
原題: Stanley Ka Dabba
2011年 インド
監督: アモール・グプテ
出演:
パルソー:スタンリー - 4年生。クラスの人気者。
ディヴィヤ・ダッタ:英語教師ロージー - スタンリーの理解者。結婚を控えている。
ラジェンドラナート・ズーチー:歴史教師ズーチー - 新しく赴任して来た教師。ヴァルマーに弁当を分けてやる。
ディヴィヤ・ジャグダレ:科学教師アイヤル - 熱心だが厳しい女性教師。
ラフール・シン:校長
アモール・グプテ:国語教師ヴァルマー - 意地悪で食い意地の張った中年教師。
<映画.com>
********************************************************************************************************
アクションやミュージカルが詰め込まれた娯楽大作映画が主流のインド映画界で、素人の子どもたちを集めて撮られた小作ながらも、大ヒットを記録したハートフル・コメディドラマ。みんなを笑わせるのが大好きなクラスの人気者スタンリーは、家庭の事情で学校にお弁当を持ってくることができず、昼食の時間はいつも水道水を飲んでお腹を満たせていた。そんなスタンリーを助けようと、級友たちはお弁当を分けてあげるが、食い意地の張った先生に見つかって弁当を取り上げられた上、スタンリーは先生から「学校へ来なくていい」と言われてしまい……。
********************************************************************************************************
最近、観る機会が増えてきたインド映画。
インド映画と言えば「歌と踊り」というイメージがあるが、この映画では珍しくそれがない。
そういう映画もあるんだと改めて思う。
個人的には歓迎である。
主人公は、小学校に通うスタンリー。
そのスタンリー、クラスでは人気者のようだが、昼休みになると一人皆から離れて教室を出ていく。そして水を飲んだりして空腹を満たしている。
友だちには「両親はニューデリーに行っていてお弁当を作ってもらえない」と説明するが、その真偽はともかく、弁当を持たずに学校に来ている。
一方、弁当を食べるのは生徒だけではない。
教師たちも職員室で弁当を食べる。
しかし、教師の一人、ヴァルマーはやはり弁当を持ってきていない。
そして周りの教師たちに分けてもらっている。
ここで出てくる弁当は、我々日本人のイメージする弁当とは大きく異なる。
『のんちゃんのり弁』では、次々に出てくるお弁当に涎が出たものだが、ここではそんなお弁当とはほど遠い。イカリング揚げのような揚げ物だけだったり、中にはビスケット(小さなパンなのかもしれない)だったりが弁当箱の中に入っている。
「足りないんじゃないか」などと余計な心配をしてしまう。
同じ“弁当を持ってこない”同士のヴァルマーとスタンリーではあるが、どうもヴァルマーはスタンリーを目の敵にする。友だちに弁当を分けてもらおうとしていたスタンリーをヴァルマーは叱ってやめさせる。さらにはスタンリーを追いやると、自分がスタンリーがもらおうとしていた分をもらって食べてしまう。
弁当を持って きていないスタンリーに、友だちは協力して弁当を分けてあげようとするが、ヴァルマーはそれを阻止し、さらには奪おうとする。このヴァルマーの行動がよく理解できない。子供たちはうまくヴァルマーの裏をかき、みんなで隠れて食べる。怒ったヴァルマーは、生徒を叱りつけ、スタンリーには「弁当を持ってこないなら学校に来るな」と言ってしまう。
何とも酷い教師である。
そしてスタンリーは学校に来なくなる。
スタンリーは歌も踊りも得意であるが、実は家庭環境はかわいそうな状態にある。
そんなスタンリーと友だちと、ヴァルマー以外のスタンリーを温かく見守る教師たちとの交流が描かれていく。
『のんちゃんのり弁』とは違って弁当が食べたくなるということはなかったが、ちょっと心が温かくなる映画である・・・
評価:★★☆☆☆