
原題: The Counselor
2013年 アメリカ
監督: リドリー・スコット
出演:
マイケル・ファスベンダー:カウンセラー
ペネロペ・クルス:ローラ
キャメロン・ディアス:マルキナ
ブラッド・ピット:ウエストリー
ハビエル・バルデム:ライナー
ブルーノ・ガンツ:宝石商
<映画.com>
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米カリフォルニアを舞台に欲望にまみれたセレブリティたちが危険な罠に落ちていく姿を、巨匠リドリー・スコットのメガホンで描いたサスペンス。
脚本を『ノーカントリー』で知られるピュリッツァー賞作家のコーマック・マッカーシーが書き下ろしたオリジナル作品。若くハンサムで有能な弁護士(カウンセラー)が、美しいフィアンセとの輝かしい未来のため、出来心から裏社会のビジネスに手を染める。そのことをきっかけに周囲のセレブたちにも危険な事態が及び、虚飾に満ちた彼らの日常が揺るがされていく。主人公の弁護士にマイケル・ファスベンダーほか、ペネロペ・クルス、キャメロン・ディアス、ハビエル・バルデム、ブラッド・ピットが出演。
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有能な弁護士である”カウンセラー”と呼ばれる男と彼の恋人のローラがベッドでいちゃついている。冒頭からなかなか微笑ましいシーンである。結末から振り返ってみると、その対比が痛々しい。そのころ自動車工場では、ドラム缶に入れたコカインをバキュームカーに隠す作業が行われた後、バキュームカーはデザート・スター下水処理会社に向けて出発した。
カウンセラーは、仕事と偽ってアムステルダムに行くが、実際の目的はローラのために宝石商から婚約指輪を購入するためだった。アメリカに戻ったカウンセラーは、友人の実業家ライナーと彼の愛人マルキナが所有するペントハウスのパーティに参加し、ライナーから「ボリート」という、首を締め付け切断する殺人装置について聞く。これがまた結構恐ろしい装置だったりする。
そして、以前ライナーから勧められていた麻薬ビジネスを一回限りでやることにしたカウンセラーは、ライナーの経営するレストランでローラにプロポーズし、彼女はそれを受け入れた。後日カウンセラーは、ライナーから紹介された麻薬の仲買人ウェストリーに会い、取引の利益率が4,000%であることなどを聞く・・・
“魔が差す”とはよく言われる。
仕事も順調で、美人のフィアンセもいて、何の悩みもなさそうな弁護士。
それが大金に目がくらんで麻薬取引に手を出す。
自分が実際に受け渡しをするでもなく、気軽な気持ちだったのだろう。
そしてうまく行けば問題ないが、得てしてそういう時はうまくいかない。
何者かがコカインを奪い去ってしまう。
組織は当然、関係者に疑いの目と責任を求める。
ライナーもウェストリーもカウンセラーも青くなるが、もうあとの祭り。
自分達がどうなるか予想がつくから、あとはもう逃げるしかない。
言い訳も合理的な説明も通用しない。
後の後悔先に立たずとはよく言うが、まさにその通り。
軽い気持ちだったカウンセラーはまだ甘い考えで、説明すればわかってもらえると思っている。冷たく諭すウェストリー。だんだんと事態の深刻さに愕然となるカウンセラーの気持ちも、これ程ではないにしてもかなり大きな失敗をして、その影響の大きさに愕然とした経験がある自分にはよくわかる。
やっぱり、真面目に生きるのが一番。
改めてそんな事を考える。
映画自体もそれなりに面白かったが、自分の苦い経験が蘇り、よけいに感じ入ってしまったところがある。
主演のマイケル・ファスベンダーに、ペネロペ・クルス、ブラッド・ピットにキャメロン・ディアスと大物が揃って出演とかなり豪華。中でもキャメロン・ディアスの存在感が光っていた。この人は美人のヒロインというよりも、『バニラ・スカイ』や本作のようにどちらかと言えば悪女的な役の方がよく似合うと思う。この映画では、飼っているチータを意識したのか、チータの模様のようなイレズミを背中に入れている。さらりとダイヤの鑑定をやったりして、凄く怖そうな女なのである。
組織の残虐性が随所に出ていて、単に殺すだけでないところがまた恐ろしい。
一歩誤ればこれほどまでの恐怖を味わわなければならないのかと、観ているうちに、背筋が寒くなる。つくづく、真面目に生きようと思わずにはいられない映画である・・・
評価:★★☆☆☆