2017年06月03日

やさしい本泥棒

やさしい本泥棒.jpg

原題: The Book Thief
2013年 アメリカ
監督: ブライアン・パーシバル
出演: 
ジェフリー・ラッシュ:ハンス・フーバーマン
ソフィー・ネリッセ:リーゼル・メミンガー
エミリー・ワトソン:ローザ・フーバーマン
ベン・シュネッツァー:マックス・ファンデンベルク
ニコ・リアシュ:ルディ・シュタイナー
ロジャー・アラム: 死神

<シネマトゥデイ>
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マークース・ズーサック原作のベストセラー小説「本泥棒」を基に、テレビドラマ「ダウントン・アビー」などのブライアン・パーシヴァル監督がメガホンを取った感動作。ナチス政権下のドイツを舞台に、孤独な少女が書物を糧に厳しい時代を乗り越えようとする姿を描く。新星ソフィー・ネリッセがヒロインを演じ、彼女の里親を『英国王のスピーチ』などのジェフリー・ラッシュと『奇跡の海』などのエミリー・ワトソンが好演。絶望的な状況から生まれる思いがけない奇跡に息をのむ。
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 時は1938年。第二次世界大戦前夜のドイツ。幼い息子を抱いた母親と娘が列車に乗っている。どこへ行くのかはわからない。ほどなくして母親に抱かれた息子が息を引き取る。亡骸を埋葬すると、母親は娘のリーゼルを里子に出す。事情はよくわからない。だが、もともと里子にだされることは決まっていたようで、それが証拠に里親である養母のローザは、一人分の給付金が少なくなると担当者に文句を言う。リーゼルの気持ちを思うと心が痛む。

 そんな中、養父のハンスはリーゼルを温かく迎え入れ、少し心が和ませられる。女が現実的でドライなのは仕方がないことなのかもしれない。リーゼルは、読み書きができない。弟を葬った時に墓掘り人が落としていった本を大事に持っている。その本は墓掘りのガイドブック。それでもハンスは、それを手にリーゼルに読み書きを教える。こうして読み書きを覚えていくリーゼル。しかし、時代はナチスによる統治を強めていき、反ユダヤ主義による暴動で数多くの本が広場で焼かれ。リーゼルは、そこから焼け残った本をそっと持ち帰る・・・

 「第二次世界大戦」「本を読む」というキーワードから、何となく『愛を読むひと』を連想してしまった。『愛を読むひと』では、さらに主人公のハンナが文盲であった。この映画のリーゼルも最初は文盲。だから何、ということもないが、そういうところはストーリーが生まれやすいのかと思ってしまった。

 ハンスはさらにユダヤ人の青年マックスを匿う。この時代、この行為はバレれば自殺行為。そのマックスの存在は、しかしリーゼルにとっては限りない恵をもたらす。地下室での二人の交流には心温まるものがある。つくづく、「本を読む」という行為がいかに自らの可能性を拡大させるのかを実感させられる。望めばいくらでも本を読むことができる現代、本を読まないことはいかにもったいないのかと思わざるを得ない。

 やがて戦況は悪化していく。途中ハンスが徴兵されるが、年齢的にも不思議なこと。何か事情があったのだろうが、映画を観ているだけではわからない。たぶん、原作にはきちんと書かれているのであろう。小説を映画化すると、必ずこういう部分が出てくる。映画は時間制限もあるから難しいのだろうが、もう少し丁寧に描かれても良いと思う。

 タイトルがなぜ「本泥棒」なのか。映画を観ていればそれはよくわかる。そうした部分にももっとスポットライトが当たっても良かったと思う。つくづく、映画化は簡単ではないという気がする。
ハンスも最初は冷たかった妻のローザも、隣の男の子ルディもマックスもみんな善人。戦争なかりせば、もっと違った人生を歩んでいただろう。そんな人たちがこの時代にはたくさんいたはずである。淡々とリーゼルを周りの人々とともに描いていくストーリーであるが、観終わったあとには深い余韻が残る。

原作本も今度読んでみたいと思わされる一作である・・・


評価:★★☆☆☆



posted by HH at 00:00 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ