
原題: Final cut
2004年 アメリカ
監督: オマー・ナイーム
出演:
ロビン・ウィリアムズ:アラン・ハックマン
ミラ・ソルヴィノ:ディライラ
ジェームズ・カヴィーゼル:フレッチャー
ミミ・カジク:テルマ
ステファニー・ロマノフ:ジェニファー
<STORY>********************************************************************************************************
人の一生の記憶が脳に埋め込まれた小さなチップに記録されている近未来の世界を舞台に描くSFスリラー。監督・脚本は、これが長編映画デビューとなるレバノン出身のオマール・ナイーム。弱冠26歳の無名の青年の脚本に惚れ込み、演出も任せたプロデューサーは、インディペンデント映画の先駆けとなった「セックスと嘘とビデオテープ」や「ラッグストア・カウボーイ」を世に送り出したニック・ウェクスラー。『グッド・ウィル・八ンティング/旅立ち』でアカデミー賞助演男優寅を獲得したロビン・ウィリアムズが、近年ハマり役の“どこか不気味な中年男”を絶妙に演じる。
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少年の日。
アランは、両親と一緒にその町を訪れメガネをかけた少年ルイスと廃工場で遊ぶ。
底の抜けた床にむき出しになった細い梁の上を歩くアラン。
臆病なルイスも渡ろうとするが、足を踏み外して深い床の底へと転落してしまう。
大量の血を流して横たわるルイス。
恐怖に襲われたアランは一目散に工場から走り出して逃げてしまう。
それから数十年後。
アランはゾーイ・チップの編集者として働いている。
ゾーイ・チップとは、人の脳に移植して全生涯を記憶することができるチップ。
死後、脳から取り出されたチップは編集者によって編集され、<追悼上映会−リメモリー>で公開されるのが流行になっている。
この映画はそんな近未来が舞台の話。
一見して面白そうな感じがするのだが、映画を観ていくとどうなんだという疑問の気持ちの方が強くなっていく。
チップによって再生されるのは、死んだ一人の人間の見てきた人生。
<追悼上映会>でも故人本人はあまり出てこない。
なぜならそれは本人が見た世界だから。
唯一本人が画面に登場するのは鏡を見ているシーンだ。
故人本人が出てこない<追悼上映会>なんて見て面白いだろうか。
それにチップはプライバシーの固まり。
“編集者”はそれを見て、遺族が見るのにふさわしいものを取捨選択していく。
奥さんが見るのに、浮気相手との情事の記憶は見せられない。
それに奥さんと愛し合うシーンも然りだ。
妻を殴るシーンなども“編集者”は当然カットする。
あとですべてのプライバシーを他人に晒されるようなチップの需要があるのだろうか。
ストーリーは、ゾーイ・チップを扱う大企業アイテック社の弁護士チャールス・バニスターのチップを巡る争奪劇を追う。彼の隠された“負の記憶”を晒そうと元“編集者”のフレッチャーが、アランに付きまとう。そしてアランは、バニスターの記憶から少年時代の忌まわしい記憶の相手ルイスを見つける。
バニスターのチップを巡る争いと自らの過去に苦しむアランとを描き、ストーリーは進んでいく。出演はロビン・ウィリアムスにジム・ガヴィーゼルと期待度の高い役者なのだが、どうにもこうにも面白くない。やはりこれは感情移入しにくいストーリーによるものだと思う。
自分の記憶を振り返って見て、懐かしいと思うのはやはり自分自身。
奇しくも映画の中で、アランが自分の記憶を見る事の効果を見せてくれている。
こういう設定だったら、それにあったストーリー展開でないと、やっぱりダメだろう。
俳優だけでは面白い映画にならないという見本のような映画である・・・
評価:★☆☆☆☆