2017年07月02日

くちびるに歌を

くちびるに歌を.jpg

2015年 日本
監督: 三木孝浩
出演: 
新垣結衣:柏木ユリ
木村文乃:松山ハルコ
桐谷健太:塚本哲男
恒松祐里:仲村ナズナ
下田翔大:桑原サトル
眞島秀和:仲村祐樹
石田ひかり:仲村静流
木村多江:桑原照子

<シネマトゥデイ>
********************************************************************************************************
シンガー・ソングライター、アンジェラ・アキの名曲「手紙 〜拝啓 十五の君へ〜」を題材にしたテレビドキュメントから着想を得た中田永一の小説を実写化。輝かしい才能を持つピアニストだった臨時教員の女性が、生まれ故郷の中学校の合唱部顧問として生徒たちと心を通わせていく。メガホンを取るのは、『ソラニン』『ホットロード』などの三木孝浩。『ハナミズキ』などの新垣結衣がヒロインにふんし、その脇を木村文乃、桐谷健太ら実力派が固める。オールロケを敢行した長崎の風景も見もの。
********************************************************************************************************

舞台となるのは、長崎県・五島列島のとある島の中学校。合唱部の仲村ナズナは、合唱コンクールの課題曲「手紙 〜拝啓 十五の君へ〜」をみんなで練習するのが楽しみで学校へと家を飛び出していく。そんなナズナの学校に臨時教員として柏木ユリがやってくる。柏木ユリは、合唱部顧問の松山ハルコが産休に入るための代わりであり、同時に合唱部の顧問にも就任する。しかし、最初の挨拶から「適当によろしく」であり、明らかにやる気がない様子。

柏木ユリは、実は松山ハルコの中学時代の同級生であり、しかもプロのピアニスト。その肩書に大喜びする合唱部員たちだが、なぜか柏木ユリは冷めきっていて、「全国大会出場を目指せるレベルにない」とバッサリ。さらにその美貌目当てに合唱部に入部したいという男子生徒が続出し、反対する女子部員に反し、柏木は「来る者拒まず」で受け入れてしまう。

プロのピアニストの指導を受けられると初めこそ狂喜したナズナであるが、次第に反発を覚えていく。しかし、随所で発する柏木の指摘は、プロの音楽家のそれとしてキラリと光る。参加を認めた男子部員であるが、中でも桑原サトルは隠れた才能を見せ、また男声合唱が加わったことで、合唱部の合唱にいつのまにか厚みが出ているのである。さらに柏木は、課題曲「手紙 〜拝啓 十五の君へ〜」にちなみ、「誰にも見せる必要はないから、15年後の自分に向けて手紙を書け」と部員に課題を出す。

登場人物たちは、みなそれぞれに問題を抱えている。ナズナは母と死別し、父は女を作って出ていき、祖父母と暮らしている。そして時々父から電話が架かってくる。柏木のやる気のない様子、そしてピアノを弾こうとしないのはある事情があってのこと。サトルは自閉症の兄の送り迎えがあって部活動に参加する時間がない・・・そんな事情が語られながら物語は進んでいく。

のどかな風景の中、それぞれの問題と向き合いながら合唱コンクールの日は近づいてくる。個人的に自分で歌を歌うということはしないし、したいとも思わないが、歌声を聞くのはいいものである。柏木もナズナもサトルも自ら抱えていた問題を克服し、一丸となってコンクールに向けていく。その様子は心打たれるものがある。

いかにも日本映画的なのであるが、それがまた良いと素直に思う。ここまでやれば、コンクールの結果などは大事なことではない。みんな結果に満足し、そして卒業していくのだろう。きっとみんなで過ごしたこの時間は、それぞれの登場人物たちにとって何物にも代え難いものになると思う。

静かに心に響いてくる映画である・・・


評価:★★★☆☆




posted by HH at 00:00 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | ドラマ