問を感じ、他殺ではないかと疑い始める。
調べていくと、姉には恋人と思われる男性がいたらしい。
しかし、誰しもが口をそろえて彼の顔を見ていないと言う。
姉の足跡をたどる先々で、フリアの周りでも正体の見えない不穏な人影がチラつき始める。
そして、同時に彼女の視力もなくなりつつあった。
徐々に闇に包まれていくフリア、完全失明までに彼女に残された時間は1ヶ月……。
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進行性の視力障害を抱える姉妹。
先に全盲となった姉のサラが自殺を遂げる。
その死を不審に思った妹フリアは、サラの周辺を探り始める。
やがて謎の恋人の存在に行き当たる。

ストレスがかかれば病気の進行が進む。
フリアの目を案じたイサクは、フリアに自粛を求めるが、納得しないフリアはやめようとしない。
そしてようやく謎の男の手掛かりをつかむところまで来た時、イサクが自殺してしまう。
そしてフリア自身も視力を失う・・・

スペイン映画というと、割と公開されていて目にする機会も多い。
なかにはかなり面白いものもある。
進行性の視力障害を抱えた女性が主人公。
徐々に視力を失う恐怖と、姉を死に追いやった謎の男に狙われる恐怖を描く。

それなりに面白い部分もあるのだが、ちょっと待てよと雑なストーリーに異を唱えたくなる部分もある。
視力を失ったフリアが、ドナーの提供で視力回復手術を受ける。
1ヶ月間は包帯を取れないと宣告され、その間入院しなさいと医師から勧められる。
しかし、夫も自殺してしまい頼れる身内のいない女性が、目が見えないのに退院を希望して慣れない姉の家での療養を選ぶ。

確かにストーリー的にはそうしてもらわないと困るのだろうが、不自然さが気になってしまう。
そんなところがいくつか目につき、映画の魅力が半減してしまう。
しかしフリアが咄嗟の機転で目が見えない振りをしたり、目が見える事と見えない事をうまく利用している部分は、なかなかの妙を感じる。
まぁ細かいところは気にするなと言うところだが、神は細部に宿るとも言うし、細部にもこだわって欲しい気もする。

犯人の「見えない」男というのも、今一インパクトに欠けるところがある。
地味な映画であるし、手軽に楽しめるサスペンスといった映画である。


評価:★★☆☆☆





    
     
posted by HH at 21:53 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | スリラー

2012年09月22日

ミスター・ノーバディ

ミスターノーバディ.jpg

原題: Mr. Nobody
2009年 フランス=ドイツ=カナダ=ベルギー
監督: ジャコ・ヴァン・ドルマル
出演: 
ジャレッド・レト(Nemo)
サラ・ポーリー(Elise)
ダイアン・クルーガー(Anna)
リン・ダン・ファン(Jean)
リス・エヴァンス(Nemo's Father)
ナターシャ・リトル(Nemo's Mother)

<STORY>********************************************************************************************************
2092年、化学の進歩で人間は永遠の命を持つようになっている。
そんな中、118歳のニモは唯一の命に限りある人間だった。
誰も彼の過去を知る者はいない。
彼は“ミスター・ノーバディ”なのだ。
病院のベッドで死を目前にしたニモの脳裏に、さまざまな人生の局面、岐路、選択が次々にフラッシュバックする。
かつて9歳の少年だったニモの人生は、母親について行くか父の元に残るかの選択によって決まったのだった。
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近未来。
118歳の老人ニモに世間の注目は集まる。
今まさに死の床にある老人に、医師が過去を思い出させようとする。
しかし、“思い出される”過去にはいろいろなシーンが登場する。

生まれる前からの記憶を持っていたと語るニモ。
両親を選んで生まれて来たという。
しかしその両親は別れる事になる。
お別れの日、両親とともに駅に立つニモ。
列車に乗って去ろうとする母親と残る父。
選択権はニモにある。
やがて走り出す列車を追いかけるニモ。
追いついて母親と共に去るニモと、途中で靴が脱げそのまま父と残るニモ・・・

学校に入り、魅力的な少女アンナに出会うニモ。
泳ごうと誘われて、心ない一言を言い、アンナに嫌われてしまうニモと正直に泳げないと告白し、アンナと仲良くなっていくニモ。
やがて親同士が結婚し、一緒に住む事になるニモとアンナ。

エリースと出会い、結婚し家庭を持つニモ。
エリースに振られ、そのあとバイクの事故で植物人間となるニモ。
エリースに振られ、やけになってそのあと最初に踊った相手と結婚すると父に宣言し、その通りジーンと結婚して家庭を持つニモ。

正直言ってどれが本当のニモが歩んだ人生なのかわからない。
118歳のニモはすでにボケていて、自分は34歳だと主張する。
そういう状態だからこそ、様々な人生を語られてもすべてそれらしく思える。
どれが本当の人生だったのか、本人にもわからない。

映画を観る者は自分の人生と重ねて考えてみる事ができる。
「あの時別の選択をしていたら・・・」
そういう瞬間は誰にでもある。
別の道を歩いていたら、また別の道があったのだろう。
しかしそれが本当の幸せなのかはわからない。

映画的には、結局何だったのかあやふやなもの。
だが、己の人生の選択について考えるヒントを投げかけてくる。
あれこれと考えてみるのもいいかもしれない。
アメリカを舞台にしていながらハリウッド映画ではない。
ハリウッド映画のストーリーとは趣が違うのはそんな理由なのだろう。

己の人生を振り返ってみたい映画である・・・


評価:★★☆☆☆




     
     
posted by HH at 19:43 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ファンタジー

2012年09月17日

半次郎

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2010年 日本
監督: 五十嵐匠
出演: 
榎木孝明(中村半次郎)
AKIRA OKUGAWA(永山弥一郎)
白石美帆(さと)
津田寛治
坂上忍

<STORY>********************************************************************************************************
幕末の時代、京都に新撰組も恐れる薩摩の侍がいた。
その男、中村半次郎は、生まれは貧しい下級武士だったが、志は高く、日々、武道に打ち込んでいた。
欧米列強が日本に開国を迫っている頃、薩摩侍の中心人物、西郷隆盛が京に上ると聞き、半次郎は自分も加えて欲しいと名乗り出る。
剣の腕前を披露し、「侍らしく義のために死ぬには、どげんしたらよしごわすか」と西郷に問う。
終生を共にする二人の運命の出会いであった。
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幕末の薩摩出身で、明治政府では陸軍少将になった桐野利秋(中村半次郎)の生涯を扱った映画である。
西南戦争では西郷隆盛の側近として活躍している。

中村半次郎は、父親が妹の薬代に困って公金に手をつけたため、「罪人の子」としてのレッテルを貼られて苦労する。
西郷隆盛を訪ね、これに師事する事になる。
みやげに自宅で取れたサツマイモを持参した事から、「唐いも侍」と言われるが、それを気にする事もなく、大らかな性格。

やがて京都に移るが、ここでは煙管屋に出入り。
娘のさとと懇意になる。
娘のさとと写真を一緒に撮るが、それは今でも現存している。
そんな実際のエピソードを散りばめながらドラマは進んでいく。

京都の宮家を警護していた時、侵入してきた賊と切り合いになり一人を切り倒す。
切り倒した賊は長州藩の藩士であり、遺髪を返しに行って長州藩士たちとつながりができる。
新撰組との対立で深手を負うが、煙管屋のさとの看護で回復する。
そして政府内の対立で西郷隆盛が役職を辞任。
故郷に帰る事になった西郷隆盛と行動を共にするため、陸軍少将の地位を捨てる。
やがて薩摩藩内の不満は蓄積し、武装蜂起する事になる・・・

西郷隆盛は上野公園にも銅像があり有名であるが、その側近たちについてはほとんど知られていない。
ある意味仕方のない事であるが、どちらのサイドにもそれぞれの考えがあり、それを正義と考えている。
「勝てば官軍」であるが、それはあくまで勝ち負けが決まってからの話である。

この映画は主演の榎本孝明が13年をかけて企画し、監督など主要スタッフにも働き掛けるなどして実現に至った映画であると言う。
詳しくはわからないが、何かそこにかける情熱のようなものがあったのかもしれない。

歴史は学校で習う事であるが、扱う範囲はどうしても限られてくる。
西郷隆盛や西南戦争の事もさらりと上辺だけ学ぶだろうが、深くはない。
そうした部分を映画は補ってくれる。
もちろん、脚色は当然あるだろうが、背景として語られる歴史はそのままである。
劇中見られる半次郎他薩摩藩士の構えは独特のスタイルがあった。
あれも実在のものなのだろうか。
エンドクレジットなどでそうした事実を補足してくれていたら、もっと興味が持てたかもしれない。

日本最後の内戦と言われる西南戦争の事を、この映画で学べるとしたら、受験生が勉強の合間に観てもいいかもしれない映画である・・・


評価:★★☆☆☆





     
    
    
posted by HH at 21:47 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 実話ドラマ

2012年09月16日

桜田門外ノ変

桜田門外ノ変.jpg

2010年 日本
監督: 佐藤純彌
出演: 
大沢たかお(関鉄之介)
柄本明(金子孫二郎)
北大路欣也(徳川斉昭)
長谷川京子(関ふさ)
伊武雅刀(井伊直弼)

<STORY>********************************************************************************************************
安政7年(1860年)。
尊王攘夷を唱えた水戸藩藩主・徳川斉昭は、開国派の幕府大老・井伊直弼より永蟄居を命じられていた。
事態を憂慮した水戸藩士有志は、脱藩して井伊直弼を討つ盟約を結ぶ。
そして安政7年3月3日、関鉄之介ら水戸脱藩士17名と、薩摩藩士1名が実行部隊となり、桜田門前にて井伊直弼を襲撃、首を討ち取った。
その後、薩摩藩が京都にて挙兵し、朝廷を幕府軍から守る手はずになっていたため、関らは京都へ向かうが…。
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幕末の一大事件である「桜田門外の変」を映画した作品。
事件そのものは歴史の教科書に載っていて、井伊直弼の名前とともに知っているが、事件の背景や事実関係などは詳しく知らない。
そういう知識を映画で補うというのも、また映画の効能の一つかもしれない。

時は幕末。
黒船が来航し、幕府に開国を迫る。
大陸ではアヘン戦争が勃発し、イギリスが清国を撃破して利権を広げている。
自らを上回る軍事力を前にし、現実的な開国を主張する一派と、あくまでも鎖国の伝統に沿って必要最小限度の交流に留め、通商までは否定する一派とが対立。
さらに将軍の世継問題を巡る対立までもが加わる。

井伊直弼によって永蟄居を命じられた徳川斉昭を主君に戴く水戸藩士たちは事態を憂慮し、密かにこれを葬る密約を交わす。
主人公は大沢たかお演じる関鉄之助。
故郷に妻子を残し、脱藩して江戸へ出る。
そして井伊直弼襲撃の指揮を任される。

実際の襲撃は、関鉄之助以下18名で行われたようであるが、当日は雪で、護衛の共侍は雨合羽を着て刀の柄に袋を被せていたと言う。
映画でもそこは再現されていて、袋から刀を出す間もなく、袋のまま剣戟に応じていたりする。
混乱の中、逃げてしまったりする者もいて、井伊直弼は首を打ち落とされてしまう。

襲撃を警告する声もあったようだし、実際もっと護衛側に緊張感があったら、人数的にも襲撃を押し返せたのかもしれない。
映画の中でも語られているが、軽傷だったり無傷だったりした共侍は、後に責任を追及され斬首されたと言うから、さすがサムライ社会である。

当初襲撃を機に挙兵予定だった薩摩藩は、藩主の急死により挙兵を見送る。
はしごを外された恰好の水戸藩士たちは次々と捕縛され、あるいは追いつめられて自害する。
関鉄之助も追われる身となる。
実在の事件だけに、なかなか興味深いところがある。

対立を力によって解決しようとする風潮があった時代。
井伊直弼にも考えや言い分があっただろうし、何が正解かというのはわからない。
欲を言えばもう少しそちらの視点があった方が、(映画としてはつまらなくなったかもしれないが)良かった気もする。

エンターテイメントとしてだけではなく、歴史の勉強として観ても面白いかもしれない映画である・・・


評価:★★☆☆☆




     
    
posted by HH at 23:59 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 時代劇/西部劇