2014年10月31日

【悪の法則】My Cinema File 1341

悪の法則.png

原題: The Counselor
2013年 アメリカ
監督: リドリー・スコット
出演: 
マイケル・ファスベンダー:カウンセラー
ペネロペ・クルス:ローラ
キャメロン・ディアス:マルキナ
ブラッド・ピット:ウエストリー
ハビエル・バルデム:ライナー
ブルーノ・ガンツ:宝石商

<映画.com>
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米カリフォルニアを舞台に欲望にまみれたセレブリティたちが危険な罠に落ちていく姿を、巨匠リドリー・スコットのメガホンで描いたサスペンス。
脚本を『ノーカントリー』で知られるピュリッツァー賞作家のコーマック・マッカーシーが書き下ろしたオリジナル作品。若くハンサムで有能な弁護士(カウンセラー)が、美しいフィアンセとの輝かしい未来のため、出来心から裏社会のビジネスに手を染める。そのことをきっかけに周囲のセレブたちにも危険な事態が及び、虚飾に満ちた彼らの日常が揺るがされていく。主人公の弁護士にマイケル・ファスベンダーほか、ペネロペ・クルス、キャメロン・ディアス、ハビエル・バルデム、ブラッド・ピットが出演。
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有能な弁護士である”カウンセラー”と呼ばれる男と彼の恋人のローラがベッドでいちゃついている。冒頭からなかなか微笑ましいシーンである。結末から振り返ってみると、その対比が痛々しい。そのころ自動車工場では、ドラム缶に入れたコカインをバキュームカーに隠す作業が行われた後、バキュームカーはデザート・スター下水処理会社に向けて出発した。

カウンセラーは、仕事と偽ってアムステルダムに行くが、実際の目的はローラのために宝石商から婚約指輪を購入するためだった。アメリカに戻ったカウンセラーは、友人の実業家ライナーと彼の愛人マルキナが所有するペントハウスのパーティに参加し、ライナーから「ボリート」という、首を締め付け切断する殺人装置について聞く。これがまた結構恐ろしい装置だったりする。

そして、以前ライナーから勧められていた麻薬ビジネスを一回限りでやることにしたカウンセラーは、ライナーの経営するレストランでローラにプロポーズし、彼女はそれを受け入れた。後日カウンセラーは、ライナーから紹介された麻薬の仲買人ウェストリーに会い、取引の利益率が4,000%であることなどを聞く・・・

“魔が差す”とはよく言われる。
仕事も順調で、美人のフィアンセもいて、何の悩みもなさそうな弁護士。
それが大金に目がくらんで麻薬取引に手を出す。
自分が実際に受け渡しをするでもなく、気軽な気持ちだったのだろう。
そしてうまく行けば問題ないが、得てしてそういう時はうまくいかない。

何者かがコカインを奪い去ってしまう。
組織は当然、関係者に疑いの目と責任を求める。
ライナーもウェストリーもカウンセラーも青くなるが、もうあとの祭り。
自分達がどうなるか予想がつくから、あとはもう逃げるしかない。
言い訳も合理的な説明も通用しない。

後の後悔先に立たずとはよく言うが、まさにその通り。
軽い気持ちだったカウンセラーはまだ甘い考えで、説明すればわかってもらえると思っている。冷たく諭すウェストリー。だんだんと事態の深刻さに愕然となるカウンセラーの気持ちも、これ程ではないにしてもかなり大きな失敗をして、その影響の大きさに愕然とした経験がある自分にはよくわかる。

やっぱり、真面目に生きるのが一番。
改めてそんな事を考える。
映画自体もそれなりに面白かったが、自分の苦い経験が蘇り、よけいに感じ入ってしまったところがある。

主演のマイケル・ファスベンダーに、ペネロペ・クルス、ブラッド・ピットにキャメロン・ディアスと大物が揃って出演とかなり豪華。中でもキャメロン・ディアスの存在感が光っていた。この人は美人のヒロインというよりも、『バニラ・スカイ』や本作のようにどちらかと言えば悪女的な役の方がよく似合うと思う。この映画では、飼っているチータを意識したのか、チータの模様のようなイレズミを背中に入れている。さらりとダイヤの鑑定をやったりして、凄く怖そうな女なのである。

組織の残虐性が随所に出ていて、単に殺すだけでないところがまた恐ろしい。
一歩誤ればこれほどまでの恐怖を味わわなければならないのかと、観ているうちに、背筋が寒くなる。つくづく、真面目に生きようと思わずにはいられない映画である・・・


評価:★★☆☆☆







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2014年10月29日

【ブロークン】My Cinema File 1340

ブロークン.jpg

原題: Broken
2012年 イギリス
監督: ルーファス・ノリス
出演: 
ティム・ロス:アーチー
キリアン・マーフィ:マイク
エロイーズ・ローレンス:スカンク
ロリー・キニア:オズワルド
ロバート・エムズ:リック

<WOWOW解説>
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ある家族の父親が誤解から、向かいの家の息子に暴力を振るう。この事件をきっかけに運命を揺さぶられていく2家族を描いた英国の社会派ドラマ。人気男優T・ロスらが共演。同じ近所に住むが、いずれも何かが足りない3つの平凡な家族。ある暴力事件をきっかけに、なかでも1組の父娘は特に動揺し……。英国の郊外を舞台にしているが、“憎しみと暴力の連鎖”はどこの国で起きてもおかしくない事態であり、どうすれば避けられるのかという疑問を見る者に投げかける、ビターな1本だ。出演は「パルプ・フィクション」やTV「ライ・トゥ・ミー 嘘の瞬間」のロス、『インセプション』のC・マーフィら。監督は舞台の演出で高い評価を受けてきたR・ノリス。日本では劇場未公開。
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イギリス発の人間ドラマ。
物語の舞台は、中流家庭と思われる家が建ち並ぶ住宅街の一角。
主人公は、スカンクという名の中学生になる少女。
スカンクは糖尿病を患っている。
兄が一人いて、父親は弁護士をしており、母は愛人を作って家を出てしまっている。

ある日、向かいに住むリックと話していると、突然隣家の父親オズワルドがやってきてリックを殴り倒す。オズワルドには3人の娘がいて、母親がいないせいか素行が悪い。真ん中の娘が父親にコンドームを見つけられ、叱られた際に咄嗟に相手はリックだと嘘をついたのが原因であった。さらに3女はスカンクをカツ上げする始末。

スカンクの家には家政婦カシャがいて、その恋人はスカンクの学校の担任。やがてスカンクにもボーイフレンドができ、大人の世界を垣間見つつ、子供の世界に生きている。オズワルドに殴られ、3姉妹にバカにされたリックは、精神を病んでしまう。

こうしたドラマ映画はそんな一つの世界のありふれた日常を描いていく。
それを観て何を感じるか、は人それぞれかもしれない。
個人的に感じたのは、子供の教育の難しさだろうか。
オズワルドの家では母親がいない。
そして父親は3姉妹を溺愛しているが、その姿はどこか歪んでいる。
さらに一旦怒ると手がつけられなくなり、誰彼となく殴り倒す。
そんな父親だからか、娘たちも素行が悪くなる。
その責任は、父親にあるが、当人はもちろん気付いていない。

精神を病んでしまうリックにしても、母親の過保護が本人の自立を妨げているようにも思える。もちろん、母親本人は気付いていない。
この映画に出てくる登場人物たちは、みな自分は問題ないと思っている。
世間一般の人もみなそうであろう。
“Broken”というタイトルが何を表しているのか。
「壊れる」という意味であるならば、何となく言わんとしていることは伝わってくる。

壊れていくリックとその家族。
オズワルドの家もまた然り。
そんな中にあって、ラストのスカンクにはちょっと救われる気もする。
深い意味の見え隠れする映画である・・・


評価:★★☆☆☆







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2014年10月28日

【ホワイトハウス・ダウン】My Cinema File 1339

ホワイトハウス・ダウン.jpg

原題: White House Down
2013年 アメリカ
監督: ローランド・エメリッヒ
出演: 
チャニング・テイタム:ジョン・ケイル議会警察官
ジェイミー・フォックス:ジェームズ・ソイヤー大統領
マギー・ジレンホール:キャロル・フィナティ特別捜査官
ジェイソン・クラーク:エミール・ステンツ
リチャード・ジェンキンス:イーライ・ラフェルソン下院議長

<シネマトゥデイ>
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『インデペンデンス・デイ』『2012』などのローランド・エメリッヒ監督が放つアクション大作。謎の武装集団に占拠されたホワイトハウスを舞台に、邸内に居合わせた議会警察官が人質となった大統領と自身の娘の救出とホワイトハウスの奪還に挑む姿を活写する。主人公の議会警察官に『マジック・マイク』などのチャニング・テイタム、大統領に『ジャンゴ 繋がれざる者』などのジェイミー・フォックスら実力派俳優が結集。危機迫る展開はもとより、爆発炎上して崩落するホワイトハウスといった迫力の破壊描写にも息をのむ。
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ホワイトハウスを舞台としたアクション映画。
主人公は議員の警護をしているジョン。
離婚した妻との間に一人娘のエイミーがいる。
エイミーのお気に入りはジェームズ・ソイヤー大統領。
かつてパパがアフガニスタンに駐留していた時に、撤退を指示して帰国させたのがその理由。

そんな娘の機嫌を取ろうと、ジョンは大統領警護官に応募し、面接のタイミングに合わせてエイミーをホワイトハウスの見学ツアーに連れていく。面接は残念ながら不採用となるが、パパがシークレット・サービスになると信じる娘は大統領にも会えて大満足。しかし、そんなツァーの途中で大爆発が起こる。いずこからか侵入してきた謎のグループが次々と建物内を制圧していく・・・

何だか既視感のある展開だと思ったら、つい最近観た『エンド・オブ・ホワイトハウス』と似たようなストーリーだと気がつく。『エンド・オブ・ホワイトハウス』も謎のグループがホワイトハウスを占拠する中、シークレット・サービスの主人公が大統領の息子を助け、たった一人で孤軍奮闘した。この映画でも、「シークレット・サービスに落ちた」主人公が娘と共に孤軍奮闘する内容である。同時期に同じような内容のものをぶつけるというのも面白い。

武装勢力は高度に訓練され、米軍も突入できない。武装勢力はさらに核の発射装置も抑えてしまう。この映画の主人公はシークレット・サービスの採用に落ちたアウトサイダーで、『エンド・オブ・ホワイトハウス』の主人公は事故で大統領夫人を死なせてしまい、今は現場を離れているという設定。いずれもトップエリートではない、いわばアウトサイダーの主人公がたった一人で戦うという内容は共通している。やはりピカピカの主人公よりも、ちょっと欠点がある主人公が活躍する方が、インパクトがあるのだろう。

突然のテロの襲撃に、トイレに行ったままの娘を守るべく行動を開始するジョン。
一人、また一人と出会う敵を倒していく。
この展開は『ダイハード』と同じパターンである。
そう言えば、ジョン・マックレーンも欠点だらけの男だった。

娘のエイミーも犯人グループの動画をYoutubeに投稿し、犯人の特定を早めるという活躍を見せる。同じようなプロットでも味付けによって味わいは変わってくる。娘を探す途中で、シークレット・サービス隊長の裏切りによって捕えられていた大統領を助けるジョン。そしてその後大統領と行動を共にする。

外部と連絡を取りながら、大統領を守りつつ犯人グループと対峙するジョン。
この展開はなかなか面白く、いつの間にか映画の世界に引き込まれていた。
味付けはかなり成功している。

大統領は中東からの米軍撤退を発表し、世界的な平和プロセスを進めている。
そして犯人グループの背後には、軍産複合体の影がチラつく。
ケネディ暗殺以来、軍産複合体の影響が囁かれるが、この映画はそんなメッセージ性も含んでいる。

主演のチャニング・テイタムとジェイミー・フォックス大統領のコンビもまた良し。
単純に頭をカラにして楽しむ事ができる映画である・・・


評価:★★★☆☆







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2014年10月27日

【ヴィクトル・ユゴー笑う男】My Cinema File 1338

ヴィクトル・ユゴー笑う男.jpg

原題: L'Homme qui rit
2012年 フランス
監督: ジャン=ピエール・アメリス
出演: 
ジェラール・ドパルデュー:ウルシュス
マルク=アンドレ・グロンダン:グウィンプレン
クリスタ・テレ:デア
エマニュエル・セニエ:女公爵

<WOWOW解説>
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文豪V・ユゴーの古典小説をG・ドパルデューらフランスの豪華キャスト共演で映画化。口の両端を裂かれ、いつも笑ったような顔をした主人公は、旅芸人として生きるが……。リュック・ベッソン監督が代表取締役社長を務める映画会社“ヨーロッパ・コープ”も参加した作品。ユゴーによる原作はサイレント映画時代の1928年、ハリウッドのユニバーサル社も映画化したことがあるが、悲劇的要素も多いストーリーを本作は、むしろ痛快といっていいほどエンターテインメント色豊かに映画化。奇妙な運命のもとで生きる主人公に扮したのは、カナダ出身のM=A・グロンダン。もともとは端正な顔立ちであることをうかがわせて魅力的だ。
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ヴィクトル・ユゴーと言えば、何と言っても『レ・ミゼラブル』が有名であるが、作品はそれだけではない。ただ、タイトルが『笑う男』だけだと、大衆の興味を惹かないと思われたのであろう、「ヴィクトル・ユゴー」と原作者名をタイトルに取り入れている。結局、この映画は日本未公開らしいが、そんな苦心の跡が見てとれる。

冒頭、男達が出航の用意をしている。
一人の少年が一緒に連れて行ってくれと懇願する。
しかし、男達は無情にも少年を置いていく。
少年の名は、グィンプレン。
雪の中を当て所なく、一人歩いていく。

やがて雪の中で凍死した母親に抱かれた少女を助ける。
何とか村まで歩くも、どの家も扉を閉ざし、グィンプレンを受け入れてくれない。
ようやく村の外れで、移動生活を送るウルシュスという男に助けられる。
グィンプレンが助けた少女デアは、なんとか助かるものの、失明してしまっている。

以来、3人での生活。
始めは薬草を売って生計を立てていたウルシュスだが、グィンプレンとデアが成長すると、2人による芝居を始め、これが好評を博するようになる。
やがて3人は町に住むようになり、デアはいつしかグィンプレンに恋心を抱く。

グィンプレンは幼い頃、誘拐団にさらわれており、冒頭でグィンプレンを置き去りにした男達がまさにその誘拐団であったとわかる。そして誘拐団が残して行ったのは、グィンプレンだけでなく彼の顔の傷もそうであった。グィンプレンは、口の両端を切り裂かれており、その傷跡は彼の顔を笑ったように見せていた。まさに、「笑う男」であるが、この笑う男グィンプレンとデアの演じる悲劇は町の話題となり、ある女公爵の目に留まる・・・

口の両端を切り裂かれてしまったために、その傷跡からいつも笑っているように見えるグィンプレン。子供の頃は、その傷を恥じて顔を隠している。そんなグィンプレンも、盲目のデアの前では顔を隠す必要もなく、たぶん心も開いていられたのであろう。何もなければ、貧しくとも幸せに暮らせたのかもしれない。

ところが、彼らの演じる悲劇が受けて大勢の人が見に来るようになると、何よりもグィンプレンが変わっていく。劇では顔を隠さず、女公爵も素顔のグィンプレンに近づいてくる。やがてグィンプレンは、もともとさる貴族の家から誘拐された息子だとわかると、金も地位も手に入る。そうすると、貧しくとも幸せだったウルシュスとデアとの生活から離れていく。絵に描いたような変化である。

『レ・ミゼラブル』でも薄幸のファンテーヌという娼婦が登場したが、この物語でもデアには同情の気持ちが自然と湧き起こる。人間とは欲望の前には大切なものを見失いがちである。それは物語の中だけでなく、世の中の人すべてに当てはまりそうである。少なくとも、この豊かな日本という国に暮らしている人には、そう言えるのではないか、などと思ってみる。

内容的には、もっと評判になっても良さそうな作品なのであるが、そうではないのは何でだろうか。全体的に暗い雰囲気が災いしたのであろうか。個人的には、“もう一つの『レ・ミゼラブル』”とでもして評価したい映画である・・・


評価:★★☆☆☆






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2014年10月26日

【清州会議】My Cinema File 1337

清州会議.jpeg

2013年 日本
監督: 三谷幸喜
出演: 
役所広司:柴田勝家
大泉洋:羽柴秀吉
小日向文世:丹羽長秀
佐藤浩市:池田恒興
妻夫木聡:織田信雄
浅野忠信:前田利家
寺島進:黒田官兵衛
でんでん:前田玄以
松山ケンイチ:堀秀政
伊勢谷友介:織田三十郎信包(織田信包)
鈴木京香:お市様(お市の方)
中谷美紀:寧(高台院)
剛力彩芽:松姫(信松尼)

<映画.com>
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三谷幸喜が17年ぶりに書き下ろした小説を自ら脚色し、メガホンをとって映画化。本能寺の変で織田信長が死去した後、家臣の柴田勝家と羽柴(豊臣)秀吉らが後継者を決め、日本史上初めて合議によって歴史が動いたとされる清須会議の全貌をオールスターキャストで描く。三谷監督作品では初の時代劇。天正10年(1582年)、本能寺の変で織田信長がこの世を去り、筆頭家老の柴田勝家は信長の三男でしっかり者の信孝を、羽柴秀吉は次男で大うつけ者と噂される信雄をそれぞれ後継者に推薦する。勝家、秀吉がともに思いを寄せる信長の妹・お市は秀吉への恨みから勝家に肩入れし、秀吉は軍師・黒田官兵衛の策で、信長の弟・三十郎信包を味方に引き入れ、家臣たちの人心を掌握していく。やがて後継者を決める会議が開かれ、それぞれの思惑が交錯する。
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「清州会議」と言えば、本能寺の変で信長が死んだあと、織田家の継嗣問題と領地配分が話し合われた歴史上の出来事。冒頭、本能寺の変とそれに続く山崎の戦いで、明智光秀が打たれる経緯がさらりと説明される。信長の後継者として、三男信孝を押す柴田勝家と丹羽長秀。二人は、織田家家臣団の中で台頭しつつある秀吉を警戒し、信孝を跡継ぎとし、勝家が後継となることで織田家中における力を維持しようとしたのである。

そしてそんな勝家を信長の妹お市の方が支持する。
お市の方は、かつて夫と息子を秀吉に殺されており、恨みを抱いている。
一方、秀吉は後継に信長とともに本能寺の変で死んだ嫡男信忠の子三法師を押す。
問題を迅速に処理する必要があることから、話し合いは4家老だけで行われることになり、柴田勝家・丹羽長秀・羽柴秀吉・池田恒興が評定に臨む。
これが「清州会議」である。

戦国時代をテーマにした話は、小説やドラマや映画など枚挙に暇がない。
そんな中で、武将でも事件でもなく、「会議」をテーマとしたことに何か狙いがあったのかはわからないが、ちょっと変わっている。そして映画は、コメディ・タッチで進んでいく。

戦国武将は数限りなくドラマ・映画化されていてそれなりに馴染みがあるが、映画の冒頭では、誰が誰の役をやっているのかわからず戸惑う。さすがに秀吉はわかるが、柴田勝家と丹羽長秀、池田恒興は、登場時にテロップで表示くらいしてくれてもいいと思う。まぁそれでも観ているうちにだんだんとわかってはくるが、会議の前後の予備知識があった方が、より物語が引き立つと思う。

会議を終えた柴田勝家は領地へと帰っていくが、すぐに秀吉と柴田勝家は正面から戦い、秀吉が勝って信長の後継者たる地位を固めていく。そうした事実をわかって観た方が面白いだろう。

驚くべきは、キャストだろうか。
秀吉を演じたのは大泉洋で、サマになっていると言えばなっている。
柴田勝家は役所広司で、知恵では秀吉に勝てない武骨な武将の雰囲気はさすがである。
それはともかくとして、その他の豪華出演陣には驚いてしまうばかりである。

それを除けば、やはり「会議」だけを中心としたストーリーは、ちょっと地味だったように思える。“地味”な題材を一流の味付けにしようという三谷幸喜監督の意図でもあったのだろうか、あまり世間で騒がれるほど三谷幸喜監督の良さがわからない身としては、何とも言いようがない。

コメディなのかシリアスなのか、それもはっきりとせず、正直言って全体としてよくわからなかった映画である・・・


評価:★★☆☆☆




    
    

posted by HH at 00:00| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 時代劇/西部劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする