2013年04月29日

ファイナル・カット

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原題: Final cut
2004年 アメリカ
監督: オマー・ナイーム
出演: 
ロビン・ウィリアムズ:アラン・ハックマン
ミラ・ソルヴィノ:ディライラ
ジェームズ・カヴィーゼル:フレッチャー
ミミ・カジク:テルマ
ステファニー・ロマノフ:ジェニファー

<STORY>********************************************************************************************************
人の一生の記憶が脳に埋め込まれた小さなチップに記録されている近未来の世界を舞台に描くSFスリラー。
監督・脚本は、これが長編映画デビューとなるレバノン出身のオマール・ナイーム。
弱冠26歳の無名の青年の脚本に惚れ込み、演出も任せたプロデューサーは、インディペンデント映画の先駆けとなった「セックスと嘘とビデオテープ」や「ラッグストア・カウボーイ」を世に送り出したニック・ウェクスラー。
『グッド・ウィル・八ンティング/旅立ち』でアカデミー賞助演男優寅を獲得したロビン・ウィリアムズが、近年ハマり役の“どこか不気味な中年男”を絶妙に演じる。
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少年の日。
アランは、両親と一緒にその町を訪れメガネをかけた少年ルイスと廃工場で遊ぶ。
底の抜けた床にむき出しになった細い梁の上を歩くアラン。
臆病なルイスも渡ろうとするが、足を踏み外して深い床の底へと転落してしまう。
大量の血を流して横たわるルイス。
恐怖に襲われたアランは一目散に工場から走り出して逃げてしまう。

それから数十年後。
アランはゾーイ・チップの編集者として働いている。
ゾーイ・チップとは、人の脳に移植して全生涯を記憶することができるチップ。
死後、脳から取り出されたチップは編集者によって編集され、<追悼上映会−リメモリー>で公開されるのが流行になっている。
この映画はそんな近未来が舞台の話。

一見して面白そうな感じがするのだが、映画を観ていくとどうなんだという疑問の気持ちの方が強くなっていく。
チップによって再生されるのは、死んだ一人の人間の見てきた人生。
<追悼上映会>でも故人本人はあまり出てこない。
なぜならそれは本人が見た世界だから。
唯一本人が画面に登場するのは鏡を見ているシーンだ。
故人本人が出てこない<追悼上映会>なんて見て面白いだろうか。

それにチップはプライバシーの固まり。
“編集者”はそれを見て、遺族が見るのにふさわしいものを取捨選択していく。
奥さんが見るのに、浮気相手との情事の記憶は見せられない。
それに奥さんと愛し合うシーンも然りだ。
妻を殴るシーンなども“編集者”は当然カットする。
あとですべてのプライバシーを他人に晒されるようなチップの需要があるのだろうか。

ストーリーは、ゾーイ・チップを扱う大企業アイテック社の弁護士チャールス・バニスターのチップを巡る争奪劇を追う。
彼の隠された“負の記憶”を晒そうと元“編集者”のフレッチャーが、アランに付きまとう。
そしてアランは、バニスターの記憶から少年時代の忌まわしい記憶の相手ルイスを見つける。

バニスターのチップを巡る争いと自らの過去に苦しむアランとを描き、ストーリーは進んでいく。
出演はロビン・ウィリアムスにジム・ガヴィーゼルと期待度の高い役者なのだが、どうにもこうにも面白くない。
やはりこれは感情移入しにくいストーリーによるものだと思う。

自分の記憶を振り返って見て、懐かしいと思うのはやはり自分自身。
奇しくも映画の中で、アランが自分の記憶を見る事の効果を見せてくれている。
こういう設定だったら、それにあったストーリー展開でないと、やっぱりダメだろう。
俳優だけでは面白い映画にならないという見本のような映画である・・・


評価:★☆☆☆☆



posted by HH at 21:51 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | SF/近未来ドラマ

2013年04月27日

フェイトレス〜運命ではなく〜

フェイトレス〜運命ではなく〜.jpg

原題: SORSTALANSÁG
2005年 ハンガリー/ドイツ/イギリス/イスラエル
監督: ラヨシュ・コルタイ
出演: 
マルセル・ナギ:ジュルカ
ヤノーシュ・バーン:ジュルカの父
ユーディト・シェル:ジュルカの継母
サーリ・ヘラー:アナマリア
ダニエル・クレイグ:米兵

<Amazon解説>********************************************************************************************************
監督は、ジュゼッペ・トルナトーレ監督(『ニュー・シネマ・パラダイス』『海の上のピアニスト』)やイシュトバン・サボー監督(『メフィスト』『英国王 給仕人に乾杯!』)などのキャメラマンとして世界的に高い評価を受けているラホス・コルタイ。
「6代目ジェームズ・ボンド」ダニエル・クレイグが米軍兵役で出演。
原作は、2002年にノーベル文学賞を受賞したユダヤ人作家ケルテース・イムレが、自らの収容所経験をもとに描いた自伝的処女小説。
20世紀最大の負の遺産ともいわれる強制収容所の物語を、その中で生きた少年のまなざしを通して描く。
本作品では原作者自らが脚本を執筆しており、話題を呼んだ。
音楽は世界的名匠、エンニオ・モリコーネ。情緒に満ちたスコアを提供し本作を盛り上げている。
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第2次世界大戦中のハンガリーの首都ブダペスト。
主人公は、父親と継母と共に暮らす14歳の少年ジュルカ。
ナチス・ドイツによるユダヤ人迫害は同国にも及び、やがて父親は、「労働キャンプ」へと送られる事になる。

ナチスドイツのユダヤ人迫害については、誰もが知っている歴史であるが、個々の地域の様子については知るはずもない。
どうやらハンガリーはドイツ本国やポーランドあたりからすると遅かったように思われる。
映画では既に連合国による爆撃が背景に描かれているから、たぶん開戦後だいぶ時間が経っているのではないだろうか。

冒頭ではジュルカたちユダヤ人が、胸にユダヤ人である事を示す星を貼らされている様子が描かれる。
ユダヤの年配者がジュルカに迫害の運命を語る。
「嫌われているのはユダヤ人で、僕たちではない」と友人に語るジュルカのセリフが印象的である。

残ったジュルカは働きに出ることになるが、ある日仕事に向かう途中、バスを強制的に止められ拘束される。
そして否応なくいずこへともわからず連行される。
母親の見舞いに行く予定だった男がしきりに嘆く。
所持品を奪われ、貨車に乗せられ、飢えと渇きに苦しみながら連れて行かれた先は強制収容所。
そこで地獄のような日々を送る事になる。

強制収容所と言えばガス室というイメージがあるが、収容所での日常的な迫害もなかなか酷い。
戸外に一晩立たされるというのも、単純だが厳しい拷問だ。
意識もうろうとしフラフラしながら立ち続ける人々。
少年や年寄りにはきついだろう。

わずかな食べ物を巡っていざこざが起きる。
板張りの簡易ベッドに薄い毛布一枚で眠る。
狭いから横になって寝ろと身を寄せ合って眠る。
横に寝ていた少年が死んでしまうが、支給されるその少年の食べ物をもらうために死んだ事を伏せておくジュルカ。
ひざの傷が化膿しうじがわく。

収容所のシーンでは画面はモノクロになる。
そうした画面のコントラストも映画の雰囲気を盛り上げる。
さらに1場面ごとに静かに切り替わる場面も然り、である。
生と死の境目はほんのわずかなところにあり、そのギリギリの淵を静かに眺めていた主人公の表情が印象的であった。

ホロコーストの物語もいろいろとあるが、それは一人一人の視線が違うからにほかならない。
最後になぜかダニエル・クレイグが登場するが、何か縁でもあったのだろうか。
タイトルに意味深さを感じさせる映画である・・・


評価:★★☆☆☆

    
   
posted by HH at 22:24 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 戦争/戦場ドラマ

2013年04月23日

明日に向かって撃て!

明日に向かって撃て.jpg

原題: Butch Cassidy and the Sundance Kid
1969年 アメリカ
監督: ジョージ・ロイ・ヒル
出演: 
ポール・ニューマン:Butch_Cassidy
ロバート・レッドフォード:The_Sundance_Kid
キャサリン・ロス:Etta_Place
ストロザー・マーティン:Percy_Garris
ジェフ・コーリー:Sheriff

<Movie Walker 解説>
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実在した2人組の強盗を描いた新感覚のモダン・ウェスタン。
監督は「モダンミリー」のジョージ・ロイ・ヒル、脚本はウィリアム・ゴールドマン。
撮影は「冷血」のコンラッド・ホール、音楽は『007/カジノ・ロワイヤル』のバート・バカラック、衣装をイーディス・ヘッドが担当。
製作は「レーサー」のジョン・フォアマン、総指揮にはポール・モナシュが当たっている。
出演は「レーサー」のポール・ニューマン、「白銀のレーサー」のロバート・レッドフォード、『卒業』のキャサリン・ロス、「ワイルドバンチ」のストロザー・マーティン、『勇気ある追跡』のジェフ・コーリー、テッド・キャシディなど。
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この映画を初めて観たのは、もうだいぶ昔の子供の頃の事だ。
映画好きの親父と一緒に観ていたと思うが、子供心にロバート・レッドフォードがカッコよくて、そして衝撃のラストは強烈な印象として残ったものである。
そんな映画を久しぶりに観る。

ポール・ニューマンもロバート・レッドフオードも若い。
そしてキャサリン・ロスもスクリーンの中では変わらぬ美しさ。
ポール・ニューマンとキャサリン・ロスが一台の自転車に相乗りするシーン。
BGMに「雨にぬれても」が流れる。
前半のハイライトは、今も色褪せていない。

主人公のブッチ・キャシディとサンダンス・キッドは実在の人物だという。
大まかなストーリーは、歴史通りのようである。
アメリカ国内で強盗団を組織していた二人だが、鉄道を続けて襲った事から最強の刺客を送られる事になる。
追い詰められて滝壺へ飛びこむ事になるが、カッコ良いサンダンス・キッドのユーモラスな一面が楽しめる。
このシーンのやり取りもよく覚えている。

そして二人は、サンダンスの恋人エッタと3人でボリビアへ逃亡。
堅気になるつもりだったが、やっぱり強盗家業。
平凡な幸せを望むエッタは、やがて一人アメリカへ帰る。
野宿しながらの、3人のやり取りが何とももの悲しい。

やがて寂れた村で、乗っていた馬から足がつく。
警官隊に囲まれるも、二人にはどこか余裕がある。
所詮は田舎の警官という安心感があったのかもしれない。
そこに今度は軍隊が到着する。
そんな状況を知らないブッチは、サンダンスに向かって次はオーストラリアへ行こうと話す。
傷つきながらも、思いは遥か彼方の土地におよぶ。

映画史上に残るラストシーンは、今観てもインパクトが大きい。
こういう映画を観たから、映画好きになったのだろう。
忘れられない名画である。


評価:★★★★☆


    

posted by HH at 22:28 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 心に残るオススメ映画

2013年04月21日

インモータルズ -神々の戦い

インモータルズ.jpg

原題: Immortals
2011年 アメリカ
監督: ターセム・シン
出演: 
ヘンリー・カヴィル:テセウス
フリーダ・ピント:パイドラ
ミッキー・ローク:ハイペリオン
ルーク・エヴァンズ:ゼウス
ケラン・ラッツ:ポセイドン

<Movie Walker 解説>
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『ザ・セル』の映像派ターセム・シンが、『300(スリーハンドレッド)』の製作スタッフとタッグを組み、ギリシア神話の神々の戦いを描き出したスペクタクル・アクション。
オリンポスの神々と、世界征服を企むハイペリオンに率いられたタイタン族という光と闇の戦いが、ゴージャスで迫力ある驚愕のビジュアルで展開する。
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人間が誕生する遥か昔、“光”と“闇”の神々の戦争が起きた。
戦いは光の神が勝利し、闇の神は奈落の奥底に封印された。
そして時は流れ、古代ギリシアの時代。
闇の力を手に入れ、世界を支配しようと野望を抱くハイペリオン。
神が造った武器の一つであり、闇の神を解放するための重要なカギ“エピロスの弓”を捜し求め、軍隊を結集してギリシアの地を侵攻していこうとする。

古代ギリシャの神々が登場するという意味では、「タイタンの戦い」を彷彿させられる。
ゼウスやアテネ、ポセイドンなどといった美形の神々が登場する。
一方古代ギリシャ人同士の戦いという意味では、「300スリーハンドレッド」の世界であろうか。
まあ製作スタッフが同じなので、似通ったものになるのも当然なのかもしれない。

善と悪の戦いという意味では、非常にシンプルなストーリー。
ハイペリオンによって母親を殺されたテセウス。
オラクルという巫女の力を借りて、復讐を果たそうとする。
一方ハイペリオンは自らの野望のため、地下に封印された闇の神々の力を解き放とうとする。

人間同士の争いなら放っておくが、闇の神々となれば光の神々も放置はできない。
という事で、神々も戦いに参戦する事になる。
人間と神々の一大バトルと思いきや、実は勝負はテセウスとハイペリオンの一騎打ちでカタがついてしまったりする。

まぁストーリーはともかくとして、ストップモーションを巧みに使用したバトルシーンは、なかなかの迫力。
かと言えば、「レスラー」の頑丈な肉体そのままで登場するミッキー・ロークの人間同士の肉弾戦もなかなかのもの。
アクションは素直に楽しめる。

題材としては、古代ギリシャというのは魅力的なのだろうか。
そう言えば最近では、「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」なんて映画もあった。
まぁ楽しめるものであれば反対はしないが、是々非々で楽しみたいと思うところである・・・


評価:★★☆☆☆


      


posted by HH at 22:20 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史アクション

2013年04月20日

ウィンターズ・ボーン

ウィンターズ・ボーン.jpg


原題: Winter's Bone
2010年 アメリカ
監督: デブラ・グラニック
出演: 
ジェニファー・ローレンス:リー・ドリー
ジョン・ホークス:ティアドロップ・ドリー
ケヴィン・ブレズナハン:リトル・アーサー
デイル・ディッキー:メラブ
ギャレット・ディラハント:シェリフ・バスキン

<Movie Walker他 解説>
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ダニエル・ウッドレルの同名小説を映画化。
2010年サンダンス映画祭でグランプリを受賞し、第83回アカデミー賞で作品賞、主演女優賞ほか4部門にノミネートされたヒューマンドラマ。
『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』でミスティーク役に抜擢された新進女優ジェニファー・ローレンスが、たった1人で家族を守る17歳の少女を等身大で好演し、観る者の涙を誘う。
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ミズーリ州南部のオザーク山脈に住む17歳の少女リーは、12歳の弟と6歳の妹をかいがいしく世話し、その日暮らしの生活をどうにか切り盛りしている。
ドラッグ・ディーラーの父ジェサップは長らく不在で、辛い現実に耐えかねて精神のバランスを崩した母親は言葉を発することすらほとんどない。

そんなある日、リーは地元の保安官から、警察に逮捕され懲役刑を宣告されたジェサップが、自宅と土地を保釈金の担保にして失踪、もしこのまま翌週の裁判に彼が出廷しない場合、リーたちの家は没収されると聞かされる。
そんな事言われても、お金はない。
住む家を失ったら、幼い兄弟を抱え生きていく術がなくなる。
やむなく、リーは父親を捜しに行く事になる。

貧しい地域である事は、雰囲気として伝わってくる。
これと言った産業があるわけではなく、暇を持て余した男たちは酒を飲むかその金欲しさに良からぬ事をするか。
リーが訪ね歩く一軒一軒の家は、どこも荒んだ雰囲気が漂う。
頼った親友は、同じ年なのに結婚して子供がいるが、旦那は良きマイホームパパとは程遠い。

やがてどうやら父親は殺されたらしいとわかってくる。
しかし、失踪は失踪。
死んだとわかれば保釈も無効となり、保釈金の担保も不要となる。
家も失わなくて済む事になる。
リーは現実的な選択として、「死体捜し」を選ぶ。
「誰が殺したかは興味ない」というリーのセリフ。
17歳の背中には重すぎる。

お金に困ったリーが、陸軍事務局に行くシーン。
4万ドルがもらえるという理由で入隊しようとするリーだが、18歳未満は親の承諾が必要と説明され困惑する。
ストーリーとは関係ないが、こういう理由で入隊する若者はけっこう多いのではないかと思う。

お金で兵を集める事が良いか悪いかは別として、男でも女でも何の取柄がなくとも軍隊に入ればお金がもらえる。
お金を求める人からすれば、それは立派な雇用機会である。
ただ4万ドルが支給されるのは、入隊して数週間後の不特定時期だとの説明もなされる。
「お金をもらってドロン」を避けるためであろうが、実にリアルだ。

やがてリーの元に父親に関する情報がもたらされる。
17歳で孤軍奮闘する少女に、さすがに同情したのであろうが、そこから先の展開はまた過酷なもの。
どうやら父親は村の掟に背いたために殺されたらしいのだが、リーはその先もその村で幼い兄弟と母親を養っていかなければならない。
だから事件の真相には目をつぶらないといけない。

17歳でこんな体験をしたら、この女の子はどんな大人になるのだろう。
ふとそんな事が脳裏をよぎった。
きちんとした産業(働く場所)があって、大人は家族のために働くことができる社会というのが、いかに大切なのかというのがわかる気がする。
それは子供がいつまでも子供でいられる社会でもある。

アカデミー賞ではなくても、映画祭でグランプリを取ったというのも頷ける。
骨太のヒューマンドラマである。


評価:★★★☆☆




    
posted by HH at 22:58 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ