
原題: 辛亥革命
2011年 中国・香港
総監督:ジャッキー・チェン
監督: チャン・リー
出演:
ジャッキー・チェン:黄興
ウィンストン・チャオ:孫文
リー・ビンビン:徐宗漢
フー・ゴー:林覚民
ジェイシー・チェン:張振武
スン・チュン:袁世凱
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ジャッキー・チェンの映画出演100本目で、中華民国建国のきっかけとなった1911年の辛亥革命から100年を記念して製作された歴史大作。衰退する清王朝を憂い、新しい国を作るため立ち上がった孫文の参謀を務める黄興は、革命軍を率い総督府に攻めこむ。しかし、事前に情報を入手していた朝廷側に厳戒態勢を敷かれ、反乱は失敗に終わる。多くの命を失った黄興らは戦意を喪失していくが……。「レッドクリフ」の撮影監督を務めたチャン・リーがメガホンをとり、ジャッキーが総監督も務める。
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100年前に中国で起こった辛亥革命を描いた映画。
アクション・スターとして有名なジャッキー・チェンが、珍しくお得意のアクションを封印して出演という点でも興味深い映画である。
この映画が公開された2011年のちょうど100年前の1911年。
中国では長年続いた清王朝が、帝国主義諸国の進出になす術もなく領土を奪われ、衰退の一途をたどっていた。
孫文率いる中国同盟会はその頃結成されていた多くの革命組織の一つであったが、3月に孫文は指名手配され、国外逃亡を余儀なくされてしまう。孫文に革命の指揮を託された黄興は、メンバーと共に総督府に攻め込むが、計画が漏れていたために失敗に終わり多くの同志を失う。
黄興は自らを責めて苦しむが、そんな彼を支えたのは女性革命家・徐宗漢だった。
“黄花崗七十二烈士”と呼ばれたこの悲劇により、中国全土に反清運動が広がり、黄興は再び立ち上がる決意をする。
そして、1911年10月10日、辛亥革命が勃発する。
物語の中心となるのは、孫文と黄興。
教科書で習う辛亥革命は、イコール孫文であるから孫文が登場するのは当然として、黄興という人物が重要な役割を果たしていた事は、まったく知らなかった。
革命勃発時、孫文は中国に戻るのではなく、ヨーロッパへ向かう。
清朝の弱点が資金力にあると見抜いて、ヨーロッパの銀行から資金調達する事を阻むためであった。そしてその間、革命側を指揮したのが黄興なのである。
黄興を演じるのはジャッキー・チェン。
日頃のアクションは封印して、実にシリアスにこの人物を演じている。
さらに彼を支える女性革命家・徐宗漢との愛は、さすがに物語の展開上派手なラブシーンは欠片も出てこないが、そっと彩りを添える感がある。
ある意味、孫文よりも映画上では中心人物である。
お馴染みの袁世凱や王兆名などの有名人も登場し、歴史の流れがよくわかる。
清朝政府内の人たちの旧態依然とした立居振舞いなどは、時代の波に乗れない衰退王朝の雰囲気がよく出ている。下手に教科書を読むよりも、この映画を2時間観た方が辛亥革命を理解しやすいように思える。
映画には単なるエンターテイメント以上のものがあると感じる時があるが、この映画はまさにそんなモノをもった映画である。普段は主演映画の中心として輝いているジャッキー・チェンが、見事に歴史の中に「溶け込ん」でいる。
観るべき価値ある映画だと思う・・・
評価:★★☆☆☆