2016年08月30日

オデッセイ

オデッセイ.jpg


原題: The Martian
2015年 アメリカ
監督: リドリー・スコット
出演: 
マット・デイモン:マーク・ワトニー
ジェシカ・チャステイン:メリッサ・ルイス
マイケル・ペーニャ:リック・マルティネス
ケイト・マーラ:ベス・ヨハンセン
ショーン・ビーン:ミッチ・ヘンダーソン
キウェテル・イジョフォー:ビンセント・カプーア
ジェフ・ダニエルズ:テディ・サンダース

<シネマトゥデイ>
********************************************************************************************************
『グラディエーター』などのリドリー・スコットがメガホンを取り、『ボーン』シリーズなどのマット・デイモンが火星に取り残された宇宙飛行士を演じるSFアドベンチャー。火星で死亡したと思われた宇宙飛行士が実は生きていることが発覚、主人公の必死のサバイバルと彼を助けようとするNASAや乗組員たちの奮闘が描かれる。共演は、『ゼロ・ダーク・サーティ』などのジェシカ・チャステインや『LIFE!/ライフ』などのクリステン・ウィグなど。スコット監督による壮大なビジュアルや感動的なストーリーに注目。
********************************************************************************************************

 物語の舞台は近未来の地球。すでに人類は火星への有人飛行を成功させ、火星上ではアレス3という名の有人探査活動が行われている。そんな時、火星上で大嵐が発生。クルーはミッションを放棄して火星からの脱出を図るが、その際、強風で飛ばされたアンテナがぶつかり、マーク・ワトニーの行方が分からなくなる。残りのクルーの安全確保を優先し、船長のメリッサは苦渋の決断でマークを残して火星を離脱する。

 しかし、死んだと思われたマークは一命を取り留め一人基地に戻る。NASAとの通信手段はなく、食料の備蓄は1ヶ月分。次の探査ロケットのアレス4が火星に来るのは4年後。絶望的な状況下、マークは次のアレス4までの4年間のサバイバルの覚悟を決め、必要な手を打ち始める。まずは備蓄食料にジャガイモがあることを発見。それで食料の生産を計画する。そして生産に必要な水と肥料の確保方法を考える。

 一方、地球上ではマークの葬儀が盛大に行われる。そしてNASAでは衛星制御のエンジニアが火星基地の変化に気がつき、マークの生存を確信する。すぐに救出ミッションの策定が始まるが、現地の状況がわからない。救助チームを送り込めるのは急いでも数ヶ月の時間を要し、その間食料の備蓄は尽きるだろうし、生存の可能性は低くなる。長官以下は難しい判断を迫られる。

 マット・デイモン主演ということで、期待していた映画。予測できない突発的事態の発生により火星に一人取り残されてしまった主人公のマーク。状況は絶望的。しかし、ここからサバイバルが始まる。身の回りのモノを活かし、植物学者としての知識を総動員する。備蓄から見つけたジャガイモを栽培する事を考え、水を生成し、肥料はメンバーのトイレの排泄物を利用する。このあたりは、なかなか見ていて感心させられる。

 さらに、マークの生存に気付いたNASAのスタッフと、何とかNASAにコンタクトを取ろうとするマークの工夫。かつて送り込まれたマーズ・パスファインダーの存在を思い出し、探し出す。そしてその通信機能を回復させて地球との通話に成功する。救援物資の輸送ロケットの打ち上げに失敗するNASA。そこに手を差し伸べたのは中国国家航天局。ここでわざとらしく出てくる中国。このあたり、経済力にモノを言わせてハリウッドにも勢力を伸ばす中国の勢いなのだろう。

 トラブルとその救助というスタイルは、映画でも様々に描かれているが、それがとうとう火星まで行ったという形。宇宙空間となると時間と空間、無重力といった制約条件が生じてくるが、それらをうまく活かし、ハラハラドキドキ、そして最後はちょっと感動的な物語に仕上がっている。映画を観ながら、『ゼロ・グラビティ』など、過去に観た宇宙モノの映画がさまざま脳裏に浮かぶ。

「オデッセイ」というタイトルだが、これは邦題で、原題は「The Martian(火星人)」。これはどうみてもスタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」の原題「2001: A Space Odyssey」を意識したものだろう。大概どうしようもない邦題が多い中、ちょっとしたセンスを感じさせるタイトルである。

 ストーリーといい、豪華出演陣といい、満足できる映画である・・・


評価:★★★☆☆






posted by HH at 21:27 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | SF/近未来ドラマ

2016年08月29日

複製された男

複製された男.jpg

原題: Enemy
2013年 カナダ・スペイン
監督: ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演: 
ジェイク・ギレンホール:アダム/アンソニー
メラニー・ロラン:メアリー
サラ・ガドン:ヘレン
イザベラ・ロッセリーニ:キャロライン

<シネマトゥデイ>
********************************************************************************************************
ノーベル文学賞作家でポルトガル出身のジョゼ・サラマーゴの小説を実写化したミステリー。至って普通の日々を送ってきた教師が、ある映画に自分と酷似した男が出ているのを見つけたことから思わぬ運命をたどっていく。メガホンを取るのは、『灼熱の魂』『プリズナーズ』などのドゥニ・ヴィルヌーヴ。キャストには『ブロークバック・マウンテン』などのジェイク・ギレンホール、『マイ・ファミリー/遠い絆』などのメラニー・ロランら実力派が集う。全編を貫く不穏なムード、幻惑的な物語、緻密な映像が混然一体となった世界観に引きずり込まれる。
********************************************************************************************************

 大学の歴史講師アダムは、独身で時折訪ねてくるメアリーと食事をし、ベッドを共にする生活を送っている。ある日、同僚から勧められて何気なく鑑賞した映画の中に自分と瓜二つの俳優を見つける。興味を持ったアダムはその俳優アンソニーについて調べ始める。やがて驚くほど自分に似ていることが気になり、思い切って本人に連絡をする。

 アンソニーには妻ヘレンがおり、妊娠6ヶ月ではあるが、どうやらアンソニーの浮気が原因でヘレンは何かにつけてアンソニーに疑惑の目を向けている。アダムの存在を知ったヘレンは、密かに大学へ行きアダムを見つける。驚くほど夫と似ていることにヘレンも驚く。そしてアンソニーとホテルの一室で会ったアダムは、体の傷まで一致していることに恐怖を抱きその場を去る・・・

 タイトルからして何やら『シックスデイ』のようなクローン社会を創造していたのであるが、実際は全く異なる。冒頭から怪しげなクラブが出てくる。女性がステージでいかがわしいショーをするようなところである。そしてなぜか蜘蛛がそこに描かれる。画面はなんとなくセピア色風であり、映画全体が何かを暗示しているかのようである。

 しかし、クローンなどというSF的な展開は欠片もなく、単に自分と恐ろしいくらい似ている赤の他人と出会う話である。ここまで似ていると、「恋人交換」のようなこともできてしまうなぁとよくない想像をしていたら、アンソニーも同じことを考え、アダムを脅して服と車を借りるとメアリーを連れ出す。そしてアダムは逆にアンソニーの自宅へ行き、ヘレンと何気ない夫婦の会話を始める。

 非常に興味深い展開が続いていたのであるが、ラストは唐突に訪れる。メアリーを連れ出したアンソニーに起こった出来事から、その後の面白そうな展開を期待していたことから一転、「ナンダコレハ」という疑惑に包まれる。大概、こういう映画は何かを意味しているものであるが、ネットで調べてみるとどうやらアダムとアンソニーは妄想の中で別人化した同一人物らしい。そんなの映画の中でわからなければ何の意味もない。

 原作となる本があるようで、ひょっとしたらそちらを読めばもっと詳しくて面白いのかもしれない。しかし、映画だけを観ていると全くわからない。個人的には、映画だけで面白さがわからないものはダメと考えているので、これはもう駄作としか言いようがない。途中まで良かっただけに残念である。関係者はそれなりに考えて「芸術作品」を創っているのだろうし、わからないヤツは通ではないと考えているのかもしれないが、あくまでも素人が普通に観る立場から言えば、面白くも何ともない。これを観て面白いと言っている人間は、ただ映画通を気取っているだけだろう。

製作者のマスターベーション映画である・・・


評価:★☆☆☆☆





posted by HH at 21:11 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリー

2016年08月27日

ザ・ホスト 美しき侵略者

ザ・ホスト 美しき侵略者.jpg

原題: The Host
2013年 アメリカ
監督: アンドリュー・ニコル
出演: 
シアーシャ・ローナン:メラニー・ストライダー/ワンダラー(ワンダ)
ジェイク・アベル:イアン・オシェイ
マックス・アイアンズ:ジャレド・ハウ
フランシス・フィッシャー:マギー・ストライダー
チャンドラー・カンタベリー:ジェイミー・ストライダー
ダイアン・クルーガー:シーカー/レイシー
ウィリアム・ハート:ジェブ・ストライダー
ボイド・ホルブルック:カイル・オシェイ

<Movie Walker解説>
********************************************************************************************************
吸血鬼と少女との恋を描いた『トワイライト』シリーズを生み出したステファニー・メイヤーのSF小説を、「ガタカ」『TIME/タイム』のアンドリュー・ニコル監督が映画化。人間に寄生し身も心も乗っ取る知的生命体の侵略に遭い、人類が絶滅の危機に瀕する近未来を舞台にしている。知的生命体に寄生されながら人間としての意思や記憶を持つ美しい女性を、『つぐない』で第80回アカデミー賞助演女優賞にノミネートされ、『ラブリーボーン』でも高い評価を受けたシアーシャ・ローナンが演じる。ほか、『赤ずきん』のマックス・アイアンズ、『蜘蛛女のキス』のウィリアム・ハート、『ナショナル・トレジャー』のダイアン・クルーガーらが出演。
********************************************************************************************************

 近未来、人類はソウルと呼ばれる宇宙から飛来した侵略者に肉体を乗っ取られ、絶滅寸前である。知的生命体の脳に寄生するソウルに対し、わずかに生き残った人類はレジスタンスとなって反攻の機会をうかがっていた。

 レジスタンスの少女、メラニーはシーカーと呼ばれる人間狩りに従事するソウルに追い詰められ、ビルから身を投げる。辛うじて一命を取りとめるが、メラニーはワンダラーという名のソウルを寄生させられてしまう。ソウルが寄生すると人間の意識は消えてしまうが、メラニーの精神は抵抗力を有し、メラニーの肉体の中で、ワンダラーとメラニーとが併存することになる。

 仲間のシーカーからメラニーの記憶を引き出すように命じられたワンダラーだが、メラニーの強い意思に接するうちに次第にメラニーに同調するようになる。シーカーの隙をついて脱出したメラニーとワンダラーは、レジスタンスがこもる砂漠の施設に辿りつく。ソウルに憑依されたメラニーを今度はレジスタンスが殺そうとする。何とか叔父のジェブに救われたメラニー&ワンダラーは、自ら何をすべきなのか試練に直面する・・・

 地球が異星人に侵略されるというストーリーは珍しいものではない。そしてこの映画は、すでに大半の人類が侵略されてしまっている状況から出発する。異星人たちは人間の体内に寄生し、これと同調する。外見からはわからない。映画的にかろうじて目が光っている事でそれと分かる程度である。そして「生き残った」人類は地下に潜ってレジスタンスを続けている。

 体を乗っ取られた人間は、異星人の意のままに動く。もともとの本人の意思は失われている。そして異星人(に乗り移られた)の人間たちは秩序正しく行動している。交通ルールも守り、互いに譲り合う。事故も起こらないし、争いもない。見事に理想社会が成立しているのは皮肉に思われる。

 されど、生き残った人類は抵抗する。主人公はこれぞ美形の代表と言えるシアーシャ・ローナン。個人的には、『ラブリーボーン』『ハンナ』がなんといってもお気に入りである。見ているだけで満足出来る女優さんである。
そしてワンダラーの協力もあり、人類は復活への兆しが現れる。それがいいか悪いかは別として・・・

 どういう経緯で侵略されてしまったのか、そして映画の続きはどうなるのか。ちょっと知りたくなるストーリー。「美しき侵略者」という邦題のサブタイトルが珍しくいいと感じる。シアーシャ・ローナンとストーリーとを堪能できる映画である・・・


評価:★★☆☆☆





posted by HH at 14:27 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | SF/近未来ドラマ

2016年08月22日

怪しい彼女

怪しい彼女.jpg

原題:수상한 그녀、英題:Miss Granny
2014年 韓国
監督: ファン・ドンヒョク
出演: 
シム・ウンギョン: オ・ドゥリ
ナ・ムニ: オ・マルスン
イ・ジヌク: ハン・スンウ
ジニョン: パン・ジハ
パク・イナン: パク氏

<シネマトゥデイ>
********************************************************************************************************
『王になった男』などのシム・ウンギョンと『ハーモニー 心をつなぐ歌』などのベテラン、ナ・ムニが二人一役を熱演する心温まるファンタジー。70歳の老女が突然20歳の自分に若返ってしまったことから巻き起こる珍騒動を、爆笑と感動の涙で盛り上げていく。『トガニ 幼き瞳の告発』などのファン・ドンヒョク監督が、本作ではがらりと趣を変え新境地を開拓。キュートな容貌とは裏腹に、相手構わず罵声を浴びせる怖いもの知らずのヒロインの魅力のとりこになる。
********************************************************************************************************

主人公のマンスルは、押しが強く、身の回りにいたら間違いなく関わりたくないと思うタイプのおばあさん。女手一つで一人息子を育て上げ、今や国立大学の教授になった息子が自慢の種。昔からマンスルを慕うジヌクと老人施設を手伝う日々だが、ここでも喧嘩が絶えない。家でも遠慮なくあたるため、嫁はとうとう体調を崩して入院してしまう有様。

そんなある日、ふと入った「青春写真館」で写真を撮ったマンスルは、いつの間にか自分が20歳に若返っていることに気付く。戸惑いながらもパクの家に下宿し、憧れのオードリー・ヘップバーンをもじって、オ・ドゥリと名乗る。もともと歌が好きで、ふとしたきっかけで孫のバンドのヴォーカルになる。そして、新人歌手を探すプロデューサーのジヌクの目に止まる。ジヌクの引立てにより、バンドは飛躍の転機をつかむ・・・

「若者が羨ましい」というのは、それなりの年齢に達した者なら誰しも思うであろう。年をとれば筋肉は衰え、気がつけば文字が読みにくくなり、これが老眼かと実感した時はなんとも言えない気分であった。精力の衰えは男としての自信喪失にも繋がりかねず、なんとか踏みとどまろうと人は足掻く。20代の体に戻れたら、また本格的にラグビーをやりたいと個人的には思うが、誰でもそんな思いは抱くであろう。齢70を超えてそんなありえない事態が実現したら、人はどうするだろう。

この映画の主人公マンスル婆さんは、もう恥も外聞も関係ない高齢者。音楽ばかりやっている息子の身を案じ、小言を言う母親に対し、孫を庇ってこずかいを与えるマンスル。嫁など眼中にない小姑振りは、嫁の立場からしたら気の狂わんばかりであろう。料理の味付けに対する文句も日常で、嫁のストレスもよくわかる。まさに傍若無人という言葉が当てはまる。

それが突然若くなるのであるが、中身はそのまま。したがって、物怖じしない発言は可愛らしい外見とはアンマッチ。しかし、積んできた人生経験は伊達ではなく、それが若者の歌に「魂がない」と嘆くプロデューサーの心に響く歌となる。実際、乳飲み子を抱えて夫に先立たれたマンスルの若き日々は、なかなかどうして涙を誘うものがある。

「ある日突然おばあさんが若返ったら」というありえない事態を描いたこの映画、基本はコメディタッチであるが、随所で目頭を熱くさせるところがある。憎々しい婆さんでも、その生きてきた人生には、誰もが文句を言えない苦労があったりする。この映画は日本でもリメイクされているが、なんと中国やベトナムでもリメイクされているという。韓国でも大ヒットしたというし、それだけのモノがある映画である。

現実にはありえない夢を見せてくれるのも映画の魅力。是非とも日本版を観てみたいと思わずにはいられない。また一本取られた感のある韓国映画である・・・


評価:★★☆☆☆





posted by HH at 21:08 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国映画

2016年08月21日

誰も守れない/誰も守ってくれない

誰も守ってくれない.jpg

2008年 日本
監督: 君塚良一
出演: 
佐藤浩市: 勝浦卓美
志田未来: 船村沙織
松田龍平: 三島省吾
佐野史郎: 坂本一郎
柳葉敏郎: 本庄圭介
石田ゆり子: 本庄久美子
木村佳乃: 尾上令子

<シネマトゥデイ>
********************************************************************************************************
殺人犯の妹になった少女と、彼女を保護する刑事の逃避行を通じて日本社会の理不尽さを問う社会派ドラマ。『踊る大捜査線』シリーズの脚本を手掛けた君塚良一が脚本と監督を兼ね、過熱するマスコミ報道と容疑者家族の保護をテーマにした問題作を撮り上げた。兄の逮捕で世間から糾弾される少女に志田未来、彼女を守る刑事に佐藤浩市。手持ちカメラの擬似ドキュメンタリー手法が非情な社会感情を浮き彫りにし、観る者の心に迫る。
********************************************************************************************************

本編の映画の公開に合わせ、テレビでその前編となるドラマを放映するという手法は、いろいろな映画で行われていると思う。個人的に記憶しているのは、『HERO』だろうか。映画とドラマと両方楽しめる効果もあるが、時間の短い映画の欠点を補うという効果もあると思う。この映画も、本編である『誰も守ってくれない』と前編にあたる『誰も守れない』とのドラマと映画のコンビである。

前編にあたるドラマでは、ある企業の人物が暴漢に襲われ、「家族も覚悟しろ」と言い残していったことから、警察は家族の警護を始める。娘の令子を警護することになったのは刑事の勝浦。実は勝浦は3年前のある事件で心に傷を負っており、一度カウンセリングに行ったが、そのとき担当した医師が令子であった。警護に反発する令子。一方で、勝浦の相棒の三島は、令子の医院に訪れる不審人物に気がつく・・・

前編のドラマは一件落着するが、ラストで幼い姉妹が18歳の若者に刺殺されるという事件が発生し、世間は騒然となる。そんな前編のラストを受けて、本編の物語が始まる。犯人はすぐに逮捕されるものの、自宅はマスコミが取り囲む。呆然とする家族を前に、警察の「加害者家族保護」のプログラムが始動する。慌ただしく形式的な離婚手続きを行い、家族全員が妻の姓に変わる。

所轄の勝浦は、三島とともに娘の保護を命じられる。娘を連れ出すも、車はマスコミの車両の追跡を受け、手配したホテルには情報を嗅ぎつけたマスコミが押し寄せる。思い余った勝浦は、マスコミの追撃を振り切り、娘の沙織を自宅へと連れ帰る。勝浦の家族は妻が娘を連れて家を出ており、勝浦は沙織のために令子に助けを求める。

前編のドラマを観ていれば、勝浦と令子の関係も良くわかり、勝浦がなぜ沙織のために令子を呼んだのかがわかる。だが、映画だけだとピンとこないかもしれない。そして勝浦と上司の微妙な関係。勝浦は三島に冗談半分に「シャブ漬けにするぞ」と言うが、この意味も前編のドラマを観ていないとわからない。3年前のある事件と勝浦への影響もわからないだろう。よくよく考えてみれば、前編のドラマを観ていないと、本編の映画もわからない部分が多いかもしれない。たまたま続けて観たからよかったものの、本編の映画を観るならその前に前編のドラマも観ておきたい。

本編の映画は、加害者の保護がテーマになっている。加害者の家族というのも微妙な立場だ。世間からは加害者と同一視され、非難はされても同情は得にくい。一方で、突然降りかかった思いもかけない災難は、被害者家族にも通じるものがある。事実、加害者の船村家にはマスコミが大挙して押し寄せ、おそらくあたりは騒然としてご近所もかなりの迷惑だろう。

実際に同じことをするのかどうなのかわからないが、警察は「保護」という名目で夫婦に対し離婚・再婚の手続きを行い、合法的に姓を変更する。事件は真実なのかと混乱する中、無理に手続きを促され、夫婦の心情はいかにと思わせられる。そして何よりも中学生の娘も、通学できなくなることを告げられ、携帯には友人たちからの興味本位のメールが殺到する。

ネットでは本来匿名にされるはずの犯人の名前が特定され、公開される。さらには家族も写真まで公開される。犯人に対する憎しみは家族にも及び、さらに保護している警察への非難から担当の勝浦までもが家族情報を含めて公開されてしまう。今や絵空事ではなく、犯人の名前程度ならすぐにネットに情報が流出しているわけであり、歯止めの効かない恐ろしさがある。実際はみんな匿名をいいことに、コソコソ動いているだけのネット住人で、映画のような現実はあまりないと思うが、それにしても現代社会というものを改めて考えさせられる。

ストーリー的な面白さでいけば、正直言ってイマイチである。ただ、問題提起という意味では、先端を行くドラマかもしれない。どうなるかと思われた大騒動も意外な決着をみる。それもまた現代のネット社会の特徴かもしれない。いろいろと感じさせてくれる映画である・・・


評価:★★☆☆☆





posted by HH at 21:38 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 刑事・探偵・推理ドラマ