2015年03月29日

【太陽に灼かれて】My Cinema File 1394

太陽に灼かれて.jpg

原題: Утомлённые солнцем
1994年 ロシア・フランス
監督: ニキータ・ミハルコフ
出演: 
オレグ・メンシコフ:ドミトリ
インゲボルガ・ダクネイト:マルーシャ
ニキータ・ミハルコフ:コトフ大佐
ナージャ・ミハルコフ:ナージャ

<Yahoo!映画解説>
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ヨーロッパ映画界の巨匠ニキータ・ミハルコフ監督の描くノスタルジック・ラブストーリー。1936年、ある長い夏の夜。ドミトリはマルーシャの家にやって来た。彼女にとっては10年ぶりに会う、かつての恋人の姿だった。彼女はすでにロシア革命の英雄コトフ大佐の妻となり、ナージャという娘がいた。時代はスターリンが独裁体制を強化、まさに大粛清の嵐が吹き荒れようとしていた頃。スターリンの秘密警察の一員であるドミトリが突如戻ってきた事にはある目的があった……。
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以前、『戦火のナージャ』という映画を観ていたが、それは観て何かの続編だとわかった。
前編を観たいと思ったものの、その後時間の経過とともに忘れていたが、このたび観る機会に恵まれた。

時は1936年。
まだ第2次世界大戦の始る前。
既に社会主義革命によってソビエト連邦が成立し、スターリンが権力の座についている。
舞台となるのは、旧ソビエトのどこかの村。

一人の男ドミトリが、地元で革命の英雄と尊敬を集めるコトフ大佐の家にやってくる。
ドミトリは、コトフ大佐の妻マルーシャとは旧知の様子。
どことなく落ち着かないマルーシャの様子と手首にある傷跡。
そして、ドミトリの訴えかけるような眼差し。
これだけで、二人の過去が推察される。
二人は10年前にドミトリが外国へ赴任した事をきっかけに、破局に至ったカップルであったとわかる。

コトフ大佐とマルーシャの間には、一人娘ナージャがいる。
先に観てしまった続編『戦火のナージャ』の主人公であるが、ここではまだ幼い女の子。そしてこれが実に可愛い。しかしながら、コトフ大佐との年齢差は、ひょっとしたら孫でも通じるかもしれないというくらい。しかし年齢を調べてみたら、この時点でニキータ・ミハルコフは49歳だから、単に見た目が老けているだけのようである。
そしてこの二人は、実生活でも実の父娘である。

ドミトリとマルーシャの間で、言葉ではなく交わされる会話。
これが映像表現の強みでもあると思う。
物語は、「秘めたる恋の再燃」かと思わされる。
みんなで、川辺で遊ぶシーン。
コトフ大佐は靴を脱いで裸足になるが、そばにガラスの破片が落ちている。
踏みそうであるが、ドミトリは気付きながらも警告しない。
かつての恋人の現在の夫となれば、好意は湧かないだろう。

そんな物語が、途中で方向転換していく。
ドミトリがやってきたのは、マルーシャに逢いに来たわけではなく、その目的はコトフ大佐だったとわかる。「スターリンの粛清」という歴史的背景を知らないと、このあたりはよくわからないかもしれない。

最後にテロップが流れる。
それによると、どうもこの物語は実話のような雰囲気がある。
『戦火のナージャ』とも繋がらないし、どういう関連なのかわからない。
『戦火のナージャ』とは、製作に6年の間隔があるし、ひょっとしたら当初の予定から外れて続編を製作したのかもしれない。そのあたりは、次の『遥かなる勝利へ』でわかるかもしれないと思う。

さらなる続編を楽しみにしたいと思うのである・・・


評価:★★☆☆☆







posted by HH at 21:22| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | その他の国の映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月28日

【ある愛へと続く旅】My Cinema File 1393

ある愛へと続く旅.jpg

原題: Twice Born/Venuto al mondo
2012年 イタリア・スペイン
監督: セルジオ・カステリット
出演: 
ペネロペ・クルス:ジェンマ - イタリア人女性。
エミール・ハーシュ:ディエゴ - アメリカ人写真家。ジェンマの夫。
アドナン・ハスコヴィッチ: ゴイコ - サラエヴォ在住のジェンマらの旧友。
サーデット・アクソイ:アスカ - ミュージシャンを目指している女性。イスラム教徒。
ピエトロ・カステリット:ピエトロ - ディエゴとジェンマの1人息子。16歳。
ジェーン・バーキン:精神分析医
セルジオ・カステリット:ジュリアーノ - ジェンマの現在の夫。軍人。

<シネマトゥデイ>
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『赤いアモーレ』原作のマルガレート・マッツァンティーニの小説が基になったドラマ。ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争で夫を亡くしたローマ在住の女性が、同国への再訪を機に彼から向けられていた大きな愛を改めてかみ締める姿を見つめる。主役となる夫婦に、ペネロペ・クルスとのエミール・ハーシュ。監督を務めるのは、原作者の夫でもある『赤いアモーレ』のセルジオ・カステリット。壮大かつ感動的な物語に加え、ヒロインの女子大生時代から中年期までを見事に体現したペネロペの熱演も見ものだ。
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主人公のイタリア女性ジェンマを演じるのは、ペネロペ・クルス。
スペイン語訛の英語を話す美形女優。
それが冒頭で登場するが、随分老けたなとの思いを抱く。
最近知っている俳優の“老け”が目立つだけに、「この人もか」と思うも、すぐに回想シーンとなり、学生時代の主人公であるペネロペ・クルスは記憶にある通りの姿。
ここで、老け役なのだとわかるが、見事なものである。

旧友のゴイコから突然かかってきた電話に戸惑うジェンマ。
訳あり気であり、夫もその“事情”に通じている様子。
そしてジェンマは息子と二人でボスニアへと向かう。
かつて若かりし頃(こごて登場するペネロペ・クルスはいつもの美しい容姿である)、ボスニアを訪れたジェンマ。そこで陽気なカメラマンのディエゴと出会う。

ディエゴに半ば強引に口説かれ、惹かれるようになる。
その後一度別の男と結婚するも破談となり、ディエゴと再会したあと、二人は結婚する。
幸せな日々を迎えるも、子宝には恵まれない。
そんな中で、サラエボで火の手が上がる。
カメラマンとしての本能でサラエボに向かうディエゴとそれを追うジェンマ。

同地で二人は子どもを得るために代理母を頼む事にする。
相手はムスリムのアスカという女性。
しかし、ディエゴはアスカを愛するようになる。
あれだけ熱心にジェンマを口説いたのにと呆れてしまう。
やがて戦火が激しくなる中、アスカは男の子を出産し、ジェンマは混乱の中帰国することになる。しかし、ディエゴはパスポートを所持しておらず、一緒に帰国できなくなってしまう・・・

何とか帰国したジェンマは、一人の軍人と出会う。
冒頭に出てきた現在のジェンマの夫だとわかる。
息子との関係もわかってくる。
そしてゴイコがジェンマを招いた本当の理由が明らかになる。

「民族浄化」という言葉が、いまだ記憶に残っているボスニア紛争。
この映画との繋がりが最後にわかる。
そして裏切りに見えたディエゴの行動の理由も。
これはなかなか深い物語。
原作はベストセラーになったそうであるが、その理由も頷けるというもの。

そんな深いストーリーと、ペネロペ・クルスの熱演が光るだろう。
陽気なラテン美女というどちらかと言えばビジュアル系の女優さんだと思っていたが、この映画での役柄はそれ以上と言える。
これからは“シリアス系”にも出演してもらいたいと思ってしまう。
観応えある一作である。


評価:★★★☆☆







ネタばれ覚悟で続きを読む
posted by HH at 14:49| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月22日

【この森で、天使はバスを降りた】My Cinema File 1392

この森で、天使はバスを降りた.jpg


原題: The Spitfire Grill
1996年 アメリカ
監督: リー・デヴィッド・ズロトフ
出演: 
アリソン・エリオット:パーシー・タルボット
エレン・バースティン:ハナ・ファーガソン
マーシャ・ゲイ・ハーデン:シェルビー・ゴダード
ウィル・パットン:ネイハム・ゴダード
キーラン・マローニー:ジョー・スパーリング
ゲイラード・サーテイン:ゲイリー・ウォルシュ保安官

<YAHOO!映画解説>
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ある町に降り立った少女が巻き起こす出来事を温かい視点で描くハートウォーミング・ストーリー。森の奥深くにある小さな町を通るバスからパーシーという少女が降りてくる。彼女は、ハナという無愛想な女が経営するレストラン『スピットファイアー・グリル』で働くことになる。町の人々はよそ者であるパーシーに奇異のまなざしを向けるが、パーシーの魅力に周囲の人々は惹かれてゆく。だが、彼女は誰にも言えない暗い過去があった。
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映画のリストの中で、ふと目に留まったタイトル。
よく見れば20年近く前の作品であるが、観たことはない。
サンダンス映画祭観客賞受賞ということにも興味があって、観てみることにした映画。

冒頭、州の観光局のコールセンターで働く一人の女性。
パーシーという名のその女性は丁寧に対応するが、手前で鉄格子のドアが閉められる。
そこでこのコールセンターは、実は刑務所の中だとわかる。
そういえば、以前読んだ『貧困大国アメリカ』という本で、刑務所の「安い労働力」を利用したコールセンタービジネスというのが紹介されていた事を思い出す。
そして間もなくパーシーは釈放される。

釈放されたパーシーはバスに乗り、ある森のはずれでバスを降りる。
そこから歩いてギリアドという町に行く。
保安官事務所を訪ね、看守から紹介された旨を伝え、ある店で住み込みでの働き口を紹介される。その店の名は、「スピットファイア・グリル」(これが原題となっている)。

店主はちょっと気難しい老女のハナ。
パーシーは翌朝から働き始める。
しかし、店に来た常連客はパーシーに対し好奇の眼差し。
そこは田舎。“よそ者”に対する意識は強い。
そんな常連客たちに向かい、パーシーは敢えて自分が「ムショ帰り」であることを宣言する。

気難しかった店主のハナは、実は事情があって店を売りに出している。
そして夜な夜な裏庭に缶詰を入れた袋を置く謎の習慣。
“よそ者”に対する排他意識の強い甥のネイハム。
そしてネイハムの妻で、いつも小さくなって生活しているシェルビー。
なかなか売れない店に、パーシーはあるアイディアを提案する。
お金が集まってきたところで、事件は起こる・・・

人を疑う人々と信用する人々。
どちらもそれぞれもっともらしいが、どちらでありたいかと考えたら、それはわざわざ言うまでもないこと。ドラマは改めてそんなことを思わせる。
「ある一点」を除いて、ドラマは心温まるラストを迎える。

賞を取ったという理由はよくわかる映画であるが、何だかちょっとやり切れないものを感じることも確かである。もうちょっと完全なハッピーエンドでも良かった気もする。
それにしても、ハナの店を売るアイディアは、なかなかのアイディアであると感心する。
ただ、詐欺にも応用できそうなのも事実であるが・・・

完全なハートウォーミング・ストーリーでないのが残念であるが、邦題のタイトルが実によく合う映画である・・・


評価:★★☆☆☆







posted by HH at 13:44| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月21日

【マッチポイント】My Cinema File 1391

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原題: Match Point
2005年 イギリス
監督: ウディ・アレン
出演: 
ジョナサン・リース=マイヤーズ:クリス
スカーレット・ヨハンソン:ノーラ
マシュー・グッド:トム・ヒューイット
エミリー・モーティマー:クロエ・ヒューイット
ブライアン・コックス:アレックス・ヒューイット
ペネロープ・ウィルトン:エレノア・ヒューイット
ユエン・ブレムナー:ダウド捜査官

<シネマトゥデイ>
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ニューヨーク派の名匠ウディ・アレンが初めてロンドン・ロケを敢行したサスペンス。イギリスの上流社会を舞台に、持ち前の野心で地位と財産を手に入れる男の運命を描く。運命に翻弄される主人公を演じるのは、『アレキサンダー』のジョナサン・リース・マイヤーズ。彼をとりこにする奔放なアメリカ人女性を『アイランド』のスカーレット・ヨハンソンが演じる。先の読めないサスペンスの魅力とウィットに富んだ語り口が融合した贅沢な作品。
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ウッディ・アレン監督作品というと、いまだに『マンハッタン』(My Cinema File 1122)のイメージが残っているが、近年では『ミッドナイト・イン・パリ』(My Cinema File 1074)のような作品もあるし、個人的にはイメージが変わりつつある。この作品は、『ミッドナイト・イン・パリ』(My Cinema File 1074)よりも古い作品であるが、これまで観ずにきていたもので、これもウッディ・アレンのイメージとは離れたサスペンス・テイストの映画である。

主人公は元テニス・プレーヤーのクリス。腕を活かして上流階級人々が会員となっているテニスクラブのコーチとなる。そこでトム・ヒューイットと出会う。トムはセレブ家庭の出身で、クリスを気に入った彼は、家族に引き合わせる。そこでトムの妹のクロエに見染められ、交際することになる。さらにはクロエの父親の会社に雇われ、みるみる出世していく。典型的な「逆玉の輿」である。

傍から見ていると、まったく羨ましい限りなのであるが、そんなクリスの前に現れたのが、女優志望のノーラ。トムのフィアンセであるが、クリスはその美貌にたちまち引き込まれてしまう。クロエと結婚し、会社でも重要なポジションを獲得し、高給を得て運転手付きの生活を送るクリスであり、そんな“危険”を冒すのは、誠に理に適わない。されど、それが人間のなせるわざなのであろう。

ノーラはトムの母親に嫌われ、やがてトムとの婚約も解消される。
ノーラも姿を消し、トムもそのままであれば平穏な生活に戻れたのであろうが、ある日トムは偶然ノーラと再会する。そしてまた官能の炎が燃え上がる。

クリスもセレブな生活と、官能ボディの愛人とで、そのままであれば良かったが、なんとノーラが妊娠してしまう。このあたりはクリスもガードが甘い。
ノーラは堕胎を拒絶し、クリスに責任を問うてくる。

ここに至り、クリスも冷静に計算する。
ノーラを選べば、夜は最高かもしれないが、収入も地位も何もかも失うことになる。
かと言って、ノーラを切り捨てるのも簡単ではない。
離婚を迫るノーラに、クリスは追いつめられていく・・・

追いつめられたクリスのとった行動。
観ていてハラハラドキドキ。
そして予想を裏切る結末。
こういう結末でいいのかと思うも、その意外性がウッディ・アレンなのかもしれない。

ネットに当たったボールが相手のコートに落ちるのか、自分のコートに落ちるのか。
冒頭のクリスの独り言が、ラストに響いてくる。最後まで息の抜けない展開。
こんなウッデイ・アレンもあったのか、と思わされる一作である・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 11:19| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | スリリング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月15日

【フューリー】My Cinema File 1390

フューリー.jpg

原題: Fury
2014年 アメリカ
監督: デヴィッド・エアー
出演: 
ブラッド・ピット:ドン・"ウォーダディー"・コリアー
シャイア・ラブーフ:ボイド・"バイブル"・スワン
ローガン・ラーマン:ノーマン・"マシン"・エリソン
マイケル・ペーニャ:トリニ・"ゴルド"・ガルシア
ジョン・バーンサル:グレイディ・"クーンアス"・トラビス
ジェイソン・アイザックス:"オールドマン"・ワゴナー大尉

<映画.com>
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ブラッド・ピットの主演・製作総指揮で、第2次世界大戦下、たった一台の戦車で300人のドイツ軍部隊と渡り合った5人の兵士たちの姿を描いた戦争アクションドラマ。『エンド・オブ・ウォッチ』のデビッド・エアー監督が手がけ、共演にはシャイア・ラブーフ、ローガン・ラーマン、マイケル・ペーニャら豪華俳優が集った。1945年4月、ドイツへ侵攻する連合軍の米兵ウォーダディーは、自ら「フューリー」と命名したシャーマンM4中戦車に乗り、戦いを続けていた。ウォーダディーと3人の仲間に新兵のノーマンも加わり、5人となった部隊は絆を深めていくが、進軍中にドイツ軍の攻撃を受け、他部隊がほぼ全滅。なんとか生き残ったウォーダディーの部隊にも、過酷なミッションが下される。
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時は第2次世界大戦下のヨーロッパ戦線。
既に連合軍はノルマンディーに上陸し、じわじわとドイツ軍を追いつめている。
しかし、尚依然としてドイツ軍の抵抗は強く、連合軍も被害を重ねながらの進撃が続いている状況下での物語。

激戦で唯一生き残った米軍のM4戦車。
戦闘で副操縦士が死亡し、残る4人の搭乗員は失意のまま帰還する。
“フューリー”と名付けられたその戦車を指揮するのは、ドン・“ウォーダディー”コリアー。
みな北アフリカ戦線以来の付き合いで、ウォーダディーは冷酷な面もあるが、クルーからは信頼されている。

そんな“フューリー”に、死亡した副操縦士の補充として、新兵ノーマンが配属される。
戦闘経験のないノーマンをクルーは見下す。
そしてすぐにフューリーに出撃命令が下る。
5輌のM4が連なってミッションに赴くが、1台は途中でドイツ軍の奇襲を受けて撃破される。
ノーマンは、ドイツ兵が子供であった事から攻撃をためらうが、それが味方を1輌失う契機となる。そんなノーマンに対し、ウォーダディーは戦闘で捕虜にしたドイツ兵を無理やり射殺させる。

そうした経緯を経ながら、戦闘は続いていく。
圧巻なのは、やはり戦闘シーン。
飛び交う砲弾を映画で可視化したのは、初めてなのではないかという気がする。
その迫力が良い。戦争映画は何より戦闘シーンの迫力が重要だと思う。
たとえ、戦場下の人間ドラマに主眼が当たっていたとしても、だ。

特に気に入ったのは、ドイツのティガー戦車との戦闘。
第2次大戦ではドイツの戦車は最強を誇ったが、その一翼を担ったのがティガー戦車。
装甲が厚く、主砲も強力。4輌のM4戦車が次々に撃破されていくが、M4の砲撃にティガーの装甲はビクともしない。ミリオタには堪らないシーンではないかと思う。

昔のアメリカ映画では、「米軍=善、独軍=悪」という図式があったが、この戦闘シーンを見ていると、そんな図式は吹き飛んでしまう。物語も「米軍=善」を強調しない。捕虜を射殺し、民家に押し入っては、恐怖に慄く女性住民に食事を作らせる。視点を変えれば、善悪は入れ替わる。

ウォーダディーは、過酷なミッションを最後まで貫く。そしてそんな彼を信頼し、ともに戦う仲間たち。ブラッド・ピットも、同じ第2次大戦下の映画『イングロリアス・バスターズ』とは違ってシリアスな男として登場。シャイア・ラブーフも、今までとはちょっと違った“大人”の雰囲気で登場。マイケル・ペーニャも出演していて、フューリー車内のドラマも物語の味つけとなる。

最近は戦争映画と言えば、イラク戦争などに移りつつあり、ベトナムもましてや第2次世界大戦はドラマの舞台としは使い古された感じがしていたが、この映画を観るとそんな印象は変わってしまう。
そんな濃厚な戦争映画である・・・


評価:★★★★☆




    
    


posted by HH at 11:26| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦争/戦場ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする