
2012年 日本
監督: 平川雄一朗
出演:
松坂桃李:渋谷歩美 遠藤憲一:畠田靖彦
樹木希林:渋谷アイ子 別所哲也:渋谷亮介
佐藤隆太:土谷功一 本上まなみ:渋谷香澄
桐谷美玲:日向キラリ 浅田美代子:御園奈々美
橋本愛:嵐美砂 八千草薫:畠田ツル
大野いと:御園奈津 仲代達矢:秋山定之
<シネマトゥデイ>
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第32回吉川英治文学新人賞に輝く、辻村深月の小説を実写化したファンタジー・ドラマ。死んだ者と生きる者の再会を仲介する使者“ツナグ”の見習いを務める高校生が、さまざまな依頼者の姿を目の当たりにして成長する姿を追う。『王様とボク』などの松坂桃李が主人公の歩美を好演、ツナグの師匠でもある彼の祖母を『わが母の記』の樹木希林が演じ、温かな掛け合いを見せてくれる。人と人のつながり、家族の絆、生死を深く見つめた物語もさることながら、佐藤隆太、桐谷美玲、八千草薫、仲代達矢といった豪華共演陣の顔ぶれも見ものだ。
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死んだ者ともう一度会うということは、生きる者にとって儚いながらも捨てられない願いなのであろう。小説でも映画でも、死者と会うということを描いたものが多いのも頷けるというものである。誰もが不可能だと思いつつ、願わずにはいられないことだけに、人の心の琴線に触れる内容になることは確かであろう。個人的には『いま、会いにゆきます』
そんな死者との再会をテーマとした映画であるが、タイトルの『ツナグ』とは、死者と生者を「繋ぐ」ということからきている。そのツナグは、主人公渋谷歩美の家系に代々受け継がれ、今祖母のアイ子から歩美に受け継がれようとしている。死者と生者が会えるのは一度だけ。歩美の両親は既になくなっており、アイ子は力を伝承する前に歩美に「会いたい人はいるか」と尋ねているが、歩美は返事を保留している。
最初の依頼者は工務店を経営している畠田春彦。亡くなった母親からツナグの話を聞いており、信じないと言いつつも歩美に母との再会を依頼する。そして歩美の同級生の嵐美佐と御園奈々美。同じ演劇部の親友でありながら、共に卒業公演の主役を争ったことから関係がギクシャクし、そしてある日奈々美は事故で死んでしまう。また、7年前に失踪した婚約者が忘れられない土谷は、婚約者との再会を依頼する。だがそれは、会えれば相手が死んでいることを意味し、会えなければ自分の元を去ったことを意味している依頼であった・・・
実際、どんな形で死者と会うのだろうと思っていたら、なんとホテルの一室で再会するというもの。相手は実態を持っているようであり、普通に接することができるというもの。もう少し「それらしく」工夫があっても良かったように思うところである。それぞれの依頼者が死者に会いたい理由はそれぞれ。ただ何となくインパクトに欠けていて、内容に重みがない気がしてしまう。
歩美が小学生の頃に原因不明の死を遂げた両親。父親の浮気を原因とした無理心中との噂もあるが、歩美はなぜ自分一人が残されたのかわからないでいる。ツナグにもルールがあり、それが明らかにされるとともに、次第にすべての物語が繋がっていく。なるほど最後は綺麗にまとめられてはいるものの、この手の物語には自然と付いてくる「感動」が、正直薄かったと言える。
もう一息と言える映画である・・・
評価:★★☆☆☆