
原題: Creed
2015年 アメリカ
監督: ライアン・クーグラー
出演:
マイケル・B・ジョーダン: アドニス・ジョンソン
シルベスター・スタローン: ロッキー・バルボア
テッサ・トンプソン:ビアンカ
フィリシア・ラシャド: メアリー・アン・クリード
アンソニー・ベリュー: “プリティ”・リッキー・コンラン
<映画.com>
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シルベスター・スタローンを一躍スターに押し上げた代名詞『ロッキー』シリーズの新たな物語。ロッキーのライバルであり盟友であったアポロ・クリードの息子アドニス・ジョンソンが主人公となり、スタローン演じるロッキーもセコンドとして登場する。自分が生まれる前に死んでしまったため、父アポロ・クリードについて良く知らないまま育ったアドニスだったが、彼には父から受け継いだボクシングの才能があった。亡き父が伝説的な戦いを繰り広げたフィラデルフィアの地に降り立ったアドニスは、父と死闘を繰り広げた男、ロッキー・バルボアにトレーナーになってほしいと頼む。ボクシングから身を引いていたロッキーは、アドニスの中にアポロと同じ強さを見出し、トレーナー役を引き受ける。アドニス役は「フルートベール駅で」の演技が高く評価されたマイケル・B・ジョーダン。同じく「フルートベール駅で」で注目された新鋭ライアン・クーグラーが監督・脚本。第88回アカデミー賞ではスタローンが助演男優賞にノミネート。スタローンにとっては、『ロッキー』以来のアカデミー賞ノミネートとなった。
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『ロッキー・ザ・ファイナル』で大団円だと思っていたシリーズ。まさかこう言う形で次があるとは思ってもいなかった。でもロッキーが再びリングに上がるというのもなんだし、これはこれで興味を惹かれて迷わず観る。
主人公は、かつてロッキーと死闘を演じたアポロの息子アドニス。それも愛人の息子というおまけつき。ケンカに明け暮れて施設に収容されていたところをアポロの未亡人メリーアンに引き取られる。さすが元チャンピオンの家だけあって、豪邸に住むメリーアン。アドニスは何不自由ない暮らしを送り、まともな仕事にもついている。しかし、心の中でボクシングに対する衝動は抑えられない。
ひっそりとメキシコでリングに上がり、14戦全勝の記録を残す。そして抑えきれない衝動に動かされ、仕事を辞め父のジムに入門を申し入れる。しかし、あっさり断られたアドニスは、反対する母を振り切ってフィラデルフィアへ向かう。そこは亡き父のライバル、ロッキーのいる町。アドニスは、『ロッキー・ザ・ファイナル』でも登場したレストラン「エイドリアン」を訪ねて行く。
そしてロッキーのコーチが始まるのであるが、それはかつてロッキーがミッキーから受けたコーチを受け継ぐもの。鶏を追うトレーニング、そしてフィラデルフィアの街中を走るランニング。どうせなら朝起きて生卵を飲み干してからトレーニングを始めて欲しかったし、肉をサンドバッグに見立てたトレーニングや、ロシアで行ったトレーニングなんかも復活させて欲しかった気がする。
そうして力をつけたアドニスが、やがて英国のスーパースターコンランに目をつけられ、対戦を求められる。ロッキーがアポロから指名されたのに似ている。肝心の試合は、なかなかの迫力。実際のボクシングでは、いいパンチが入ればそれで試合は終わってしまうから、ここまでの殴り合いは映画ならではかもしれない。いずれにせよ、ロッキーのファイトが受け継がれたことは間違いないだろう。
気になるのは今後だろう。単なる『ロッキー』シリーズのスピンアウトで終わるのか、シリーズ最終作となるのか、あるいはこれが新たな『クリード』シリーズの幕開けとなるのか。幕開けとしては、ちょっとインパクトが弱かったかもしれないが、そうなっても面白いと思う。
『エクスペンタブルズ』シリーズでは、まだまだ第一線で活躍しているスタローンも、ロッキーとしては衰えを見せている。その姿にも哀愁を感じさせ、時間の流れを感じさせる。『ロッキー』から40年経っていることを考えると、それも自然であり、かつこれだけ長く続くシリーズも凄いと思う。
その金字塔的なシリーズの一作とするのに問題は全くない。
今後の展開を期待したい映画である・・・
評価:★★★☆☆