
原題: 12 Years a Slave
2013年 アメリカ・イギリス
監督: スティーヴ・マックイーン
出演:
キウェテル・イジョフォー:ソロモン・ノーサップ/プラット
マイケル・ファスベンダー:エドウィン・エップス
ベネディクト・カンバーバッチ:ウィリアム・フォード
ポール・ダノ:ジョン・ティビッツ
ポール・ジアマッティ:セオフィラス・フリーマン
ルピタ・ニョンゴ:パッツィー
ブラッド・ピット:サミュエル・バス
<シネマトゥデイ>
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奴隷制度がはびこっていたアメリカを舞台に、自由の身でありながら拉致され、南部の綿花農園で12年間も奴隷生活を強いられた黒人男性の実話を映画化した伝記ドラマ。主人公が体験した壮絶な奴隷生活の行方、そして絶望に打ち勝つ希望を描き出す。監督は『SHAME -シェイム-』のスティーヴ・マックィーン、黒人男性を『2012』などのキウェテル・イジョフォーが演じる。共演には、マイケル・ファスベンダー、ベネディクト・カンバーバッチ、ブラッド・ピットら豪華キャストがそろう。
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今さらという感もあるが、アメリカの奴隷制度を採り上げた映画。
何と実話だという。
時は1841年、ワシントンDC。
主人公ソロモン・ノーサップは音楽家として普通に暮らしている。
何となくこの時代、アメリカ全土で奴隷制が施行されていたイメージがあるが、北部では自由証明書を持った黒人が、普通に暮らせていたようである。
ある日、ソロモンはサーカスでの演奏に誘われる。
おだてられて飲まされ、気がつくと鎖で繋がれている。
そして同じ立場の黒人から、自分たちは南部の奴隷州に売られようとしているとわかる。
要は騙されて誘拐されたのである。
そしてニューオリンズへ着くと、さっそく奴隷として売買される。
その様子はあまりにも非情。一緒に連れてこられた母子。
ソロモンを買ったウィリアムはまだ情のある方で、母子ともども買うことを申し出るが、強欲な商人はそれを許さず、母子は離ればなれに売られて行く。
たぶん、もう二度と会えなかったかもしれない。
ウィリアムは寛容であったが、農園監督はそうではなく、要所で知恵をみせるソロモンをいじめる。挙句の果てには縛り首にしようとするが、寸前で阻止される。このシーンがまた凄い。ソロモンは縛り首のままつま先でかろうじて体を支えている。だが、周りにいる黒人は見て見ぬふり。かろうじて隙を見て、一人の女性が水を飲ませたが、ウィリアムが帰宅するまでそのまま放置される。下手に助ければ、自分も危ういのだろう。
そしてソロモンは綿花農場主のエドウィンに売られる。
このエドウィンがまた非情な男。
毎日綿花の個人ごとの収穫量を測り、平均を下回ると鞭打ちに処する。
女奴隷のパッツィーは、夜の相手もさせられる。
酷いシーンが次々と登場する。
そんなソロモンは、まったくの偶然から良心のある男バズと知り合い、解放されることになる。原題はこの12年間をそのまま表したものであるが、かつて世界を制覇した白人至上主義がよく見てとれる。アカデミー賞作品賞に輝いたのも、当然の内容である。
物語を盛り上げる静かな音楽。
エンドクレジットを見たら、ハンス・ジマーの名前が上がっていた。
やはりというべきか、この人は現代映画音楽の、まぎれもない第一人者であると思う。
改めてアメリカの奴隷制度の実態がよくわかる、実に考えさせられる映画である・・・
評価:★★★☆☆