2013年07月31日

CUT

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2011年 日本
監督: アミール・ナデリ
出演: 
西島秀俊/秀二
常盤貴子/陽子
菅田俊/正木
笹野高史/ヒロシ
でんでん

<映画.com>
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イランの名匠アミール・ナデリ監督が西島秀俊を主演に迎え、殴られ屋をして金を稼ぐ売れない映画監督の映画への愛情を描き出す。
いつも兄からお金を借りて映画を撮っていた秀二だったが、どの作品も映画館にかけることができない。
そんなある日、秀二は兄が借金のトラブルで死んだという報せを受け、兄が自分のために借金をしていたことを知る。
罪悪感にさいなまれる秀二は、兄の痛みを分かち合い、借金を返済するため、兄が死んだヤクザの事務所で殴られ屋を始めるが……。
青山真治が共同脚本で参加。共演は常盤貴子、笹野高史ら。
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映画監督の秀二(西島秀俊)は、いつも兄から金を借りて映画を撮っていたが、どの作品も商業映画として映画館でかけることさえできずにいた。
映画に賭ける情熱が迸る主人公の秀二。
十分な資金もなく、やむなく自分が理想とする過去の名作映画の上映会を細々と続けている。

そんなある日、秀二は兄が借金トラブルで死んだという知らせを受ける。
兄はヤクザの世界で働いていて、そこから秀二のために借金をしていたのだった。
秀二は何も知らずにいた自分を責め、兄のボスである正木(菅田俊)から、残った借金額を聞かされる。

1,300万円に及ぶ借金。
しかし自分の映画製作資金すら満足に手当てできない秀二に返すあてなどあるはずもない。
そこに現れたヤクザの親分(でんでん)。
面白半分に秀二を殴り、その対価を現金で渡す。

秀二は、それをヒントに殴られ屋をすることで返済することを決める。
場所は兄が殺された事務所のトイレの中。
殴られる痛みと苦痛とに耐えるには、その場所しかないと決めての事。
こうして、10日程しかない借金返済期限に向けて、秀二のチャレンジが始る・・・

ちょっと変わった映画である。
過去の名作映画に対する敬愛が溢れているという点では、「ヒューゴの不思議な発明」に相通じるものがあるかもしれない。
しかし、秀二は過去の名作を褒め称え、現代の映画は商業主義に堕落した映画と批判するが、その基準ははっきりしない。
現代の商業主義の大作でも、過去の名作に負けず劣らず優れている。
こんなところが、今一歩この映画に共感できないところとなっている。

そして秀二が始める殴られ屋。
そもそも兄がどうして殺されたのか、(しかも自分の組の事務所のトイレで、だ)よくわからないし、場所が場所なだけに、身内の犯行のような感じもする。
そうした部分もモヤモヤ感が拭えない。

さらに1,300万円の借金完済には、1発1万円としても1,300発。
10日あまりの間にこれだけ殴られたら普通死ぬだろう。
さらに殴るヤクザもそんなに毎日金を払って殴りたいのだろうか、という疑問も拭いきれない。
結局のところ、どこか不自然なのである。
秀二が批判する商業主義に毒された映画とは言わないが、名作にはほど遠い独りよがりさに溢れた映画だと言える。

結末的には面白いオチだったかもしれないが、プロセスがねぇ。
出演者は、常盤貴子のいつも伏し目がちな陽子といい、ヒロシといい、主演の西島秀俊も雰囲気としては良かったと思うのだが、こういうのは脚本のせいなのだろうか。
今一の映画となってしまっているのである。


評価:★★☆☆☆





    
   
posted by HH at 22:45 | 東京 🌁 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ

2013年07月27日

ナチュラル・シティ

ナチュラル・シティ.JPG

原題: Natural City
2003年 韓国
監督: ミン・ビョンチョン
出演: 
ユ・ジテ/R
ソ・リン/リア
イ・ジェウン/シオン
ユン・チャン/ノマ
チョン・ウンピョ/ジロ博士

<映画.com>
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西暦2080年の未来世界で、魂が宿るようになったアンドロイドと人間の男が交わすラブストーリー。
監督は、原子力潜水艦を舞台にした「ユリョン」のミン・ビョンチョン。
主演は「オールド・ボーイ」で冷酷な復讐鬼を演じたユ・ジテ。
「シュリ」「JSA」などの特殊効果チョン・ドアンが、本作で大鐘賞映像技術賞に輝いた。
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韓国発のSF映画。
人間とアンドロイドが共存する2080年。
遺伝子工学は発達の頂点を極めていたが、脱走したアンドロイドによる数々の犯罪が街を荒廃させ、有害なアンドロイドの除去を請け負う「メッカ・ライン・ポリス・センター」(MLPC)の任務は、日々重要度を増していた。

MLPCの特別捜査官R(ユ・ジテ)は様々なアンドロイドに接するうち、クラブ・ライハで踊る美しいショーガール、リア(ソ・リン)に出会い心を奪われる。
ほどなく2人は愛し合うようになるが、リアはアンドロイドで、その廃棄期限は刻々と迫っていた・・・

人間のように行動するアンドロイド。
そしてアンドロイドを人間のように愛する人間。
人間によって製造されたアンドロイドだが、廃棄処分という性能限界がある。
愛してしまったアンドロイドの死の期限が迫る中、別のアンドロイドは生き残るために人間たちに反旗を翻す。

退廃した近未来社会。
特にスラム街の描写を見ていると、ストーリーと相俟って既視感が漂う。
これはまさに、「ブレード・ランナー」の世界。
その韓国版と言えるだろう。

ただし、反乱を起こすのは戦闘用アンドロイド。
人間を上回る戦闘能力を有するため、武装した捜査官たちもしばし太刀打ちできない。
戦闘用アンドロイドと捜査官たちの激しいバトルが、「ブレード・ランナー」にはない、韓国版らしい特徴である。

それにしても、全編にわたる近未来都市の様相はなかなかのモノ。
「ブレード・ランナー」のコピーとは言え、見下す事のできない味付けは十分なされている。
「ブレード・ランナー」の世界で太平洋を渡るとこうなっていると考えてもいいのかもしれない。

ストーリー的には今一歩という感じだが、客観的に観て日本でこういう映画が作れるだろうかと考えてみると怪しい感じがする。
いつまでもドラマの延長線上のような映画を作って喜んでいていいのだろうかと思わざるを得ない。
例えコピーでもここまで作れるのなら、発展形も当然あり得るのである。
日本の映画界を憂う一作である・・・


評価:★★☆☆☆



    
    
posted by HH at 13:08 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国映画

2013年07月23日

シックス・センス

シックス・センス.jpg
    
原題: The Sixth Sense
1999年 アメリカ
監督: M・ナイト・シャマラン
出演: 
ブルース・ウィリス/マルコム・クロウ
ハーレイ・ジョエル・オスメント/コール・シアー
オリヴィア・ウィリアムズ/アンナ・クロウ
トニ・コレット/リン・シアー
ドニー・ウォルバーグ/ヴィンセント・グレイ
ミーシャ・バートン/キラ・コリンズ
M・ナイト・シャマラン/コールを診察した医師

<Movie Walker 解説>
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死者が見える少年と心に傷を負った精神科医が交流を通じて癒されていく姿を綴った異色のサスペンス・ホラー。
監督・脚本はインド出身の新鋭M・ナイト・シャマラン。
撮影は「すべてをあなたに」のタク・フジモト。
音楽は「ダイヤルM」のジェームズ・ニュートン・ハワード。
視聴効果は「アルマゲドン」のドリーム・クエスト・イメージズ。
出演は「アルマゲドン」のブルース・ウィリス、「僕のボーガス」のハーレイ・ジョエル・オスメント、「ベルベット・ゴールドマイン」のトニ・コレット、「ポストマン」のオリヴィア・ウィリアムスほか。
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ブルース・ウィリスと言えば、「ダイハード」で一躍、アクションスターとしての地位を築いた役者さんである。
しかしアクションばかりではない。
そんな「非アクション」系の代表作とも言えるのが、本作品である。
しばらく時間を置いて、再度観てみると、新たな発見があったりする。

小児精神科医の第一人者マルコム(ブルース・ウィリス)はある晩、妻アンナ(オリヴィア・ウィリアムス)と自宅にいたところを押し入ってきた男に撃たれる。
男はマルコムが10年前に治療した患者のヴィンセントだった。
ヴィンセントはマルコムを撃つとその場で自殺し、この事件はマルコムの心に拭いがたい傷を残す……。

1年後のフィラデルフィア。
妻アンナと言葉を交わすこともできず悶々とする日々を送るマルコムは、心を閉ざした8歳の少年コール(ハーレイ・ジョエル・オスメント)に出会う。
マルコムが初めてコールを訪ねた日、コールは一目散に駆けていってしまう。
最後のオチを知っていると、このシーンに隠された意味に気がつく。

コールには他人に言えない秘密がある。
それは死者が見えること。
普通の人は、大人も子供もそんな話を信じない。
それゆえに、彼は友達からも異常者扱いされて苦しんでいた。

妻との間に生じた溝に傷つきながら、コールの治療にあたるマルコム。
やがて二人は心を通わせるようになり、コールは死者が見えるという秘密をマルコムに打ち明ける。
ここで死者たちの特徴が語られる。

「自分達がしばし死んだと思っていない」
「死者はお互いに見えない」
「死者は自分が見たいものは見える」

死者が見えるという前提だと、いろいろと齟齬が生じてくるものであるが、この特徴によってそれが打ち消される。
なかなかのストーリー展開である。
そして、マルコムはそんなコールの言動から自分自身の過去の失敗に気付き、そしてコールに対するアドバイスとなる。

コールの告白からオカルトホラー的に進んだストーリーだが、それが胸を打つストーリーへと変わっていく。
愛する我が子を心の底では信じつつも、案じざるを得なかった母親だが、コールの話から言っている事が本当だと確信する。
ラストの車の中での母子の会話は、何度観ても涙モノである。
死者ももともとは生者であったわけである。
恐れる対象ではないのである。

衝撃的なラストは、さすがに二度目だとどうと言う事はない。
気がつけばオカルトどころか、胸を打つストーリー。
何度観ても名作だと思うし、間違いなくブルース・ウィリスの「非アクション系」代表作だと思うのである・・・


評価:★★★★☆





posted by HH at 22:46 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 心に残るオススメ映画

2013年07月22日

ヒミズ

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2011年 日本
監督: 園子温
出演: 
染谷将太/住田祐一
二階堂ふみ/茶沢景子
渡辺哲/夜野正造
吹越満/田村圭太
渡辺真紀子/住田の母
光石研/住田の父
でんでん/金子
窪塚洋介/テル彦

<映画.com>
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ギャグ漫画「行け!稲中卓球部」で人気を博した古谷実が、ギャグを封印して若者の心の暗部を浮き彫りにしたコミック「ヒミズ」を、「冷たい熱帯魚」「恋の罪」の鬼才・園子温監督が実写映画化。
ごく普通に生きることを願っていた祐一と、愛する人と守り守られ生きていくことを夢見る景子。
ともに15歳の2人の日常が、ある事件をきっかけに絶望と狂気に満ちたものへと変わっていく様子を描く。
主演は「パンドラの匣」の染谷将太と、「劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ」の二階堂ふみ。
2011年・第64回ベネチア国際映画祭では、染谷と二階堂がそろってマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞した。
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冒頭、津波被害を受けた被災地の光景が広がる。
もう映画化されたのか、と一瞬思うも、あまりストーリーには関係なかった。
原作もそうなのかわからないが、意図がよくわからない。

主人公は住田佑一(染谷将太)、15歳。
彼の願いは“普通”の大人になること。
大きな夢を持たず、ただ誰にも迷惑をかけずに生きたいと考える住田は、実家の貸ボート屋に集う、震災で家を失くした大人たちと平凡な日常を送っていた。

茶沢景子(二階堂ふみ)、15歳。
夢は、愛する人と守り守られ生きること。
他のクラスメートとは違い、大人びた雰囲気を持つ住田に恋い焦がれる彼女は、彼に猛アタックをかける。

疎ましがられながらも住田との距離を縮めていけることに日々喜びを感じる茶沢。
しかし、そんな2人の日常は、普通の中学生のようにはいかない。
借金を作り、蒸発していた住田の父(光石研)が家に戻ってくる。
金の無心をしながら、息子である住田を激しく殴りつける父親。
さらに、明らかに家事を放棄している母親(渡辺真起子)は、日中堂々と男を家に引っ張り込む。
中学生の時から「普通の大人になりたい」という夢のない住田であるが、この状況を見ればそれも当然だと思う。

そしてほどなく母親も中年男と駆け落ちしてしまう。
住田は中学3年生にして親に見捨てられ孤独の身となる。
そんな住田を必死で励ます茶沢。
茶沢自身も崩壊した家庭に居場所がない。
そして、当然の流れのように“事件”は起こる。

謎のタイトル「ヒミズ」だが、どうやらもぐらの一種らしい。
明るい世間から隠れ、ひっそりと生きようとする住田が共感している生き物のようである。
とにかく、暗いストーリー。
どうしようもなくいい加減な大人たちによって、どん底の生活に甘んじる住田。
決して這い上がる事のできないアリ地獄のような状況。

当然ながらすべてフィクションなのであるが、同じような環境に喘ぐ人たちはいるのではないだろうか。
時としてニュースで取り上げられる通り魔事件なんかの背景を示唆しているようなところもあったりする。

物語は住田が15歳のまま終わるが、その後「普通の大人」になれただろうか。
そんな事を考えてみた映画である・・・


評価:★★☆☆☆




    
   
posted by HH at 23:18 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 青春ドラマ!

2013年07月21日

顔のないスパイ

顔のないスパイ.jpg

原題: The Double
2011年 アメリカ
監督: マイケル・ブラント
出演: 
リチャード・ギア/ポール・シェファーソン
トファー・グレイス/ベン・ギアリー
スティーヴン・モイヤー/ブルータス
マーティン・シーン/ハイランド
オデット・ユーストマン/ナタリー
スタナ・カティック/アンバー

<Movie Walker 解説>
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『ウォンテッド』の脚本家マイケル・ブラントが監督を務めた、リチャード・ギア&トファー・グレイス主演のサスペンス・アクション。
冷戦時代の元CIA諜報員と若きFBI捜査官が、上院議員暗殺の犯人とされる旧ソ連の伝説のスパイを追う様が描かれる。
謎が二転三転するプロットから最後まで目が離せない。
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メキシコ、アメリカに隣接するソノーラ砂漠。
国境警備員を殺害し、ある一団がアメリカに不法入国する。
6ケ月後、ワシントンで、ロシアと密接な関係を持つダーデン上院議員が首を切られて暗殺される。
その手口から浮かび上がったのは、死んだはずのソビエトの伝説のスパイ“カシウス”だった。

CIA長官ハイランド(マーティン・シーン)は、カシウスをリーダーとする暗殺集団“カシウス7”の追跡にキャリアを捧げ、今は引退した元エージェントのポール・シェファーソン(リチャード・ギア)を呼び戻し、議員を内偵していたFBIの若手捜査官ベン・ギアリー(トファー・グレイス)と共に事件解決にあたらせる。

ポールは、すでにカシウスは死亡、議員殺害も模倣犯によるものと考えていたが、渋々捜査に協力。
一方、カシウスに魅せられ、大学で彼についての修士論文も書いているベンは、カシウスが殺しを復活させたと確信する。
そんな中、2人はかつてポールが射殺したはずの“カシウス7”の一人、ブルータスがまだ獄中で生きていることを知る。
ポールとベンはさっそく刑務所へ赴きブルータスと会う・・・

リチャード・ギア主演のサスペンス映画。
リチャード・ギアの甘いマスクからは、何となくこの手のサスペンス映画は合わない感じがする。
米ソ冷戦時代に活躍し今は引退しているCIA捜査官が、かつて追っていたソ連の暗殺者復活によって現場に呼び戻されるという設定。
そういうケースが本当にあるかどうかはわからないが、ベテランが若手とペアを組んで捜査に当たるという展開は、よくありがちなストーリーである。

一見、何の面白味もなさそうなストーリー展開だが、カシウスの正体が意外と早い段階でわかり、それが意外な人物だった事でストーリー展開が面白くなる。
このあたりは、かつてのケヴィン・コスナー主演の「追いつめられて」に相通じるものがある。
まぁ似たような展開の映画も出てくるのは仕方ないのだろう。
それでも短い時間の中に2つのどんでん返しを入れたのは、なかなかだったと思う。

冷戦時代の遺物とベンに言われてしまうポール。
確かにその通りなのだが、冷戦が終わった現在、その遺物に頼るのも限界がある。
彼らも年を取るからだが、リチャード・ギアのわずかなアクションがそれを物語っている。
冷戦が終わって、スパイ映画はどうなるのだろう。
ふとそんな事を感じた映画である・・・


評価:★★☆☆☆




   
   
posted by HH at 20:48 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | スパイ