2016年11月26日

【ニード・フォー・スピード】My Cinema File 1634

ニード・フォー・スピード.jpg

原題: Need for Speed
2014年 アメリカ
監督: スコット・ワウ
出演: 
アーロン・ポール:トビー・マーシャル
ドミニク・クーパー:ディーノ・ブルースター
イモージェン・プーツ:ジュリア・マッドン
スコット・メスカディ:ベニー
ラミ・マレック:フィン
ラモン・ロドリゲス:ジョー・ペック
ハリソン・ギルバートソン:リトル・ピート
ダコタ・ジョンソン:アニータ
マイケル・キートン:モナーク

<シネマトゥデイ>
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世界的な人気レーシングカーゲームを原案にしたカーアクション。天才レーサーが自分を裏切り陥れたかつての相棒に復讐すべく、危険な公道レースに挑む。『ネイビーシールズ』などのスコット・ウォーが監督を務め、フォード・マスタングやランボルギーニなど世界のスーパーカーが多数登場し迫力のレースシーンが展開。テレビドラマ「ブレイキング・バッド」シリーズなどのアーロン・ポールを筆頭に、『17歳の肖像』などのドミニク・クーパーらが共演する。
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 近年、ゲームをベースにした映画が数多く製作されているが、この映画も元はレースゲームだという。

 主人公のトビーは、父親の残した自動車整備工場を経営しながら、夜になれば非合法のストリート・レースに興じる若者。しかし、整備工場の経営は悪化していて、ローンの返済も滞る状況。そんな中、ライバルとも言えるディーノから、ムスタングの改造を持ちかけられる。報酬は、ムスタングの売却価格の1/4であり、売却価格は200万ドルを下らないと保証され、トビーはこれを受ける。

 実はディーノは、トビーの元恋人アニータと婚約しており、いけ好かないディーノは、トビーの仲間たちも嫌っている。改造を仕上げ、見事270万ドルで売却叶ったトビーだが、ディーノの挑発に乗ってレースを受ける。トビーの弟分のピートも加わってレースが始まるが、ディーノの仕掛けた接触事故でピートの車は炎上。金の力で自らの関与を隠蔽したディーノをよそに、トビーは収監されてしまう。

 2年後、仮出所したトビーは、ディーノへの復讐心に燃える。舞台として選んだのは、ディーノが熱を上げるストリート・レース「デレオン」。優勝者は、出場車を全て総取りできるとあり、一攫千金を狙う投資家も絡んで盛り上がるレース。トビーはムスタングを買った投資家を口説いてムスタングを借り受ける。なぜか女性ディーラーのジュリアも同乗し、東海岸からカリフォルニアを目指し、ムスタングは疾走する。

 レースを扱った映画というものは珍しくないが、公道でのレースとなり、しかもサイドストーリーが諸々あるとなると、『ワイルド・スピード』シリーズを彷彿とさせられる。この映画も、公道を爆走しながら、トビーとディーノのライバル対決が縦軸に描かれていく。レースの腕もさることながら、一人の女性を巡り、そして敵討ちが絡むとなると、その対決も盛り上がるというものである。

 そしてそういう人間ドラマももちろんなのであるが、レースものである以上、レースの迫力というものも必要になる。この映画では、あまり詳しくないのでわからないが、かなり高級なスポーツカーがふんだんに登場し、街中を疾駆する。その迫力はなかなかのもの。思わず人をはねたらどうするんだろうとハラハラしてしまう。さらに高級車を次々にお釈迦にしていくので、貧乏根性から違う意味でハラハラしてしまう。

 ストーリーは単純な勧善懲悪スタイルであり、これといったヒネリはない。出演陣もほぼ無名に近いが、なぜかマイケル・キートンが脇で登場しているところが意外なところであろうか。「観てスカッとして終わり」という単発タイプの映画であるが、レースの迫力は観て損はなく、気分に合わせて観たい映画である・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 18:13| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | アクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月23日

【プリデスティネーション】My Cinema File 1633

プリデスティネーション.jpg

原題: Predestination
2014年 オーストラリア
監督: マイケル・スピエリッグ/ピーター・スピエリッグ
出演: 
イーサン・ホーク:バーテンダー
サラ・スヌーク:ジョン/ジェーン
ノア・テイラー:ロバートソン
クリストファー・カービイ:マイルズ
クリス・ソマーズ:ミラー

<シネマトゥデイ>
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ロバート・A・ハインラインによる「輪廻の蛇」を基にしたSFサスペンス。時空を往来する犯罪者を取り締まるエージェントと出会い、その仲間になった青年が繰り広げる戦いと彼が抱える宿命を活写する。メガホンを取るのは、『アンデッド』『デイブレイカー』の双子監督マイケル・スピエリッグ、ピーター・スピエリッグ。主演は『ビフォア』シリーズなどのイーサン・ホーク。さまざまな時代を股に掛ける壮大な物語や息詰まるタッチに加え、スタイリッシュな映像にも引き込まれる。
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 時空を往来するエージェントが登場するSFサスペンスとなれば、自然と興味を惹かれるというもの。この手の映画は、基本的に好きである。冒頭、卑劣な連続爆弾魔フィズル・ボマーの犯行を阻止しようと一人のエージェントが爆弾の解除に当たっている。しかし、出くわした爆弾魔との格闘もあり爆弾の処理が不完全で、エージェントは顔に大火傷を負い人相が変わってしまう。そしてそれがこの物語の伏線となってゆく。

 怪我から復帰したエージェントは、再び任務につく。時空を超え、1970年にやってきた男は、バーテンダーとして働いている。そこに客としてやってきたジョン。エージェントと話すうちに、ジョンは驚くべき過去を語り出す。生まれてすぐ孤児院に捨てられた「彼女」は、そこで育つ。文武の才に恵まれ宇宙への夢を目指すも、ある男と出会い恋に落ち子供を産む。しかし、男は忽然と姿を消し、産んだ子供も何者かに連れ去られてしまう。

 はっきり言ってこのシーンは何を言おうとしているのかよくわからなかった。主人公のエージェントとは何の関わりがあるのかわからないまま、ジョンの物語が続く。そして、ジョンを仲間に引き入れたエージェントは、なぜかジョンを「女性時代」のジョンに引き合わせる。タイムパラドックスなんてまるで関係ない展開が、これはこれで面白いと思いつつストーリーを追う。

 共に爆弾魔フィズル・ボマーを追うことになるのかと思いきや、エージェントはその役割を終える。タイムトラベルに際しては、バイオリンケースのような形をした機械を利用する。その機械が発明されたのは1980年代とされていて、ちょっとレトロ感が漂う。そして衝撃的な結末。卵が先か鶏が先かという有名な疑問があるが、この映画でもその問いかけがなされる。そしてこの映画では、その答えが難しい。

 予告だけで何となく面白そうだと感じて観た映画であるが、意外なストーリー展開と仕掛けが小気味好い。あまり深く考えることなく観たいところである。粗探しは無用だろう。この映画は、『デイブレイカー』と同じ兄弟監督、主演の組み合わせのオーストラリア映画。何となくハリウッド作品とは異なる独特のテイストを感じさせてくれる。それもまた良しである。

 人類は時空を飛び越えることが可能になるのであろうか。それが可能になった時、この映画が成り立つのかどうかもはっきりする。そんな想像の翼を楽しく広げさせてくれる映画である・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 21:26| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | SF/近未来ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月22日

【パーフェクト・プラン】My Cinema File 1632

パーフェクト・プラン.jpg

原題: Good People
2013年 アメリカ
監督: ヘンリク・ルーベン・ゲンツ
出演: 
ジェームズ・フランコ:トム・ライト
ケイト・ハドソン:アナ・ライト
オマール・シー:カーン
トム・ウィルキンソン:ジョン・ホールデン警部補
サム・スプルエル:ジャック・ウィトコウスキー
アンナ・フリエル:サラ
ダイアナ・ハードキャッスル:マリー・ホールデン

<シネマトゥデイ>
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『127時間』などのジェームズ・フランコ、『あの頃ペニー・レインと』などのケイト・ハドソンが共演したサスペンス。急死した階下の住人が遺した大金を手にした夫婦が、それを機にマフィアや麻薬密売人が絡んだ陰謀に巻き込まれていく。監督は『ハッダーの世界』のヘンリク・ルーベン・ゲンツ。『最強のふたり』などのオマール・シー、『フィクサー』などのトム・ウィルキンソンが脇を固める。息詰まるタッチもさることながら、実力派俳優たちが織り成す白熱したストーリー展開もスリルに拍車を掛ける。
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主人公はトムとアナの夫婦。アメリカ人だが、事業に失敗し、叔母の残した不動産があったことからイギリスに来て暮らしている。仕事をしながら残された屋敷を細々と修繕しているが、家計は苦しく、とうとうローンも払えなくなる。せっかくの屋敷は手放し、住んでいるアパートも立退き勧告を受け、崖っぷちに立たされている。

一方、地元の悪人ジャック・ウィトコウスキーは、フレンチマフィアのカーンの麻薬取引現場を襲撃する。しかし、一時的に雇った男が裏切り、金と麻薬を強奪して逃走する。同時に弟を殺されたウィトコウスキーは、怒り狂って男を探し求める。その男というのが、トムとアナのアパートの階下に住んでいる。その男が、ヤクの過剰摂取で急死してしまう。偶然、それを発見したトムとアナ。そして、片付けている最中に多額の現金を発見する。

それはフレンチマフィアのカーンから強奪した現金22万ポンド。日本円で3,000万円くらいであろうか。金に困っている夫妻の前に突然現れた現金。これがあれば、立退きもしなくていいし、叔母の残した屋敷も手放さなくていいし、アナは念願の不妊治療もできる。しかし、正しき道は警察に届けること。されど悪魔がトムの耳元で囁く・・・

トムは金をポケットに入れることを選択する。1週間経っても誰も来ないし、慎重に使えばバレないだろうと。しかし、警察はトムの銀行口座の動きを密かにチェックし、ウィトコウスキーは男の住所を嗅ぎつける。さらにトムはフレンチマフィアのカーンから呼び出され、心理的なプレッシャーをかけられる。やはり、正しきことをするべきなのだろう。

大金を手にした夫婦とそれを追う地元のギャングとフレンチマフィアと警察の四つ巴の争奪戦。警察も一枚岩ではなく、ウィトコウスキーに買収されているグループと娘を麻薬の犠牲で失い、純粋に悪を憎むホールデン警部補とに分裂している。こじんまりとした映画ながら、なかなか密度の濃いストーリーである。

さらに出演陣が、この手の映画にしては何となく豪華。『オズ、はじまりの戦い』で主演していたジェームズ・フランコは、その他いろいろな映画でバイプレーヤーとしてもお馴染みである。また、『あの頃ペニー・レインと』に出演していたケイト・ハドソンや、『最強のふたり』のオマール・シーなど、そこそこメジャーな出演陣である。普通この手のタイプの映画だと、「主演以外は無名」ということも珍しくないから、ちょっと意外な気もする。まぁ、個人の勝手な思い込みではあるが・・・

「正しいことをしようよ」という教育的なメッセージを持った映画なのかと思ったら、最後はトムとアナにとっては円満なハッピーエンド。まぁそれはそれでいいかもしれない。短いながら小気味好いストーリー。野球に例えれば、三遊間を抜くレフト前ヒットとも言える映画である・・・


評価:★★☆☆☆








posted by HH at 22:57| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | スリリング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月21日

【白鯨との闘い】My Cinema File 1631

白鯨との闘い.jpg

原題: in the Heart of the Sea
2015年 アメリカ
監督: ロン・ハワード
出演: 
クリス・ヘムズワース:オーウェン・チェイス
ベンジャミン・ウォーカー:ジョージ・ポラード
キリアン・マーフィー:マシュー・ジョイ
トム・ホランド:トーマス・ニッカーソン
ベン・ウィショー:ハーマン・メルヴィル
ブレンダン・グリーソン:老年期のトーマス・ニッカーソン
ミシェル・フェアリー:ニッカーソン夫人

<シネマトゥデイ>
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ハーマン・メルヴィルの「白鯨」の裏側に迫るナサニエル・フィルブリックのノンフィクション「復讐する海 捕鯨船エセックス号の悲劇」を基に描く驚異のサバイバルドラマ。19世紀を舞台に、白い大型のマッコウクジラと捕鯨船の乗組員たちとの壮絶なバトルを描く。主人公を『アベンジャーズ』シリーズなどのクリス・ヘムズワースが演じ、『ダ・ヴィンチ・コード』などのロン・ハワードが監督を担当。大海原で繰り広げられるクジラと人間の究極の闘いに息をのむ。
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 1850年、ハーマン・メルヴィルと名乗る無名の作家が、トーマスという男を訪ねてくる。トーマスはかつて遭難したエセックス号という捕鯨船の最後の生き残りであり、疑惑のある遭難の真相について聞くのがメルヴィルの目的であった。しかし、なぜか頑なに口を閉ざすトーマス。それでも夫人の説得もあり、トーマスはようやく真相を語り始める・・・

 時に1819年、エセックス号は捕鯨基地ナンタケットを出港する。船長は家柄だけで選ばれた未経験者のポラード。本来、船長を約束されていたベテランの一等航海士チェイスは、それが不満。そしてその船には、14歳の孤児トーマスも初めて乗りこんだ。当時はまだ石油燃料はなく、主力は鯨油。今でこそ日本は捕鯨で世界各国から批判されているが、アメリカは当時の捕鯨大国。しかし、リスクもある事業であり、エセックス号も成果を期待されての出港であった。

 3ヶ月目でクジラを発見し、さっそく捕獲。エセックス号は帆船で、クジラを発見すると船員はボートに分散し、クジラに接近。そして銛を投げ込むというのが、当時の漁法。しかしクジラは巨体であり、ボートは小さく、その漁法は死闘に近い。普通の漁のように釣り上げて殺すということができないわけであり、よくそれで捕獲できていたものだと感心してしまう。

 捕獲したクジラは、エセックス号に引き寄せ、押し寄せるサメを追い払いつつ解体しながら鯨油を取る。鯨油は脳にあるようで、猛烈な匂いの中、体の小さなトーマスが潜り込んでそれを汲み出す。こうした捕鯨シーンは、ストーリーとは関係ないものの、当時の様子が伺われて興味深い。映像も迫力があり、ある意味勉強になるのではないかと思う。現代の映画の効能かもしれない。

 しかし、以降クジラと遭遇することなく、時間が過ぎていく。そして寄港した港で、南太平洋でのクジラの大群の目撃情報を得る。しかし、同時に巨大な白鯨に襲われたという話も聞く。何かと対立していた船長のポラードと航海士のチェイスであるが、利害は一致し、4,800キロ離れた噂の海域に臨むことになる。首尾よく、クジラの大群を発見し、色めき立つ船員たち。しかし、捕獲に乗り出した船員たちを巨大な白鯨が襲い、ダメージを負ったエセックス号は漏れた鯨油への引火もあり、沈没してしまう・・・

 タイトルのイメージからすると、この白鯨との闘いがメインとなるかと思っていたが、さにあらん。人間は巨鯨に手も足も出ず、なす術もない。何とか沈みゆく船から食料と帆を確保するのが精いっぱい。そして太平洋の真ん中で、船員たちは小さなボートに取り残される。陸地から4,800キロの海上である。僅かな水と食料を積んだボートは、帆を張れはしたが、その実態は漂流に近い。チェイスとトーマスの乗るボートでは食料が尽きる。死んだ仲間の死体を海に埋葬しようとすると、チェイスは「貴重品を無駄にするな」と戒める・・・

 トーマスが長年苦しんでいたのは、その漂流中の体験。話を聞いた作家のメルヴィルが、取材した実話ではなくそこから創作したフィクションが名作『白鯨』だというが、そんな名著の隠され続けてきた衝撃の実話というのがこの映画の売りである。何だかまたしても邦題にイメージをずらされてしまったが、難を言えばもう少し後日談をしっかり描いて欲しかったと思うところである。

 ラストでトーマスは石油が採掘されたというニュースを聞く。まさに時代の流れを感じさせるシーンである。映像の迫力も十分であり、深みのある物語である・・・


評価:★★☆☆☆








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2016年11月20日

【クーデター】My Cinema File 1630

クーデター.jpg

原題: No Escape
2015年 アメリカ
監督: ジョン・エリック・ドゥードル
出演: 
オーウェン・ウィルソン:ジャック・ドワイヤー
レイク・ベル:アニー・ドワイヤー
スターリング・ジェリンズ:ルーシー・ドワイヤー
クレア・ギア:ビーズ・ドワイヤー
ピアース・ブロスナン:ハモンド
サハジャック・ブーンタナキット:ケニー・ロジャース
ヴィチチャード・フォトフリン:首相

<シネマトゥデイ>
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海外赴任先で突如クーデターに巻き込まれ、全国民から命を狙われる羽目になった外国人一家の逃走劇を描いたスリラー。言葉も通じず土地勘もない異国で生き残りを懸けて逃げ惑う極限の緊迫感を、『デビル』などのジョン・エリック・ドゥードル監督が活写。家族を守るため奔走する主人公に『ミッドナイト・イン・パリ』などのオーウェン・ウィルソン、主人公一家の手助けをする旅行者を5代目ジェームズ・ボンドとして知られるピアース・ブロスナンが演じる。
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なんとなく面白そうな予告に惹かれて観たのだが、予想外に面白くてちょっと得した気分の映画である。主人公のジャックが、家族とともにアジアの某国に赴任してくる。もともと自分でやっていた事業に失敗し、新たに就職したカーディフ社で、中間管理職の職を手にしたのである。その国の水道事業に携わる技術者としての赴任であった。

到着早々、迎えの者がおらず途方に暮れるジャック一家。しかし、機内で知り合ったイギリス人のハモンドの案内で無事、ホテルに到着する。翌朝、散歩を兼ねてホテルの周辺を歩くジャック。しかし、その前夜、すでに首相は反政府勢力によって暗殺されており、ジャックの目の前で、反政府勢力と警官隊との衝突が勃発する。

這々の体でホテルに戻ったジャックだが、反政府勢力は勢いを増し、さらに外国人をターゲットとして殺害しているのを目の当たりにし、家族のいる部屋へととって返す。事情を知らない家族はプールに行く支度をしており、しかも長女は1人ですでにプールに向かってしまっている。ジャックの恐怖が観ているこちらにも伝わってくる。

ここからジャックと家族の逃避行が始まるのであるが、その息をもつかせぬ展開に、思わず手を握りしめており、しかもそれすら意識にない。外国においてそうした事態が発生しても、傍観できればまだいいが、過激な反政府勢力は外国人をターゲットとして殺害しているとなると、これは穏やかでない。言葉も通じないし、地の利も不慣れだ。さらに幼い子供が2人もいるとなると、それは尋常ではない。

その「恐怖感」が、そのまま観るこちらにも伝わってくる。それがこの映画の面白さのすべてである。自分が家族とともにこのような事態に遭遇したら、と思い描いてみると心底背筋を凍らせてくれる。そう感じる家族持ちにはヒットするのではないだろうか。
自分だったらどうするか。もともと治安が悪ければある程度事前の対処も可能だろう。単身赴任というのが一番気楽でいい。しかし、映画で観る限り治安は落ち着いており、家族で赴任したジャックの判断を責めるのは酷であろう。

クーデターの原因もしっかり説明されており、発展途上国の野蛮さを責めるのも正しくはない。こうした事態に陥りたいとは思わないが、自分だったらどうするだろうとずっと考えながら観てしまった。最後はハリウッド映画らしくハッピーエンドになるのだが、ジャック1人の力ではどうにもならなかったのは事実である。アメリカ人らしく強い奥さんで良かっただろう。我が家だったら、まず自分は生きて帰れなかったと強く感じた。

予告で観た緊迫感は本物で、期待通りの内容であった。手に本物の汗を握る映画である・・・


評価:★★★☆☆





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