
原題: Last Knights
2015年 アメリカ
監督: 紀里谷和明
出演:
クライヴ・オーウェン:ライデン
モーガン・フリーマン:バルトーク卿
クリフ・カーティス:コルテス副官
アクセル・ヘニー:ギザ・モット
伊原剛志:イトー
アン・ソンギ:オーギュスト卿
ペイマン・モアディ:皇帝
パク・シヨン:ハンナ
ノア・シルヴァー:ガブリエル
アイェレット・ゾラー:ナオミ
<シネマトゥデイ>
********************************************************************************************************
『CASSHERN』『GOEMON』の紀里谷和明監督が、ハリウッドデビューを果たしたアクション巨編。君主の誇りを踏みにじった支配者に復讐を果たそうとする、屈強な剣士とその仲間たちの姿を追い掛ける。『クローサー』などのクライヴ・オーウェン、『ミリオンダラー・ベイビー』などのモーガン・フリーマン、『硫黄島からの手紙』などの伊原剛志ら、国際色豊かなキャストが集結。壮大なスケールの物語や重厚感とスピードあふれるソードバトル、そしてロケを敢行したチェコの荘厳な風景を生かした映像美と見どころ満載。
********************************************************************************************************
紀里谷和明監督と言う方は、世界的に高い評価を得ているのであろうか。正直言って、『CASSHERN』『GOEMON』(My Cinema File 626)も個人的なテイストには合わず、名前すら憶えていなかった身としてはピンとこない。まぁそれでも評価されてこそのハリウッドデビューであろうから、素人がとやかく言うほどのことはない。
物語の舞台は、騎士の時代のどこかの国。一領主であるバルトーク卿の下に、ある日皇帝から呼び出し状が届けられる。それは、実質的には皇帝の威を借りた大臣ギザ・モットによるもので、賄賂を要求されることが明らかであるため、公正なバルトーク卿としては気乗りしない。しかし、表向き皇帝の呼び出しを無視するわけにはいかず、騎士団の隊長ライデンらを伴い、参上する。
ギザ・モットと面談したバルトーク卿は、儀礼的な献上品を贈るだけで実質的に賄賂を拒否し、ギザ・モットの怒りを買う。そしてギザ・モットによって杖で打ち据えられた際、刀で反撃し軽傷を負わせる。殿中での刃傷沙汰により罪に問われたバルトーク卿は、裁きの場で公然とギザ・モットを批判する。これに対し、皇帝はバルトーク家の廃絶を決め、ギザ・モットは決定に異議を唱えたバルトーク騎士団のライデン隊長にバルトーク卿を処刑するように皇帝に進言する。
ライデンは、「騎士の掟を守れ」との命令に、泣く泣く主人であるバルトーク卿を処刑する。処刑後、バルトーク一族は領土を追われ、騎士団も解散するが、復讐を恐れたギザ・モットはライデンを監視するようにイトー隊長に命令する。
時は流れ、1年が経過。バルトーク卿の騎士団に属していた面々は、都で新しい生活を営んでいるが、ライデンは酒と女に溺れる日々を過ごしている。かつての部下や妻もそんなライデンに愛想を尽かしていた・・・
何やら既視感のあるストーリーと思っていたら、「忠臣蔵」だと気付く。主君が殿中での刃傷事件により死罪を言い渡される。相手方は、権力者でもあってお咎めなし。それを不服とした家臣が復讐劇を演じるが、途中敵を欺くため酒と女とに溺れた振りをする・・・まぁ日本人監督でもあるし、こうしたストーリーが受けるのは万国共通の要素もあるしで、そんなストーリーになったのかもしれない。
ライデンによる復讐を恐れるギザ・モットは、館を要塞化し、義父のオーギュスト卿に無理強いして護衛の兵士を供出させたりして備えている。しかし、首相の死に伴い新首相に任命されると、皇帝から「自分よりも過剰な警備をするな」と命令され、ライデンを監視していたイトーから復讐の心配はないと報告を受け安堵する。そして、ライデンたちが立ち上がる時がやってくる・・・
憎きギザ・モットを警護するイトーを演じるのは、日本人の伊原剛志。過去にもブラジル映画(『汚れた心』(My Cinema File 1113))にも出演していたこともあるが、渡辺謙に続いての国際派になるのだろうか。もともと寡黙な役がよく似合うタイプなためか、敵方の用心棒トップという役柄は良く似合っている。
最後は正義対悪の対決があって、メデタシメデタシになるわけで、そこは予定調和の世界である。忠臣蔵では四十七士が討ち入ったが、ここでは人数ははっきりしない。しかしながら、そこそこの見せ場もあって、まぁまぁ面白いと言えるだろう。紀里谷和明監督の力量など素人の自分にわかるはずもないが、特に可もなく不可もなくといった感想である。
監督よりも、クライヴ・オーウェンの久し振り感が良かった映画である・・・
評価:★★☆☆☆