2013年01月27日

センチュリオン

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原題: Centurion
2010年 イギリス
監督: ニール・マーシャル
出演: 
マイケル・ファスベンダー(クイントゥス・ディアス)
ドミニク・ウェスト(ウィリルス将軍)
オルガ・キュリレンコ(エテイン)
ノエル・クラーク(マクロス)
リアム・カニンガム(ブリック)

<STORY>********************************************************************************************************
西暦117年、ブリテン島制服をねらうローマ帝国は、ウィリルス将軍が率いる第9軍団に北方のピクト人の制圧を命じた。
第9軍団は、ピクト人女性のエテインを現地ガイドに雇い、ピクト人に攻め落とされた砦から逃げ帰った百人隊長のクィントスを一行に加え、北へと進軍していった。
しかし第9軍団は森の中で待ち伏せにあい、部隊は壊滅状態となり、ウィリルス将軍も捕らえられてしまう。
生き残ったクィントスら7名は、ウィリルス将軍を救出に向かう・・・
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センチュリオンとは、古代ローマ帝国の百人隊長。
辺境の砦で警備任務についていたクィントスは、ピクト人の攻撃を受け捕虜となる。
必死の脱出。
あわやというところで、ウィリルス将軍率いる第9軍に救われる。
第9軍は、ブリテン島征服の命を受けて、現地に向かう途中であった。

しかし、ピクト人の現地ガイドエテインの手引もあり、待ち伏せを受けた第9軍は壊滅させられ、隊長のウィリルス将軍も捕虜となってしまう。
生き残ったのは、クィントスを始めとする7人。
立場上指揮を執ることになったクィントスは、ウィリルス将軍救出に向かう・・・

たった七人での救出作戦となると、よくあるヒーローモノのように、英雄的な活躍でちぎっては投げのアクションモノになるかと思いきや、この映画はかなり現実的。
なにせピクト人たちの方が地の利もあり、人数も圧倒している。
救出作戦と言っても夜陰に紛れての奇襲作戦であり、しかも無知なるがゆえに失敗してしまう。

逆に故郷に逃げ帰るも今度は追われる立場となり、しかも追うのは狼と言われるハンター・エテイン。
裏をかいたつもりがみるみる追いつかれてしまう。
「ちぎっては投げ」というよりも、弱者の生き残り戦術が主体となるストーリー展開である。

一見、文明人のローマ兵対地方の野蛮人という対立図式に思えるも、ローマに対抗するピクト人たちから見ればそれは正義の戦い。
冷酷なエテインも、かつてローマ兵から受けた仕打ちからすれば、そうなるべくしてなったと言える。
弱肉強食の時代という事を強く感じさせる。

七人の運命もそれぞれ。
生死を分けるのは運。
センチュリオンとして、運を切り開いて行くクィントス。
物語は当然ながらフィクションであるが、ひょっとしたらこんな物語もあったのかもしれない。
遠い昔に想いを馳せてみた映画である・・・


評価:★★☆☆☆
   
   
   
posted by HH at 22:00 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史アクション

2013年01月26日

アフター・ライフ

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原題: After.Life
2009年 アメリカ
監督: アグニェシュカ・ヴォイトヴィッチ=ヴォスルー
出演: 
クリスティーナ・リッチ(アンナ)
リーアム・ニーソン(ディーコン)
ジャスティン・ロング(ポール)
チャンドラー・カンタベリー(ジャック)
ジョシュ・チャールズ(トム・ピーターソン)

<STORY>********************************************************************************************************
恋人であるポールが仕事でシカゴに引っ越すことになった。
それを久しぶりの食事で知った小学校教師のアンナは、別れ話と早合点してしまう。
嵐の中、店を飛び出したアンナは車を走らせている間に事故に遭ってしまう。
アンナが気がつくとそこは、葬儀会社を営むエリオット・ディーコンの屋敷の地下室であり、エリオットから「あなたは死んだ」と聞かされる。
どうしても自分が死んだことが信じられないアンナを、エリオットは時に優しく、時に厳しく諭す・・・********************************************************************************************************

タイトルにある「アフター・ライフ」は、「人生の後」とでも訳すべきものであろうか、文字通り「死後の世界」の意味である。
主人公のアンナ。
恋人のポールと口論となり、嵐の中、車を走らせる。
そしてそのまま事故にあって死んでしまう。

しかし、アンナはそのあと目を覚ます。
見慣れぬ部屋の中。
動かない体。
近づいてきた男ディーコンから「あなたは死んだ」と聞かされる。
そういうシチュエーションでは、大概、「そんなバカな」という反応になる。
死んだのならなぜあなたと話をしているのだ、というのが素直な反応。
そしてディーコンはなぜ死者と話せるのだ、とも。

ストーリーはディーコンと地下室のアンナとを中心に進んでいく。
そしてアンナを死なせたとして自分を責める恋人のポールが絡んでくる。
面白そうな展開に期待はしていたのだが、そのままトーンダウン。
観終わってみれば、クリスティーナ・リッチ、リーアム・ニーソンというそこそこの役者が出演しているにもかかわらず、日本未公開となった理由もよくわかる。

なんでつまらないのだろうかと考えてみれば、比較的答えは簡単。
まず「死んだ」アンナの状況がよくわからない。
魂だけの存在なのだろうが、そうだとしたらなぜ室内の物を壊せるのだろうかと疑問がわく。
なぜ死者と話ができるのか、ディーコンの素性もわからない。
またディーコンと同じ能力があると思えるアンナの教え子の存在も中途半端。
思わせぶりなシーンがいくつかあるが、結局思わせぶりだっただけ。

ちょっと上げただけであるが、それらをさり気なくわからせてくれていたら、もっと面白かっただろう。
「そういうものだ」という納得性があれば、シンプルにストーリーに入っていける。
それがないと、「なぜなんだろう」という疑問の解決が優先され、ストーリーは二の次となる。
結局わからないまま終わってしまい、何が面白かったのかよくわからない映画となってしまった。

リーアム・ニーソンは、「96時間」のようなアクション映画から、「シンドラーのリスト」のような役柄まで幅広い。
ここでも死者と話ができる葬儀屋という役柄にあっているのだと思うのだが、これはやっぱりストーリーの失敗なのだろう。

アンナ役のクリスティーナ・リッチは、目が大きいのが印象的で、ちょっとそれが過ぎて病的な感じもしてしまう。
それがゆえか、恋愛モノよりも、この映画や「ウェス・クレイブン’sカースド」のようなホラー系がよく合っていると思う。
繰り返すが、役者には不足はないと思う。
つくづく、ストーリーが残念な映画である・・・


評価:★☆☆☆☆
    
     
posted by HH at 18:42 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ホラー・オカルト・悪魔

2013年01月20日

アジョシ

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原題: 아저씨
2010年 韓国
監督: イ・ジョンボム
出演: 
ウォンビン(テシク)
キム・セロン(ソミ)
キム・ヒウォン(マンソク兄弟の兄)
キム・テフン(キム・チゴン)
キム・ソンオ(マンソク兄弟の弟)
タナヨン・ウォンタラクン(殺し屋ラム)
ソン・ヨンチャン(オ社長)

<STORY>********************************************************************************************************
町の片隅で質屋を営む青年テシク。
お客以外に訪ねてくるのは、隣の部屋に住む少女ソミだけだ。
ダンサーの母親と二人暮らしのソミには“アジョシ(おじさん)”と呼ぶテシクだけが唯一の友だちだった。
ある日、ソミが家に帰ると見知らぬ男たちが待っていた。
ソミの母親が組織から盗んだ麻薬を取り返しに来たのだ。
組織の男たちはソミをさらい、テシクを警察へのおとりにする計画を立てる。
しかし、彼らが知らない事があった…。
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タイトルの「アジョシ」とは、「おじさん」という意味。
質屋を営む青年テシク。
テシクの下には、テシクを「アジョシ」と呼ぶ隣人の少女ソミがよく遊びに来ていた。
ダンサーをしている母親は乱れた生活。
ソミは家でも学校でも孤独で、アジョシのところに遊びに来るのが唯一の楽しみだった。

ダンサーの母親は一獲千金の思いを込めて、組織の麻薬を横取りする計画に便乗する。
ところが組織の長マンソク兄弟は甘くなく、親子ともども拉致されてしまう。
奪った麻薬はテシクの質屋に預けてあり、必然的にテシクも巻き込まれる事になる。
組織の下っ端がテシクの下を訪ねる。
ナイフをちらつかせながら、チンピラがテシクに絡む・・・
次の瞬間、目にもとまらぬ速さでナイフを奪ったテシクは、巨体の男を叩きのめす・・・

このあたりで、俄然興味が湧きたてられる。
一見暗い表情の青年テシクだが、この身のこなしはタダ者ではない。
親子を取り返そうと、マンソク兄弟と交渉するテシク。
しかし、麻薬の運び屋として利用され、挙句に母親も殺されてしまう。
それは、麻薬の他に臓器売買も手掛けるマンソク兄弟によって、金になる臓器を取られて殺されるという残酷なものであった・・・

平行して組織犯罪を追う警察によって、テシクのプロフィールが明らかになる。
言ってみれば、「韓国版ジェイソン・ボーン」といったところだろうか。
組織の方にも、ベトナムから来た凄腕の殺し屋がいて、相手に不足はない。
テシクは残るソミを助けるために、単身乗り込んでいく・・・
徹底した格闘アクションで、それは観ていて爽快。
鮮やかに敵を倒すアクションは、ジェイソン・ボーンソルトハンナといった所に通じる面白さがある。

ストーリーのもう一つの見所はソミの存在だろう。
母親がダメな母親で、ソミは家でも学校でも孤独。
子供の成長に親の愛情は欠かせないが、ソミにはそれがない。
その境遇には胸にくるものがある。
マンソン兄弟に殺し屋として雇われていたラムのソミに対する行動も、ストーリーを盛り上げる。
映画では語られていなかったが、たぶん自身もおなじような境遇に育ったのかもしれない。

そんな熱いストーリーに爽快なアクションが加われば、それなりのものにはなる。
2010年の韓国興行収入1位の看板は、十分頷ける。
アクションには定評のある韓国映画の真骨頂と言える作品。
満足感の高い映画である。


評価:★★★☆☆



     
     
posted by HH at 22:16 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国映画

2013年01月19日

火車 HELPLESS

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原題: HELPLESS
2012年 韓国
監督: ピョン・ヨンジュ
原作: 宮部みゆき
出演: 
イ・ソンギュン(チャン・ムンホ)
キム・ミニ(カン・ソニョン)
チョ・ソンハ(キム・ジョングン元刑事)
ソン・ハユン (ハンナ)
チェ・ドクムン (ハ・ソンシク刑事)

<STORY>********************************************************************************************************
獣医師ムンホは、婚約者ソニョンを両親に紹介するため実家へ急いでいた。
だが、途中立ち寄ったサービスエリアで突然ソニョンが姿を消す。
警察は単なる家出と相手にせず、ムノは元刑事の従兄ジョングンに助けを求める。
その結果判明したのは、カン・ソニョンなる女性は以前から行方不明になっており、ムノの婚約者とは完全に別人である事実だった。
では、ムノが愛した女性、名前も経歴もすべてが偽りだった《ソニョン》は何者なのか?
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宮部みゆきの原作小説を韓国で映画化。
原作とは異なり、主人公は獣医のチャン・ムンホ。
婚約者とともに実家へ向かう途中のサービスエリアで、突然婚約者カン・ソニョンが姿を消してしまう。
誘拐の可能性も考え、警察にも届け出を出す。
しかし、家に戻ると家財道具もろとも跡形もなくなっている事がわかる。

思いあぐねたムンホは、元刑事で今は無職の兄ジョングンに助けを求める。
元刑事のフットワークで捜索を開始するジョングン。
やがて失踪した婚約者は、カン・ソニョンとは別人である事がわかる。
手がかりを手繰り寄せて、婚約者を追うジョングン。
やがて一人の女性に行きあたる・・・

ごく普通の会話をしていた男女。
ほんのちょっとした隙に相手がいなくなってしまう。
一体、何が起こったのか。
原作を読んだのはもう随分昔の事で、ストーリーもけっこう忘れている。
なので、ほとんどストーリーに引き込まれるようにして観てしまった。

主人公としては、愛する女性に何があったのかと思うのは当然で、仕事も手につかず探し求める事になる。
そして次々に明らかになる事実。
さすが宮部みゆきと言いたくなるストーリー展開は実に面白い。

借金の取り立てに暴力団風の者たちがやってきて、脅迫まがいの取り立てをするというのは、日本ではもちろん違法行為であるが、かの国ではどうなのであろうとふと思う。
ストーリーの影に、借金問題があるというのは原作も一緒。
そうした問題をストーリーとともに浮かび上がらせている。
ラストは原作とは異なっているが、これは映画向け、あるいは韓国的なアレンジなのであろう。

日本未公開作品であるが、堪能できる映画である・・・

評価:★★☆☆☆





     
     
posted by HH at 23:34 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国映画

2013年01月15日

狂気の行方

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原題: My Son, My Son, What Have Ye Done?
2009年 アメリカ/ドイツ
製作総指揮:デヴィッド・リンチ
監督: ヴェルナー・ヘルツォーク
出演: 
マイケル・シャノン(デビッド・マッカラム)
ウィレム・デフォー(ハンク・ヘイヴンハースト刑事)
クロエ・セヴィニー(イングリッド)
グレイス・ザブリスキー(マッカラム夫人)
マイケル・ペーニャ(ヴァーガス刑事)

<STORY>********************************************************************************************************
サンディエゴの閑静な住宅街で殺人事件が起きる。
実母を殺したブラッド・マッカラムは何者かを人質にとって自宅に立てこもる。
ヘイヴンハースト刑事らはブラッドの説得にあたる一方で、現場に駆けつけたブラッドの婚約者イングリッドやブラッドをよく知る舞台演出家リー・マイヤーズ、そして事件現場となった向かいの家の住人ロバーツ母娘から、事件に至る経緯を聞く・・・
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冒頭、二人の刑事が殺人事件の現場へと向かう。
殺されたのは、向かいの家に住むマッカラム夫人。
そして夫人の家には、犯人と思われるブラッド・マッカラムが人質を取って立てこもっている。
現場を包囲する警察陣。

そこへブラッドの婚約者イングリッドと、ブラッドが役者として親交のある舞台演出家リーがやってくる。
二人にブラッドの様子を尋ねる刑事。
二人がそれぞれブラッドの様子を語っていく・・・

日頃からおかしな言動を繰り返すブラッド。
しかしその遠因は、どうやら異常とも言えそうなくらい息子を溺愛する母親の存在がありそうである。
立派に成人し、婚約者までいる息子に対する態度はまるで10歳の息子に対するよう。
正しい息子の愛し方を知らなかったようである。
そして、そんな母親から成長しきれなかった息子。

映画は淡々とそんなブラッドの様子を描きだしていく。
これといって盛り上がりはない。
意外だったのは“二人の人質”。
周りにこんな人物がいたら、正直言って怖いなと思う。
これは事実に基づいた映画だというからよけいそう思う。

原題は、殺される母親が息子に対して言った最後の言葉。
最後まで自分の愛情の姿が見えなかった母親。
ちょっと哀れである・・・


評価:★★☆☆☆

    




    
posted by HH at 23:11 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | スリラー