
原題: Утомлённые солнцем
1994年 ロシア・フランス
監督: ニキータ・ミハルコフ
出演:
オレグ・メンシコフ:ドミトリ
インゲボルガ・ダクネイト:マルーシャ
ニキータ・ミハルコフ:コトフ大佐
ナージャ・ミハルコフ:ナージャ
<Yahoo!映画解説>
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ヨーロッパ映画界の巨匠ニキータ・ミハルコフ監督の描くノスタルジック・ラブストーリー。1936年、ある長い夏の夜。ドミトリはマルーシャの家にやって来た。彼女にとっては10年ぶりに会う、かつての恋人の姿だった。彼女はすでにロシア革命の英雄コトフ大佐の妻となり、ナージャという娘がいた。時代はスターリンが独裁体制を強化、まさに大粛清の嵐が吹き荒れようとしていた頃。スターリンの秘密警察の一員であるドミトリが突如戻ってきた事にはある目的があった……。
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以前、『戦火のナージャ』という映画を観ていたが、それは観て何かの続編だとわかった。
前編を観たいと思ったものの、その後時間の経過とともに忘れていたが、このたび観る機会に恵まれた。
時は1936年。
まだ第2次世界大戦の始る前。
既に社会主義革命によってソビエト連邦が成立し、スターリンが権力の座についている。
舞台となるのは、旧ソビエトのどこかの村。
一人の男ドミトリが、地元で革命の英雄と尊敬を集めるコトフ大佐の家にやってくる。
ドミトリは、コトフ大佐の妻マルーシャとは旧知の様子。
どことなく落ち着かないマルーシャの様子と手首にある傷跡。
そして、ドミトリの訴えかけるような眼差し。
これだけで、二人の過去が推察される。
二人は10年前にドミトリが外国へ赴任した事をきっかけに、破局に至ったカップルであったとわかる。
コトフ大佐とマルーシャの間には、一人娘ナージャがいる。
先に観てしまった続編『戦火のナージャ』の主人公であるが、ここではまだ幼い女の子。そしてこれが実に可愛い。しかしながら、コトフ大佐との年齢差は、ひょっとしたら孫でも通じるかもしれないというくらい。しかし年齢を調べてみたら、この時点でニキータ・ミハルコフは49歳だから、単に見た目が老けているだけのようである。
そしてこの二人は、実生活でも実の父娘である。
ドミトリとマルーシャの間で、言葉ではなく交わされる会話。
これが映像表現の強みでもあると思う。
物語は、「秘めたる恋の再燃」かと思わされる。
みんなで、川辺で遊ぶシーン。
コトフ大佐は靴を脱いで裸足になるが、そばにガラスの破片が落ちている。
踏みそうであるが、ドミトリは気付きながらも警告しない。
かつての恋人の現在の夫となれば、好意は湧かないだろう。
そんな物語が、途中で方向転換していく。
ドミトリがやってきたのは、マルーシャに逢いに来たわけではなく、その目的はコトフ大佐だったとわかる。「スターリンの粛清」という歴史的背景を知らないと、このあたりはよくわからないかもしれない。
最後にテロップが流れる。
それによると、どうもこの物語は実話のような雰囲気がある。
『戦火のナージャ』とも繋がらないし、どういう関連なのかわからない。
『戦火のナージャ』とは、製作に6年の間隔があるし、ひょっとしたら当初の予定から外れて続編を製作したのかもしれない。そのあたりは、次の『遥かなる勝利へ』でわかるかもしれないと思う。
さらなる続編を楽しみにしたいと思うのである・・・
評価:★★☆☆☆