
原題: American Hustle
2013年 アメリカ
監督: デヴィッド・O・ラッセル
出演:
クリスチャン・ベール:アーヴィン・ローゼンフェルド
ブラッドレイ・クーパー:リッチー・ディマーソ
エイミー・アダムス:シドニー・プロッサー
ジェレミー・レナー:カーマイン・ポリート
ジェニファー・ローレンス:ロザリン・ローゼンフェルド
ロバート・デ・ニーロ:ヴィクター・テレジオ
ルイ・C・K:ストッダード・ソーセン
マイケル・ペーニャ:パコ・ヘルナンデス
<シネマトゥデイ>
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1970年代後半のアメリカを揺るがした政治家などの収賄スキャンダル、アブスキャム事件を題材にしたサスペンスドラマ。自由と引き換えに、FBIが仕掛ける悪徳政治家検挙を狙ったおとり捜査に協力させられる詐欺師たちの姿を、スリリングに映し出していく。メガホンを取るのは、『世界にひとつのプレイブック』などのデヴィッド・O・ラッセル。『ザ・ファイター』などのクリスチャン・ベールを筆頭に、ブラッドリー・クーパー、エイミー・アダムス、ジェニファー・ローレンスら、実力派スターが結集してクセのある登場人物たちを熱演する。
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実際の事件をベースに創られたというこの映画、当初あまり観る気がしなかったのであるが、なぜか大物俳優がこぞって出演していることを知り、急遽観てみようと思ったものである。
主人公は、詐欺師のアーヴィン・ローゼンフェルド。あるパーティで美人のシドニーと知り合い、互いに意気投合。コンビを組んで詐欺を続けるが、FBIのリッチーに逮捕されてしまう。万事休すであったが、他の詐欺師4人を逮捕することを条件とする司法取引を提示される。アーヴィンとシドニーはやむなく、これに応じることにする。
そしてFBIのリッチーの計画で、アラブの富豪を囮にした計画を立てるが、その過程でカジノ建設を計画するカーマイン市長を巻き込むことになり、さらには大物政治家を一網打尽にすることに切り替わる。カジノ建設には利権がらみでマフィアも顔を出し、リッチーの計画は拡大する。冷酷無比のマフィアが絡むことになり、アーヴィンは恐怖を感じるが、後戻りできない窮地に追い込まれていく・・・
主人公のアーヴィンは、ハゲで腹は出たブヨブヨ体型。男としては、魅力度は低く、みすぼらしいものの、なぜかシドニーはそんな彼に惚れる。ブヨブヨ体型の主人公を演じるのが、なんとクリスチャン・ベール。『ザ・ファイター』とは別人のような体型であるが、役作りで本当に太ったとしたら、その俳優魂はやはりすごい。シドニーを演じるのは、エイミー・アダムスで、胸の大きく開いたドレスばかり着て登場、その雰囲気にも圧倒される。
やや独断先行的なFBI捜査官リッチーはブラッドレー・クーパー。『アメリカン・スナイパー』の渋さとは打って変わった役柄。さらにアーヴィンの妻はジェニファー・ローレンスだし、マフィアのボスはロバート・デ・ニーロだし、騙されて嵌められる市長はジェレミー・レナーだしで大物が大挙出演している。これだけで観る価値大である。
特にジェニファー・ローレンスは、崩れた人妻ぶりが『ハンガー・ゲーム』のヒロインとはまったく対照的で、役者とはいえイメージの変貌ぶりはさすがである。ジエレミー・レナーもとても『アベンジャーズ』の一員とは思えない。それぞれ、イメージとは異なった役柄を見事に演じていて、別の魅力を楽しめるとも言える。
ストーリーは、囮捜査や司法取引などアメリカらしいといえばらしいものであるが、それだけで楽しめるものであった。ただ、個人的には決して悪者ではなくて、ただ市政に一生懸命だったように見えたカーマイン市長が気の毒でならなかったところである。ストーリーといい、豪華出演陣といい、十分楽しめた映画である・・・
評価:★★☆☆☆