2016年07月31日

【アメリカン・ハッスル】My Cinema File 1578

アメリカン・ハッスル.jpg

原題: American Hustle
2013年 アメリカ
監督: デヴィッド・O・ラッセル
出演: 
クリスチャン・ベール:アーヴィン・ローゼンフェルド
ブラッドレイ・クーパー:リッチー・ディマーソ
エイミー・アダムス:シドニー・プロッサー
ジェレミー・レナー:カーマイン・ポリート
ジェニファー・ローレンス:ロザリン・ローゼンフェルド
ロバート・デ・ニーロ:ヴィクター・テレジオ
ルイ・C・K:ストッダード・ソーセン
マイケル・ペーニャ:パコ・ヘルナンデス

<シネマトゥデイ>
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1970年代後半のアメリカを揺るがした政治家などの収賄スキャンダル、アブスキャム事件を題材にしたサスペンスドラマ。自由と引き換えに、FBIが仕掛ける悪徳政治家検挙を狙ったおとり捜査に協力させられる詐欺師たちの姿を、スリリングに映し出していく。メガホンを取るのは、『世界にひとつのプレイブック』などのデヴィッド・O・ラッセル。『ザ・ファイター』などのクリスチャン・ベールを筆頭に、ブラッドリー・クーパー、エイミー・アダムス、ジェニファー・ローレンスら、実力派スターが結集してクセのある登場人物たちを熱演する。
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実際の事件をベースに創られたというこの映画、当初あまり観る気がしなかったのであるが、なぜか大物俳優がこぞって出演していることを知り、急遽観てみようと思ったものである。

主人公は、詐欺師のアーヴィン・ローゼンフェルド。あるパーティで美人のシドニーと知り合い、互いに意気投合。コンビを組んで詐欺を続けるが、FBIのリッチーに逮捕されてしまう。万事休すであったが、他の詐欺師4人を逮捕することを条件とする司法取引を提示される。アーヴィンとシドニーはやむなく、これに応じることにする。

そしてFBIのリッチーの計画で、アラブの富豪を囮にした計画を立てるが、その過程でカジノ建設を計画するカーマイン市長を巻き込むことになり、さらには大物政治家を一網打尽にすることに切り替わる。カジノ建設には利権がらみでマフィアも顔を出し、リッチーの計画は拡大する。冷酷無比のマフィアが絡むことになり、アーヴィンは恐怖を感じるが、後戻りできない窮地に追い込まれていく・・・

主人公のアーヴィンは、ハゲで腹は出たブヨブヨ体型。男としては、魅力度は低く、みすぼらしいものの、なぜかシドニーはそんな彼に惚れる。ブヨブヨ体型の主人公を演じるのが、なんとクリスチャン・ベール。『ザ・ファイター』とは別人のような体型であるが、役作りで本当に太ったとしたら、その俳優魂はやはりすごい。シドニーを演じるのは、エイミー・アダムスで、胸の大きく開いたドレスばかり着て登場、その雰囲気にも圧倒される。

やや独断先行的なFBI捜査官リッチーはブラッドレー・クーパー。『アメリカン・スナイパー』の渋さとは打って変わった役柄。さらにアーヴィンの妻はジェニファー・ローレンスだし、マフィアのボスはロバート・デ・ニーロだし、騙されて嵌められる市長はジェレミー・レナーだしで大物が大挙出演している。これだけで観る価値大である。

特にジェニファー・ローレンスは、崩れた人妻ぶりが『ハンガー・ゲーム』のヒロインとはまったく対照的で、役者とはいえイメージの変貌ぶりはさすがである。ジエレミー・レナーもとても『アベンジャーズ』の一員とは思えない。それぞれ、イメージとは異なった役柄を見事に演じていて、別の魅力を楽しめるとも言える。

ストーリーは、囮捜査や司法取引などアメリカらしいといえばらしいものであるが、それだけで楽しめるものであった。ただ、個人的には決して悪者ではなくて、ただ市政に一生懸命だったように見えたカーマイン市長が気の毒でならなかったところである。ストーリーといい、豪華出演陣といい、十分楽しめた映画である・・・


評価:★★☆☆☆










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2016年07月30日

【MAMA】My Cinema File 1577

MAMA.jpg

原題: Mama
2013年 スペイン・カナダ
監督: アンドレス・ムシェッティ
出演: 
ジェシカ・チャステイン: アナベル
ニコライ・コスター=ワルドー: ルーカス/ジェフリー
ミーガン・シャルパンティエ: ヴィクトリア
イザベル・ネリッセ:リリー
ダニエル・カッシュ: ドレイファス博士
ハビエル・ボテット:ママ

<シネマトゥデイ>
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ゆがんだ母性愛を持つ霊の狂気を描いた新感覚ホラー。アルゼンチン出身の新鋭アンディ・ムスキエティ監督が手掛けた短編作品を、『パンズ・ラビリンス』などで知られるギレルモ・デル・トロ監督の製作総指揮により長編化。謎多き失踪事件から5年ぶりに保護された幼い姉妹を引き取った叔父とその恋人が、不可解な恐怖に襲われる。『ゼロ・ダーク・サーティ』などのジェシカ・チャステイン、『オブリビオン』などのニコライ・コスター=ワルドーらが出演。
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普段あまりホラー映画を観ることはないのだが、なんとなく予告に惹かれて観た映画。ホラー映画を観ないのは、「怖い」からと言うよりも、「怖くないから」といった方が正しい。かつて観た『エクソシスト』のように、心底肝を冷やしめさせるような映画であれば、もっと積極的に観るであろう(たぶん・・・)。そんなわけで、ホラー映画をあえて観ようとするからには、それなりに期待できそうであるからに他ならないが、この映画はそういう意味でまずまず及第点と言っていい映画であった。

投資仲介会社を営むジェフリーは、共同経営者と妻を殺害し、3歳と1歳の娘たちを連れて逃走する。パパに連れられながら、子供心に何か異変が起こっているとは分かりながら、パパについていくしかない。1歳のリリーはともかく、多少理解できる3歳のヴィクトリアの健気さが哀れを誘う。動揺するジェフリーは、運転を誤り事故を起こす。そして森をさまよう中で、一軒の小屋を見つける。世をはかなんだジェフリーは、心中しようとしたのであろう、娘たちを手に掛けようとするが、何者かによって彼自身が殺されてしまう・・・

それから5年後、ジェフリーの弟ルーカスは、行方不明となった兄と娘たちを探し続け、そしてようやく捜索人の手によって小屋の中で生き延びていた姉妹を発見する。姉妹は社会と隔離されて育っており、精神科医ドレイファス博士が対処する。そして博士の協力を得て、ルーカスは恋人アナベルとともに姉妹と暮らし始める・・・

ドレイファス博士の調査によると、姉妹たちは「ママ」という架空の存在を作り出し、たびたび「会話」しているとする。子供は得てしてそういう想像上の遊びをしがちなもの。しかし、ホラー映画ではそれで終わらない。すぐにアナベルは家の中で、得体の知れない何者かの存在を感じ始める。そしてルーカスは、壁から飛び出した何者かのために階段から落下し、意識を失って入院してしまう・・・

要所要所で観ている者の肝を冷やす演出がなされる。不意を突かれることしばしばで、観る者の背筋を寒くする仕掛けが充実していて、なかなかである。やはり選んで正解であったというのが、途中までの感想。姉妹たちが慕う「ママ」の存在もだんだんとわかってくる。ただ、それが姿を表すと、どうにも盛り上がったムードがトーンダウンしてしまう。恐怖の正体としては、なんとも迫力がない。ただ妙にグロテスクなだけなのである。個人的にはこんな姿なら、最後までぼやかしていた方が良かったのではないかと思う。

成り行きとは言え、恋人の子供と3人で暮らすことになったアナベル。刺青をしたロックバンドのミージシャンであるアナベルは、女性とは言え子育てとは無縁の雰囲気。しかし、次第に姉妹と心を通わせていく。特に狼に育てられた少女のごとく、姉のヴィクトリアにしかなつかなかったリリーが、アナベルに心を許す場面はちょっと心が温かくなる。そんなこともあって、姉妹を守る主役がいつの間にかアナベルになっていく。

そしてラストでは、予想外の展開。ハリウッド映画とは異なるテイストにちょっと驚くが、よくよく見ればヨーロッパの映画であり、それでかと納得。ハッピーエンドとは言えないラストにこの映画の渋さが漂う。かえすがえす、霊の正体が残念であった映画である・・・


評価:★★☆☆☆









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2016年07月27日

【8月の家族たち】My Cinema File 1576

8月の家族たち.jpg

原題: August: Osage County
2013年 アメリカ
監督: ジョン・ウェルズ
製作: ジョージ・クルーニー
出演: 
メリル・ストリープ:バイオレット
ジュリア・ロバーツ: バーバラ・ウェストン -バイオレットの長女
ユアン・マクレガー:ビル・フォーダム -バーバラの別居中の夫
クリス・クーパー:チャールズ・エイケン -バイオレットの妹マティの夫
アビゲイル・ブレスリン:ジーン・フォーダム -バーバラとビルの娘
ベネディクト・カンバーバッチ :“リトル”・チャールズ・エイケン -チャールズの息子
ジュリエット・ルイス:カレン・ウェストン -バイオレットの三女
マーゴ・マーティンデイル:マティ・フェイ・エイケン -バイオレットの妹
ダーモット・マローニー:スティーブ・ハイデブレクト -カレンの婚約者
ジュリアンヌ・ニコルソン:アイビー・ウェストン -バイオレットの次女
サム・シェパード:ベバリー・ウェストン -バイオレットの夫
ミスティ・アッパム:ジョナ・モンヴァータ

<シネマトゥデイ>
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メリル・ストリープが病を患うも個性的な母親を演じ、一筋縄ではいかない家族の姿がつづられたヒューマンドラマ。 ピュリツァー賞とトニー賞を受賞した傑作舞台を基に、一家の主の失踪を機に数年ぶりに再会した家族が本音を明かし、秘密がつまびらかになる様子を通し、さまざまな問題を抱える家族のあり方を描く。長女役のジュリア・ロバーツをはじめ、ユアン・マクレガーやクリス・クーパーほか豪華キャストが集結。『カンパニー・メン』などのジョン・ウェルズが監督を務める。秘密を隠し持つ家族を熱演する名優たちの演技合戦に息をのむ。
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ある8月の真夏日、オクラホマの片田舎。一家の主が突然失踪する。それをきっかけに、長女バーバラ、次女アイヴィー、三女カレンの三姉妹が、数年ぶりに実家へ集まってくる。母であるバイオレットは、癌を患っているが誰よりも気が強く、いつでも真実を言うのが正しいと信じている毒舌家。それが病のため様々な薬を併用し、周りに毒を振りまいていく。

長女のバーバラは、夫の浮気と娘の反抗期に悩んでいる。次女の不器用なアイヴィーは、結婚せず地元に残って両親の面倒を見る毎日。婚約者を伴ってきた三女のカレンは、不安を抱えている。かつては一つ屋根の下でくらしていた家族も、それぞれ独立すればそれぞれの家庭と事情が生じるというもの。それを「女帝」バイオレットが暴き出していく。

とにかく、バイオレットの態度は鼻持ちならない。薬でラリっている状態に近いのか、遠慮会釈なく家族に噛みついていく。さらに長女のバーバラは、夫と娘に関する悩みについてずけずけと母親に言われると、カチンときて母親からクスリを没収すべく、取っ組み合いになる。観ていて嫌悪感しか抱けない。そこは御大メリル・ストリープの演技力のなす技なのかもしれない。

また、三女カレンはいかにもおつむもお尻も軽いといった感じで、婚約者スティーブもロクなものではない。バーバラの娘ジーンに大麻を吸わせ、あわよくば口説き落とそうとする有様。娘ジーンは母親に叱られると、父親の浮気を引き合いに出すものだから母親の怒りを買う。思わずビンタして、あちらでもこちらでも火花が飛び散る。

とにかくうだるような暑さは、画面を通しても伝わってくるし(まぁこの時期だからこそかもしれないが)、バイオレットの傍若無人ぶりとそれがもたらす混乱とに、どうも気分が悪くなってくる。原作は何と舞台なのだという。そういえばシチュエーションは、家の中が大半である。舞台で観ればどうなのかはわからないが、映画化されるくらいだから、とても評価は高いのだろう。

観終ってみれば、なるほどそれも頷けるという内容。メリル・ストリープにジュリア・ロバーツにユアン・マクレガーと大物が出演しているだけのことはある。原題はこの家のある郡の名前から取られているようであるが、最後まで頑張って観ればあらゆる意味のよくわかる映画である・・・


評価:★★☆☆☆









posted by HH at 23:22| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月26日

【リベンジ・マッチ】My Cinema File 1575

リベンジ・マッチ.jpg

原題: Grudge Match
2013年 アメリカ
監督: ピーター・シーガル
出演: 
ロバート・デ・ニーロ:ビリー・“ザ・キッド”・マクドネン
シルヴェスター・スタローン:ヘンリー・“レーザー”・シャープ
ケヴィン・ハート:ダンテ・スレート・Jr.
アラン・アーキン:ルイス・“稲妻”・コンロン
キム・ベイシンガー:サリー・ローズ
ジョン・バーンサル:B.J.

<Movie Walker解説>
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シルヴェスター・スタローンとロバート・デ・ニーロというボクシング映画のヒーローを演じた名優たちが、かつてのライバルボクサーとして再びリングに立つ姿を描くアクション。2人が老体に鞭を打ち、体を張った熱演を披露するほか、それぞれの代表作を彷彿とさせるパロディシーンも随所に登場し、笑いを誘う。
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 ピッツバーグのボクシング界。互いに実力者であったヘンリー・“レイザー”・シャープとビリー・“ザ・キッド”・マクドネンは、戦績は2戦して1勝1敗。しかし、雌雄を決する3戦目を前にして、レイザーは突如引退を表明する。それから30年。かつての両者のプロモーターの息子ダンテ・スレートJrは、ボクシングゲームに二人のキャラクターを使おうと画策する。ところが、撮影現場で鉢合わせした両者は、年甲斐もなく乱闘となってしまう。

 そんな両者の乱闘がSNSを中心に世間の話題となり、話はリングでの再戦へと進む。老骨に鞭打ってトレーニングに励む二人であるが、シャープと元恋人サリーは、かつてビリーとベッドを共にし、挙句に息子B.Jを生んでいたことから、二人の遺恨はリング内外に及び、特にビリーは再戦に強い意欲を見せる。二人の決戦はいつの間にか小さなイベントからテレビ放映の試合となっていく・・・

 シルベスター・スタローンとロバート・デ・ニーロと言えば、『ロッキー』と『レイジング・ブル』という代表作がある。当然それを念頭に製作されたのかもしれないが、シャープがトレーナーからトレーニングの指導を受けるにあたり、生卵を何個もグラスに割って入れて一気飲みしたり、牛肉の塊をサンドバック替わりにしようとしたりと、かなり「意識」したシーンが散見される。(『レイジング・ブル』からもあったのかもしれないがちょっとわからなかった)

 そんな「遊び」にも見られるように、この映画はシビアにボクシングの対決を描いていくというよりも、気楽に楽しく「実力者同士」の対決を描いていくといったニュアンスである。観ている方も、果たしてどちらに軍配が上がるのかと興味をそそられる。盛んにシャープを挑発するビリー。それに対し、何となく気乗り薄なシャープ。両者はサリーという女性を巡っても対立する。サリーはシャープに寄り添い、サリーの息子B.Jは実父ビリーのトレーニングを手伝うという対立もある。

 メインはやはりラストでの対決なのであるが、当初は敵意むき出しの対決も、やがて心温まる試合へと変わっていく。試合結果は予測できなかったが、なるほどと思わせるには十分な結果であった。ボクシングシーンの迫力はまずまずだし、演出もなかなかのものであった。エンドロールでは、マイク・タイソンとイベンダー・ホリフィールドが登場し、こちらも遊び心満載であるが、果たして必要あったかどうかは疑問である。

 まぁ、あまり肩ひじ張らず、固い事言わずに気楽に観られるし、気楽に観るべきであろう。それにしても、『ナイン・ハーフ』で魅惑的な女性を演じたキム・ベイシンガーもいつの間にか年をとったなぁと感慨深い。いつの間にかスクリーンのスターたちも年を取っている。そんなことをつくづくと実感させられた映画である・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 20:29| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | スポーツドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月24日

【きいろいゾウ】My Cinema File 1574

きいろいゾウ.jpg

2013年 日本
監督: 廣木隆一
出演: 
宮崎あおい: 妻利愛子(ツマ)
向井理: 武辜歩(ムコ)
本田望結: 幼少時代のツマ
緒川たまき:緑
リリー・フランキー:夏目

<Movie Walker解説>
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西加奈子の同名小説を、本作が初共演となる宮崎あおい&向井理を迎えて映画化した夫婦の愛の物語。背中に大きな鳥のタトゥーのある売れない作家と、犬や花の声が聞こえる不思議な力を持つ女性が結婚。九州の片田舎にやってきた2人にやがて起きる出来事が描かれる。監督は『軽蔑』の廣木隆一。
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とある農村で暮らす若夫婦。都会の喧騒の中で暮らす身としては、こんなのどかな田舎で、可愛い奥さんと暮らすことに、ちょっと憧れを感じてしまう。お互いに「ツマ」「ムコ」と呼び合う若夫婦。そういえば夫のことを「ツレ」と呼ぶ映画があったなぁとなんとなく思い出す。風呂を沸かしたら、いつの間にか入り込んでいた蟹が茹で上がっていたと素っ裸で報告に来るツマ。徹底してのどかでいい。

ムコは売れない小説家で、生活のために介護施設に勤めている。そんな二人の家には、近所に住む荒地さんがやってきて、ツマが差し出すビールを飲みながら痴呆症の妻の様子を語る。濃厚な人間関係の田舎らしい風景だ。さらに近所には不登校になってしまった少年大地がいて、ツマにほのかな憧れ心を抱きつつ、都会で負った心の傷を癒している。そんなある日、ムコの下に差出人のない手紙が届く。不思議なことにムコはその手紙を読もうとしない。

ムコがツマを海に連れ出すが、仲よかった二人は、手紙のこともあって喧嘩となる。なんとなく手紙からは女の匂いが漂ってくる。誰もいない浜辺でムコは、かつて大好きだった親戚の「ない姉ちゃん」が自殺してしまった話をする。ムコは毎晩小説を書いているが、それと合わせて日記も記している。ツマはその日記を読んでしまう・・・

ほのぼのとした夫婦のほのぼのした展開に、夜中に観ていたら何度も居眠りしそうになる。こうした映画には、それなりに味わいというものがあって、それをどう味わうかは人それぞれ。個人的には、普段数多くの映画を観ているせいもあって、こういう映画もいいとは思うが、「映画館に行って観たい」というレベルではない。あまりにも静かすぎる。

ムコさんの背中には立派な鳥の刺青があるのだが、それは手紙とも関連していて、少しだけドラマチックな展開になったりする。タイトルは、ツマが子供の頃、入院していた病院のベッドで読んでいた絵本のこと。所々で幼少期のツマときいろいゾウが語り合う。ツマは木や虫の声が聞けるらしく、月に向かってお願いしたりとやっぱり静かな展開が続く。

青い空と木や草が当たり前のように周りにあって、虫の声が語りかけてくるように身近にある。ゆったりとした暮らしは、都会から比べれば退屈なのだろうが、安らぎに溢れている気がする。やはり人間は多少不便でも、ある程度自然に囲まれて生きるのがいいのではないかと思わざるをえない。映画のストーリーよりも、そんなところに目が行き、心が動いたのであった。

ムコとツマのほのぼのとした様子と、のんびりした田舎の景色に心が和まされた映画である・・・


評価:★★☆☆☆






posted by HH at 17:18| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする