
原題: The Martian
2015年 アメリカ
監督: リドリー・スコット
出演:
マット・デイモン:マーク・ワトニー
ジェシカ・チャステイン:メリッサ・ルイス
マイケル・ペーニャ:リック・マルティネス
ケイト・マーラ:ベス・ヨハンセン
ショーン・ビーン:ミッチ・ヘンダーソン
キウェテル・イジョフォー:ビンセント・カプーア
ジェフ・ダニエルズ:テディ・サンダース
<シネマトゥデイ>
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『グラディエーター』などのリドリー・スコットがメガホンを取り、『ボーン』シリーズなどのマット・デイモンが火星に取り残された宇宙飛行士を演じるSFアドベンチャー。火星で死亡したと思われた宇宙飛行士が実は生きていることが発覚、主人公の必死のサバイバルと彼を助けようとするNASAや乗組員たちの奮闘が描かれる。共演は、『ゼロ・ダーク・サーティ』などのジェシカ・チャステインや『LIFE!/ライフ』などのクリステン・ウィグなど。スコット監督による壮大なビジュアルや感動的なストーリーに注目。
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物語の舞台は近未来の地球。すでに人類は火星への有人飛行を成功させ、火星上ではアレス3という名の有人探査活動が行われている。そんな時、火星上で大嵐が発生。クルーはミッションを放棄して火星からの脱出を図るが、その際、強風で飛ばされたアンテナがぶつかり、マーク・ワトニーの行方が分からなくなる。残りのクルーの安全確保を優先し、船長のメリッサは苦渋の決断でマークを残して火星を離脱する。
しかし、死んだと思われたマークは一命を取り留め一人基地に戻る。NASAとの通信手段はなく、食料の備蓄は1ヶ月分。次の探査ロケットのアレス4が火星に来るのは4年後。絶望的な状況下、マークは次のアレス4までの4年間のサバイバルの覚悟を決め、必要な手を打ち始める。まずは備蓄食料にジャガイモがあることを発見。それで食料の生産を計画する。そして生産に必要な水と肥料の確保方法を考える。
一方、地球上ではマークの葬儀が盛大に行われる。そしてNASAでは衛星制御のエンジニアが火星基地の変化に気がつき、マークの生存を確信する。すぐに救出ミッションの策定が始まるが、現地の状況がわからない。救助チームを送り込めるのは急いでも数ヶ月の時間を要し、その間食料の備蓄は尽きるだろうし、生存の可能性は低くなる。長官以下は難しい判断を迫られる。
マット・デイモン主演ということで、期待していた映画。予測できない突発的事態の発生により火星に一人取り残されてしまった主人公のマーク。状況は絶望的。しかし、ここからサバイバルが始まる。身の回りのモノを活かし、植物学者としての知識を総動員する。備蓄から見つけたジャガイモを栽培する事を考え、水を生成し、肥料はメンバーのトイレの排泄物を利用する。このあたりは、なかなか見ていて感心させられる。
さらに、マークの生存に気付いたNASAのスタッフと、何とかNASAにコンタクトを取ろうとするマークの工夫。かつて送り込まれたマーズ・パスファインダーの存在を思い出し、探し出す。そしてその通信機能を回復させて地球との通話に成功する。救援物資の輸送ロケットの打ち上げに失敗するNASA。そこに手を差し伸べたのは中国国家航天局。ここでわざとらしく出てくる中国。このあたり、経済力にモノを言わせてハリウッドにも勢力を伸ばす中国の勢いなのだろう。
トラブルとその救助というスタイルは、映画でも様々に描かれているが、それがとうとう火星まで行ったという形。宇宙空間となると時間と空間、無重力といった制約条件が生じてくるが、それらをうまく活かし、ハラハラドキドキ、そして最後はちょっと感動的な物語に仕上がっている。映画を観ながら、『ゼロ・グラビティ』など、過去に観た宇宙モノの映画がさまざま脳裏に浮かぶ。
「オデッセイ」というタイトルだが、これは邦題で、原題は「The Martian(火星人)」。これはどうみてもスタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」の原題「2001: A Space Odyssey」を意識したものだろう。大概どうしようもない邦題が多い中、ちょっとしたセンスを感じさせるタイトルである。
ストーリーといい、豪華出演陣といい、満足できる映画である・・・
評価:★★★☆☆