2016年05月31日

セデック・バレ第二部:虹の橋

セデック・バレ第二部虹の橋.jpg

原題: 賽コ克・巴萊 /Seediq Bale
2011年 台湾
監督: ウェイ・ダーション
出演: 
リン・チンタイ(林慶台): モーナ・ルダオ(壮年)
マー・ジーシアン(馬志翔): タイモ・ワリス
安藤政信: 小島源治
河原さぶ: 鎌田弥彦
ビビアン・スー(徐若瑄): 高山初子(オビン・タダオ)
ダーチン(大慶): モーナ・ルダオ(青年)
木村祐一: 佐塚愛佑
シュー・イーファン(徐詣帆): 花岡一郎(ダッキス・ノービン)
スー・ダー(蘇達): 花岡二郎(ダッキス・ナウイ)
ルオ・メイリン(羅美玲): 川野花子(オビン・ナウイ)
田中千絵: 小島マツノ

<シネマトゥデイ>
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日本による統治下の台湾で実際に起こった、先住民族のセデック族と日本軍とのし烈な戦い「霧社事件」を映画化した歴史大作の後編。民族の誇りを胸に武装蜂起したセデック族と反撃に出た日本軍による激しい戦闘と、戦いの陰で悲しい運命をたどった人々の姿を描く。『海角七号/君想う、国境の南』のウェイ・ダーション監督がメガホンを取り、リン・チンタイ、安藤政信、ビビアン・スーらが出演。日本軍の攻撃にひるむことなく戦う戦士や、壮絶な決断をする女性たちなど、セデック族の生きざまのすさまじさに圧倒される。
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セデック族の予期せぬ襲撃により、日本人は女子どもの区別なく次々と殺害されていく。かろうじて難を逃れた警官の連絡により、日本軍が救援・制圧に動き出す。しかし、険しい山中では思うように兵士も動けず、地の利を知り尽くしたセデック族に苦闘を強いられる。一方、セデック族の女性たちは、日本軍の報復を恐れて山中に避難するが、食料が不足することを案じ、また日本軍の強さを案じ、足手まといを避けるべく集団自決するという結論に達する・・・

前編に続く後編では、セデック族対日本軍の対決に焦点が当てられる。セデック族も一枚岩ではなく、日本軍に協力する部族も出てくる。もともと互いに縄張りを巡って対立し、首を狩りあってきた間柄となると、そう簡単にも行かない。後の日中戦争では相対立する国民党と共産党が「共通の敵」を前に手を組んだ。しかし、ここではタイモ・ワリス率いる部族は日本軍と手を組む。

圧倒的な軍事的優位を誇る米軍もベトナムのジャングルでは苦戦し、ベトコンに敗退した。この映画でも日本軍は険しい山中でセデックの攻撃に苦戦の連続。300人のセデック族に数千人の日本軍が翻弄される様は、エンターテイメントとしては面白い。ただし、史実は異なるようで、日本軍の被害は警官も含めて30人未満だったというから、あくまでもエンターテイメントに徹しているのだろう。

日本軍もセデック族の持たない重火器を擁して反撃する。そして航空機による毒ガス攻撃も行うが、これは史実通りであったようである。日本側も無抵抗な女子供が犠牲になっており、「頭に血が上っ」ていたのかもしれない。史実と違うところはあっても、その原因はやはり日本軍の統治とその方法にあったことは間違いないであろうし、セデック側に「正義の視点」をおいてみるのもおかしくはない。

セデック族の子孫の人たちもいまさら祖先の生活には戻りたいと思わないだろうし、文明衝突の悲劇と言えなくもないが、日本の主張する「文明化」の功罪は判断が難しいところである。ただし、首狩りの習慣だけは、やっぱり未開文明の劣った習慣として過去の遺物にしていいと思うところである。

日本が徹底して悪者である映画であるが、それほど嫌悪感はなく、逆にいろいろと考えさせてくれる映画である。単なるエンターテイメントではなく、得るものが多いと感じるのは、やっぱり親日的な台湾の映画だからだろうかと思える映画である・・・


評価:★★☆☆☆






posted by HH at 21:17 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 中国/香港/台湾映画

2016年05月30日

セデック・バレ第一部:太陽旗

セデック・バレ 太陽旗.jpg

原題: 賽コ克・巴萊 /Seediq Bale
2011年 台湾
監督: ウェイ・ダーション
出演: 
リン・チンタイ(林慶台): モーナ・ルダオ(壮年)
マー・ジーシアン(馬志翔): タイモ・ワリス
安藤政信: 小島源治
河原さぶ: 鎌田弥彦
ビビアン・スー(徐若瑄): 高山初子(オビン・タダオ)
ダーチン(大慶): モーナ・ルダオ(青年)
木村祐一: 佐塚愛佑
シュー・イーファン(徐詣帆): 花岡一郎(ダッキス・ノービン)
スー・ダー(蘇達): 花岡二郎(ダッキス・ナウイ)
ルオ・メイリン(羅美玲): 川野花子(オビン・ナウイ)
田中千絵: 小島マツノ

<シネマトゥデイ>
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日本による台湾統治時代に発生した、先住民による大規模な抗日運動「霧社事件」を映画化した歴史大作の前編。文化や風習を否定され、野蛮人として扱われたセデック族が、部族の誇りを懸けて武装蜂起するまでを描く。監督は、『海角七号/君想う、国境の南』のウェイ・ダーション。主人公の部族の頭目を、映画に初めて出演するリン・チンタイが熱演するほか、安藤政信、木村祐一など日本人キャストも出演。戦闘シーンの過激さに驚くとともに、彼らのさまざまな苦悩が観る者の心に突き刺さる。
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台湾といえば、戦前戦中において日本の領土であり、日本統治下にあったものの、中国・韓国と違って親日的な国と認識している。そんな国で抗日運動を取り上げた映画と聞き、何となく違和感を覚えていた。しかしながら前後編と分かれた大作でもあり、観てから判断すべしとして観てみることにした次第である。

物語の舞台は台湾山中。狩猟民族のセデック族は、部族同士で縄張りを巡る争いはあるものの、狩猟をし敵の首を狩り、伝統的な暮らしを営んでいる。そんな彼らの預かり知らないところで、台湾を領有する清と日本が、彼らの知らないところで戦争をし、そして彼らの知らないところで領有権が日本に移る。時に1895年、新たに「支配者」となった日本が台湾にやってくる。

抵抗も空しく、近代装備を誇る日本軍に屈したセデック族は、日本の統治下で「文明的な生活」を強制される。しかし、低賃金重労働で差別を受ける日々に、いつしか鬱屈した不満が高まっていく。そんな不満が日本の警官に対するリンチ事件に発展し、やがて他の部族と共に武装蜂起を決意するに至る。そして日本人が一堂に会する運動会の日に一斉蜂起する。これが日本人たちを手当たり次第に惨殺するという霧社事件となる・・・

日本は台湾を領有後、近代化を促進し、ダムを造り農地を切り開きと台湾の発展にある意味貢献したのは事実であるが、セデック族の立場に立つと、それは「余計なお世話」。部族の伝統に従って祖先から受け継いだ生活を送りたいという希望とは、どんな説明をしても相容れない。さらにそれに上乗せするのは、「日本人の態度」。自分たちより劣っている者として、上から目線での物言いや態度は、映画であることを除いてもたぶん実態であったことは想像に難くない。もっとも官憲は日本人に対しても「オイコラ」方式だったから、無理もないという言い訳もあるかもしれない。

いずれにせよ、日本の統治にはいい面と悪い面があり、実際反乱が起きたという事実を取れば、悪い面の影響だったことは間違いないだろう。女子供も含めて殺されたという事実は、残酷であるが、敵を殺して首を切り落とすのを当然とする民族的伝統があるので、「命」に対する概念が我々とは異なるのかもしれない。かくして次々に日本人が殺されていく。リーダーであるモーナ・ルダウも、日本軍の強さを知っているがために、ただで済むとは考えていない。そして物語は後編へと続く。

日本もペリーの来航により鎖国時代が終了した。自ら西洋近代文明を吸収し、富国強兵策を取り、坂の上の雲の時代を迎えた。西洋近代文明との遭遇は、「融合」という形であったが、セデック族のそれは、急激過ぎたのかもしれない。統治する日本の対応も悪かったがために、双方に悲劇をもたらしたと言える。

エンターテイメントとしての要素と、いろいろと歴史を考える要素とがあいまった良い映画であり、必然的に興味は後編へと続くのである・・・


評価:★★☆☆☆





posted by HH at 20:41 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 中国/香港/台湾映画

2016年05月29日

キカイダー REBOOT

キカイダーREBOOT.jpg

2014年 日本
監督: 下山天
出演: 
入江甚儀: ジロー / キカイダー
佐津川愛美: 光明寺ミツコ
池田優斗: 光明寺マサル
高橋メアリージュン: マリ
鶴見辰吾: ギルバート 神崎 / ハカイダー(声)
長嶋一茂: 光明寺信彦
本田博太郎: 本田宗五郎
原田龍二: 服部半平

<映画.com>
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1970年代に絶大な人気を集めた石ノ森章太郎原作による特撮ヒーロー「人造人間キカイダー」を新たによみがえらせた特撮アクション。人間の手に負えない問題をロボットに解決させる国家プロジェクトを進めていた世界的ロボット工学者・光明寺が、実験中の事故で命を落とした。それから1年後、プロジェクト完遂のカギを握る光明寺の子ども、ミツコとマサルに魔の手が忍び寄る。そこへ光明寺が開発した心を持つロボット、キカイダーが登場。子どもたちを救ったキカイダーは、次第に彼らと心を通わせていくが……。本作が映画初主演となる若手俳優・入江甚儀がジロー/キカイダー役を熱演。オリジナル版でジロー/キカイダー役を演じた伴大介も出演し、新旧主人公が共演する。
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原発事故の影響もあり、ロボットの平和利用を目的とする“ARKプロジェクト”がスタート。主任研究員の光明寺博士と補佐役の神崎は、その考え方を巡って対立する。光明寺博士の造ったジローと神崎の造ったマリが戦い、マリの優勢に気を良くする神崎。しかし、光明寺博士は、ロボットの平和利用が目的であり、戦闘能力の差など気にしない。そんな中、光明寺博士は事故死を遂げる。

光明寺博士には、娘のミツコと息子のマサルがいるが、ミツコはマサルを残し海外の大学への留学することになっている。そんなある日、突然謎の特殊部隊が姉弟を襲う。いずこかへ連れ去られようとしたところに、一人の青年が現れ、あっという間に特殊部隊を一掃する。青年はジローと名乗り、さらに登場した巨大メカを前に、キカイダーに変身する・・・

「人造人間キカイダー」と聞くと、とても懐かしい感覚がある。テレビで放映されていたのは1972年ということであるから、もう40年以上前ということになる。当時テレビで観た記憶があるが、個人的には「仮面ライダー」の方が面白かったと記憶している。たぶん、当時8歳だから、この手の番組からはそろそろ卒業だったのかもしれない。

それにしても40年も前となると、内容などほとんど忘れてしまっている。ギターを弾いていたのと、ギル博士の笛で苦しんでいたこと以外は覚えていない。登場したジロー=キカイダーは懐かしいデザイン。それに一応ギターを背中に背負っている。悪役ギル博士に追いかけられる姉弟に三枚目のネットジャーナリストという組み合わせは、当時流行ったそれのような気がして、古き良き伝統的香りを感じる。

それにしてもなんで今頃キカイダー何だろうという感は拭えない。今どきの若者にウケるとも思えないし、かつての子供たちだってあんまり覚えていないだろうし・・・
ストーリーもこの手の映画にしては当然のことながら「突っ込みどころ満載」で、温かい気持ちでないと観ていられない。子供向けのテレビ番組であればそれも当然なのであるが、大人向けの映画のつもりならちょっと厳しいかもしれない。

しかしながら、女性アンドロイドの高橋メアリージュンの「美しい格闘」は十分鑑賞に堪えうるもので、キカイダーが負けたのも無理はない。ギル博士の笛は出てこなくて(代わりに何やらよくわからないものを手から発信していたが)、それが残念であった。せめて最後はすっきり勝ってほしかったのであるが、不完全燃焼感は否めない。何やら続編を思わせるラストであったが、これで続編が創れるのだろうかと思わずにはいられない。

懐かしさもあまりにも古すぎて今さら感だけに終始。苦しいREBOOTと言わざるを得ない一作である・・・


評価:★★☆☆☆





posted by HH at 10:36 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | スーパーヒーロー

2016年05月28日

エクスタント

エクスタント.jpg

原題: Extant
2014年 アメリカ
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ 
出演: 
ハル・ベリー: モリー・ウッズ
ゴラン・ヴィシュニック: ジョン・ウッズ
ピアース・ガニォン: イーサン・ウッズ
真田広之: ヒデキ・ヤスモト
マイケル・オニール: アラン・スパークス
グレイス・ガマー: ジュリー・ジェリノー
カムリン・マンハイム: サム・バートン

<映画.com>
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スティーブン・スピルバーグが製作総指揮を務め、映画「チョコレート」で史上初となるアフリカ系女優としてアカデミー主演女優賞に輝いたハル・ベリーが主演を務めるミステリードラマ。日本を代表する国際派俳優となった真田広之、「ER 緊急救命室」のコバッチュ役で知られるG・ビシュニックらが共演し、13ヶ月の宇宙滞在ミッションを終えて地球に帰還した宇宙飛行士モリー・ウッズの不可解な妊娠を発端に、人類の存亡に関わる陰謀に巻き込まれていく姿を描く。
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普段、観ないといけない映画をたくさん抱えているため、海外ドラマについてはなるべく目をつぶるようにしているのであるが、「スティーブン・スピルバーグ総指揮」といううたい文句と、予告映像によって観てしまったドラマである。

主人公はISEA所属の宇宙飛行士のモリー。13ヶ月に及ぶ宇宙ステーション”セラフィム”での単独滞在ミッションを終えて地球に帰還する。待っていたのは夫のジョンとジョンが中心になって開発し、今や我が子として育てている子供型アンドロイド「ヒューマニクス」のイーサン。13ヶ月ぶりの地球の生活。体調がすぐれないのは重力の影響かと思っていたモリーであるが、友人の医師サムから告げられたのは、「妊娠」という事実。13ヶ月間たった一人で宇宙にいたモリーにはあり得ない事実。

しかし、モリーには思い当たることがある。
ある時、セラフィムに異変が起きる。そしてモリーの前に現れたのは、かつての恋人であり、だが事故死したはずのマーカス。あり得ない現象の連続に、地球に帰還したモリーは真実を調べ始める。一方、そんなモリーの前に、やはり自殺したはずの宇宙飛行士クライガーが表れ、「誰も信じるな」と警告する。

ヤスモト・コーポレーションの代表ヤスモトは、ジョンの研究に出資することにし、ジョンをヤスモトタワーの研究室に招く。ジョンの部下でともにヒューマニクスの開発に携わっているジュリーには、オーディンが偶然を装って近づく。モリーの動きに上司のアランは、ヤスモトの指示を受け密かに動き始める・・・

舞台は近未来の地球で、テクノロジーが進歩し、ヒューマニクスは人間と見分けがつかない出来栄え。開発に携わるジュリーも両足が義足であるが、外見上それとわからない。こういう時代がくれば、パラリンピックも過去のものとなるに違いない。車の自動運転も一般化し、夢の未来社会も実はもうすぐそこに来ている感がある。

ドラマのいいところは、映画と違って時間の制約が緩いところだ。いろいろなエピソードを交えて丁寧に物語が進んでいく。毎回毎回、次はどうなるのかと興味をかき立てられるエンディングで、だから最後まで観てしまったと言えるが、たった一人で宇宙にいたのに妊娠してしまうというストーリー展開は否が応でも惹きつけられる。

いつの間にかストーリーに引き込まれ、全話観てしまった。真田広之も出演していて、主役も『X-MEN』シリーズでお馴染みのハル・ベリーだし、素直に面白いドラマであった。そしてどうやらシーズン2があるようである。ただ、このシーズンで完結感が強いだけにどうなるのだろうという気がしないでもない。観るかどうかはその時の気分次第かもしれない。

たまにはこういうテレビドラマもいいなと思わされるシーズン1である・・・


評価:★★☆☆☆




posted by HH at 15:34 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | TVドラマ

2016年05月22日

クロッシング

クロッシング.jpg

原題: Brooklyn's Finest
2008年 アメリカ
監督: アントワーン・フークア
出演: 
リチャード・ギア:エディ
イーサン・ホーク:サル
ドン・チードル:タンゴ
ウェズリー・スナイプス:キャズ
ウィル・パットン: ホバーツ副署長

<シネマトゥデイ>
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『ザ・シューター/極大射程』のアントワーン・フークア監督による、心揺さぶられるクライム・サスペンス。ニューヨークの犯罪多発地区ブルックリンに身を置く3人の刑事たちが、それぞれのやり方で正義を貫く姿を圧倒的な迫力で見せる。『アメリア 永遠の翼』のリチャード・ギア、『デイブレイカー』のイーサン・ホーク、『アイアンマン2』のドン・チードルら豪華な役者が集結。立場の異なる男たちのストーリーが交錯する、ドラマチックな展開にのめり込む。
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物語の舞台は、犯罪多発地帯NYブルックリン。折から黒人青年を警官が射殺するという事件が起こり、警察は批難をかわすべくイメージアップのための取り締まり強化を図ることにする。その一環として新人教育がエディに言い渡される。エディは退職間近のベテラン警官で、仕事は熱心とはいえず、娼婦を心の拠り所とし空の銃で自殺の真似を繰り返し、どこか荒んでいる。

麻薬捜査官のサルは、子沢山の家族と住んでいる家が原因の病気の妻を抱え、引っ越しを考えている。しかし、警官の給料では支払いが困難で、見つけた家も頭金の納付期限が迫っている。そんな中、あるディーラーを射殺して所持金を奪う。一方、潜入捜査官のタンゴは、妻から離婚を突きつけられ、危険な割に昇進もない仕事に不満を抱えている。そんな時、命の恩人でもあるギャングのボス、キャズが出所してくる。取り締まり強化とイメージアップを図りたい上層部は、キャズの逮捕を仕組むようにタンゴに指示する。

3人の警官の物語がそれぞれ何の関わりもなく、進行していく形式の映画。エディはやる気満々の新人に対し、自らの処世術に基づいて接していくが、「面倒を回避する」というスタンスのそれは到底新人の納得いくものではない。そして退職の日を迎えるが、出入りする娼婦の家の前で、行方不明の女性が何者かに連れて行かれるのを発見する。

麻薬捜査官のサルは、仕事に熱心であるものの、金の必要性に迫られている。妻はハウスダストが原因の肺病を抱え、医師からは転居を勧められているが、そのお金が工面できないのである。真面目に働いても給料は安く、目の前には麻薬で汚れた金が山と積まれている。双子の出産を控え、購入したい家の支払い期限が迫る中、とうとうある決意を固める。

潜入捜査官のタンゴは、ボスのキャズの信任を得て、組織内に深く潜り込んでいる。しかし、そんな生活の結果、妻は離れていく。上司は任務の解除になかなかOKを出さず、昇進もない。そんな中、鼻持ちならない捜査官がキャズ逮捕を仕組むように要求してくる。キャズはタンゴの命の恩人でもあり、いつしか情が移っていたタンゴは乗り気になれない。

そうした3人のドラマがラストで交差する。こうした群像劇は、『ボビー』という映画もあったが、人間至る所でそれぞれのドラマがある現実を考えると、面白いと思う。ラスト近くで、3人が一つの場面でそれと知らずに交差するシーンが象徴的である。個人的には、一番庶民的だったサルの物語に心惹かれるものがあった。人間、家族のためなら道を踏み外すことも厭わないものなのである。

リチャード・ギア演じるエディの行動もよく理解できる。危険な仕事を長年にわたってそれなりにこなしてくるには、「余計なことをしない」というスタンスも必要だったのであろう。それを良しとせず、正義感にはやる新人警官から疎まれ教育係から外されるが、間もなくその新人の殉職が告知される。そうしたやるせなさ、自らの心に眠っている正義感が退職を数日に控えた彼の行動を変える。

どちらも胸に響く物語である。たまたま見つけたものの、この映画は2008年の作品であり、いつの間にか見落としていたことになる。ちょっともったいない気がしたのは事実である。観ても観てもまだまだ観きれないほどたくさんの映画があるが、こういう映画は見落とさないようにしたいものである。
リチャード・ギアとイーサン・ホークとドン・チードルと、さすが大物の迫力と言える内容の映画である・・・


評価:★★☆☆☆




posted by HH at 21:59 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 刑事・探偵・推理ドラマ