2017年01月31日

ジャングル・ブック

ジャングル・ブック.jpg

原題: The Jungle Book
2016年 アメリカ
監督: ジョン・ファヴロー
出演: 
ニール・セティ: モーグリ
ビル・マーレイ: バルー(声)
ベン・キングズレー: バギーラ(声)
イドリス・エルバ: シア・カーン(声)
スカーレット・ヨハンソン: カー(声)
クリストファー・ウォーケン:キング・ルーイ(声)

<シネマトゥデイ>
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ラドヤード・キプリングによる名作を実写化したアドベンチャードラマ。ジャングルで黒ヒョウとオオカミに育てられた少年が、一匹のトラとの出会いを通して壮大な冒険に身を投じる。監督は『アイアンマン』シリーズなどのジョン・ファヴロー。主演は2,000人もの候補から抜てきされた新星、ニール・セティ。ベン・キングズレー、ビル・マーレイ、スカーレット・ヨハンソンなどのスターが、動物たちの声を務める。動物と自然の風景の全てを創造した最先端CGに圧倒される。
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何となく昔から「ディズニーのアニメ」という認識で記憶の底の方にある「ジャングル・ブック」。あらためて原題を見て、「ジャングルの本」というタイトルだとわかる。そんな古くて有名な物語だが、内容はほとんど記憶にないので新鮮な気持ちでこの実写版を観る。

物語の主人公は、人間の少年モーグリ。子供の頃森でクロヒョウのバギーラに拾われ、バギーラによってオオカミたちに託され、育てられていた。日々仲間のオオカミたちとジャングルの中を走り回っている。オオカミの群れを束ねるのは、リーダーのアキーラ。ジャングルの掟を守り、群れの結束を高めている。

そんなジャングルで雨季が終わり、熱くて長い乾季が訪れる。川の水が乾上がって平和の岩が姿を現すと、ジャングルには休戦の時が訪れる。この時は、普段肉食獣を恐れる草食動物たちも安心して水を飲める。しかし、トラのシア・カーンが現れると、休戦期間であっても周囲に緊張感が溢れる。シア・カーンは、かつて人間により火傷を負わされており、その恨みを人間の子供であるモーグリに抱いている。そして、水の休戦が終わったら、モーグリを庇う者に危害を加えることを示唆する。

そしてジャングルに雨が戻ってきたその夜、モーグリはこの件で揉めているオオカミたちのもとへ行き、出ていくことを宣言する。母親役を務めきたラクシャは猛反対したが、バギーラもそれがモーグリの命を救う最善の方法でもあるとして、自ら彼を人間の村に送り届けることする。しかし、モーグリを狙うシア・カーンはこれを追い、モーグリはすんでのところでこれを逃れる・・・

こうして逃げるモーグリとこれを狙うシア・カーンを中心に物語は進んでいく。そしてそれぞの動物たちとの交流。オオカミたちは群れの結束を大事にし、森の中でゾウの群れに遭遇すれば、頭を下げて敬意を示さなければならない。道中では、大蛇のカーの催眠術で食べられそうになり、熊のバルーとの出会い冬眠の手伝いをする。猿たちの王バンダー・ログに「赤い花(つまり火)」を手に入れろと迫られと、冒険が続いていく。

 何せ、登場「人物」はモーグリと回想シーンに出てくるモーグリ親子のみ。あとはすべて動物たちである。しかし、その声の出演者は実に豪華である。と言ってもわかったのは、大蛇のカーの声のスカーレット・ヨハンソンのみで、あとはわからなかったが・・・スカーレット・ヨハンソンの声だけ出演は、『her/世界でひとつの彼女』でもあったが、独特のボイスはすぐわかったのである。

 映像は実に見事であり、動物たちもみな生き生きと本物のごときである。今やどんな世界でも表現可能な映像力は改めてすごいものであると思う。個人的に気に入ったのは、モーグリと熊のバルーとのやり取りだろうか。「クマのプーさん」そのままに、うまいこと言ってモーグリにハチミツを取らせるバルー。いかにも怠け者風であるのだが、肝心なところではしっかりモーグリを助ける。キャラクター的にも一番気に入ったところである。

 本来のストーリーが同じなのか違うのかはわからないが、実に楽しめる映画である。大人から子供まで、一緒に観ても楽しいだろう。さすがディズニーと言える、ディズニーらしい映画である・・・


評価:★★☆☆☆




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2017年01月29日

メカニック:ワールドミッション

メカニック ワールドミッション.jpg

原題: Mechanic: Resurrection
2016年 アメリカ
監督: デニス・ガンゼル
出演: 
ジェイソン・ステイサム:アーサー・ビショップ
ジェシカ・アルバ:ジーナ
トミー・リー・ジョーンズ:マックス・アダムス
ミシェール・ヨー:メイ
サム・ヘイゼルダイン:クレイン
ジョン・セナティエンポ:ジェレミー

<シネマトゥデイ>
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ジェイソン・ステイサムがすご腕の暗殺者ビショップを演じたアクション『メカニック』の続編。殺しの世界から去った彼が、兄弟子によって武器商人暗殺計画へと引きずり込まれる。メガホンを取るのは、『THE WAVE ウェイヴ』などのデニス・ガンゼル。『シン・シティ』シリーズなどのジェシカ・アルバ、『告発のとき』などのトミー・リー・ジョーンズ、『グリーン・デスティニー』などのミシェル・ヨーらが共演する。銃撃戦や肉弾戦に加え、ブラジル、タイ、ブルガリアなど世界を股にかけた物語に注目。
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主人公のビショップは、リオデジャネイロでひっそりと暮らしている。そこに現れたのは見知らぬ女。女はさる人物の代理であり、ビショップに対し身元をバラされたくなければある3人のターゲット達を殺すよう伝える。ビショップは女の顔を携帯で撮ると、周りにいた取り巻き達を次々となぎ倒してその場を逃がれる。このあたりは「つかみ」として上々である。

そしてビショップは、女の写真を照合しその正体と雇い主がかつての友人クレインだと知る。さらにずらりと保管していた偽造パスポートから一つを選び出すと、リオを離れアジアらしきリゾート地でホテルを営む友人のメイを尋ねて身を隠す。一応、続編とはなっているものの、前作とあまり関連はなさそうな展開。まったく関係ないと言ってもなんら問題はない。特にジェイソン・ステイサムの場合、どの作品も同じように見える(それでも面白いからいいのであるが)ので尚更である。

そんなある晩、ボートで旅行中のカップルが喧嘩しているのをメイが聞きつける。DVだと判断したメイは、ビショップに助けに行くように促す。ボートに着いたビショップだが、興奮状態の男が銃を向け、ビショップが反撃したところ男は頭を打ち死んでしまう。助けた女ジーナだが、携帯にビショップの写真があったことから、これを問い詰める。するとジーナは、カンボジアで助けている貧しい子供達を盾にクレインから脅迫されている事を打ち明ける。

こうしてビショップとクレインの対立が鮮明になっていくが、ジーナを人質にとられたビショップは、クレインの指示による暗殺を引き受ける。全て事故に見せかけての暗殺で、一人目のターゲットであるクリルはマレーシアの海に浮かぶ刑務所、二人目のターゲットであるエイドリアンは、シドニーの警戒厳重なタワーマンション、最後のターゲットであるマックスは、ブルガリアの侵入不可能な要塞にそれぞれ住んでいる。これらを一つ一つ片付けていく・・・

はっきり言って、続編である必要があるのか疑問に思う内容。主人公の名前以外前作との共通点はない。まぁだからと言って面白くないというわけではないのでいいのであるが、「まぁなんだかなぁ」と思わずにはいられない。今回は暗殺シーンが一つの見どころだったと思う。サメがウジャウジャいる海に囲まれた絶海の刑務所。警戒厳重なタワーマンション。潜入して、事故死に見せかけて暗殺する。狙いは面白いと思う。

しかしながら、短い映画の時間の中で3人の暗殺はちょっと無理があったかもしれない。それぞれなんとなく「やっつけ仕事」的で、もうちょっと丁寧にやった方が良かったと思うのである。2人目の高層タワーマンションで、ガラス張りの壁面をよじ登る様は前作でも見られたが、今回もなかなかの様子。ゴツゴツしたアクションだけではなく、確かにこの映画ならではの見どころだと言えるだろう。

トミー・リー・ジョーンズがチョイ役で、しかもチョビ髭をはやした何とも言えない風体で登場するのはご愛敬か。ジェイソン・ステイサムのアクションは健在で、裏切られることはない。「続編」としては疑問に思うものの、単体と考えれば不満もない。十分堪能できる一作である・・・


評価:★★☆☆☆





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2017年01月28日

ハドソン川の奇跡

ハドソン川の奇跡.jpg

原題: Sully
2015年 アメリカ
監督: クリント・イーストウッド
出演: 
トム・ハンクス:チェスリー・"サリー"・サレンバーガー
アーロン・エッカート:ジェフ・スカイルズ
ローラ・リニー:ローリー・サレンバーガー
マイク・オマリー:チャールズ・ポーター
ジェイミー・シェリダン:ベン・エドワーズ
アンナ・ガン:エリザベス・デイヴィス
ホルト・マッキャラニー:マイク・クリアリー

<シネマトゥデイ>
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俳優としても監督としても著名なクリント・イーストウッド監督と、名優トム・ハンクスがタッグを組んだ人間ドラマ。2009年1月15日、突然の全エンジン停止という危機に見舞われながらも、ハドソン川に不時着して乗客全員が生還した航空機事故のてん末に迫る。『サンキュー・スモーキング』などのアーロン・エッカートらが共演。機長の手記を基に描かれる、奇跡の脱出劇の背後に隠された真実に言葉を失う。
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 2009年1月15日、USエアウェイズ1549便がニューヨーク・マンハッタンの上空850メートルを飛行中、バードストライクによって全エンジンが停止、コントロールを失う。機長のチェスリー・サレンバーガーは必死のコントロールと苦渋の決断の末、ハドソン川に機体を不時着させる。その結果、1人の犠牲者も出さず、この奇跡的な生還劇は“ハドソン川の奇跡”として全世界に報道された。この映画はその事件とその裏側を描いた映画である。

 物語は事故から数日経った所から始まる。サレンバーガー(通称サリー=映画の原題)は、世間から国民的英雄として絶賛されていたが、市街地への墜落という悪夢を見る。そして、国家運輸安全委員会(NTSB)によって事故原因の調査が行われるが、その過程でサレンバーガーの判断が適切であったかどうか、また、左エンジンは本当は動いていたのではないかという検証をされることとなり、彼はNTSBからこの一件について追及を受ける。

 NTSBによれば、コンピューターのシミュレーションの結果、左エンジンが動いていた(動かせた)可能性があることと、事故直後にラガーディア空港か進行方向にあったテターボロ空港への緊急着陸が可能であったと告げられる。1人の死者も出さなかったということは確かに素晴らしいが、そもそも空港に緊急着陸ができたのなら話は違ってくるという理屈であろう。フィクションではあるが、映画『フライト』も主人公のパイロットは乗客を救ったものの、薬物中毒を問われたのも、結果オーライではないという考え方であろう。

 世間では一躍、ヒーローであり時の人であるサリー。しかし、もしもNTSBの主張が認められればパイロット免許もはく奪となるかもしれず、その心のうちは穏やかではいられない。主演はトム・ハンクスであるが、その穏やかならざる心境が表情の演技に出ている。このあたりはさすがである。それにしてもNTSBのシミュレーションによる検証は徹底している。一大事故になりかねなかったわけで、当然といえば当然であるが、これも次の事故を防ぐためには当然なのであろう。

 そしてラストの公聴会。大勢の出席者を集めた場でNTSBのシミュレーションが開示される。その結果は、感動的である。事故のニュースの記憶はまだ新しく、川に着陸と言えば簡単にできそうであるがそういうわけではない。しかも季節は真冬で水も氷るように冷たい中、一人の犠牲者も出さなかった。まさに奇跡であり、その舞台裏を知ることができたという意味で、大変興味深い映画である。

 もはやすっかり「名監督」になったクリント・イーストウッド。観る価値十分の映画である・・・


評価:★★★☆☆





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2017年01月27日

エベレスト

エベレスト.jpg

原題: Everest
2015年 アメリカ・イギリス
監督: バルタザール・コルマウクル
出演: 
ジェイソン・クラーク: ロブ・ホール
ジョシュ・ブローリン: ベック・ウェザーズ
ジョン・ホークス: ダグ・ハンセン
ジェイク・ギレンホール: スコット・フィッシャー
サム・ワーシントン: ガイ・コター
キーラ・ナイトレイ: ジャン・アーノルド
エミリー・ワトソン: ヘレン・ウィルトン

<シネマトゥデイ>
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世界中の登山家を魅了するエベレストで1996年に起きた遭難事故を、『ザ・ディープ』などのバルタザール・コルマウクル監督が映画化。死と隣り合わせの標高8,000メートルを超えたデスゾーンで極限状況に追い込まれた登山家たちのサバイバルを、迫力の映像で描く。キャストには『欲望のバージニア』などのジェイソン・クラークをはじめ、ジョシュ・ブローリン、キーラ・ナイトレイ、サム・ワーシントン、ジェイク・ギレンホールら実力派が集結。
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1996年にエベレストで実際に起こった遭難事件を描いた映画。
人類による初登頂以来、はじめはプロによる登山のみであったエベレストであるが、やがてルートが確立され、一般人の商業登山に道が開ける。ニュージーランドにあるアドベンチャー・コンサルタンツ社(AD社)を営むロブ・ホールは、そんな商業登山を開催している。ロブは身重の妻に見送られ、登頂ツアーを率いてネパールに向かう。

エベレストは一気に登頂できるわけではない。「航空機が飛ぶ高さ」は酸素も薄く、まずはベースキャンプ(それでも標高5,364メートルもある)で入念な準備を整えることから始まる。AD社は、1人65,000ドルでエベレスト営業公募隊を募集し、世界中からアマチュア登山家が応募していた。登頂予定日は5月10日。天候の影響もあり、いつでも登れるというわけでもないのである。

AD社以外にもスコット・フィッシャーが引率するマウンテン・マッドネス社(MM社)の登山隊も同時に登頂予定であり、その他にも南アフリカ隊、台湾隊がそれぞれ登頂予定であった。今や世界各国から登頂隊が登頂シーズンに合わせて参集しており、にわかラッシュ状態。そしてメンバーの中には、女性ながら7大陸最高峰登頂を目指す日本人の難波康子も参加していた。

ルートは確立されているとはいえ、高山病のリスクを抱えあちこちに難所があり、高額のツアーとは言え山頂への登頂保証はされていない。しかも登頂に成功しても午後2時には下山を始めないと危険という制約があり、実際メンバーのダグ・ハンセンは前年制限時間の関係で登頂できずに終わっていた。

たたでさえ難所続きな上に、大量の登山者が押し掛けたたため、一部の難所では渋滞が発生する。危険を感じたロブは各隊に協力を呼びかけるも、応じたのはスコット率いるMM社だけであった。そんな中で登頂を目指すも、スコットは体調不良者をベースキャンプに送り返す等により疲労困憊となっていく。さらに技術、体力ともに稚拙なメンバーの牽引に人手を割かれ、現場での混乱が広まっていく・・・

歴史に「もしも」はつきものであるが、もしもプロの登山家だけであったなら、このような大量遭難事件にはならなかったのではないかと思われる。それは「技術的未熟」と「わがまま」という要素が少なくともなかったであろうからである。難所の一つでは氷の深い裂け目を梯子を渡して渡るシーンが出てくる。映画ならではであるが、画面の迫力はそれだけで足がすくむ。映画ではダグが動けなくなり、ロブが助けに行く。不安定な梯子に二人が乗る様子は見る限り危うい。

そして下山開始は午後2時という事前の約束も破られる。前年、時間制限で登頂を断念したベックは、子供たちから託された旗を立てたいとロブに懇願する。その時刻はとうに2時を回っている。山頂はすぐ目と鼻の先。そしてロブはその情にほだされる。体調不良になった参加者のため、余分な往復が加わったスコットも体力が奪われる。そして山の天候は急激に変動する・・・

こうした最高峰への登頂がいかに困難なものか。既にその山頂を征服しているわけだし、何度も成功しているのでついつい簡単なものに思えてしまう。救助のヘリも途中までしかいけないし、その困難さがよく伝わってくる。これはなかなか本では得られないのではないかと思われる。まさに映画ならでは、と思わせてくれる迫力ある映画である・・・


評価:★★★☆☆





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2017年01月25日

エクス・マキナ

エクス・マキナ.jpg

原題: Ex Machina
2015年 イギリス
監督: アレックス・ガーランド
出演: 
アリシア・ヴィキャンデル: エヴァ
ドーナル・グリーソン: ケイレブ・スミス
オスカー・アイザック: ネイサン・ベイトマン
ソノヤ・ミズノ: キョウコ

<シネマトゥデイ>
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『28日後・・・』などの脚本家として知られるアレックス・ガーランドが映画初監督を務め、第88回アカデミー賞視覚効果賞を受賞したSFスリラー。人間と人工知能が繰り広げる駆け引きを、限られた登場人物と舞台設定や目を引くビジュアルで活写する。美貌の女性型ロボットのエヴァを、『リリーのすべて』でオスカーに輝いたアリシア・ヴィキャンデルが好演。IT企業の社員と社長には、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のドーナル・グリーソンとオスカー・アイザックがふんする。
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 主人公は、検索エンジンで有名なIT企業ブルーブックでプログラマーとして働くケイレブ。ある日、社内で行われた抽選で社長ネイサンの自宅を訪問する権利を得る。広大な山岳地帯の奥にあるネイサンの自宅は、近くまでヘリコプターで移動しあとは歩いていくという僻地にある。なんとかネイサンの家にたどり着いたケイレブを迎えたネイサンは、一人暮らし。そしてケイレブは、ネイサンに厳密な機密保持契約の書類を提示する。

 わざわざやって来て拒絶する選択肢はケイレブになく、黙ってサインする。そして開示されたのは、そこで行われている人工知能の開発。ネイサンは、ケイレブに彼の人工知能にチューリング・テストを行うよう依頼する。ケイレブの前に現れたのは、人型のAIエヴァ。顔面と手、足先のみが人工皮膚で覆われ、残りの部分は機械の内部構造が透けて見える姿をしている。女性の顔をしたエヴァは、服やかつらで機械構造を隠せば普通の女性と見分けがつかない。

 ネイサンの屋敷には、ケイレブの他に英語が話せないメイドのキョウコがいる。英語が話せないのは、機密保持に都合が良いとネイサンは語る。ケイレブとエヴァの面談が始まる。その様子はモニターでネイサンもチェックしている。しかし途中で停電が起こり、部屋の照明と二人に向けられた監視カメラの電源が落ちる。その時、エヴァはケイレブに、「ネイサンを信じてはいけない」と謎めいた忠告をする。屋敷ではしばしば停電が発生し、原因はわからないとのことであった。

 『ジェイソン・ボーン』で、極めて印象的だったアリシア・ヴィキャンデルが演じているということもあるが、人型AIのエヴァは美人である。女性に免疫力のないケイレブがいつの間にか惹かれていくのも道理である。『her/世界でひとつの彼女』もそうであったが、一皮むけば単なる機械であるのに、外見や声が女性というだけで人間は疑似恋愛に陥ってしまう。いつしか、ケイレブは実験の範疇を越え、エヴァを逃がす気持ちになっていく。

 AIもあまりにも人間に近くなり過ぎると、人間に言われるまま研究施設の中にずっといることに耐えられなくなるのだろう。停電を起こしたエヴァは、ケイレブに二人で外の世界に出たいという希望を語る。戸惑うケイレブに対し、ネイサンはAIをアップグレードするために完全にエヴァを初期化する予定だと告げる。そしてケイレブはその晩、酒に酔って歩けなくなったネイサンを自室まで担いで運び、ついでにネイサンのカードを使って部屋に侵入し、過去の実験データを見てしまう・・・

 人間はペットでさえ家族として扱うくらいであるから、それよりはるかに賢い(人型)AIをそれ以上に思うのは不思議ではない。ましてや外見が異性であれば、人間の異性よりも従順なAIを恋人のように思いたくなるのも人情というもの。『her/世界でひとつの彼女』は声だけの存在であったが、エヴァは美しい実態を伴っている。さらにSEXまでできるとなれば、時として感情のぶつかり合いがある人間の異性よりもずっと良くなってしまうかもしれない。

 そんな想像をさせてしまうこの映画。しかし、その顛末は恐ろしい。物語の続きを想像してみたくなるのは常であるが、この映画は特にそうである。『ブレードランナー』も主人公は最後に女性のレプリカントと逃亡する。この映画ではちょっと違う形であるが、さまざまな「その後」を想像させてくれる。

 あらゆる意味で、「深い」映画である・・・


評価:★★★☆☆





posted by HH at 21:15 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | SF/近未来ドラマ