2017年05月31日

ラスト・ナイツ

ラスト・ナイツ.jpg

原題: Last Knights
2015年 アメリカ
監督: 紀里谷和明
出演: 
クライヴ・オーウェン:ライデン
モーガン・フリーマン:バルトーク卿
クリフ・カーティス:コルテス副官
アクセル・ヘニー:ギザ・モット
伊原剛志:イトー
アン・ソンギ:オーギュスト卿
ペイマン・モアディ:皇帝
パク・シヨン:ハンナ
ノア・シルヴァー:ガブリエル
アイェレット・ゾラー:ナオミ

<シネマトゥデイ>
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『CASSHERN』『GOEMON』の紀里谷和明監督が、ハリウッドデビューを果たしたアクション巨編。君主の誇りを踏みにじった支配者に復讐を果たそうとする、屈強な剣士とその仲間たちの姿を追い掛ける。『クローサー』などのクライヴ・オーウェン、『ミリオンダラー・ベイビー』などのモーガン・フリーマン、『硫黄島からの手紙』などの伊原剛志ら、国際色豊かなキャストが集結。壮大なスケールの物語や重厚感とスピードあふれるソードバトル、そしてロケを敢行したチェコの荘厳な風景を生かした映像美と見どころ満載。
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 紀里谷和明監督と言う方は、世界的に高い評価を得ているのであろうか。正直言って、『CASSHERN』『GOEMON』も個人的なテイストには合わず、名前すら憶えていなかった身としてはピンとこない。まぁそれでも評価されてこそのハリウッドデビューであろうから、素人がとやかく言うほどのことはない。

 物語の舞台は、騎士の時代のどこかの国。一領主であるバルトーク卿の下に、ある日皇帝から呼び出し状が届けられる。それは、実質的には皇帝の威を借りた大臣ギザ・モットによるもので、賄賂を要求されることが明らかであるため、公正なバルトーク卿としては気乗りしない。しかし、表向き皇帝の呼び出しを無視するわけにはいかず、騎士団の隊長ライデンらを伴い、参上する。

 ギザ・モットと面談したバルトーク卿は、儀礼的な献上品を贈るだけで実質的に賄賂を拒否し、ギザ・モットの怒りを買う。そしてギザ・モットによって杖で打ち据えられた際、刀で反撃し軽傷を負わせる。殿中での刃傷沙汰により罪に問われたバルトーク卿は、裁きの場で公然とギザ・モットを批判する。これに対し、皇帝はバルトーク家の廃絶を決め、ギザ・モットは決定に異議を唱えたバルトーク騎士団のライデン隊長にバルトーク卿を処刑するように皇帝に進言する。

 ライデンは、「騎士の掟を守れ」との命令に、泣く泣く主人であるバルトーク卿を処刑する。処刑後、バルトーク一族は領土を追われ、騎士団も解散するが、復讐を恐れたギザ・モットはライデンを監視するようにイトー隊長に命令する。
 時は流れ、1年が経過。バルトーク卿の騎士団に属していた面々は、都で新しい生活を営んでいるが、ライデンは酒と女に溺れる日々を過ごしている。かつての部下や妻もそんなライデンに愛想を尽かしていた・・・

 何やら既視感のあるストーリーと思っていたら、「忠臣蔵」だと気付く。主君が殿中での刃傷事件により死罪を言い渡される。相手方は、権力者でもあってお咎めなし。それを不服とした家臣が復讐劇を演じるが、途中敵を欺くため酒と女とに溺れた振りをする・・・まぁ日本人監督でもあるし、こうしたストーリーが受けるのは万国共通の要素もあるしで、そんなストーリーになったのかもしれない。

 ライデンによる復讐を恐れるギザ・モットは、館を要塞化し、義父のオーギュスト卿に無理強いして護衛の兵士を供出させたりして備えている。しかし、首相の死に伴い新首相に任命されると、皇帝から「自分よりも過剰な警備をするな」と命令され、ライデンを監視していたイトーから復讐の心配はないと報告を受け安堵する。そして、ライデンたちが立ち上がる時がやってくる・・・

 憎きギザ・モットを警護するイトーを演じるのは、日本人の伊原剛志。過去にもブラジル映画(『汚れた心』)にも出演していたこともあるが、渡辺謙に続いての国際派になるのだろうか。もともと寡黙な役がよく似合うタイプなためか、敵方の用心棒トップという役柄は良く似合っている。

 最後は正義対悪の対決があって、メデタシメデタシになるわけで、そこは予定調和の世界である。忠臣蔵では四十七士が討ち入ったが、ここでは人数ははっきりしない。しかしながら、そこそこの見せ場もあって、まぁまぁ面白いと言えるだろう。紀里谷和明監督の力量など素人の自分にわかるはずもないが、特に可もなく不可もなくといった感想である。

 監督よりも、クライヴ・オーウェンの久し振り感が良かった映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2017年05月28日

10クローバーフィールド・レーン

10クローバーフィールド・レーン.jpg 

原題: 10 Cloverfield Lane
2016年 アメリカ
監督: ダン・トラクテンバーグ
製作: J・J・エイブラムス/リンジー・ウェバー
出演: 
メアリー・エリザベス・ウィンステッド: ミシェル
ジョン・グッドマン: ハワード
ジョン・ギャラガー・Jr: エメット
スザンヌ・クライヤー: レスリー

<シネマトゥデイ>
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『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』などのヒットメーカー、J・J・エイブラムスが製作を担当した異色スリラー。思いがけずシェルターの中で過ごすことになった男女を待ち受ける、想像を絶する出来事が展開していく。『リンカーン/秘密の書』などのメアリー・エリザベス・ウィンステッド、『バートン・フィンク』などのジョン・グッドマン、テレビドラマ「ニュースルーム」シリーズなどのジョン・ギャラガー・Jrらが出演。手に汗握る心理劇と、一気になだれ込む衝撃の展開に息をのむ。
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 タイトルからは、『クローバーフィールド/HAKAISHA』の続編なのかなと予想していたが、ストーリー的にはまったく関係ない。共通点はなくもないが、その関係は観終わった今でさえも気になるところである。

 主人公は、服飾デザイナー志望のミシェル。彼氏と喧嘩別れの形で部屋を飛び出し、車で国道を走る。携帯電話には彼氏から電話が入る。ミシェルはためらいつつも彼氏の呼びかけには答えない。次の瞬間、車は大きな衝撃と共にひっくり返ってしまう。目を覚ましたミシェルは、自分が右足に大怪我を負い、点滴を受けた状態で地下室に監禁されていることに驚く。この展開は観ている方も驚く。

 やがて部屋にやってきたのは、太った大男ハワード。てっきり女の子を誘拐して何とかしようとしている変態野郎かと思いきや、そんな素振りは見られない。そしてハワードが言うには、ここは自分の農場の地下であり、外は何者かの攻撃を受けて、何らかの有毒物質で汚染されていると主張する。自分はミシェルを助けたのだと。事実なのか頭がおかしいのか。普通、後者だと思うだろう。そしてハワードの言う通り、地下室は沢山の食料等の物資を蓄えたシェルターなのである。

 そしてこのシェルターにはもう1人エメットと言う若い青年がいることもわかる。以前このシェルター作りを手伝っており、シェルターの存在を知っていて逃げ込んだとか。話の信憑性がちょっと高まる。されど、信じがたい話には違いない。ミシェルはハワードに順応したフリをしながら、脱出する機会を伺う・・・

 『クローバーフィールド/HAKAISHA』のことはかけらも出てこない。ハワードという男は自分のシェルターで独裁者のごとく振る舞い、果たしてその話は事実なのかと疑いながら映画を観て行く。ミシェルも同様である。このあたりの心理戦は面白い。そしてミシェルは隙をついてシェルターのドアまで逃げることに成功するが、そこで助けを求める顔の皮膚が爛れた女を見て愕然とする。

いくら安全だとは言われても、外の世界のことは気になる。テレビもラジオもなく、情報は何も得られない。外へ行きたくても「万が一」ということはある。しかし、留まるにしてもハワードを心から信頼することはできない。打つ手がないとはまさにこのことで、ミシェルは仕方なくシェルターでの生活を続ける。なにせ食料も暇つぶしの音楽もビデオもゲームもなんでも揃っている。しかし、ハワードの言動からはどうしても打ち解けにくいものがある・・・

そしてやっぱりなんとか外へという考えになる。それはそれで当然だろう。食料も無限ではないし、いつかどこかでというタイミングがあるわけである。そうして物語は、ミシェルが再度脱出を試みルコとで大きく動く。出るも残るも地獄なら、出ようというのが信条である。そして外へ出た結果が、なるほど、「クローバーフィールド」というわけなのであろう。それはその農場が、「クローバーフィールド10番地」だということだけではなく、『クローバーフィールド/HAKAISHA』と相通じるものが出て来るのである。

 結局のところ何だったのか、ちょっと一つに絞りきれていない気がする。ジャンルは何となったら、答えに迷うところがある。面白いのか、そうでないのか、個人的には迷ってしまう映画である・・・


評価:★★☆☆☆





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2017年05月27日

マリアンヌ

マリアンヌ.jpg

原題: Allied
2016年 アメリカ
監督: ロバート・ゼメキス
出演: 
ブラッド・ピット:マックス・ヴァタン
マリオン・コティヤール:マリアンヌ・ボーセジュール
リジー・キャプラン:ブリジット・ヴァタン
マシュー・グッド:ガイ・サングスター
ジャレッド・ハリス:フランク・ヘスロップ
アントン・レッサー:エマニュエル・ロンバード
アウグスト・ディール:ホバー

<シネマトゥデイ>
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俳優だけでなくプロデューサーとしても活躍するブラッド・ピットと、アカデミー賞受賞監督ロバート・ゼメキスがタッグを組んだラブストーリー。第2次世界大戦下を舞台に、ある極秘任務を通じて出会った男女が愛し合うものの、過酷な運命に翻弄されるさまを描く。ブラピふんする諜報員と惹かれ合うヒロインをオスカー女優マリオン・コティヤールが演じるほか、『127時間』などのリジー・キャプラン、『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』などのマシュー・グードらが共演する。
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 時は第二次大戦。フランス領モロッコの都市カサブランカに密命を帯びた男マックスがやって来る。そこで、現地のスパイ、マリアンヌと夫婦を装いドイツ大使を暗殺するというのが任務。先に準備をしていたマリアンヌの功績もあり、2人はスムーズに地元社会に溶け込む。そして大使出席のパーティーの招待状を堂々と手に入れると、すべて事は手筈通りに進み、2人は見事な連携で大使を暗殺し脱出する。そして任務を終えたマックスは、マリアンヌに本当の夫婦としてロンドンに行こうと誘う。

 かくしてマックスとマリアンヌは、ロンドンで暮らし始め、ほどなくして娘が生まれる。ドイツ軍による空襲下での出産であった。平穏な日々を送るマックスだが、ある日情報機関から呼び出しを受ける。てっきり再任務の話かと考えていたマックスであるが、切り出された要件は、マリアンヌに対するスパイ容疑。そしてそれを確認するための囮情報をマリアンヌに掴ませ、流出を確認するという。事実が確認された場合、マリアンヌは処刑されることとなり、その役目を負うのはマックスであると告げられる。拒否した場合は、当然彼も大逆罪として死刑に処される。

 愛する妻にかけられた疑惑・・・
冒頭では、ドイツ大使暗殺で鮮やかな連携を見せるブラピとマリオン・コティヤールのコンビ。アクション系の映画かと思いきや、実は深いストーリーのドラマ。愛する妻にかけられたスパイ疑惑。信じたい気持ちと、万が一という不安。主人公のマックスの苦悩はよくわかる。そして時に戦時中。「スパイは銃殺」というのが当然の時代背景である。疑惑は真実なのか、それとも誤解なのか。結果を待てずに自ら確かめようと行動したマックスの気持ちもよくわかる。

 例によって、自分だったらどうするだろうと考えてみた。疑いが晴れた場合は問題がないが、問題はスパイ疑惑が事実だった時。さすれば、まずは事実関係を先に掌握し、万が一の事態に備えるであろう。その意味では、マックスの行動はまさにその通りであり、共感できるところである。しかし、その結末には何とも言えないものが残る。
 戦争モノ、スパイモノというよりも、濃厚な人間ドラマと言える物語。深い余韻を残す映画である・・・


評価:★★★☆☆



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2017年05月26日

AIR/エアー

エアー.jpg

原題: Air
2015年 アメリカ
監督: クリスチャン・カンタメッサ
出演: 
ノーマン・リーダス: バウアー
ジャイモン・フンスー: カートライト
サンドリーヌ・ホルト: アビー

<映画.com>
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大ヒットテレビシリーズ「ウォーキング・デッド」のノーマン・リーダス主演によるSFスリラー。放射性物質の拡散により、地上での呼吸が不可能となった近未来。絶滅寸前に陥った人類は社会再建のため、優秀な遺伝子を持つ人々を地下の人工冬眠施設で眠らせていた。その維持管理を任された技術者バウアーとカートライトは、半年ごとに目を覚ましながら、生存可能な最後の場所と冬眠中の人々を守り続けている。しかしある時、自分たちの睡眠装置の1つが故障してしまう。酸素が完全になくなるまであと2時間に迫る中、2人は生き延びる方法を求めて奔走するが……。共演に『ブラッド・ダイヤモンド』のジャイモン・フンスー。
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 物語の舞台は近未来。化学兵器による大気汚染によって地球上は人類が住めないほど汚染されてしまった後。アメリカ政府による最後の策として、科学者など人類の英知を担う人たちを低温睡眠装置で眠らせている施設内。汚染が解消された未来で目覚めさせ、人類の再起を期そうという考えである。施設ではバウアーとカートライトがメンテナンス担当として6カ月ごとに睡眠から目覚めて2時間ほど作業をすることになっている。そして、2人が目覚めたところから物語が始まる。

 バウアーとカートライトは、定例作業をこなす。カートライトには、アビーという名の女性が現れ会話を交わす。幽霊なのか幻覚なのかはわからない。作業を終えて再び半年間の睡眠につこうとするが、アクシデントで火災が起こり、カートライトの睡眠装置が壊れてしまう。酸素の供給は作業時間の間だけであり、そのままでは1人が死んでしまう。とりあえず予備の酸素供給装置を作動させて時間を稼ぎ、2人は対応策に取り掛かる。

 バウワーは予備の睡眠装置をテストするが、誤作動を起こし、バウワーはあやうく窒息寸前になる。施設にはもはや予備の睡眠装置はなく、バウワーは眠っている誰かを外に放り出して代わりにその装置を使うべきだと主張する。カートライトは戸惑うものの、現れたアビーに諭され、思いとどまる。そして他の施設に救助を求めることを思いつく・・・

 近未来という設定であるが、装置は実に旧式で笑ってしまいそうになる。限られた空間で、登場人物は3人といういわゆるシチュエーション・スリラーという分野なのだろうか。困難に直面した2人が、初めは協力し合うものの、時間が限られる中、疑念が生じて対立する。刻一刻と酸素供給時限が迫る中で、スリリングな展開となる。

 しかしながら、近未来感のまるでない空間ではどうもSF感に乏しく、インパクトが弱い。主演の2人についても、『ブラッド・ダイヤモンド』のジャイモン・フンスーはともかくとして、『ウォーキング・デッド』は観ていないので、ノーマン・リーダスは私にとっては無名の存在。これといってインパクトはない。たびたび登場するアビーについても、幻覚なのか空想なのかを考えていて集中できなかったのもあるし、どうもストーリーに共感できなかった。

 残念ながら、面白みに欠けた映画である・・・


評価:★★☆☆☆




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2017年05月25日

海街diary

海街diary.jpg

2015年 日本
監督: 是枝裕和
出演: 
綾瀬はるか:香田幸(三姉妹の長女)
長澤まさみ:香田佳乃(三姉妹の次女)
夏帆:香田千佳(三姉妹の三女)
広瀬すず:浅野すず(三姉妹の異母妹)
大竹しのぶ:佐々木都(三姉妹の母)
堤真一:椎名和也(医師、幸の恋人)
風吹ジュン:二ノ宮さち子(海猫食堂の店主)
リリー・フランキー:福田仙一(山猫亭の店主)
樹木希林:菊池史代(大船のおばちゃん)
加瀬亮:坂下美海(佳乃の上司)
鈴木亮平:井上泰之(湘南オクトパスの監督)

<シネマトゥデイ>
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ベストセラーを誇る吉田秋生のコミックを実写化したドラマ。鎌倉に暮らす3姉妹と父親がほかの女性ともうけた異母妹が共同生活を送る中、さまざまな出来事を経て家族の絆を深めていく姿を追う。メガホンを取るのは、『そして父になる』などの是枝裕和。テレビドラマ「八重の桜」などの綾瀬はるか、『潔く柔く きよくやわく』などの長澤まさみのほか、夏帆や広瀬すずらが共演。実力派女優たちが繰り出す妙演はもちろん、舞台となる鎌倉の美しい四季の風景も見どころ。
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 冒頭、ボーイフレンドとともに春眠をむさぼっていた香田佳乃は、姉からの電話で起こされる。急いで帰ってこいとのことで帰宅すると、父親が亡くなったとの知らせが届いたとのこと。実は香田家の父は14年前に女をつくって家を出ていた。そのあと母親も家を出て行き、残された幸、佳乃、千佳の3姉妹は祖母と暮らしていた。その祖母も亡くなり、今は3姉妹が身を寄せ合って鎌倉の古屋で暮らしているのである。

 出ていって以来、3姉妹は父親と会っていない。それでも連絡を受けて、夜勤で動けない幸は、佳乃と千佳を父の暮らしていた山形へ送る。父は家を出てから1女をもうけるも死別し、今はさらに別の女性と暮らしていたことを香田家の三姉妹は知る。葬儀に出席すべく山形を訪れた二人を駅で出迎えたのは、中学生になる腹違いの妹すずであった。翌日、葬儀に来ない予定だった幸がなぜか現れる。

 看護師をしている幸は、すずの置かれた肩身の狭い境遇とすずが父を看取った事を感じ取る。東京へ帰る直前、幸がすずに父との思い出の場所に案内して欲しいと頼むと、すずは小高い山の上に姉妹たちを案内する。そこからの眺めは、鎌倉の風景によく似ている。ホームで3姉妹を見送るすずに、幸は鎌倉で一緒に暮らさないかと持ちかける。すずは、一瞬戸惑う様子を見せたものの、「行きます」と即答する。こうして鎌倉の家にすずがやってくる・・・

 原作は大ヒット漫画なのだという。原作を読んだことはないが、冒頭からしみじみと心に響き渡る物語が展開される。姉妹はいかにもしっかりもので一家を支えてきたとの感がある長女の幸に、男と酒が生きがいの次女佳乃、そしてちょっとおっとりしている三女の千佳の組み合わせ。父と母の修羅場をはっきり覚えている幸に対し、次女はそれをぼんやりと覚えている程度。そして千佳は父をほとんど覚えていない。

 そんな記憶レベルの違いから、3姉妹の父親に対する感情にも微妙に温度差がある。特に最後を看取ったすずに対し、姉である自分はほとんど父の記憶がないと語る千佳の表情が何とも言えない。父親は優しかったという記憶があると語る千佳。優しかったけど、それで同情してしまい家族を捨ててしまったダメな人だと語る幸。こういう微妙な空気が何とも言えない。

 こうしてすずを迎えた香田家は四姉妹となる。サッカー好きで明るい性格のすずは、鎌倉の生活にもすぐに溶け込み、友人もできる。4姉妹を取り巻く人間模様。母親は北海道に住み、何かと口を出してくる叔母がいる。近所の『海猫食堂』のおかみさんさち子や、食堂の常連である仙一がいて、幸には密かに付き合っている妻帯者の小児科医椎名がいる。それぞれに付き合う男がいて、それぞれに悩みを抱えている。仕事でもいろんなことがあり、順風満帆な人生を送っている者はいない。

 そうしたドラマが展開されていくが、観ているうちに心に静かに響いてくるものがある。長女役は綾瀬はるか。いつの間にか落ち着いた役柄が板につくようになっている。そしてドラマに変化を与える四女のすずを演じるのは、まだ『ちはやふる』の強烈な記憶が新しい広瀬すず。こちらの作品の方が早く、あどけなさの雰囲気がとてもいい。

 いつの間にか心がじんわりと温かくなっている。人生いろいろ。だけど一緒にいる家族かいればそれが何より。そんな気持ちにさせられる。元となった原作も是非読んでみたいと思う。日本映画の真骨頂と言える映画である・・・


評価:★★★☆☆





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