2015年09月27日

【トカレフ】My Cinema File 1459

トカレフ.jpg

原題: TOKAREV
2014年 アメリカ
監督: パコ・カベサス
出演: 
ニコラス・ケイジ:ポール・マグワイア
レイチェル・ニコルズ:ヴァネッサ・マグワイア
マックス・ライアン:ケイン
マイケル・マグレイディ:ダニー・ドハーティ
ダニー・グローヴァー:ピーター・セント・ジョン巡査
ピーター・ストーメア:フランシス・オコネル
パシャ・D・リチニコフ:チェルノフ
オーブリー・ピープルズ:ケイトリン・マグワイア

<Movie Walker解説>
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ソビエト製の拳銃“トカレフ(TT-33)”によって何者かに娘を殺害された父親の復讐劇を描くサスペンスアクション。出演は『ゴーストライダー』シリーズのニコラス・ケイジ、『G.I.ジョー』のレイチェル・ニコルズ、「リーサル・ウェポン」シリーズのダニー・グローヴァー、「ファーゴ」のピーター・ストーメア。監督は『最終爆笑計画』の脚本を担当したパコ・カベサス。
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多作でかつハズレが少ないニコラス・ケイジの犯罪アクション映画。
主人公のポール・マグワイアは、ビジネスマン。
死別した妻との間に一人娘ケイトリンがいて、再婚した妻とともに三人で幸せに暮らしている。ところがある日、夫婦が外出中に何者かが自宅に侵入し、ケイトリンを拉致して行く。そして犯人から何の連絡もないまま、ケイトリンは遺体で発見される。

狂ったように娘の行方を追った挙句の結果に、ポールは仲間のケインとダニーの協力を得て独自に犯人探しを行することにする。実はポールはかつて悪事に手を染めていて、ケインとダニーとともにロシアン・マフィアを襲って金を強奪した過去があった。

警察から漏れてきた情報で、凶器はロシア製の銃トカレフTT−33だとわかる。
ロシアン・マフィアの報復とみたポールたちは、ロシアン・マフィアのボス、チェルノフのシマを荒らし、実質的な宣戦布告を行う。怒りに我を忘れたポールには、足を洗う時に世話になったオコネルの言葉も、警察に任せろという刑事の言葉も耳に入らない。そして、ロシアン・マフィアも反撃に移る・・・

ニコラス・ケイジは元ギャングという設定。
よりにもよって最愛の娘が何者かに殺されるという事件が起きる。
そして復讐劇が始まるのであるが、何せなかなか犯人がわからない。
唯一鍵となったのが、凶器となったトカレフ。
警察の調査では、20年以上前にある事件で使用されたものであるとされる。
これが実は事件のヒントになっているのだが、ポールのところにはそこまでの情報が届かない。

やがて意外な事件の真相がわかるが、その時にはもう事態は収拾不能となっている。
ラストのポールの心境がよくわかる。
誰もが同じ心境になるかもしれない。
アクションそのものよりも、事件の謎ときと意外なラストに打ち抜かれたような気分になる。

ニコラス・ケイジの出演作は、ホームランは少ないが、確実にヒットになるというイメージがある。まさにそのイメージ通りの一作である・・・


評価:★★☆☆☆







posted by HH at 21:31| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 犯罪ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月26日

【沈黙の制裁】My Cinema File 1458

沈黙の制裁.jpg

原題: THE MERCENARY: ABSOLUTION
2014年 アメリカ
監督: キオニ・ワックスマン
出演: 
スティーヴン・セガール:ジョン・アレグザンダー
バイロン・マン:チー
ヴィニー・ジョーンズ:ボス
ハワード・デル:ヴァン・ホーン
ラウロ・チャートランド:ダンコウ
ジョシュ・バーネット

<Movie Walker解説>
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「暴走特急」のスティーヴン・セガール主演のアクション。組織から女を守る傭兵の戦いを描く。共演は、「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」のヴィニー・ジョーンズ、『アイアン・フィスト』のバイロン・マン。監督・脚本は「TRUE JUSTICE」シリーズでセガールと組んだキオニ・ワックスマン。
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アクション俳優としては、太って動きが悪くなり、観ていられなくなって観るのをやめてしまったスティーヴン・セガール。されど予告を観たら、なんだか動きが良さそうで、敗者復活ではないが再び観てみようと思って観た映画。結果的には失敗であった。

主人公のジョン・アレキザンダーは、過去にいろいろ悪事をなし、今は良いことをしようと思っていたりするが、CIAのヴァンからの要請を受け、相棒のチーとともにターゲットを始末する。注目のアクションは、このあたりはまだまだ小手調べ。相棒のチーの格闘アクションはなかなか。そんな二人がミッションを終え、バーで寛いでいると、一人の女が助けを求めてくる。

この女、さる組織のボスに捕まり、姉とともに殺されそうになったところを逃げてきたもの。
女を痛めつけて殺すのが趣味というこのボスの悪行を記録したビデオを持ち逃げしたため、手下が女を追いかけてくる。女がたまたますがったのが、ジョン。ジョンは鮮やかに手下を叩きのめす。このあたりのアクションは、往年の香りがする。

このボスとCIAのヴァンは実は裏でつながっており、女を匿ったジョンは双方から狙われることになる。逃げる途中で隠したビデオを女とともに回収しにいくジョン。そしてそれを襲う組織とCIA。かくして、両者は必然的に戦いへと向かう。

かつて空手と合気道をベースとした武術アクションで魅了してくれたセガールも、太って動きが悪くなり、さらにはワンパターンの展開が定着したため、観るのをやめてしまっていたが、久しぶりに観てもそれは変わらなかった。それどころか、今回はバイロン・マンという相棒を加え、彼に格闘アクションを任せてしまうという” 離れ業”も披露。自らはかすり傷一つ負う事もなく、おいしいところを持って行っている。

せっかく”復活”を期待したのに、もっと悪い結果になってしまった。同じアクション一辺倒であっても、ゴツゴツしたハードアクションを自ら行い、観る者を飽きさせないジェイソン・ステーサムとは比べ物にならない。そののっそりとした動きは、晩年のジャイアント馬場の試合を観ているが如くである。もう二度と観たくもないというのが、実感。

いずれ初期の頃の観る者を魅了したアクション映画、たとえば『刑事ニコ』などはもう一度観てみたいと思うが、今後新作が出たとしても観ることはないだろう。
そんな時間があるなら、他の映画を観たいと思うのである。
「さらばスティーヴン・セガール」と個人的には記す一作である・・・


評価:★★☆☆☆






posted by HH at 13:18| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | アクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月23日

【大統領の執事の涙】My Cinema File 1457

大統領の執事の涙.jpg

原題: Lee Daniels' The Butler
2013年 アメリカ
監督: リー・ダニエルズ
出演: 
フォレスト・ウィテカー:セシル・ゲインズ
オプラ・ウィンフリー:グロリア・ゲインズ
マライア・キャリー:ハッティ・パール(セシルの母)
ジョン・キューザック:リチャード・ニクソン
ジェーン・フォンダ:ナンシー・レーガン
キューバ・グッディング・Jr:カーター・ウィルソン
テレンス・ハワード:ハワード(セシルの隣人)
レニー・クラビッツ:ジェームズ・ホロウェイ
アレックス・ペティファー:トーマス・ウェストフォール(農場主)
バネッサ・レッドグレーブ:アナベス・ウェストフォール(トーマスの母)
アラン・リックマン:ロナルド・レーガン
リーブ・シュレイバー:リンドン・B・ジョンソン
ロビン・ウィリアムズ:ドワイト・アイゼンハワー

<Movie Walker解説>
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奴隷から大統領の執事にまで上り詰め、30年もの間、ホワイトハウスで過ごし、7人の大統領に仕えた黒人男性と彼の家族の姿をつづる、フォレスト・ウィテカー主演のヒューマンドラマ。34年間、ホワイトハウスに勤め、トルーマンからレーガンまで8人の大統領に仕えた実在の黒人執事ユージン・アレンがモデルになっている。
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「奴隷から大統領の執事にまで上り詰めたという実在の人物をモデルにしたドラマ」ということに、大いに興味を惹かれて観た映画。

冒頭、主人公のセシルは両親とともに南部の綿花畑で働いている。そこへ農場主がやってきて、母親を夫と息子が見ている前で小屋へと連れていく。その目的は明らかだ。これこそ性奴隷と言うべきで、韓国人もよく観てほしいと思う。セシルは父に抗議するように言うが、それが仇となり、父は射殺されてしまう。『それでも夜は明ける』でも観たばかりだが、奴隷の過酷な状況が描かれる。

それでもそんな状況に心を痛めたのであろう農場主の母親は、セシルを家事労働に採用する。ちょっと救われるシーンだ。しかし、成長したセシルは、母がショックで廃人となっていたこともあり、農場を脱走する道を選ぶ。盗みに入った先で、バーテンダーとして働かせてもらい、その働きを認められてワシントンのホテルに引き抜かれる。そしてついには、ホワイトハウスでの執事の仕事を手にする。

「政治には興味がない」という態度を貫き、「見ざる聞かざる」で執事に徹する。そんな彼の目の前を歴代大統領たちが通り過ぎていく。一方で、黒人としては恵まれた生活を手にしたセシルの家庭では、長男が黒人の人権問題にのめり込んでいく。この時期、アメリカは公民権運動で、黒人差別問題の最後の波を迎えていく。

目の前で父親を射殺されても何もできなかった経験から、セシルは必死に「政治には興味がない」とのスタンスを貫き、「白人向けの顔」を作って働く。一方、父親よりも恵まれた状況からスタートした長男は、さらに多くの(といっても白人と同じだけの)権利を目指す運動に向かっていく。二人のスタンスの違いは、その生い立ちにあるのは確かだ。

『それでも夜は明ける』は1841年からスタートしたが、セシルが生まれたのは1912年。70年経っているが、南部の黒人の状況はほとんど変わっていない。本格的な潮目は第2次大戦後なのだろう。ケネディ大統領が、南部でのデモの様子を見て、これがアメリカかと心を動かされて行く様子には、心に迫るものがある。

2008年にオバマ大統領が誕生し、セシルは感無量でテレビに見入るが、その心情は想像に難くない。戦後、「民主主義の盟主」と名乗ってきたアメリカであるが、その裏ではまだまだこんな暗部を抱えていたのである。物語は一人の執事の生涯であるが、『それでも夜は明ける』と続けて、「アメリカの黒人問題史」として観てもいいかもしれない。

ストーリーに集中していたが、気がつくと何と多くの見知った俳優が出演している。アイゼンハワー大統領は、よく見ればロビン・ウィリアムズだし、ロナルド・レーガンはアラン・リックマンだし、ジョン・キューザックのニクソン大統領はちょっと似ていなかったが、マライア・キャリーやバネッサ・レッドグレープなどもチョイ役で出てくる。実に豪華キャストなのである。その経緯は知る由もないが、ストーリー以外でも楽しめる要素は多い。

楽しませながら、いろいろと考えさせてくれる映画である・・・


評価:★★☆☆☆









posted by HH at 10:32| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 実話ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月22日

【魔女の宅急便】My Cinema File 1456

魔女の宅急便2.jpg

2014年 日本
監督: 清水崇
出演: 
小芝風花:キキ
広田亮平:とんぼ
尾野真千子:おソノ
山本浩司:フクオ
吉田羊:すみれ
新井浩文:ナヅル
志賀廣太郎:園長
寿美菜子:ジジ(声)
宮沢りえ:コキリ
浅野忠信:イシ先生

<Movie Walker解説>
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宮崎駿監督によるアニメ映画化でも知られる、角野栄子による児童文学を初めて実写映画化した青春ファンタジー。修行のため、見知らぬ街にやってきた13歳の魔女見習いの少女が、個性豊かな街の人々との交流を通し、成長していく姿を描く。全国オーディションでキキ役に選ばれたのは、新鋭・小芝風花。監督は『呪怨』シリーズの清水崇。
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『魔女の宅急便』と言えば、既にジブリのアニメ版を観ているが、なんと実写版の登場である。アニメの実写版となると、『宇宙戦艦ヤマト』『ヤッターマン』などこれまで多数観てきたが、ジブリ作品の実写版となると、人気作品なだけになかなか勇気がいるような気がする。

そのキーとなるのが、やはり映像であり、そしてストーリーだろう。
ストーリーは同じにすれば、あとは映像だけだったかと思うが、この実写版ではストーリーも微妙に変えて勝負に出たようであるが、結果はと言えば、「残念ながら」というところだろう。映像でもストーリーでも、ジブリのアニメ版は超えられなかったと思う。

物語はキキが13歳になって修行に出るところから始まる。
ここは同じ。宮沢りえもいつのまにかママ役を演じるようになったかと思いつつ、主人公のキキがほうきにまたがって夜空へと飛び立つ。CG全盛の現在、ハリウッド映画の映像は本物そのものの迫力であるが、この映画は予算の関係であろうか、一番メインの飛行シーンがイマイチであった。まずここでトーンダウン。

アニメ版では、偶然の出会いからパン屋のおソノさんと出会い、これも偶然から宅急便を始めることになるが、ここでは偶然の出会いは同じだが、既にキキは配達屋さんをやると決めている。アニメ版では、採算度外視(というか採算に対する意識が薄い)でサービス精神を発揮するキキの姿が共感を読んだが、ここではどうもヒネリ過ぎている。

動物園の飼育係とのやり取りが何だかわざとらし過ぎて、それにカバを運ぶのもなぁと思わざるを得ない。原作を読んでいないから何とも言えないが、もう少し自然さが欲しかった気がする。アニメ版のストーリーの方が(おばあさんが孫のために作ったパイを雨の中運ぶ方が)、個人の好みかもしれないが、嵐の中カバを運ぶより心にくるのである。

せっかくの実写版であり、主役のオーディションで選ばれたという小芝風花も可愛くてイメージとしては良かったと思うのであるが、それだけにとどまり、アニメ版を上回ることができなかったというのが個人的な感想である。

狙いは良かったが、と評価したい映画である・・・


評価:★★☆☆☆








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2015年09月21日

【プリズナーズ】My Cinema File 1455

プリズナーズ.jpg

原題: Prisoners
2013年 アメリカ
監督: ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演: 
ヒュー・ジャックマン:ケラー・ドーヴァー
ジェイク・ギレンホール:ロキ刑事
ヴィオラ・デイヴィス:ナンシー・バーチ
マリア・ベロ:グレイス・ドーヴァー
テレンス・ハワード:フランクリン・バーチ
メリッサ・レオ:ホリー・ジョーンズ
ポール・ダノ:アレックス・ジョーンズ

<シネマトゥデイ>
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『X-MEN』シリーズ、『レ・ミゼラブル』などのヒュー・ジャックマンが愛する娘を誘拐され、自力で犯人を捕まえようと行動を起こす父親を演じるクライムサスペンス。ヒューのほか、事件を担当する警察官に『ブロークバック・マウンテン』などのジェイク・ギレンホール、容疑者に『リトル・ミス・サンシャイン』などのポール・ダノら実力派俳優陣が顔をそろえる。メガホンを取るのは、『渦』『灼熱の魂』のカナダ人監督ドゥニ・ヴィルヌーヴ。わが子を誘拐され、悲しみや怒りをたたえた父親を演じるヒューの迫真の演技が見どころ。
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ヒュー・ジャックマンとジェイク・ギレンホール主演のスリラー。
ヒュー・ジャックマン演じるケラーは、二人の子供の父親。
その日、隣家のバーチ家とともに感謝祭のお祝いをしている。
娘のアンナは、バーチ家の同じ年頃の娘ジョイとともに、家族の下を離れる。

両親がふと気がつくと、アンナとジョイが戻ってこない。
慌てて探しに行くも見つからない。ケラーの長男ラルフの証言で、近くに止まっていたRV車が早速警察の手によって手配される。やがてそのRV車が発見され、乗っていたアレックスが拘束される。

捜査を指揮するのは、ジェイク・ギレンホール演じるロキ刑事。
ところがアレックスは、10歳児程度の知能しかなく、これといった証言も証拠も得られない。
やがて拘留期限を迎え、アレックスは釈放される。
怒りからアレックスに掴みかかったケラーは、その際の一言でアレックスが犯人だと確信する・・・

幼い娘を誘拐されるという事態は、父親にとってこの上ない悪夢だろう。
そんなことをする奴は、タダでは済まさないという感情を持つのも自然なこと。
それを抑制するのが、代わって成敗してくれる国家権力であるが、それが法律の定めによってままならないとなったら・・・
娘を誘拐されたケラーが取った行動は、犯人であるアレックスを誘拐して拷問をするということであった。

この問題、エンターテイメントでありながら、実に深い問題である。
犯人であれば何をしても良いのか。
冷静な議論としては答えは簡単であるが、実際自分がその立場に置かれたら、と考えると答えは難しい。ケラーの行動を批判できるだろうかと思えてしまう。
一日経過するごとに生存率が下がると言われれば、尚更である。

そんな深いテーマを孕みながら、警察に頼らず、自力でアレックスを痛めつけて自供させようとするケラー。そして失敗をしながらも、事件の核心に迫る刑事ロキ。
ストーリーは、次々と新たな展開を見せながら進んでいき、先も読めない。
いつの間にかストーリーに引き込まれていく。

ヒュー・ジャックマンとジェイク・ギレンホールという二人の大物の出演も魅力であるが、どんどん引き込まれて行くストーリーも秀逸。
悪い奴には何をしても許されるのか。
哲学的な思考も添えて、なかなか見応えのある映画である・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 11:34| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | スリラー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする