
2012年 日本
監督: 佐藤祐市
出演:
竹内結子:姫川玲子
西島秀俊:菊田和男
大沢たかお:牧田勲
小出恵介:葉山則之
宇梶剛士:石倉保
丸山隆平:湯田康平
田中要次:小峰薫
武田鉄矢:勝俣健作
高嶋政宏:今泉春男
三浦友和:和田徹(捜査第一課長)
<シネマトゥデイ>
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竹内結子がノンキャリアから警視庁捜査一課の刑事にのし上がったヒロインを熱演したテレビドラマ「ストロベリーナイト」の映画版。誉田哲也原作の人気ミステリー小説「インビジブルレイン」を基に、ある連続殺人事件に絡んだ思いがけない出来事のてん末を描き出す。主人公の腕利き女性刑事と道ならぬ恋に落ちる暴力団幹部を大沢たかおが好演。彼らの禁断の恋の行方はもとより、複雑に交錯してもつれ合う事件の真相に衝撃が走る。
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日本映画お得意の“人気ドラマの映画化版”である。
個人的にはいかがなものかと思うのであるが、まあ面白いものは良しとしようかといったところである。この映画の元となるTVドラマの方は面白くてずっと観ていた。
竹内結子は大好きであるし、そういう意味でこの映画は許容範囲内である。
主人公はTVドラマに精通している人にはお馴染みの姫川令子。
従来“男の職場”であった捜査一課で、女ながら主任を務める。
近年、女のアクション進出が洋画・邦画ともに目につくが、派手なアクションこそないものの、これもその一環と言えるかもしれない。まあ邦画では、 『アンフェア』なんてどうにもレベルの高くないものもあったりして、まだまだではあるが・・・
物語は都内で相次いで暴力団員が殺されるという事件が起こるところから始る。
警察では、連続殺人事件として捜査一課と対暴力団取締の“組対”とが合同で捜査本部を設置する。組対はこの事件を暴力団の跡目を巡る内部抗争と見るが、一方姫川には犯人に関するタレコミ電話が入る。電話は、「犯人は柳井健斗」と告げる。
姫川はタレコミ情報の線で捜査を進めようとするが、途端に上層部から捜査中止の圧力がかかる。理不尽な命令に当然姫川は納得がいかない。
“安易な人気ドラマの映画化”を嫌悪するものの、一方でそのメリットもある。
TVドラマを観ていれば、当然登場人物たちを熟知しており、したがって姫川の行動にも何の説明もなく理解できる。
自らレイプされた過去を持ち、それがトラウマとなっている姫川。
それゆえに、今回暴力団の組長である牧田に迫られた時、“防衛線”を突破された理由もわかる。暴力団の組長と関係してしまったら、まずいんじゃないのかなどとの思いが脳裏をよぎる。
アクの強い勝俣刑事や部下の菊田とのやり取りも、過去のエピソードをTVドラマで知っているからスムーズに理解できる。逆に言えば、観ていなければわからないという事になるが、わかっている者からすると、背景描写を省略し、ストレートにストーリーに入っていけるから中味も濃くなると言える。
今回のタイトルは、「インビジブル・レイン」。
その為か、全編を通して“目に見える”雨のシーンが多いが、ストーリーを追ううちに見えない雨も見えてくる気がする。
もともと原作がしっかりしているためなのであろうが、このシリーズはTVドラマも映画も面白い。安易な“人気ドラマの映画化”であっても、結果オーライと言う他ない。
ますます深みを増すこのシリーズ、続くのであればTVドラマであっても映画であっても続けて観たいと思うところである・・・
評価:★★☆☆☆